「社長と社員の違い」を理解!ワングロース宮田社長が語る、メンバーの成果を引き出すコツ

創業手帳
※このインタビュー内容は2017年05月に行われた取材時点のものです。

社員の意識レベルUPは、当たり前のことをしっかり行えばできる

(2017/05/31更新)

ベンチャーという困難な課題に取り組む中で、社員・部下のモチベーションを上げて成果を出すのは起業家にとって重要な課題です。
今回は株式会社ワングロースの宮田社長に、社員・部下との接し方や指導のコツについてお話を伺いました。

社員の成長スピードを見極める

ー創業者にとって社員、部下の指導で気を付けるべき点は何ですか?

ひとつあるとすれば「待つ」ことも覚えることですね。もちろん、ゆっくりやって良いという訳ではありません。ですが、待つということを上手く積極的に使うことが重要です。

人にはそれぞれのリズム、ペースがあります。創業者は全て自分のリズム、ペースで事を進めがちです。
人が人のリズム、ペースに合わせることは簡単ではありません。他者のリズム、ペースに合わせることを最も苦手とするのが創業者だったりします。

そのため難しさは知っているはずです。また、成長の実感を待てるかどうかも重要かと思います。
事業計画も、社員の成長スピードを考慮して立案した方が良いでしょうね。
そうしないと、組織に無駄な負荷がかかり良いことがありません。

ー歴史的脳の負の効果とはなんですか?

元々人間は臆病にできています。
なぜかというと、歴史的には暗闇に猛獣がいたり、戦争で負けると命が無くなるような状況があった。だから自己防衛本能として負のブレーキがあり、それがあることが生き残る上で必要だった時代があったわけです。もっとも現代では、よほどのことがない限り命まで取られることは無いのですが、永い生物としての本能で過剰に防衛してしまう。

そのため、人は「負の方向性」「ブレーキ」「成功を喜べない自分」という負の素質も持って生まれてきているようです。

宮田氏が行う研修の様子。自然に立ち向かい、「助け合うこと」の重要性を理解してもらうことが目的

例えば「新しいことに意味なく抵抗する」「上司から大量の仕事を指示されると忙しいふりをする」等の反応をしてしまう。
生い立ち、仕事、スポーツなど、幸運にも過剰な負荷を乗り越えたことがある人、成功体験を持っている人は、人間が本来持っている負の方向性を正しい方向に脳を書き換える、つまり本能を理性でコントロールすることができています。

ただ、そういう成功体験を持っている人は、経営者、スーパープレイヤー的な人など、ごく一部です。
多くの人は負の方向性を持ったまま一生を終えるそうで、特に日本人はその傾向が強いようです。

社員が過剰に負の方向に傾いてしまっているとすれば、本来のポテンシャルが発揮されるわけはありませんよね。
日頃のコミュニケーションや部下との関係の積み重ねが大事です。根本から大きく直したいというときに、研修という形で我々がお手伝いすることもあります。

山中の沢や滝など非日常的な空間の中で体を動かす、メンバー同士でコミュニケーションをとる、ゲーム的な研修をすることでチームの親近感や「助け合うこと」の重要性を理解してもらいます。

問題社員は最後に変わる

ー「問題社員は最後に変わる」ということですがどうしたらいいですか?

社長にとって頭の痛い問題が、問題になるようなメンバー、社員でしょう。特に創業期は色々な人が入ってきますので、社員のコントロールは大変でしょう。

問題社員と言われるような人は、大抵が天邪鬼的です。会社からする一番多い間違いは、その人だけを直そうとしてしまうことです。
そうなると、その問題のある方は抵抗し、何も変わりません。重要なのは、その人と一緒に業務を行う人たちも変えることです。
一緒にチームビルディングを行って問題のない人たちから変わり、成長していくと、様子を見ていた問題社員は最後にその流れに乗ってきます。

人は簡単には変わりません。
まずは問題社員を変えるのではなく、その周囲の人たちが問題社員への関わり方を変えます。そうすれば組織としては機能します。そのうち、問題社員にも変化の兆しが見えるように成ります。
なので、研修であれば問題がある人だけではなく組織全体で行うことが効果的なのです。

社員の意識レベルを引き上げる方法

ーできる社長の口癖は?

様々ですが、急成長企業の社長には「やりきる」という口癖の人が多いように思います。

ー社長と社員は別ものと考えるのはなぜですか?

前述の歴史的脳の負の効果の影響がありますね。
大抵は脳がマイナスの方向になってしまっているような人は社長になりません。強烈にポジティブな人が多いです。

社長以外でもプラスの方向の人が少しいて、どっちつかず、ややマイナスという人が大多数を占めます。
社長と違い、普通の人、つまり多くの社員は、脳、モノの見方、感情にマイナスの方向性がかかっています。

脳を「正」で満たされた人は、新しいことにワクワクします。困難なことを有意義に感じます。
「負」で満たされた人は、真逆の反応をします。また、多くの社員は確実性の高いことをやりたがります。
つまり良くも悪くも職人的なわけです。

社長は不確かな未来、経済の流れ、市場の行方を予見力や仮設力、洞察力等を駆使して経営判断をしています。脳の使い方が違うんですね。予見力、仮設力、洞察力等を磨ける人が会社では評価されることが多いようです。

社長から見た部下マネジメントの第一歩は「自分と社員が違う」ということを認識することから始める必要があります。
職人的な社員と不確かな未来を見て決断する経営者、両者は本来水と油なのです。ですから、そこを理解して指導するべきです。
起業家、社長の皆さん、部下指導の際は気をつけて下さい。

ー社員の意識レベル引き上げるとはどういうことですか?

①出来ない理由を考えるのではなく、出来る方法を探す。
②自分のことばかり考えず、全体のために考える。
③慌てず騒かず感情論ではなく、冷静に理性的に対処する。

が意識レベルを高めるポイントです。
当たり前のことにように思えて、意外にできないものです。
こうしたことを社員ができるようにしていく、導いていく、ということが重要です。

ー部下指導のコツは?

否定せず、全ての言葉をポジティブに変換して発言することが良い方法だと思います。
そして、どうしてもネガティブチェックをしなければならない時は、その日のうちに行うことが良いですね。

後日に行うのは効果が無いどころからマイナスなのです。
例えば数ヵ月後の評価面談でミスした話を持ち出すと、
「そんな過ぎたことを今さらほじくり返して」と思われるのは当然でしょう。

①ポジティブな言葉
②ネガティブチェックはその場で

をまずは実践してみましょう!

ーできる社員は初動が早いということですがなぜですか?

成果を出せる人は、予見力、予測力と言われる能力を発揮しているからでしょう。例えばサッカーでもシュートが上手い人はボールが来る位置や全体の流れを読むのが上手い。だから、シュートが決まるわけです。

起業すると、小さな会社では社長のウェイトが高いので、社長自身の個人の能力、予見力も重要ですが、社員がそうした能力に少しでも近づいてくれたらいいですよね。

そのためには、受け身の姿勢ではなく能動的に仕事へ取り組んでいることも重要です。
そうした状態にいかに導いていくのかが社長、幹部の務めという面もあるでしょう。

人間力はテクニックに勝る

ーご経歴をお伺いできますでしょうか?

東証一部上場企業の人事部長、子会社の代表取締役等を経て現在の株式会社ワングロースを設立しました。現在13期目です。

子供のころから早く働きたい、早く起業しようと思っていました。

柔道や剣道、格闘技で心身を鍛えました。格闘技でプロも経験しました。ビジネスの力を鍛えようと、あえて厳しいと評判の会社に就職しました。睡眠時間は平均3時間で仕事をしていました。トップセールスを経て営業マネジャーになり、人事部に異動して人事部長になりました。グロービス・マネジメント・スクールで経営の知識をつけようと勉強をしたりもしました。その後、上場企業にスカウトされて、その子会社を立ち上げました。

経営者になってみると人事のプロのサービスの不足を感じました。そこでノウハウを生かして、使命感を持って独立しました。

営業、人事の経験をしましたが、成果を出すためにはやはり人につきるわけですね。やはり、それを仕事にしよう!ということで起業しました。

ーご自身の起業で大変だった局面、嬉しかったこと、今後の夢を教えてください。

大変だったことは現在では糧に成ったと思っているので、特にないです(笑)
仕事の中で嬉しいことはお客様にご評価頂き、お役に立てていると実感できることです。

夢は世界平和です。弊社の研修プログラムには「自分のこと以上に相手、周囲のために尽力することで人は本来の能力を発揮できる」というものがあります。

単に座学ではなくて、人は体を動かす事で本当に理解できます。
例えば目隠しをしてチームで助けあって道を進んだり、険しい滝壺から協力して脱出するなど非日常性、ゲーム性を取り入れて、チームビルディングする研修です。助け合うからこそ、上手くいく、という研修なので、世界中の人が受講してくれると世界は平和に成るはずです。
これを世界に広めたいと思っています。

ー読者(起業家)へのメッセージを一言お願いします

テクニックよりも人間力、人柄を磨くことを大切にして頂きたいと思います。
そうすると人柄の良い人たちが応援してくれます。
良い人には良い人が集まりますし、その逆もあるわけです。

会社が発展して影響力を持ったならば、その輪を広げるだけで社会に役立つ経営者と成れるということだと思います。
綺麗事かもしれませんが、綺麗事で生きることができれば幸せですよね。

宮田 慶 プロフィール

「厳しい坂道も、楽しんで登っていきましょう!」

株式会社ワングロース 代表取締役社長
東証一部上場企業の人事部長、東証一部上場企業子会社の取締役営業本部長、東証一部上場企業子会社の代表取締役を歴任。
キャリアの中で積み上げた、人の状態を見抜き、人の能力を発揮するノウハウを生かし、研修事業と人事・採用コンサルティングを手掛けるワングロースを設立。大手企業からベンチャー企業まで多くの企業研修運営とコンサルティングで高い評価を受けている。
https://www.onegrow.jp/

(編集:創業手帳編集部)



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