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領収証と預かり証の違いは?

領収証と預かり証の定義、違いや使い方についてわかりやすく説明します。
領収書とは、商品やサービスの対価としての代金を受取人が受け取ったことを証明する書類です。一方で、預かり証とは受取人が他者の資産を一時的に保管することを証明する書類です。
どちらも受取人が取引相手に発行する書類ですが、取引の対象となる代金や資産の所有権に違いがあります。領収書では代金の所有権が受取人に移りますが、預かり証では資産の所有権が元の取引相手のままとなります。

それぞれの共通する内容や違いをさらに詳しく説明します。
まず、共通する内容としては、領収書も預かり証も商品やサービス、資産の取引にあたって受取人が相手に発行する書類と言えます。この規定は次の民法486条で定められた、受取証書の交付請求に基づいています。
・弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

弁済とは法律の用語ですが、言い換えると物品や資産の対価を弁償する、返すことを意味しています。また、受取証書とは領収書や預かり証など、取引がされて対価を受け取ったことを示す証拠書類のことです。受け取るという広い意味では、受領書とも言えます。
つまり、民法486条が示すのは、取引の対価を払うことと引き換えに、対価の受取人への領収書や預かり証などの証拠書類の交付を請求することができる、というものです。
ただし、書類の交付自体は任意ですが、交付の請求があった場合には書類を発行する義務が発生します。逆に、交付の請求をしたにも関わらず発行されない場合は、対価の支払いを拒否することもできます。

続いて、領収書と預かり証のそれぞれの内容や違いについて説明します。
領収書は、主に商品やサービスを購入したときに、対価である金銭の支払いと同時に、受取人から発行されます。日常の生活やビジネスで見る事も多く、企業内の経費処理や、税務署への税務処理のために必要な書類となります。
主な記載項目は、支払いにあたっての「日付」「宛名」「但し書き」「金額」「発行者の住所氏名」と、受け取った金額が5万円以上の場合には課税対象となるため、代金に応じた金額の収入印紙が必要となります。
なお、領収書として扱うことができるものは、支払い先や金額が記載されたレシート、銀行振り込みの場合の振り込み明細書、クレジットカード払いの場合の利用明細書なども該当します。ただし、これらの書類については、二重計上や不正を防ぐためにも記載項目や支払いの方法を明記しておく必要があります。
また、保管期間についての取り決めもあります。法人は法人税法によって7年間、個人事業主は所得税法によって白色申告で5年間、青色申告で7年間と定められています。ただし、青色申告の場合の例外として、前々年の所得が300万円以下の場合に、保管期間は5年間とされています。

一方で預かり証は、主に資産の取引に関する書類ですので、たとえば不動産の支払いのための手付金や、資産を運搬するとき、担保差し入れの際など、資産の一時的な預かりと同時に、資産を預かる側が発行します。領収書に比べると、日常の生活やビジネスでも見る機会は少ないですが、預かり証によって不動産など大きな資産の取引や、裁判所など第三者に対する資産の証明に使用することができます。
主な記載項目は、「預けた者の住所氏名」「預かった日付」「預かった者の住所氏名」「預かった旨」「預かった物の内容または金額」「返却条件」などがあります。また、預けた物が金銭の場合、領収書と同様に5万円以上では課税対象となるため、代金に応じた金額の収入印紙が必要となります。
また、保管期間は領収書と違って預けた内容や条件によります。一般的に、預けた資産について残金の支払いを済ませた場合に、預かり証を発行元の預かった者へ返却すると、その代わりに領収書が発行されることもあります。

ここで、領収書との大きな違いは、預かり証が発行された際の資産や金銭の所有権は、まだ預けた者にあることです。領収書では金銭の受取人が所有者となりますが、預かり証では金銭や資産を預けたことのみを証明していますので、所有者は預けた者のままです。そのため、預かった者が企業の場合、売上に計上することもできません。
このように、領収書と預かり証の内容と違いをまとめると、次の通りとなります。
・領収書と預かり証は、どちらも取引で代金や資産を受け取ったことを証明する書類である。
・領収書と預かり証の違いは、代金や資産の所有権である。領収書の場合は所有権が受取人に移るのに対して、預かり証は預けた者のままである。

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