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2022年5月26日一般社団法人日本室内空気保健協会 加藤美奈子|空気調査や研究および空気検査対策などをアドバイスできる資格制度の事業展開が注目の起業家
空気調査や研究および空気検査対策などをアドバイスできる資格制度の事業展開で注目されているのが、加藤美奈子さんが2021年1月に創業した一般社団法人日本室内空気保健協会です。
人が生きる上で欠かすことが出来ないのが空気です。人は空気中の酸素を吸い込み、体内の二酸化炭素を吐き出すことを繰り返すことによって、体の新陳代謝を促し、生命維持機能を正常に保つことが出来ます。大人が一日に呼吸する回数は平均で約2〜3万回と言われ、実に1日約15~20Kgもの空気を体内に取り入れて生きているのだそうです。
これほど生きていく上で大事な空気ですが、あまりにも当たり前のように、ごく自然と周りに存在するものであるがゆえに、普段の生活の中でわざわざ空気を意識する機会はほとんどないという方が多いのではないかと思います。
そもそも空気環境が私たちに与える影響は非常に大きいものがあります。
例えば工場地帯や幹線道路脇の歩道などを歩いていると、排ガスを吸い込むことで鬱々とした気分になったり、咳込んだり体調を崩したりしたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。
逆に、ハイキングやキャンプに出掛け、森林浴でマイナスイオンたっぷりの空気を深く吸い込むことで、気持ちがリラックスしたり体調が整ったという方もいらっしゃるでしょう。
あるいは、時間帯や天候によって微妙に変化する空気の質感から、季節の到来を感じたり、快適さ・不愉快さを感じたりするという方もいらっしゃると思います。
近年増加傾向にあるアレルギー疾患の原因として挙げられるものの中にも、ハウスダストやペットの毛髪やフケ、シックハウスといった「空気環境」があります。
このように、普段何気なく呼吸によって体内に取り入れている空気から、私たちは心身への影響を多大に受けているわけです。
SDGs達成が叫ばれるようになり、殊更、昨今のコロナウイルスの影響も相まって、この空気の存在について改めて見直し、良質な空気環境に整えていこうという動きがにわかに高まりつつあります。
もっとも、空気は個人が所有するものではなく、全世界共有のものであり、世界中を一つにつないでいる存在です。
それゆえ、誰か一人だけ、どこかの地域や国だけが意識して空気環境を改善しても、他の人やエリアでの汚染が発生すれば全体の汚染へと拡がってしまいます。
今こそ一人一人が大切な空気環境について意識を高め、自らと周りの安全や健康・環境保全と向き合い、出来ることを実践していくことが大事なタイミングに来ているのではないでしょうか。
こうした状況下において、個人レベルで空気環境への理解を促進し、社会全体の環境保全へと繋げていくある起業家の取り組みに、注目が集まっています。
一般社団法人日本室内空気保健協会の加藤美奈子さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
室内空気環境を良好に保つために、空気環境問題を理解し、空気検査対策などアドバイスできる資格制度です。これは、一般の人が理解できる内容にしています。
アドバイザーの役割は、相談者の直接的な対応ではなく、自分自身が携わる仕事場、家庭、施設などの室内環境を整え、空気環境を良くするものです。仮に相談者が現れた場合は、空気調査ができる専門業者に依頼します。つまり、自分たちで解決できるものなのか、専門業者に任せたほうがいいものなのか見極めることが実はとても大切なのです。
「活躍の場」
●空気環境に興味のある方
一般の方が、家庭、学校、職場などで暮らしに役立てます。
●建築業の方
展示場、見学会などで安心安全な場を顧客に提供でき、信頼が上がります。
●施設管理の方
公共施設、会議室、イベント、災害時の避難所などで役立てます。
「資格取得方法」
①ホームページに申込みします。
②振込(22,000円税込)完了後テキストとDVDと書類が送られます。
③レポートを作成し、試験事務局に返送します。
④内容が一定基準に満たした方は登録証が届きます。
・どのような方にこのサービスを使って欲しいですか?
あらゆる方に、空気環境についての意識を高めて頂くことに繋がればと考えておりますが、特に下記に該当する方には注目していただきたいと思います。
①一般の方で、実際に家庭や仕事場などで知識を活かして実践したい方
②公共施設管理者
③展示会、イベント会場運営者
④避難所運営者
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
この資格は、家庭、職場、公共施設、避難所運営など、幅広い分野で役立ちます。
例えば新型コロナウイルス感染拡大で、マスク、除菌、換気、ソーシャルディスタンスなどについて国から指導をうけている状況ですが、換気の部分は、曖昧な情報が多いように感じます。
例えば、昨年11月二酸化炭素濃度測定が経済産業省から推奨されました。それ以降、主に店舗などで簡易で安価なデジタル空気測定器をみかけるようにはなりましたが、誤作動が多く、正しく測定できないことを知っている人があまりいらっしゃらないのでは?と私たちは考えています。
また、皆さんもよくご使用されているであろう除菌剤は、揮発する化学物質です。手荒れの傷口や、目の粘膜、呼吸などで体内に入ることがあります。今後、除菌剤を継続的に長期化して使用した場合、あとあと健康被害になる人も一部いるかもしれません。
私達が理解しなければならないことは、空気の汚れには、コロナウイルスだけでなく、ダニ、カビ、揮発する化学物質など様々な要素があるということです。空気の汚れについて総合的に学ぶことにこそ意味があります。
このサービスは、室内環境改善を習得するだけでなく、自分自身の健康、家族や周囲の方々の健康を守ることにも繋がります。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
個人事業主で環境アレルギー事業をしていましたが、新たに非営利型の法人を立ち上げるどうかの覚悟を決めることに数か月かかってしまった際の、心の持ちようが大変でした。
理由は、いつも最長2-3日で決断する性格なので、覚悟が決まらないことが大変歯がゆかったのです。
また、環境アレルギー業界の仲間で、非営利型法人を設立している団体がいなかったので、自分でいろいろ調べなければならなかったり、書類作成、税金のことを理解するために、司法書士、NPO評価の専門家など指導を受けていたのですが、ここでも自分が理解するのに数か月かかってしまったのも歯がゆく精神的に大変でした。
当協会は、『第二回室内環境改善コンテスト~IAQ改善に注目して~』の創設団体で運営をしているのですが、協会設立と同時期にコンテスト運営も行いました。
日本初だったので1から10まで決めなければならないことばかりで、思考錯誤を繰り返し、専門家に学びながら進めているため、ここでも準備に数か月かかり、自分の理解不足を感じることを受け止めることが大変でした。
乗り越えた方法は、自分の欠点をよく理解しているので、わからないことだらけだけど、とにかく専門家からご指導ご鞭撻をいただいたことです。
優秀な同じ人に聞くのでなく、自分にはあらゆるネットワークがあるので、自分で困っている分野を細かくして、それぞれのところを、それぞれの専門家に分けてご協力、ご支援をいただけたことで乗り越えてきました。それによって、創業期は、半年間で全てなんとか形になりました。
・今後、どのような会社、サービスにしていきたいですか?
非営利型法人を活かし、空気質が好きな人、団体、企業、自治体を世界中に発信し、エコシステムを形成し、啓発し続けたいです。
事業の1つである『空気環境アドバイザー資格制度』は、今は日本人向けのみなので、今後はアジア圏にも展開したい野望はあります。
また、空気環境アドバイザーを育成するインストラクターを、協会がマンツーマンで丁寧に育てたいので、現在カリキュラムなど準備中です。
将来は、空気質について子ども達が学べるカリキュラムをつくりたいという青写真はあります。
老若男女が、空気質改善に興味関心が高まり、本当の室内空気がきれいとは何かを学べる教育環境づくりをしていければと思います。
・今の課題はなんですか?
①認知不足
・協会のキャリアが浅く、認知がされていないことです。
・昨年設立したばかりなので社会的な信用度が低いと肌で感じます。
②運営のための資金不足
・現在の財政以上に、第二回の室内環境改善コンテストは、豪華に運営する予定で、不足分は代表理事の借り入れになっていることです。やりたいことと、財政のバランスが不バランスです。
・読者へのメッセージをお願いします。
空気の汚れは、ウイルスだけではありません。空気中には、カビ、ダニ、細菌、揮発する化学物質などがあります。
現在、換気方法をなんとなく自分でされているかたもいらっしゃると思います。コロナ感染拡大前でしたらそれでもよかったかもしれませんが、コロナ禍中はそうではいけませんと私たちは感じています。
ぜひ正しい知識を入れて、安心安全な空気環境づくりを積極的に行い、自分自身と家族の健康を守りませんか?
会社名 | 一般社団法人日本室内空気保健協会 |
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代表者名 | 加藤美奈子 |
創業年 | 2021年1月29日 |
従業員数 | 3名 |
事業内容 | 空気調査や研究、空気質改善コンテスト運営、資格、化学物質過敏症患者会支援、教育 |
サービス名 | 空気環境アドバイザー資格制度(一般向け) |
所在地 | 〒486-0812 愛知県春日井市大泉寺町121-2 |
代表者プロフィール | 1997年三重大学医療技術短期大学部卒業し、看護師を総合病院で4年間務めた。その後転職し整体師を約20年間続け自宅サロン運営している。 二人の娘が幼少の頃、重度な喘息となったことがきっかけでアレルギーの学びを学会や研修会など足しげに通った。 2011年病気育児の母を支援する団体を設立し、今も春日井市認定の子育て支援団体は継続中である。 その後、社会に向けて啓発したいと思い環境アレルギーアドバイザー(設立団体:(一社)日本環境保健機構)の資格を取得後、様々な専門団体または機関に関わるようになる。例えば中部大学CAAC非常勤講師(2018年~現在)、春日井環境審議委員会(2019年から2年間)を務めた。また、企業の方にも、環境アレルギー予防について啓発を進めたい理由で、代表理事は経営者(春日井環境アレルギー対策センターを2018年設立)という立場をつくり2019年かすがいビジネスフォーラム大賞受賞した。 そして、コロナウイルス感染拡大がきっかけで、目に見えない汚れた空気による健康被害の社会問題に対し、社会に貢献したいと考え、2020年愛知県よろず支援拠点の春日井市役所で数回相談し、2021年空気質を改善するコンテスト(第一回IAQ(室内空気質)改善コンテスト)を設立した。また、セクターを超え多くの方を巻き込む必要があるため当協会の法人設立に踏み切った。設立する際は、司法書士、非営利組織評価センターの元スタッフ、JWLI Ecosystemなど様々な専門家に相談した。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | アレルギー コロナ対策 シックハウス対策 加藤美奈子 日本室内空気保健協会 空気 |
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