創業手帳が選ぶ起業経営ニュース
2023年12月8日株式会社ライトライト 齋藤 隆太|事業承継マッチングプラットフォームで注目の企業
事業や会社を譲り渡したい中小事業者と事業を譲り受けたい承継希望者をweb上でマッチングさせる、事業承継マッチングプラットフォーム「relay」で注目なのが、齋藤 隆太さんが2020年1月に創業した株式会社ライトライトです。
国内企業の99.7%は中小企業が占めています。さらにその半数以上が60歳以上の経営者によって経営されています。
経営者の高齢化が進むにつれ年齢を理由とした経営者の引退が増加します。この引退に伴い、これまで培ってきた知見・経営資源・雇用が失われることがないよう、次世代の経営者に事業を引き継ぐことが必要とされていますが、子がすでに自身の本業を確立しているなどの理由により親族内承継が減少しています
そこで近年注目されているのが親族以外への承継である第三者承継です。第三者承継では、M&Aによって第三者に株式を売却し、会社・事業を引き継いでもらうという方法が一般的となってきています。
政府も後継者難の中小企業向けにM&A促進税制などを検討しており、今後ますます第三者承継は注目されると考えられます。
株式会社ライトライトの齋藤 隆太さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・この事業の特徴は何ですか?
事業承継マッチングプラットフォーム「relay」は事業や会社を譲り渡したい中小事業者と事業を譲り受けたい承継希望者をweb上でマッチングさせるサービスです。
事業承継というのは「秘密保持に始まり秘密に終わる」と言われるほど、売り手情報を非公開にしたクローズな方式で行われることが一般的でした。しかしその方式だとどうしても資産や売り上げという視点から判断され、地域で事業を営む小規模事業者様にとってはハードルが高く、不利に働いてしまうような状況がありました。
「relay」が従来の事業承継の方式と違うのは、「オープンな事業承継」という点です。
「relay」では事業の強みに加え、想いやストーリー、オーナー様の横顔も含め、事業者の魅力を十分に伝える記事を作成しオープンに後継者を募集します。記事の内容に共感いただいた方に応募いただくという、共感をベースにした新しい事業承継の形を打ち出しています。
・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?
事業承継に興味があるだけではなく、起業やUIJターンを考えている方、地域が好きな方に使っていただき「起業でも転職でもない第三のキャリアパス」として事業承継という選択肢を広めていきたいです。
・この事業の解決する社会課題はなんですか?
今、日本では年間50,000人が廃業する「大廃業時代」を迎えたと言われています。廃業件数が増加する中、6割が黒字にも関わらず廃業しており、廃業理由の3割は「後継者難による廃業」となっています。
地域を支えてきた小規模事業者の廃業は、超高齢社会を迎える地域社会において地域経済の衰退に直結する非常に大きな社会課題です。
「relay」はオープンな事業承継によって後継者不在問題を解決し、地域の持続性や魅力向上に貢献します。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業期、売り手さまの情報を公開するサービスを始めると公表したとき、「そんなサービスはニーズがない」「あなたに事業承継をお願いしたくない」ということを言われました。それを家族や友人・知人にそのことを伝えるととても心配をしてくれたことを覚えています。
しかし、私にとってそのような言葉は逆に奮起させる材料になりました。多くの人に理解できないからこそチャレンジする競合も少ない状況があると考え、指摘を頂く点を一つづつ改善してサービスをつくりあげていきました。
・今の課題はなんですか?
限られた人材で多くの業務を担っているため、メンバー各人の成長や業務フローの効率化が求められていると感じています。
・今後、どのような会社、サービスにしていきたいですか?
会社としては「地域に、光をあてる。」のMISSIONのもと、引き続き日本の地域を少し前に進められるようなサービス開発をしていきたいです。またフルリモート組織ですので、メンバーが住みたい地域に住み続けられるような業務環境をつくっていきたいと思っています。
サービスとしては、主に自治体/商工会さま向けの導入が加速度的に進んでいることもあり、地域での事業承継のマッチングプラットフォームとして第一想起してもらえるようなサービスにしたいと考えています。そのためにも既存のサービスの導入拡充だけでなく、現場の声をよく聞き、さらに事業承継が地域で進んでいくような新機能の開発もしていきたいと考えています。
・読者にメッセージをお願いします。
日本は今「大廃業時代」に差し掛かっています。ゼロからの起業だけでなく「1を10にするような事業承継からの起業」も強く求められています。
読者の起業家のみなさまには、ぜひ小規模事業者の事業承継を事業拡大の選択肢に入れていただけたら嬉しいです!
会社名 | 株式会社ライトライト |
---|---|
代表者名 | 齋藤 隆太(さいとう りゅうた) |
創業年 | 2020年1月 |
社員数 | 12名 |
所在地 | 宮崎県 |
サービス名 | 事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」 |
代表者プロフィール | 2007年、大学卒業後USEN入社。 2008年株式会社サーチフィールド創業時に取締役として参画。イラストのクラウドソーシング事業の立ち上げに従事。 2012年「地域×クラウドファンディング FAAVO(ファーボ)」立ち上げ。責任者として全国100以上の地域で自治体、金融機関、大学、企業やNPOと協業しながら、クラウドファンディングネットワークを構築。 2016年宮崎県にUターン、サテライトオフィス立ち上げののち、2018年株式会社CAMPFIREに事業譲渡し移籍。 2019年同社執行役員を経て退職、2020年株式会社ライトライト設立、代表取締役に就任。同年、事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」立ち上げ。 法政大学人間環境学部卒。 |
カテゴリ | 有望企業 |
---|---|
関連タグ | ライトライト 事業承継 後継者不足 後継者問題 第三者承継 第二創業 齋藤隆太 |
有望企業の創業手帳ニュース
関連するタグのニュース
2023年9月15日、「事業承継・引継ぎ補助金」の7次公募が開始されました。 「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業再編、事業統合を含む事業承継を契機として経営革新等を行う中小企業・小規模事業者に対して、…
2025年1月9日、中小企業庁は、中小企業の事業承継・引継ぎ支援に向けた中小企業庁と日本弁護士連合会の連携の拡充について発表しました。 中小企業庁と日本弁護士連合会は、中小・小規模事業者を当事者とする…
M&A(企業の合併と買収)は、多様な経営戦略の一環として活用される手法です。 日本では、バブル崩壊後に海外企業による日本企業の買収が相次ぎ、当初は「身売り」といった否定的なイメージを伴うこともありまし…
「東京都事業承継・引継ぎ支援センター」の2023年度上半期(4月~9月)の成約件数が開設以来過去最高を記録しました。 「東京都事業承継・引継ぎ支援センター」は、第三者への事業承継を支援する機関として東…
公益財団法人東京都中小企業振興公社が「事業承継 後継者交流会2023」の開催を発表しました。 「私の事業承継」というテーマのもと、8年前に事業承継したアシダ音響株式会社 代表取締役社長 柳川久 氏と、…
大久保の視点
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…