連続起業家・塩飽 哲生|「ダメなら漁師に魚をもらえばいい」1日300円のドン底から大型資金調達・連続エグジット!データで世界を変えていく

事業承継手帳

「この地域は病院が患者を受け入れない」衝撃の一言から始まった起業ストーリー

起業したばかりの時期は、各種手続きや資金調達、集客方法など分からないことや初めてのことの連続で、苦労した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

スペシャリスト・ドクターズ株式会社の代表取締役で、連続起業家でもある塩飽哲生さんも、起業当初は1日300円で暮らすほどギリギリの状態で、当時の状況を思い出してジンマシンが出るほど大変な時期だったそうです。

現在では、大型資金調達や事業売却などを行い、様々な新しい事業に挑戦されていらっしゃいます。今回は塩飽さんに事業売却のご経験や今後の展開などをお聞きしました。

塩飽 哲生 (しわく てつお))
スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役
https://www.specialist-doctor.com/home/
AwakApp Inc.(米国登記)CEO
https://www.ai-tutor.app/
AwakApp Japan合同会社 代表社員
https://www.awakapp.jp/
Virtual Smart Health Inc.(米国登記) CEO
https://v-smart.health/
1978年5月6日生まれ、福岡市出身
東京大学工学部、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
スペシャリストドクターズ社(旧リーズンホワイ)のサービスを単一のヘルスケア製品から製品群に拡大し、グローバルな製薬会社のほぼ全てを顧客として取引を開始した。また、がん患者向けの製品として6,000人のがん専門医ネットワークを作り、オンライン型セカンドオピニオンサービス “Findme Second Opinion”をリリース。
さらに、国立がん研究センター中央病院と共同開発した、医師と患者さんの出会いを創出するビデオ型セカンドオピニオンサービス「Findme Specialist Doctors」をリリースした。WhytPlotを含め、これらの事業を世界的な生命保険会社であるアフラックグループに売却した実績がある。現在は、自らの「志」を実現し、誰もが幸せになれる可能性を秘めたAwakAppの事業を世界に展開するため、東京とシリコンバレーの2拠点での活動の準備を進めている。

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創業のきっかけは、ある「思いもよらない言葉」

ー創業に至った経緯はどのようなものでしたか?

塩飽:父親が医者だったこともあり、大学では安全医療の分野を研究し、卒業後も、医療コンサルの道に進みました。

病院の医療コンサルをした際に「病院の得意分野を絞り効率性を上げる」という改善プロジェクトをしたことがありました。

しかし、地域の救急隊の方から思いもかけない言葉を聞きました。

「この地域の病院は患者を受け入れてくれない」

良いと思ってやった改善が必ずしも地域の患者さんにためになっていなかったということに衝撃を受けました。
患者さんという需要と、病院の受け入れ態勢という供給が、分からないからそういうことになってしまう、ということに気が付きましたら。
そういう仕組みがないなら、それをつくろうということで起業しました。

でも自分で開発できませんから専門家に企画書を持っていって誘ったのですが、「予算は無いですけど絶対売れますから出世払いで」というやりとりを半年近く続けて、最後は情熱で押し切って作ってもらいました。

そして地域医療の可視化システムである「ストラテジー」が生まれました。ストラテジーには全国の1,800 病院(現在は約3,000病院)の診療データが入っています。

そして患者さんにより近いサービスとして「ユアホスピタル」をリリースしました。プロ向けのストラテジーを、患者さん側が知りたい情報に整理し直して使いやすくしたものです。

ー起業当時に大変だったことはありましたか?

塩飽:以前、鎌倉に住んでいて東京に通っていました。

今の会社の前身の会社の時ですが、銀行融資の600万は減ってしまうし、売上も上がらない。1日300円で暮らしたり、あまりに仕事が無いので、コンビニか漁船の掃除のバイトでもしようかと思ったこともありました。もう漁師さんから魚をもらえれば生きていけるから、と開き直るくらいのギリギリの状態でした。

そして会社も軌道に乗り、出資も集まり、東京で暮らし始めた頃、週末にリラックスのつもりで鎌倉に行ったらジンマシンが出たのです。

病院に行ったらストレスが原因だと言われました。鎌倉が大好きなのに、なぜ鎌倉で海風に当たると体が覚えているのかジンマシンが出てしまいます。

起業当時は本当に大変でしたね。

ー経営していくうえでのビジョンや、大事にしていることはありますか?

塩飽:そうですね、我々は、地域の患者様が本人や家族の納得できる医療を受けられる社会をつくるため、一般公開された医療ビックデータを活用したITサービスを提供しています。

「医療×ITで患者様と専門医をつなぎ、全人類の寿命を1秒伸ばす」ことを使命にしています。

団塊の世代が後期高齢者となる2025年、医療ニーズがピークに達すると予測されていますが、現場の人材不足は本当に深刻です。

リーズンホワイはITで、患者様をはじめ、医師、医療関係企業、医療制度をつくる行政の方など、医療を取り巻くすべての人にとって最適な医療環境の実現に貢献しようとしていました。

退路を断って、追い求めてこそ結果が出る

ーメンバーをどうやって集めていきましたか?

塩飽:ビジョンを語って集めることでしょうね。
個人的なつながりや紹介が多いです。最近ではホームページからの問い合わせや、紹介も昔に比べると多くなりました。

起業家向けに採用のコツをお話ししますね。
それは、担当付けることです。

会社をやると人事・総務が重要ということを実感します。

人事担当がいないと結局、忙しいので後回しになってしまい、安定しないのです。担当をつけてから安定して人が入り、エンジニアも今年に入って半年弱で10人ぐらい内定や採用ができました。

なんでもそうですが、あるテーマについて24時間365日の考える人、逃げ道を断って、追い続ける人がいてこそ成果が出てくると思います。

IPOとは異なる魅力がある事業売却

ーその後、大手企業・アフラックに事業を売却でエグジットされたと伺っておりますが、どういった背景があったのでしょうか?

塩飽:Findmeシリーズは、がん患者さんの治療の選択肢を広げるために大きな可能性を持っています。

ベンチャー企業でやっていくよりも、日本のがん患者の2割にアクセスできるアフラックが引き継いでいけることで、多くのがん患者さんが助かる可能性が大きいと思って、事業譲渡を決意いたしました。

ー売却の際の経験などで今後、連続起業やエグジットを目指すような方に役立つようなお話があれば経験をシェアして頂ければと思います。

塩飽:私も、多くの日本の起業家と同様に、最初はIPOを目標にしていました。

確かに、IPOには数多くの利点があると認識していますが、事業売却もまた独自の魅力があります。事業売却を経験することで、IPOとは異なる魅力を感じることができます。それは、新しいビジネスを一から築き上げる機会や、気分をリフレッシュすることが可能であるという点だと感じています。

子供たちが毎日がワクワクする世界を作るために

ー新しい事業であるAwakAppや、今後の展開について教えて下さい。

塩飽日本の子供たちが、将来への希望を感じ、毎日がワクワクする世界を作りたいと思っています。

そのためには、子供達が憧れる大人たちをたくさん取り上げ、そして純粋に子供達がそのような大人になりたいと思う気持ちを大事にしてあげること。そしてそのそういったロールモデルの大人になるために、今日・明日・今週は何をすると良いのかが明確になっていること。そして日々立ちはだかる困難を一緒に乗り越えられる仲間たちが周りにいること。こういったことを、AwakApp事業で作っていきたいと考えています。

先日のWBCで大活躍した日本チームの選手たちが、「小学校や中学生でイチローやダルビッシュがWBCに出ているのをテレビで見て、WBCに出てみたいと思った」といったことや「これまで大リーグに行くことは遠い存在だったけど、WBCに来てみると身近に感じた。そのことがWBCに出た選手の多くが大リーグに行くことだと思う」といった発言が私にとって印象的でした。

生成系AIが出てきたことによって、子供達は世界の知識の集合体にアクセスできるようになりました。AwakApp事業では、AI tutorというサービスを通して、日々の勉強のサポートだけではなく、子供たちの将来の夢や志の実現に向けたサポートをしていきたいと考えています。

ー最後に、起業家へのメッセージをお願いします。

塩飽:会社ですから売上・利益をとにかく稼がないと生きていけないという状況も多いと思います。多くのベンチャーは目先の売上を作らないといけないですが、コンサル、受託でお金を稼ぐわけです。

でも、売上にはなるけれども、自分がやりたいことがあったから起業したのではないでしょうか。

もし自社サービスをやりたいなら、やはり投資家に行って、お金を集めて、事業計画で勝負するという考え方もあると思います。

あとは、株式を30%ずつみたいな責任とリスクがあいまいな資本構成は避けたほうが良いと思います。誰かがリスク負う。尻をふけるひとがリーダーだと思います。

自分の場合は、まずいときに仕事が降ってくる、予想もつかない話が来る、常に誰かが助けてくれました。

自分のビジョンの実現のために責任を明確にして、果敢にトライするという姿勢が必要ではないでしょうか。

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