起業してからの「これだけ納税術」

資金調達手帳

スタートアップベンチャーのための「納税方法まとめ」と「納税の手間を減らすコツ」

起業してからの「これだけ納税術」
起業前に会社勤めをしていた人は、これまで納税のことなんて考えて来なかったという人も多いだろうが、事業を始めたら否応無しに納税について知っておかなくてはならない。

とはいえ、税金の話は苦手だという「税金アレルギー」の起業家も多い。税金のことを考えただけで「知恵熱が出る」「ジンマシンが出る」等の重症の起業家(コレ本当の話ですよ!)に会ったことも。。。

というわけで、今回はそんな起業家のために、納税方法の基本的な解説と面倒な納税の手間を減らすちょっとしたコツを紹介する。

課税方法の種類

事業を行う上で、企業は様々な税金を納付しなければならない。法人税・固定資産税・源泉所得税・印紙税etc…

これらの税の課税方法は大きく分けて2種類存在する。すなわち、「申告納税方式」と「賦課課税方式」だ。

簡単に言うと「自分で計算して申告書を提出し、税金を納める」のが申告納税方式で、「国・地方団体が計算した納税通知書が届き、それに基づいて税金を納める」のが賦課課税方式である。

所得税・法人税・消費税などが申告納税方式に該当し、固定資産税・自動車税などが賦課課税に該当する。
 

納付の方法

どちらの課税方法であっても、「〇〇税△△円」と記載された書類を持参して金融機関に行けば税金を納付することができる。

違いは、その書類の作成プロセスだ。

申告納税方式の場合には、申告書の作成と同時に納付書の作成を行うため、納税額を自分で計算して、納付することが可能だ。

一方で、賦課課税方式の場合には、国・地方団体から「〇〇税△△円」という納税通知書が届くので、通知書に従って粛々と納付する。

納税の時期

税金の種類によって、その納税時期は異なる。

申告納税方式

申告納税方式の場合(法人税・消費税など)は、事業年度終了から2カ月以内が納付期限であることが多い。例えば事業年度が4月1日~3月31日であれば、納付期限は5月31日である。

個人事業者の所得税であれば毎年3月15日だ。

また、前年の納税額によるが、概ね半年に一度、中間申告納付をしなければならない。これは、前年の納税額の1/2相当額を前払いするもので、前払いした分はその年の確定税額からマイナスすることが可能だ。

消費税の納税時期

消費税は少し煩雑で、前年の納税額に応じて半年(1回)・3カ月ごと(3回)・1カ月ごと(11回)に「中間申告納付」をしなければならない。それぞれの前年度の納税額が「48万円以上の場合は半年に1回」、「400万円以上の場合は3カ月に1回」、「4,800万円以上の場合は1カ月ごと」に納税が必要にある。

申告納税方式は、中間申告納付についても納税額を計算し、納税することが必要となるため、計算忘れ・納付忘れに注意が必要だ。

賦課課税方式

賦課課税方式の場合、納税時期が定められている。賦課課税方式の場合は、前述の通り時期になると納税通知書が手元に届くので、それに基づいて納付するだけだ。

例えば、自動車税の場合、4月1日時点の所有者に対し納税通知書を発送し、5月末が納期限となるのが一般的である。また、固定資産税の場合、年4回の納期が都道府県ごと・市区町村ごとに定められている。東京23区内であれば6月・9月・12月・2月の4回だ。

源泉所得税の納税時期

毎月納めなければならないものとして源泉所得税が挙げられる。脱サラした経営者であれば分かりやすいと思うが、サラリーマン時代には天引きされるだけだったものが、今度は天引きする側になる訳だ。源泉所得税は、給与の支払いの際に全員分の源泉所得税を天引きし、翌月10日までに納付することになっている。

なお、給与だけではなく、個人事業者の弁護士・税理士・司法書士などへ報酬を支払った際も源泉徴収をしなければならないので、注意が必要だ。

納税の回数を減らすコツ

基本的に申告納税方式の税金は、納税回数を減らすことはできない。一方で、賦課課税方式の税金は、前納が可能なため、キャッシュに余裕があれば一括で納付することが可能だ。

また、源泉所得税については、要件を満たし、届出をすることで毎月納付から半年に1度納付にすることが可能だ。要件とは「給与の支給人数が常時9人以下」であり、小規模事業者限定の制度だ。この特例を適用した場合の納期限は毎年1月20日・7月10日になる。
 

納税の手間を減らす方法

延滞税に注意

「本業が忙しくて、金融機関に行って納税している暇がない」

確かに窓口が開いている時間帯には他の商談等で身動きが取れないことが多いのもわかる。しかし、だからと言って納税しなくて良いということにはならない。

納期限までに納付しないと延滞税という利息が取られることがあるため、無駄な出費を抑える意味でも、何とか時間を作って納付することが必要だ。

電子納税でポチッと納税

最近では、インターネット上で納税できるシステムが存在する。電子納税といい、「ダイレクト納付による電子納税」と「インターネットバンキングによる電子納税」の2つの方法がある。

両社の違いは、ざっくり言うと、引落しか振込かの違いで、ダイレクト納付は全ての税目で適用することができるが、ネットバンキングの場合は一部対応していない税目がある。

サービスを利用するためには、事前登録が必要だが、窓口に行く手間を省くことができ、窓口が閉まっている時間でも作業が可能となり便利だ。

個人事業者向け振替納税

個人事業者の場合は「振替納税」という制度も存在する。指定された日に口座から引落しとなる方法であり、これらは所得税と消費税のみの対応となる。

こちらも事前登録が必要となるが、「気付いたら窓口が閉まる時刻。。。」というようなミスも無くなるだろう。ぜひ検討してみてはどうだろうか?

最後に

納税は複雑だ。基礎的な納税の知識やコツを押さえたら、実際は税理士と相談しながら納税を進めていけばよいだろう。

また、納税はキャッシュフローにも大きな影響を与えるので、不明点がある場合は、小さなことでも税理士にしっかりと確認するのを忘れないようにしよう。

(監修:渋谷税理士法人 中村剛士)
(創業手帳編集部)

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