注目のスタートアップ

ロボットハンドのピッキング性能を向上させる近接覚センサーを手がける「Thinker」が2.3億円調達

company

2023年9月29日、株式会社Thinkerは、総額2億3,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

Thinkerは、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻の小山佳祐助教が開発した「近接覚センサー」の社会実装を目指す大阪大学発のベンチャー企業です。

自らが対象を感じ取り、思考し、判断するロボットハンドを実現する近接覚センサーの研究・開発を行っています。

初の製品となる「近接覚センサーTK-01」は2023年7月31日から販売を開始しており、今後は、近接覚センサーのさらなる用途開発に取り組むほか、近接覚センサーと柔軟機構とを組み合わせることでばら積み部品などを「まさぐりながら、つかみにいく」ことができる新たなロボットハンド開発にも注力します。


ロボットハンドは、ロボットアームの先端に取りつけられた、手のような役割を果たす機構です。主に対象物のピックアップ(持つ、移動させる、置く)で用いられており、工場の自動化において重要な役割を果たしています。

近年、さらなる省人化・自動化が求められ、ロボットハンドの高性能化に向けた研究開発が進められています。

ロボットハンドが対象物を掴むには、高度な技術を必要とします。私たち人間は固いものから柔らかいものなど多様な対象物を正しく判別し掴むことができますが、ロボットは柔らかいものや、壊れやすいもの、不定形のものを掴むことが苦手です。

これは、ロボットハンドが対象物を破損することなく正しく掴むためには、対象物の形・サイズ・摩擦係数・強度などを正しく理解する必要があるためであり、対象物を認識するための技術がまだ不完全であることが理由です。

ロボットハンドが対象物を認識するために使われているセンサーには、関節部にかかるトルクを検出し掴んでいる状態を推定するトルクセンサーや、モーターのトルクを推定するモーター入力電流センサー、ロボットハンドの手首部に取り付ける力覚センサー、指先の触覚センサー、カメラによる認知などがあります。

モノを掴んでから認識するタイプのセンサーは、モノの許容量よりも大きな力で掴んでしまう可能性があることから、強度のある対象物にしか適用できない、あるいは極めてゆっくり掴む必要があるという課題を抱えています。

一方で、カメラは非接触でモノを認識できますが、透明・鏡面の対象物は上手く認識できないという課題を抱えています。

Thinkerの近接覚センサーは、カメラを用いることなく、赤外線とAIを組み合わせた独自の高速・高分解能なセンシングにより対象物の位置と形を非接触かつ高速に把握することが可能です。これにより、鏡面・透明物質の取り扱いや、現場環境に応じた臨機応変なピックアップを可能としています。

企業・事業の成長には戦略的な資金調達やシナジーのある企業などとの提携が重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ BtoB Thinker センサー ピッキング ロボット ロボットハンド 大阪大学 工学 株式会社 認知 資金調達 近接覚 近接覚センサー
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

健康管理アプリ「カロミル」を提供する「ライフログテクノロジー」と「バリューHR」が資本業務提携
2023年6月28日、ライフログテクノロジー株式会社は、株式会社バリューHRと、資本業務提携を行ったことを発表しました。 ライフログテクノロジーは、人びとの健康への行動変容を促す健康管理アプリ「カロミ…
SaaS開発/運営を容易にするプラットフォームを開発する「アンチパターン」が9,200万円調達
2022年4月6日、株式会社アンチパターンは、総額9,200万円の資金調達を実施したことを発表しました。 アンチパターンは、SaaS開発/運営を容易にする、SaaS開発支援SaaSを開発しています。 …
家庭用プラズマ美顔器「Un」の「傳心堂」が6,300万円調達
2021年9月1日、株式会社傳心堂は、総額6,3000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 先端技術を活用した美容機器の開発を行うビューティーテックベンチャーです。 プラズマ美顔器「Un(アン…
大手企業向け対話型AI面接「AI面接官」を開発・提供する「VARIETAS」が6億円調達
2025年3月11日、株式会社VARIETASは、総額6億円の資金調達を実施したことを発表しました。 VARIETASは、大手企業向け対話型AI面接「AI面接官」を開発・提供しています。 ES(エント…
AI・宇宙ベンチャーの「LocationMind」が18億円調達 不動産専門データ会社「東京カンテイ」と資本業務提携
2024年1月17日、LocationMind株式会社は、総額18億円(エクイティ約8億円、デット10億円)の資金調達を実施したことを発表しました。 LocationMindは、世界最大の位置情報銀行…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集