領収書の保管期間はいつまで?正しい保管方法や電子帳簿保存法も紹介します

創業手帳

領収書の保管期間と電子帳簿保存法改正を理解して保管方法を選定しよう


領収書の処理は日常的な業務です。
領収書の保管期間や管理方法については社内でルール化して、対応に手間や時間がかからないようにしてください。

電子帳簿保存法の改正によって、電子取引の紙保存が禁止となりました。多くの企業が領収書や書類管理の変更が求められます。
これをきっかけに、領収書の管理ルールを見直しましょう。

電子帳簿保存法への対応は大企業のみでなく、個人事業主にも関係がある法改正です。しかし、創業手帳の読者の方々からは「どのような対応をしたらよいかわからず、対応をしていない」という声もしばしば。そのようなまだ電帳法改正にイメージがわかない人は、是非この「電子帳簿保存法改正 対応ステップシート」をご活用ください!対応が必要な事を網羅しつつ、最低限、いつまでにどの程度対応しておいたら問題ないのかをわかりやすく解説!無料でご活用いただけます。



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領収書の保管が求められる理由とは


企業が仕事をしていれば、毎日のように領収書を扱う場面が発生します。
領収書は企業の取引きを証明するための重要な書類ですので、必ず保管しておかなければいけません。

しかし、いつまで保管しなければいけないのか、そろそろ保管スペースに困ってきたと頭を抱える人もいるかもしれません。
ここでは、領収書の保管期間について紹介します。

法人の領収書保管期間の基本的に7年間


領収書の保管期間は基本的には7年間です。ただし、一定の条件で7年の保管ではないケースがあります。
注意すべきは、領収書の日付から7年ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限(事業年度の最終日から2カ月)の翌日から7年である点です。

領収書の受け取りが2023年の7月で、2024年3月末が決算である法人の例で考えます。
確定申告の提出期限が2024年の5月末となるので、保管期間も2031年の5月末の翌日です。
領収書を保管する時には事業年度ごとにまとめておいて、保管期間が経過したものから破棄していくことをおすすめします。

領収書の保管期間は税法で定められています。確定申告で領収書の提出が求められることはありません。

法人であれば法人税法、個人事業主であれば所得税法と、それぞれの保管期間が定められています。
税務調査の時に領収書の提出を求められることもあるので、すぐに見せられるように分類して保管しておくようにしてください。

以下では、どういった時に保管期間が変わるのか紹介します。

繰越欠損金の控除を受ける場合は10年間

法人の領収書の保管期間は、法人税法で定められています。
領収書だけでなく、税法上の帳簿書類である勘定元帳や仕訳帳、貸借対照表や損益計算書、注文書といった書類も7年間は保管しなければいけません。

また欠損金の繰越控除を利用する時は、領収書の保管期間は10年間です。
欠損金の繰越控除は、その事業年度の赤字を翌事業年度に持ち越して税額を抑えられる仕組みです。
つまり、赤字を出して繰越控除を利用する可能性がある場合には、領収書の10年保存が必要になります。

さらに、会社法でも「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」や「計算書類及びその附属明細書」は10年間保管するように求めています。
書類や事業年度によって何年保管するかその都度検討するよりも、会計関連の書類は10年間保管と決めておくほうが確実です。

個人事業主の領収書保管期間は5年間か7年間


個人事業主の領収書保管期間は青色申告事業者と白色申告事業者で違います。青色申告事業者は、7年間の保管、白色申告事業者は5年間保管です。
法人と同様に確定申告の提出期限翌日から起算するので注意してください。

ただし、白色申告事業者であっても収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年間の保存が義務付けられています。
また、消費税納税義務がある課税事業者は仕入税額控除を行うため、領収書の保管期間は7年です。

仕入税額控除は、重複して消費税を納めることがないように、仕入れにかかった消費税を課税売上にかかる消費税から差し引ける制度です。
仕入税額控除を使うためにも領収書が必要で、2023年10月スタートのインボイス制度でも領収書は7年間保管が求められています。

個人事業主は一定の条件では5年間保管でも問題はありませんが、書類や帳簿ごとに7年保管と5年保管のものを分類するよりもまとめて7年保管にした方が効率的といえます。

領収書の保管する際のよくある疑問

領収書を保管していないとどうなるの?

領収書の保管は面倒も多く、なぜ長期間保管する必要があるか疑問に感じるかもしれません。
領収書は保管するように法的に義務付けられていて、確定申告の時の計算に必要な書類です。

確定申告での提出は求められないものの、正確な企業の収入額や納税額を算定するために領収書が必須です。
事業を行うために領収書を扱うことは避けられないので、できるだけ手間をかけない、効率的な保管方法を考えてください。

領収書を適切に保管していないことが税務調査で発覚することがあります。税務調査官がさかのぼって徴税できる期間は7年間で、領収書の保管期間も7年です。
保管期間内の領収書が適切に保管されていないことがわかれば、追徴課税など追加で税金の支払いが命じられることもあります。
税務調査が実施されても問題がないように、わかりやすく整理していつでも提出できるようにしてください。

保管期間終了後の領収書はどう処分する?

領収書は、保管期間が終わったからといってどのように扱っても良いわけではありません。
保管期間が終了した領収書は適正に処分してください。
領収書は、事業に関わる取引きや取引先といった情報が記載されているので、紙で保管している書類であれば情報が読み取れないようにシュレッダーなどで裁断します。

大量の紙書類の処分にはシュレッダーでも多大な時間がかかり、裁断が甘いと情報が読み取られてしまいます。
書類を引き取って溶解して処分くれる業者への依頼を検討しても良いかもしれません。

電子データの場合には、復元ができないように完全にデータを削除します。
CD-ROMなどでバックアップを取っている場合には、削除を忘れないようにしてください。

電子帳簿保存法改正で2024年以降の領収書の保存方法は?


これまで紹介してきたように、領収書は税務署から要請があればすぐに提出できるよう、定められた期間は保管しておかなければいけません。
具体的な保管方法について、紙で保管する場合と電子データで保管する場合に分けて紹介します。

2024年以降、電子取引による領収書は電子保存のみ

領収書と聞くと、紙のものをイメージする人が多いかもしれません。領収書の保管方法は時代とともに変わってきました。

1998年に制定された電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子的に保存する時の要件などを定めています。
制定後に何度か改正がありましたが、2022年の電子帳簿保存法改正では企業規模を問わずほとんどの事業者が対応を迫られます。

改正電子帳簿保存法では、様々な改正がおこなわれましたが、その中でも影響が大きいのが、電子取引における電子データ保存の義務化です。
今までは、電子取引に関わる書類の保存について、紙に印刷して保存することが認められていました。
しかし、電子帳簿保存法改正後は電子取引における電子データでの保存が義務付けられます。

例えば、電子メールに添付された請求書や領収書、請求書発行システムを経由してやり取りした請求書なども電子データでの保存が必要になります。
さらに、保存する時にも一定の要件を満たさなければいけません。

紙の領収書を保管する場合には、会計帳簿と対応させられるように保管するのが一般的です。
紙のままで保存する場合は後から見やすいように台紙に貼り付けてバインダーで閉じるほか、ファイルや封筒に小分けにする方法があります。
分け方は月別や費目別など後から探しやすい方法を採用します。

2024年からは電子取引における電子データでの保存が義務付けられるため、紙で受け取った領収書についても電子化を検討してください。

領収書を電子化するメリット

領収書を電子化することで、書類管理は格段に効率化します。領収書を電子化するメリットについてまとめました。

保管スペースが不要になる

領収書を電子化することによって、今までは必要だった保管スペースが不要になります。
また、検索性が増して管理しやすくなるため、人件費や担当部門の作業時間が削減可能です。

セキュリティが高まる

電子的に保存されたデータは、バックアップを取っておけばデータが消えた時でもデータ復旧できます。
領収書は紛失や盗難のリスクがありますが、管理システムを導入することによって情報漏洩や盗難を防ぎ、より高いセキュリティでの管理が可能です。

経費削減になる

今まで紙で保存していた領収書は、印刷する紙やインクの費用やバインダー代も発生していました。
しかし、電子化することによって印刷が不要になるため、これらの経費が削減できます。

【改正電子帳簿保存法対応】領収書を電子化する方法


領収書を電子データで保存することには様々なメリットがあります。
電子帳簿保存法の改正に併せて、紙の領収書も電子データでの保存を検討してみてください。
領収書を電子化する方法についてまとめました。

電子帳簿保存法に対応するための保存要件

電子帳簿保存法では、国税関係の帳簿や書類を一定の条件を満たせば電子保存することを認めた法律です。
電子帳簿保存法で定める要件には、スキャナ保存と電子帳簿保存、電子取引に分けられ、領収書の保存に関係するのがスキャナ保存と電子取引データ保存です。

スキャナ保存要件

スキャナ保存要件は、書面で交付、受領した書類を電子保存する要件です。
受領した領収書だけでなく、自社で発行した書類も要件を満たすことによって電子保存に切り替えられます。

スキャナ保存には、細かい要件が定められています。しかし、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すれば、手間を最低限にして適切な保存が可能です。
システム導入時にはスキャナ保存に対応できるかどうかを確認してください。

電子取引データ保存要件

電子取引データは、Web上で受領、送付した書類を指します。
受発注は書面で受け付けていても、領収書をデータで発行している時には電子取引データとして保存しなければなりません。

2023年までは宥恕措置として、電子取引データを印刷して書面保存が認められています。しかし、2024年からは保存要件に従って保管する必要があります。

電子帳簿等保存要件

コンピューターを使って作成する帳簿は電子保存が認められています。
例えば、会計システムで作成した仕訳帳や総勘定元帳や貸借対照表、損益計算書などが挙げられます。
ただし、一部でも手書きの記録があれば電子保存は認められません。

ステップ①電子帳簿保存法対応システムの選定

領収書の電子保存を実施するには、専用のシステムを導入するとスムーズです。
領収書を電子化できるソフトは多くあるので、機能を比較して選ぶようにしてください。

システムを選ぶ時には、改正電子帳簿保存法に対応しているかどうかを確認するようにします。
自社が書類や領収書管理に課題がある場合には、改善できるシステムを選ぶことも大切です。

ステップ②マニュアルを策定する

領収書の電子化をスムーズに進めるために、社内ルールやマニュアルを策定してください。
自社の業務の現状を踏まえて、できるだけ現場の社員が領収書の電子化に対応しやすいようなルールを定めましょう。

ステップ③全社導入する

領収書を電子化するための環境を整備したら、実際に電子領収書を発行、保存を実施してください。
ただし、取引先によっては電子領収書には対応していないところもあるかもしれません。
そういった場合には、個別に紙で対応する必要があります。

まとめ

領収書の保管期間は、赤字の有無や青色申告かどうかのように条件によって違いがあります。
条件によって保管期間を分けて保存する方法もありますが、基本的には法人は10年、個人事業主は7年間保管しておけば問題ありません

領収書の保管は、電子帳簿保存法の改正で多くの企業が見直しを迫られます。領収書の保管を見直すとともに、社内ルールも定めておくようにしてください。




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(編集:創業手帳編集部)

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