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2022年5月9日株式会社バンブーケミカル研究所 鶴羽正幸|コロナウイルス対策 深紫外LEDハンドドライヤーの事業開発が注目の企業
コロナウイルス対策に最適な深紫外LEDを応用したハンドドライヤーの事業展開で注目されているのが、鶴羽正幸さんが2010年10月に創業した株式会社バンブーケミカル研究所です。
コロナが蔓延しだして以来、公共施設などに設置されているハンドドライヤーの使用可否についていろいろと議論がなされてきました。
手をしっかりと洗った上でハンドドライヤーを使用する分には、ウイルス感染への影響は極めて少ないという根拠が各メーカーから発表され、昨年2021年の4月頃に経団連が一転して使用再開の通達を出したり、また、利用者側からもその利便性ゆえに、ハンドドライヤーの使用再開を呼びかける声が大きくなっているにもかかわらず、それから1年以上が経過した今もなお、まだ身近にあるハンドドライヤーは『使用を停止します』との表示があり、使用再開の目途がたっていません。
特に、病院や衛生管理が徹底されるべき食品・製薬・精密機器工場などの施設においてはなおのことです。
大丈夫とは思うものの、使用を再開し、万が一クラスター発生の引き金になってしまってはいけない、という心理的不安が大きいためと考えられます。
紙使用の削減、ごみの削減、清掃労力の削減など環境へのメリットも多いハンドドライヤーを、今回のウイルス騒動を機により安心して清潔に使えるものに進化させ、一般普及を目指す取り組みに注目が集まっています。
株式会社バンブーケミカル研究所のハンドドライヤーの特徴は、「深紫外LED」を搭載したウイルス殺菌力の高い密閉空間の中で、常にクリーンな空気を手に噴射することが出来るため、従来型と比べより清潔に使用できる、という点です。
株式会社バンブーケミカル研究所の鶴羽正幸さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトを開発しようと思ったきっかけや経緯について教えてください。
当社の創業時の定款の3本柱の事業目的の中の一つに、地元の日亜化学工業(株)のLEDの応用商品を開発することを掲げていましたが、ずっと手つかずの状態でした。
2020年の6月頃に日経新聞に、日機装(株)と宮崎大学が深紫外LEDを照射して、世界初新型コロナウイルスを99.99%死滅させたという記事に目を止めました。
その日に、何気なく普段は何も検索等をしない徳島県のホームページを見ていたら、新型コロナ対策の開発商品の補助事業で募集開始とあり、最初は空気清浄器を考えまし
たが、他社も手掛けると思い、何気なくハンドドライヤーにしようと決めて、応募しました。
応募してしばらくして、世の中のハンドドライヤーはコロナ禍の影響で、周囲に菌が飛び散る可能性があるため、使用停止になっていることを初めて知りました。
厳しい審査会で(この審査では、大学教授が多く審査員としておられ、質問攻めにあいました。)の説明会を通過して、無事採択されました。
9月3日の採択通知を受取り後、設計、製作、機能テスト、報告書作成と提出が翌年2月末で、短期間の開発でした。また、この間に2件のハンドドライヤー関連の特許を出願しました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
主に以下の3点です。
①シャッター付きの手挿入空間内で、事前に空気タンク内に設けた深紫外LEDで殺菌されたクリーンな空気を手に吹き付けるため、清潔である。
②密閉状態の空間で清浄空気を手に当てるため、機器の周囲に水や菌が飛び散らない
③機器の内部に形成された循環経路で深紫外LEDによってウイルスを殺菌、不活性化するため安心、安全である。
・どのような方にこのサービスを使って欲しいですか?
病院等の医療機関、各種の介護施設など、食品工場、半導体等の精密機器工場などに設置を推進して頂きたいと思います。
もちろん一般のホテル、コンビニ、公園内トイレでも設置可能ですので、幅広くあらゆる場所でご利用いただければ嬉しいです。
・このサービスが解決する社会課題はなんですか?
コロナ禍の収束が見通せない中で、また、収束後も、コロナ以前に比べて特に手の衛生管理の意識が高まっており、従来の勢いよく開放状態で手に洗浄されていない空気を吹き付ける従来のハンドドライヤー方法は、もし使用しても不安で問題視されると思います。
この不安な気持ちを解決して、安心してトイレなどの後の手洗い時の手の乾燥ができることで、社会の課題解決に寄与できると考えています。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業時は代表取締役である私の年齢が63歳と高齢で、社会常識的には、定年後の創業はまれであり、しかも難しい研究開発型の会社であるため、困難を極めました。
まだ、困難を乗り越える途中段階にあります。
これまでの困難に対応してこれたのは、前職のパナソニック時代に海外での仕事(26ヵ国)を含む企業技術者として数々の修羅場をくぐって来た経験と、シンガポールで5年間工場長として工場経営の経験から得た自信でした。
・今後どういう会社、サービスにしていきたいですか?
社会課題を解決するため、ゼロカーボン対応の事業、及びヘルスケアー関連の事業を伸ばしていきたいと考えています。
・今の課題はなんですか?
例えば、ウイルス不活化の実証機器が身近に無く、実証ができていないので、ウイルス不活化機能付きハンドドライヤーのアピール力が弱い点です。
今でも、日本国内で空気中飛沫のウイルス不活化実証ができるのは、いくつかの大学と研究機関のみです。
この解決策としは、私自身が、地方自治体にも、大学機関にも直接出向いて、県内での早期の実証機器の構築をお願いしていますが、急には期待できない状態です。
・読者へのメッセージをお願いします。
この63歳での起業で、しかも研究開発型の当社ですが、自分の特長を明確に強みとして進めていけば、必ず道は拓けます。
例えば、個人として前職から現在までの自身の発明による特許出願件数は132件で、常に新技術への地道なあくなき挑戦を心掛けています。
会社名 | 株式会社バンブーケミカル研究所 |
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代表者名 | 鶴羽正幸 |
創業年 | 2010年10月1日 |
資本金 | 600万円 |
事業内容 | ①竹の利活用関係、②小水力発電関係、③LED応用商品 |
所在地 | 徳島県阿南市見能林町青木265番地1 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | LED ウイルス ハンドドライヤー バンブーケミカル研究所 深紫外LED 特許 菌 鶴羽正幸 |
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