注目のスタートアップ

小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指す「つばめBHB」が53億円調達

company

2024年2月21日、つばめBHB株式会社は、総額約53億円の資金調達を実施したことを発表しました。

つばめBHBは、小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指しています。

世界初となるエレクトライド触媒を活用した、低温・低圧でアンモニア合成が可能な小型分散型アンモニア製造プラントでのオンサイトアンモニア生産の実現を目指しています。

今回のラウンドでは、海外投資家として、ドイツを本拠地とするHeraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbHc(ヘレウス社)が参画しています。ヘレウス社は、多角的かつグローバルに展開するテクノロジー企業です。

ヘレウス社の協力を得て、ヨーロッパを中心としたアンモニアの事業開発や、サプライチェーン強化を推進していきます。


アンモニアは、常温では無色の透明な気体で、強い刺激臭を持っています。加圧あるいは冷却によって簡単に液体になります。

アンモニアは多様な化学製品の基礎的な原料としてよく利用されています。

もっとも一般的なのが農業用肥料です。実に世界で生産されるアンモニアの8割が肥料として使われています。

ほかにも、樹脂・食品添加物・塗料・接着剤・合成ゴム・洗剤など、さまざまな用途で利用されており、現代社会にとってなくてはならない化合物のひとつです。

そして、近年はアンモニアの新たな用途として、エネルギー分野での活用が注目されています。

アンモニアは水素分子を含む化合物であり、次世代エネルギーとして注目される水素のキャリア(輸送媒体)として活用可能です。

水素は通常時は気体であるため、輸送するためには冷やしたり高圧で圧縮したりして液体にする必要があります。しかし冷却の場合は-253度といった超低温が必要となります。一方で高圧の場合においても、高圧水素が金属を劣化させるという性質を持っているため、特殊ステンレス鋼やアルミニウム合金などの材料を利用したタンクが必要であるため、低コスト化が課題となっています。

このように水素の輸送には複数の課題があるのですが、アンモニアはすでに生産・輸送・貯蔵の技術が確立されているため、一度アンモニアに変換して輸送し、利用する場所で水素に戻すという方法が考えられています。

さらに、そもそもアンモニア自体を燃料として利用することについても研究が進められています。

アンモニアは燃やしてもCO2を排出しないため、アンモニアを火力発電用燃料として利用するための研究開発が進められています。

一方でアンモニアを燃やすとNOx(窒素酸化物)という人体に悪影響を及ぼすガスが排出されるため、これをどう抑えるかといった点が課題となっています。

さらに、アンモニアは製造過程で多くのエネルギーを使用してしまうことも課題となっています。次世代エネルギーへの転換は環境負荷低減を目的としているため、アンモニア活用のためには、こういった点をクリアする必要があります。

つばめBHBが手がけるプラントは、小型であるため地産地消を可能にします。アンモニアプラントは大型であり、かつコストがかかるものであるため、製造プラントを保有していない国も多くあります。こうした国でもアンモニア製造を可能とします。

また、輸送・保管のプロセスが低減されるため、それに伴う二酸化炭素排出量を削減することが可能です。

研究開発型のビジネスでは資金調達が非常に重要です。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ BtoB アンモニア つばめBHB ブランド 分散 化学 合成 地産地消 小型 株式会社 製造 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

「ZENKIGEN」がマネージャーとメンバーの関係性を定量化する1on1改善サポートAI「revii」をリリース
2021年11月17日、株式会社ZENKIGENは、「revii(リービー)」の提供を開始することを発表しました。 「revii」は、動画解析AIにより、マネージャーとメンバーの関係性を定量化し1on…
上空シェアリングサービス「sora:share」などを手がける「トルビズオン」がデッドファイナンスによる資金調達を実施
2023年6月23日、株式会社トルビズオンは、日本政策金融公庫 福岡西支店 国民生活事業から融資による資金支援を受けたことを発表しました。 トルビズオンは、上空のシェアリングサービス「sora:sha…
譲渡型賃貸住宅「家賃が実る家」提供の「Minoru」が3,910万円調達
2020年5月18日、株式会社Minoruは、総額3,910万円の資金調達を実施したことを発表しました。 株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」において実施した資金調達…
スマートホームセキュリティ製品などを展開する「Secual」が「アジリティー・アセット・アドバイザーズ」と資本業務提携
2023年9月11日、株式会社Secualは、アジリティー・アセット・アドバイザーズ株式会社と資本業務提携を行ったことを発表しました。 Secualは、個人向けホームセキュリティサービス「Secual…
再生可能エネルギーなどエネルギー・サービス事業の「Looop」が28.3億円調達
2020年6月30日、株式会社Looopは、総額28億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、ENEOS株式会社、NECキャピタルソリューション株式会社、双日株式会社、日本グ…

大久保の視点

世界最大級のビジネスコンテスト・スタートアップワールドカップ東京大会優勝はDigital Entertainment Asset山田耕三さん
世界最大級のビジネスコンテスト「スタートアップワールドカップ」の東京予選である「TOKYO REGIONAL 2024」が、2024年7月19日(金)に開催…
(2024/7/19)
IVSの進化・IVS京都2024現地レポート&島川敏明代表インタビュー
今年のIVSは何が違うのか スタートアップの代表的なイベントである「IVS(アイブイエス)」が、7月4日から6日まで京都市で開催されました。IVSの中で実施…
(2024/7/6)
「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」優勝は物流自動化のRENATUS ROBOTICS安藤 奨馬さん:賞金1000万円獲得!
日本最大級のピッチコンテスト「IVS2024 LAUNCHPAD KYOTO」が2024年7月5日(金)に開催されました。 優勝(スタートアップ京都国際賞)…
(2024/7/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集
今すぐ
申し込む
【無料】