領収書の印紙税一覧と節約術
書き方や枚数を変えるだけで、非課税に!!
(2016/03/16更新)
個人事業主であれ、法人であれ、ビジネスをするうえで領収書はつきものです。領収書をやり取りする際には印紙が必要なのをご存じですか?「領収書」は、税法上、課税文書に該当する書類になるため、印紙税が課税されます。そのため、収入印紙を貼る必要があるのです。今回は領収書と印紙、さらにその節約術についてご紹介します。
この記事の目次
「領収書」に貼る印紙って?
商売をする上で、領収書はつきものです。
例えば、得意先からお金を受け取った時、「領収書切ってくれる?」と言われる場面は多く出てきます。
その「領収書」に印紙がいるって知っていますか?
「領収書」は、税法上、課税文書に該当する書類になるため、印紙税が課税されます。そのため、収入印紙を貼る必要があるのです。
「領収書」という名前が付いているものだけでなく、以下のように作成の目的が金銭を受取った事実を証明するものであるときは、金銭の受取書に該当し、印紙税が課税されます。
- 「受取書」、「レシート」、「預り書」と書かれているもの
- 「受取ったよ」という事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したもの
- お買上票など
これらの受取書は、受け取ったお金が売上代金に係るものか、それ以外のものかで税額が異なるので気をつけましょう。
それぞれの記載金額による印紙代は以下の通りとなっています。
1.売上代金に係る受取書の金額と印紙税額
記載金額 | 税額 | |
5万円未満のもの | 非課税 | |
5万円以上 | 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え | 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え | 300万円以下のもの | 600円 |
300万円を超え | 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 2,000円 |
1,000万円を超え | 2,000万円以下のもの | 4,000円 |
2,000万円を超え | 3,000万円以下のもの | 6,000円 |
3,000万円を超え | 5,000万円以下のもの | 10,000円 |
5,000万円を超え | 1億円以下のもの | 20,000円 |
1億円を超え | 2億円以下のもの | 40,000円 |
2億円を超え | 3億円以下のもの | 60,000円 |
3億円を超え | 5億円以下のもの | 100,000円 |
5億円を超え | 10億円以下のもの | 150,000円 |
10億円を超えるもの | 200,000円 |
(注)
・平成26年3月31日以前に作成されたものについては、受取金額が3万円未満のものが非課税とされていました。
・営業に関しないものは非課税となります。
2.売上代金以外の受取書の場合
記載金額 | 税額 |
5万円未満のもの | 非課税 |
5万円以上のもの | 200円 |
(注)
・営業に関しないものは非課税となります。
・売上代金に係る金額と売上代金以外の金額が記載された受取書はその合計の記載金額が5万円未満の場合、非課税となります。
・平成26年3月31日以前に作成されたものについては、3万円未満の場合、非課税文書とされていました。
「領収書に貼る収入印紙を節約するには・・・」
商売をする上で領収書を切るシーンは多いと思います。それだけに、印紙代も積もり積もると大きな金額になってしまいます。
そこで、この印紙税を節税できるちょっとした方法をご紹介します。
消費税と本体価格を分けて書きましょう。
領収書に消費税額等が明記してあれば、消費税抜きの金額に対して印紙税が課税されます。
例えば
商品の本体価格・・・49,000円
消費税等の額・・・3,920円(8%)
合計(税込価格)・・・52,920円
この場合の領収書の書き方
(A)「商品代金52,920円、消費税等の額含む」
(B)「商品代金49,000円、消費税等の額3,920円、合計52,920円」
(A)の領収書と(B)の領収書、貼る収入印紙の額は同じだと思いますか?
答えは、(A)は200円、(B)は非課税になります。
本体価格と消費税等の額が分けて記載されている場合は、本体価格を印紙税の対象とするので、(B)は5万円未満となり非課税になるのです。
一方、(A)は税込金額で判定することになるので、5万円以上となり200円の収入印紙が必要になります。
このように領収書の書き方次第で、印紙税の額が異なってくるのです。
この取り扱いができる課税文書は次の3つに限られていますので、ご注意ください。
- 第1号文書・・・土地建物の売買契約書など
- 第2号文書・・・工事請負契約書など
- 第17号文書・・・領収書など
実際に実務に生かされる際は、最寄りの税務署か税理士にご相談ください。
領収書を複数枚に分けてみましょう。
例えば
商品代金60,000円を受領
この場合の領収書の発行の仕方
(A)60,000円の領収書を発行
(B)30,000円の領収書を2枚発行
(A)の領収書と(B)の領収書、貼る収入印紙の額は同じだと思いますか?
答えは、(A)は200円、(B)は非課税になります。
(A)は5万円以上の領収書ですので200円の印紙が必要です。一方(B)は1枚の領収書が5万円未満となるので、非課税となるのです。
ただ、お客様に発行するものですから、複数枚に分けるときは必ず相手に確認するようにしましょう。
状況によっては取引先へのイメージが変わりますから気を付けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。領収書には金額によって決められた収入印紙を貼付しなければなりません。
収入印紙の貼り忘れや金額不足が発覚すれば本来の印紙税額の3倍の金額(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは1.1倍)が課せられますので、注意しましょう。
(監修:ゆう税理士事務所 税理士 小林優子)
(編集:創業手帳編集部)