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かくれフードロス削減に取り組む「ASTRA FOOD PLAN」が資金調達

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2023年9月6日、ASTRA FOOD PLAN株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。

ASTRA FOOD PLANは、循環型フードサイクルの構築を目指し、かくれフードロス削減に取り組んでいます。

独自開発した「過熱蒸煎機」により、食品残渣などをアップサイクルした高付加価値パウダー「ぐるりこ」を提供しています。

今回の資金は、「過熱蒸煎機」の販売、レンタル拡大、ビジネスモデルの確立、多種多様な「ぐるりこ」の商品開発、ブランディング、人材採用、組織づくりの強化に充当する予定です。


食べられるのにかかわらず何らかの理由で捨てられてしまう食品のことをフードロス(食品ロス)と呼びます。

フードロスは、事業者にとっては損失となるほか、廃棄による環境負荷が問題となっています

環境省の発表によると、2021年度のフードロスの量は約523万トン(前年度522万トン)と推計されています。うち事業系のフードロスは279万トン(前年275万トン)となっています。

世界的に環境に優しい取り組みが推進されている中、フードロスは2015年あたりから減少傾向にあり、企業・消費者ともにフードロスの削減に取り組んでいることがわかります。

一方、これらのフードロスは、野菜の芯・皮・へたなどの食品残渣や、産地で発生した規格外の農作物・余剰農作物などの未利用農作物は含まれていません。

農林水産省の「食品廃棄物等の利用状況等(令和元年度推計)」によると、食品由来の廃棄物等は2,510万トンで、そのうち可食部分と考えられる量、いわゆるフードロスが570万トンとされています。

つまり、約2,000万トンがフードロスとして計上されていないことになるのですが、このうち約1,200万トンは、飼料や肥料化されて有効活用されており、また食品リサイクル法における原料や熱回収なども行われ、実際に焼却・埋立等によって廃棄されているのは305万トンとなっています。

とはいえ、この廃棄されている量は事業系食品ロスよりも多く発生していることになります。

また、飼料や肥料として有効活用されているとはいっても、これらは農家などにとってあまり付加価値の高いものではなく、むしろコストをかけているといった場合もあります。また、かなりの量が発生するため、需要と供給が釣り合わないということもあります。

ASTRA FOOD PLANは、こうした年間約2,000万トン発生している「かくれフードロス」の削減とアップサイクルに取り組んでいます。

「過熱蒸煎機」は、5秒~10秒で乾燥・殺菌が可能であり、食品残渣をアップサイクルし、風味・栄養価の減少を抑えた高付加価値パウダー「ぐるりこ」を提供しています。

ASTRA FOOD PLAN株式会社のコメント

このニュースを受けまして、ASTRA FOOD PLAN株式会社よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

・未利用農作物をアップサイクルし、生産者課題を解決するスキームづくり
規格外農作物や余剰農作物など、今まで着手できていなかった生産者の課題解決に取り組みます。

・循環型フードサイクルを構築する実証実験を各地域で展開
「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト」を各地域に展開し、循環型の地域モデルを構築していきます。

・過熱蒸煎機の販売およびレンタル拡大とビジネスモデルの拡大
「かくれフードロス」の削減には、過熱蒸煎機の普及が必要であると考えています。

食品ざんさが多く発生しているところを把握し、どこに設置すれば削減に繋がるかを考え、普及を進めていきます。

・多種多様な「ぐるりこ」の用途開発ならびにブランディング
過熱蒸煎機で乾燥した野菜等(ぐるりこ)を、生の状態や熱風乾燥した野菜等と比較し優位性を証明していくほか、食品メーカーと「ぐるりこ」を使用した商品開発を進めていきます。

・今後の展望を教えてください。

「かくれフードロス」の問題は日本だけでなく、海外でも課題になっています。

現在は、本社を置く埼玉県内で循環型フードサイクルの構築を行っていますが、今後はこれらを日本全体や海外にも展開していき、世界中の「かくれフードロス」の削減を目指していきます。

・読者へのメッセージをお願いします。

「かくれフードロス」の削減は一社では解決できません。社会全体で取り組む必要があります。

まずは、流通される前の段階でたくさんの食べ物が廃棄されているという、この現状を知ってもらいたいです。

関心を持ってもらうことが社会全体で取り組むための一歩だと考えています。

これから「ぐるりこ」のマークがついた商品をたくさん展開させていく予定です。

「ぐるりこ」マークの商品をご購入いただき、消費者に関心を持ってもらうと同時に意識の向上に繋げていきたいと思います。

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カテゴリ 有望企業
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