スタートアップ必見!グロースハッカーが語るオンライン改善の必勝法

創業手帳

ビタミン株式会社 CEO 高梨大輔インタビュー

(2018/11/05更新)

製品・サービスのデータを分析し、マーケティングや経営の課題を解決する「グロースハック」という手法があります。それを専門に行う人は「グロースハッカー」と呼ばれ、クライアントの製品やサービスの課題を日々解決しています。

その中でも、スタートアップマーケティングを専門にグロースハックの戦略サポートを行っているのが、ビタミン株式会社の高梨大輔氏です。今回は、スタートアップならではの課題を次々と解決している高梨氏に、WEBマーケティングの基本やこれからの展望についてお伺いしました。

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高梨 大輔(たかなし だいすけ) 
ビタミン株式会社 CEO/CMO
大学在学中、20歳でスタートアップにジョブイン。美容HRメディア「リジョブ」にて、10年に渡り取締役副社長CMOとして経営、プロダクト/マーケティングを統括する。「リジョブ」を株式会社じげんへ約20億でExit経験をした後、2年間の世界旅を経て、改めて「社会を変えるサービスがしたい」と「ビタミン株式会社」を起業しスタートアップ支援の活動を行っている。部分最適のポジショントークではなく、全体のインパクトを最大化する全体最適をポリシーとしている。

インタビュアー 大久保幸世
GMOメイクショップ取締役として同社を、後発事業者の立場から、法人向けECシステムで導入22,000社の日本トップシェアまで押し上げる。2014年にビズシード社(現:創業手帳)創業。豊富な事業運営・経営支援の経験を生かし、日本中の創業者へ「明日使える実践的な経営ノウハウ」を届け、日本企業の廃業率の低下・起業成功率の向上を通じて経済を活性化させることを使命としている。これまでに数百回に及ぶセミナーやTV出演の実績あり。ビズシード社創業後もベンチャーイベント・大学・ビジネススクールでの講演多数。

会社経営におけるグロースハックの重要性

大久保:高梨さんがWEBの改善を依頼された際、最初に行うことは何ですか?

高梨まず前提として、僕は「WEBサイト=経営や事業がどんな社会課題を解決するのかを表現する場所」だとイメージをしていて、それは経営KPI(※1)に直結しています。
なので、ひと口にWEBの改善と言っても、コンテンツ改善、LP制作など、WEBコンテンツの一部分だけを切り取って捉えてしまうと、最終的な経営KPIに貢献できない可能性があります。
そうならないために、WEBサイトを利用するユーザーをイメージし、短期と中長期の施策に分けて、施策に至ったストーリーを共有し実行することをおすすめしています。

以上を踏まえて、僕が実際にアドバイスする具体的な改善ポイントをいくつか挙げてみますね。

1.短期の施策

効果を確実に狙うために、CV(※2)に近いところ、おしり(ユーザー行動の終盤)から改善します。
例えば、「応募ボタン→商品の詳細情報→リスト(一覧)ページ」の順に改善していくイメージです。

2.中長期の施策

SEO対策のように時間やコストがかかる企画を戦略的に組み立て、短期施策が落ち着く頃(例えば2ヶ月以降等)から作業に取り掛かります。アウトソースできたり、社内にリソースがある場合は、同時に仕込む場合もあります。
仮に、実際に作業するタイミングは異なる場合でも、立案自体は短期施策と同時並行でやることが多かったです。

それとこれは非常に見落とされやすい重要なポイントなのですが、WEBの表示速度をぜひ経営KPIに入れていただきたいです。自分がユーザーだったときに、スマホで表示が遅い(重い)場合は、離脱したりすることも経験されてると思うんですね、自分がユーザーだったらをイメージするとこの重要性がわかりやすいです。
これは短期・中長期の時間軸から、そして全てのページにプラスに影響するもので、課題全体への寄与度が高いのでおすすめです。

※1
KPI:「Key Performance Indicator」の略で、企業や組織・個人の目標達成度を評価するための指標のこと。

※2
CV:「コンバージョン」の略で、Webサイト上で獲得できる最終的な成果のこと。

大久保:WEBマーケティングで大切な事は何でしょうか?

高梨「マーケティングを手法として捉えないこと」でしょうか。
一般的にマーケティングといえば、ユーザーとの接触ポイントでのコミュニケーションを指すことが多いです。言葉の定義によって話が変わってしまうので、私の場合は相手に応じて意図的に使い分けることもあります。また、僕の頭の中を整理したマーケティングレイヤーのフレームを用いてお話したりもします。

高梨氏が解説する際に使用するフレームワーク

それと、最近はWEBマーケティングという言葉を使わなくなってきた印象があります。
WEBマーケティングは手法の一つではありますが、今はデジタルだけでは人が動かない時代。その商品やサービスが「じぶんごと」に感じられるかが重要です。

「じぶんごと」と思ってもらうためのマーケティングの一つとして、リアルなイベントを開催することも有効です。
リアルなイベントでは、ユーザーがどの訴求で「じぶんごと」と感じてくれるのかが直球で分かります。リアルでウケがよかったことをWEB上での言葉選びや見せ方に活かすことで、WEBのデジタル施策でも「じぶんごと」に感じてもらいやすいというわけです。

大久保:WEB改善に取り組んだ結果、経営に大きく貢献した事例を教えてください。

高梨「成果に貢献できるチームを作ったこと」です。具体的には、そういうチームをつくる為に「週に○個改善する」というKPIを設けました。
このKPIによって、チームメンバー自身が自主的に施策立案をしはじめ、実行力だけではなく企画力もつきます。自分の施策がユーザーを通して数字に影響があることはモチベーションにも直結しますし、チーム力の向上=売上への貢献度が高かった経験があります。

中にはインパクトが低い施策もあると思いますが、大きな戦略からズレていなければ大丈夫。施策の改善速度はグロースハックの根幹ですし、このKPIによってチーム力が上がるのがコアですから。総合的にみて追加して良かったなと思うKPI指標です。

状況によって様々な手法があるWEBマーケティング

大久保:これから起業する人がCMS(ホームページを作るシステム)を選ぶ際、どのように選べば良いでしょうか?

高梨本音を言うと、資金繰りが大変な創業時に、無理してホームページを作成する必要はないと思っています。
もちろんあるに越したことはないのですが、ホームページの目的は「信頼性の担保」なので、自社サービスの特性によっては他のプラットフォームを活用するのも一つの手段です。

例えば、Facebookをホームページの代替として活用して、そこにユーザー数や「いいね!」が集まっていたら、それは十分信頼できる証になります。Instagramも同様です。ホームページを持たず、LINEやInstagramのみで集客に成功している会社もあります。
資金的にホームページ作成が難しい時や、サービスが固まっていない時は、このような方法も視野に入れてみてください。

その一方で、to B商材を扱う場合は、ホームページ=信頼に直結する傾向が強いです。その場合は、目的に応じてCMSを選択すると良いと思います。

EC(※3)なら、「ペライチ」、「BASE」、「STORE.jp」といった決済機能ありきのCMSが使いやすいと思います。
デザインにこだわらないなら「WIX」、細かくカスタマイズしたいなら自由度の高い「WordPress」などが候補になるかと思います。

※3
EC:「electronic commerce」の略。電子商取引と訳され、インターネット通販やネットショップなど、インターネット上でものやサービスを売買すること全般を指す。

大久保:SNSの上手な活用方法を教えてください。

高梨最初から気負わずに、対象ユーザー層への接客やコミュニケーションの延長とイメージするといいかもしれません。そこから考えると、注力すべきプラットフォームの優先度も見えてきます。

SNSの選定は、競合他社や似た分野の企業のリサーチがおすすめです。どのSNSに力を入れているか、どんな使い方(投稿時間や、文章の内容、ハッシュタグ、画像コンテンツなど)をしているかを自分がフォロワーになって研究し、最初は真似して運用すれば始めやすいと思います。

また、SNSは性格的な向き不向きがあります。もし自分が苦手だと思ったら、社内で運用上のNGラインを設定して、他の社員たちが運用するという方法もあります。実際に、その方法で上手に運用している企業もあります。

大久保:メルマガのコツはありますか?

高梨:LP(※4)と同じ考え方でメルマガを設計すると、イメージしやすいかも知れません。

メルマガは、件名が重要です。そこで魅力を感じるテキストでなければ開封すらされません。
開封後に見られる内容については、ユーザーが知りたい情報をどのように配置するか、を考えます。
応募ボタンもメルマガ内でタップできる状態にするなど、ユーザーが余計なことを考えなくてもいいように配置するのが肝だと思います。

※4
LP:ランディングページの略。検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのこと。

難しかったら、社外のプロフェッショナルに任せるのもアリ

大久保:WEBサイトを立ち上げた後、よく起こる間違いと対策は何でしょう?

高梨ホームページは信頼性の担保なので、「ホームページがあるのに更新情報がない」のはマイナスになることもあります。アクティブであることが、信頼に繋がりやすいのです。

対策の一つとしておすすめなのが、「毎週月曜日にニュースリリースを1本アップする」など、アクションを固定して運用することです。慣れるまでは難しいかもしれませんが、要領をつかめば軌道にのります。HPがなくてもSNSがアクティブであれば、それもいいと思います。

大久保:広告(リスティング、SNS広告など)の使い方で気を付けるべき点はありますか?

高梨:広告のトレンドは日々変わるので、僕自身もすべてを把握するのは時間的に難しいです。そのため、社外で信頼できるプロフェッショナルに依頼する方が、初動が早いのでおすすめです。社内体制が整ってから、社内に切り替える方針を取る場合もあります。

また、戦略の実行は社内で行い、戦略の立案を社外のアドバイザーに頼る、という方法もあります。戦略部分はプロフェッショナルの力を借りるのが賢明です。

外部のプロフェッショナルを選ぶ際のポイントとしては「広告クリエイティブ(画像)の知見があるか」だと思います。デジタル広告は、商品と目標を設定すれば、GoogleやYahooがシステムで最適に配信しれくれるまでに進化しています。そうなると、クリエイティブ(広告に表示される画像や文言など)が占める割合が大きくなります。差別化できるのはクリエイティブなのですが、これは見た目のデザイン的なことだけではなく、根本的にはユーザー視点や肌感を理解してることなど、マーケティングであり、それが経営でもあるので、この点を理解されているパートナーは心強いです。

国境・性別・年齢の垣根を越えられるのがWEBマーケティングの醍醐味

大久保:色々な対策が考えられると思いますが、スタートアップは時間と予算が無いところが多いかもしれません。その中で、「最低限これだけはやって欲しい」という対策はありますか?

高梨本で学べる最低限の基礎知識を頭に入れることが大切です。本は2,000円ぐらいで知識を得られますし、とてもコスパの高い教科書です。

基礎知識を持つことで、他のマーケターとのコミュニケーションがスムーズになります。街中の広告の意味合いが理解できたり、生活全般がマーケティングで成り立っていることも見えてくるので面白いです。そして、自社との対比ができるようになるので、仮設や施策の精度が高まります。
知識と同時に、実務を経験していくことで、知識が頭から身についていく感覚が得られると思います。

大久保:WEBマーケティングの面白さ、醍醐味は何でしょうか?

高梨デジタルのいいところは「拡張性」だと思います。国境、性別、年齢を越えることができる。垣根がない点が面白いですね。クライアントの皆様がそれぞれの思いをもって商品やサービスを作っています。それが、たくさんの人に届くのは快感です。

自分が企画した施策がハマるのは嬉しいですが、サポートしている方たちが企画した施策がハマったときの方が嬉しいですね、あと逆に教えてもらったり、学習欲のあるマーケターが増えること自体が嬉しいなと思っています。

大久保:起業家として、今後の展望を教えてください。

高梨:創業期は制約が多い環境です。その中で実行できる施策について、知見がある方は決して多くないと思いますので、引き続きスタートアップのサポートをしていきます。ですが、物理的にサポートできる限界を超えてきているので、今後は勉強会のようなコミュニティで学ぶような場づくりも考えています。

経営としてのマーケティングが広がると嬉しいですし、とても楽しくなってきます。それに、僕もアドバイザー活動とは別で自社のサービスをはじめようとしているタイミングなので、事業立ち上げを同じ立場で楽しんでいけたらな、と思います!

それと、僕はマーケティングが本当に楽しいと思っていて、そういう人が増えていくような活動もしていきたいと思います。最近では招待制のCMOコミュや、オープンなマーケターコミュなどを運営して、中に籠りがちなマーケターを繋げる活動をしたりしています。今後もこういう新しい試みをしていきたいですね。

(取材協力:ビタミン株式会社 CEO/CMO 高梨 大輔)
(編集:創業手帳編集部)

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