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2022年4月18日株式会社ネクストポステクノロジーズ 津村晃輝|ポスティング広告のDX化事業が注目の企業
ポスティング広告のDX化事業を展開して注目なのが、津村晃輝さんが2021年9月に創業した株式会社ネクストポステクノロジーズです。
ポストに投函されるチラシ類ををポスティング広告といいます。食料品店や家電量販店、飲食店や不動産案内など、様々な内容のチラシ類を誰しも受け取ったことがあると思います。
SNS広告やインタラクティブ広告などデジタル上での広告に対し、ポスティング広告はアナログな存在で、近隣のお得な情報やクーポンが受け取れる地域密着性や、掲載情報を瞬時に把握しやすい一覧性、手元に長らくおいておける保存性の高さが特長です。
また、広告主にとっては広告費が押さえられ費用対効果が高いこと、地域限定で配布先のターゲットを絞りこむことが可能等、手軽な情報発信手段として利点が多いポスティング広告は、今なお根強い人気があります。
その一方で、アナログ媒体ゆえの不便さや課題も残されています。
例えば配布の状況把握が難しい、ということもその一つです。本来はポストに投函されるはずのチラシが、配布されずゴミ箱に大量に捨てられていたというケースもあります。
あるいは、チラシからの反響測定の難しさもそうでしょう。どの広告をどのタイミングで見て連絡してくれたのか?が明確にわかりづらく、果たしてチラシ配布が営業利益にどの程度貢献しているのかを判断しづらいのです。
さらに、チラシ配布を専門業者さんに依頼する場合は、一度に1万枚といった大量の発注が一般的で、地域をまたいだ依頼も難しいという課題もあります。
例えば、複数にまたがるエリアに居住している配布対象者宅100件にだけ配ってほしい、といった融通がききづらく、場合によっては多少無駄な配布も行わざるを得ないという実情があります。
こうした状況を受け、ポスティング広告の持つ利点を生かしつつ、今まで課題となっていた効果検証や配布状況の把握を実現し、広告主にとっても消費者にとっても今まで以上に利便性の高いポスティング広告へと改良していく取り組みに、今注目が集まっています。
株式会社ネクストポステクノロジーズの事業の特徴は、ポスティングのシェアリングエコノミー化とデジタルとの融合、という点です。
例えばアプリに配布したいポスティング広告の案件を登録するだけで、スキマ時間を利用したいシェア配布員や提携のポスティング会社に、最少100枚からポスティング広告の配布が頼めたり、今後はチラシ配布状況をデジタル管理し、効果測定を見える化していけるようにもなります。
株式会社ネクストポステクノロジーズの津村晃輝さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトを開発するに至った経緯について教えてください。
私が以前広告関係の事業をしていたときに、空きスペース広告の募集媒体としてチラシを配布していました。配布は自分たちでもやりましたし、ポスティング会社さんにもお願いしたのですが、その中ですっきりしない気持ちが残ったのです。
というのは、ポスティング広告には、配布の実態が見えない、チラシの反響が分かりづらいという課題があったからです。
そこで、この課題を解決するサービスを作ったらビジネスチャンスになるのではないかと、「ポスジー」というシェアリング型のポスティングシステムを開発しました。
配布しないままチラシが捨てられるという話は無きにしも非ずで、実際に配達員のGPS履歴を取って対策しているポスティング会社もありますが、依頼主はそのGPS履歴を見ることはできません。
私たちは配布の実態が分かるように、GPS履歴を依頼主にも見ていただけるようにし、後ほどご説明するポスティング広告の反響率の見える化にも取り組んでいます。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
「ポスティングのシェアリングネットワークの構築」と「ポスティング業界のDX化」を実現していることが特徴です。
私たちのサービスでは、チラシの配布は、依頼主がアプリに配布案件を登録し、事前にポスジーのアプリで登録済みのシェア配布員が自分の働けるエリア・時間帯の案件に応募して、チラシを配布する形で行います。
依頼主は、店舗の経営者、広告代理店、ポスティング会社などさまざまです。
また配布は、個人のシェア配布員だけでなく、ポスティング会社に依頼することもできます。というのも、ポスティング会社は地域密着型のため、対象エリア外の配布を依頼されたとき、他の地域のポスティング会社に依頼するケースが多いのです。
私たちのアプリに案件を登録いただければ、配布エリアに近い最適なポスティング会社が表示されますので、ポスティング会社同士の関係性をわざわざ構築する必要もありません。
ときに広告代理店では、複数エリアにチラシを配布する案件が発生しますが、私たちのアプリを使っていただければ、複数のポスティング会社に発注する必要がなくなり、省力化ができます。
このように私たちは、シェア配布員として空いた時間を有効活用してもらったり、ポスティング会社同士で柔軟な対応ができるようなシェアリングネットワークを構築し、アプリの開発でポスティング業界のDX化を進めています。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
障碍者支援団体と提携し、通常の形態では就業しづらい方に就業機会を提供します。シェア配布員という仕事を創出することで、そういった方々に就業の選択肢を増やすことができればと思っています。
また、ポスティング広告は地域密着型であることが大きな特徴です。その地域で商売されている方のポスティング広告の集客効果を高められれば、店舗の経営が長く続き、地域の過疎化を止める方向に近づけると考えています。
配布といえば、地域によっては新聞配達員の不足も言われています。何かソリューションを提供できる可能性があるかもしれません。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
やはり、スタートアップではどこも同じだと思いますが、人を集めることが大変でした。大がかりなシステム開発に取り組んでいるので、マネジメントも大変でしたね。現在はアウトソーシングもしながら、4人の開発チームで開発を進めています。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
ポスティング業界にしっかりと根を張りながら、“ポスティング業界の当たり前”を疑って、仕組みやシステムを提供する会社でありたいと思います。
事業展開にはまず人材確保が必要であり、障碍者支援団体と提携して、約1,000人のシェア配布員を全国に配置する予定です。現在は東京のみでサービスを開始しており、今後、首都圏、関東エリアから、全国展開へと広げていきます。地方はポスティング会社が少ないため需要があると考えており、シェア配布員を配置でき次第進出していきます。
ポスティング広告は、店舗ビジネスや印刷、広告など、いろいろなビジネスと関わってきます。そこに付随するサービスで、よりクライアントの課題を解決できるソリューションがあれば、スピード感を持って取り込んでいくような機動力のある会社になりたいと思います。
将来的なミッションとしては、「インターネット広告に近い形でのポスティング広告の運用」を掲げています。チラシの反響率を可視化するため、私たちのアプリを利用していただければ難しい設定なくGoogleアナリティクスを利用できるようにし、デジタルクーポンを発行して、アクセス状況や利益に結び付いたかをしっかり数字として見える化しようと開発を進めています。
多くのポスティング会社では、チラシの配布数が5,000枚以上でないと受け付けないという線引きがあります。私たちは例えば数種類の広告を各100枚程度配布し、反応が良かったものを改めて大きなロット数で印刷するなど、広告のテスト運用ができる形にもっていきたいと思います。運用は難しいかもしれませんが、実現できたら非常に魅力的な広告になると考えます。
・今の課題はなんですか?
やはり人員不足という課題があります。
どこにリソースを集中させるか、何をやらないかの判断が重要で、判断の一つ一つを大事にしています。
判断とその結果が会社の成長に結びつくので、楽しいと感じられる部分もあります。
・読者にメッセージをお願いします。
スタートアップで裁量権を持って、成長したいと思っているエンジニア・営業・マーケターを募集中ですので、私たちに興味をもっていただけたら、ぜひ応募していただきたいと思います。
店舗経営されている方やポスティング広告で効果が出ない方、効果が出ないまま同じポスティング会社に依頼している企業の方がいらっしゃったら、私たちがよりよいソリューションを提供いたしますので、ぜひお声がけいただければと思います。
会社名 | 株式会社ネクストポステクノロジーズ |
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代表者名 | 津村晃輝 |
創業年 | 2021年9月 |
社員数 | 4名 |
資本金 | 4,000,000円 |
事業内容 | ポスジーシェアリング型ポスティング配布員を抱えたポスティングDXソリューション 広告主やポスティング会社・印刷会社などのポスティングを依頼したい方とスキマ時間に働きたいシェアリング型ギグワーカーさんをマッチングさせるシステムを用意しております。 さらにテクノロジーを使い、反響率をあげる機能を用意します。 ・住民データを利用したエリアターゲティング機能で効果の高いエリア選定 フードデリバリーアプリのように事務所を持たずに展開が可能で、ポスティング広告の地位と効果の向上・ポスティング業界の当たり前の変革を目指しています。 |
サービス名 | ポスジー |
所在地 | 東京都江戸川区南葛西5-2-28 |
代表者プロフィール | 東京都出身の24歳起業家。 小学5年生の時に初めてお金を稼ぐ経験を得る。 その後、短期カナダ留学からの帰国をきっかけに広告動画の制作フリーランスとして活動。シリコンバレーに飛び込むために米国へフライトする1週間前にコロナウィルスで国境が封鎖される。 それをきっかけに初めて会社を設立。空きスペース広告事業を開始。ポスティングを依頼したときに感じた課題からポスティング業界に変革を起こすためにシェアリング型ポスティング「ポスジー」を開始する。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | DX シェアリングエコノミー ネクストポステクノロジーズ ポスティング広告 店舗ビジネス 津村晃輝 隙間バイト |
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