注目のスタートアップ

漫画に特化した深層学習モデルを開発する「オレンジ」が2.5億円調達

company

2023年7月27日、株式会社オレンジは、総額約2億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

オレンジは、コンピュータービジョンや自然言語処理を中心に、漫画特化のさまざまな深層学習モデルの開発を進めています。

「Manga AI Localization」では、自社モデルをパイプライン化し、従来の漫画のローカライズ(外国版制作)のプロセスの大半の自動化を実現しています。

今後、「Manga AI Localization」を活用し、翻訳家と協力した上で、これまで日本全体で月100冊程度行われている日英翻訳出版において、数年以内に10倍の1,000冊以上をオレンジ経由で出版することを目指します。

また、システムの拡張(対応言語数の増加や機能追加等)や、モデルの改善、AIによるウォーターマーク、漫画のネーム生成モデル、3Dのセルルック表現モデルなど、漫画に関わるさまざまな深層学習モデルを開発していく計画です。

今回の資金は、人材採用、開発、計算資源(GPU)の取得などに充当します。


公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、2022年の日本の漫画の推定販売額は、紙・電子合計で前年比0.2%増の6,770億円となりました。また、漫画の販売額は3年連続で過去最高を更新しています。

さらに、漫画以外にもアニメーション作品の市場規模も拡大しています。この成長の要因は、海外において日本のアニメ作品をローカライズして配信する動画プラットフォームが登場したことにあります。

またこうしたアニメ作品のファンが増えることで原作である漫画への注目も高まっています。

一方で、漫画の海外展開にあたっては翻訳などのローカライズが必要となります。漫画は手書きのフォント・独特な口語・複雑な文脈などの特徴があり、通常の翻訳よりも難易度が高いという課題を抱えています。

オレンジは、漫画特化の深層学習モデルを活用し、より多くの漫画のローカライズを進めていくほか、漫画に関する深層学習モデルを開発していくとしています。

株式会社オレンジのコメント

このニュースを受けまして、株式会社オレンジよりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

調達した資金用途は、主に採用費 / 開発費 / 計算資源(GPU)になります。

・今後の展望を教えてください。

開発した“Manga AI Localization”システムを活用し、翻訳家様と協力することで、これまで日本全体で月に100冊程行われている日英翻訳出版を、数年以内に10倍の月1,000冊以上をOrange経由で目指します。

縦スクロール漫画やTwitter漫画なども、積極的にローカライズ、海外出版をしていきます。出版社様および個人漫画家様は、是非公式ホームページよりお問い合わせください。

・読者へのメッセージをお願いします。

10年後には世界中の人々が自分達の母語で「日本の名作漫画 “すべて” を読める世界」を実現したいと思っています。

Orangeはまだ社員が10人にも満たない小さなスタートアップですが、ML TeamにはChief AIの曽佐がKaggleのGrandMaster3名と共に、世界最高峰のMLエンジニアの少数精鋭で開発しています。創業初期メンバーとしてジョインしていただける方がいらしたら、是非応募いただけると幸いです。

また、Orangeはまだまだ計算資源(GPUマシン)が圧倒的に不足している状況です。もし計算資源で何かしらのサポートをいただける方がいましたら是非ご連絡を頂けると幸いです。

海外市場に参入できれば大きな利益を見込めます。以前は言語の壁が大きなハードルとなっていましたが、近年は高精度な機械翻訳や海外展開を支援するサービスも充実してきているため、海外展開がしやすい環境が整っています。「冊子版創業手帳」では、海外展開のはじめ方やJETRO(日本貿易振興機構)の活用法などについて詳しく解説しています。

また、新たな取り組みには資金調達も必要となるでしょう。「資金調達手帳」では、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ AI Manga AI Localization Orange オレンジ プロセス マンガ モデル 出版 制作 多言語 学習 日英翻訳出版 株式会社 漫画 翻訳 自動化 自然言語処理 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
あなたの会社に合った補助金・助成金がすぐわかる!自動マッチングツールを導入しよう
法人成りとは?個人事業主が「法人化」をするメリット・デメリットや手続きなどを解説!
【2025年版】会社設立の流れ・手順・やることリストをわかりやすく解説
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
普通の人が起業するには?成功する5ステップを創業手帳・代表の大久保が解説!
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

AI SaaS事業を運営する「GROWTH VERSE」が4.9億円調達
2025年3月14日、株式会社GROWTH VERSEは、総額4億9000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 今回の資金調達により、累計調達額は21.6億円となりました。 GROWTH VE…
農産物の生産から販売までを一気通貫で展開する「株式会社日本農業」が融資により19.8億円調達
2025年2月17日、株式会社日本農業は、融資により総額約19億8000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 日本農業は、日本の農産物の生産から販売まで一気通貫で展開しています。 生産性向上や…
サプリメント製造・販売の「麻田製薬」が資金調達
2020年3月26日、株式会社麻田製薬は、資金調達を実施したことを発表しました。 サプリメントの製造・販売を行っています。 今回の資金は、サプリメントの商品開発の推進に充当されます。
「VMK」が資金調達 学生無料のコワーキング・スペース「Voltage」を6/1にオープン
2020年6月23日、株式会社VMKは、銀行融資とクラウドファンディングにより資金調達を実施したことを発表しました。 また、「Voltage」を2020年6月1日(月)にオープンしたことを発表しました…
プロジェクトマネジメントDXプラットフォーム「Flagxs」を提供する「フラッグス」が2億円調達
2024年2月29日、フラッグス株式会社は、総額2億円の資金調達を実施したことを発表しました。 フラッグスは、プロジェクトマネジメントのDXやプロジェクト運営の生産性向上を目的に、主にPMO(Proj…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集