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日本円と連動したステーブルコインの発行を目指す「JPYX」が3,400万円調達

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2022年6月22日、株式会社JPYXは、3,400万円の資金調達を実施したことを発表しました。

JPYXは、日本円ステーブルコイン「JPYX」の発行・管理を目的に、2021年12月に創業した企業です。

EthereumのERC20規格に沿って構築されたトークンですが、マルチチェーン(Ethereum・Polygon Chainなど)に対応し、さまざまなプロダクトでの利用を可能としています。

2022年6月にプライベートセールの開始を予定しています。

今回の資金は、全職種(コーポレート、開発、運用、オペレーション)における人材採用、2023年春頃に施行が見込まれる改正資金決済法への対応の推進に充当します。

いまやブロックチェーンはさまざまな領域で活用される技術となりました。

一方で、ブロックチェーン技術を活用した暗号資産(仮想通貨)は、もっぱらマイニングや投資の対象であり、日常的な決済手段としてはほとんど利用されていません。

暗号資産は24時間365日取引可能、海外への送金・決済がスピーディ・安価という大きなメリットがあるため、次世代の決済手段として普及していくと考えられていました。

しかしビットコインなどの暗号資産は価格の変動率が大きい(ボラリティが高い)ため、日常的な決済手段として使いにくいものとなってしまいました。

この課題を解決するものとして登場したのが、価格があまり変動しない暗号資産であるステーブルコインです。

価格を安定させる仕組みとしては、法定通貨と担保する“法定通貨担保型”、供給量を常に調節する“無担保型(アルゴリズム型)”、メジャーな仮想通貨を担保とする“仮想通貨担保型”などいくつかの種類があります。

「JPYX」が採用しているのは法定通貨である円を担保とする“法定通貨担保型”です。

日本においてはすでにいくつかの発行主体がステーブルコインを発行しており、2021年1月に「JPYC(JPY Coin)」、2022年3月に「JPYW(JPY World)」が発行されています。

一方で、2022年5月上旬に無担保型ステーブルコインの「TerraUSD」が暴落してしまい、世界的にステーブルコインの規制強化の流れとなっています。

また、国内では以前からステーブルコインの規制については議論されており、2022年6月3日にはステーブルコインを規制するはじめての法律となる「改正資金決済法」が可決・成立しました。

この改正法では、ステーブルコインの発行・管理する発行者と、流通を担う仲介者が明確に分けられました。

発行者は規制・監督がやりやすい銀行・資金移動・信託会社に限定され、仲介者は登録制となり従来よりも厳しいマネーロンダリング対策が求められています。

株式会社JPYXのコメント

このニュースを受けまして、株式会社JPYX 代表取締役 藤野周作氏よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

お客様の安心安全を最優先した前払式ステーブルコインのサービス開発と運用を目的としています。
具体的には、①コンプライアンス人員の拡充、②オペレーション/システムの対応、です。
例えば、②のオペレーション/システムの対応として、法的には前払式支払手段の発行者に求められていない各種KYCソリューションを導入。
利用者の安心・安全に向けたデジタルプラットフォームの開発が可能となります。

・今後の展望を教えてください。

Web3.0の急拡大に伴って、DeFi・NFT市場拡大でステーブルコインの発行量は累乗的に拡大しています。
DeFiのサービスで多⽤されるステーブルコインに資金が集中しています。
また、急成長する世界のNFT市場は単月取引量は1年で40倍。8,500億円(2022.1単月)まで拡大していますが、日本では日本円ステーブルコインでの決済ができないことで、国内市場が盛り上がらない原因となっています。
このため、Web3.0ベースで国内資産が海外流出する原因ともなっています。

国内法規制に準拠した安心安全な日本円ステーブルコインを生み出すことができれば、世界市場の盛り上がりに国内から参画する機会を創出できます。
このため、まずはJPYXを利用したNFT決済を予定しています。
これは、株式会社JPYXが、グループ内にNFT発行事業者(株式会社ORADA)が存在することで容易に対応可能です。
JPYXは通貨建て資産であることから税金計算の簡素化を図りながら利用可能ですので、法人個人ともに、NFT投資等で利便性の高い決済手段となります。

JPYXは、ブロックチェーン上で発行されたトークンとしての特徴を持ち、マルチチェーンに対応することで様々なプロジェクトに対応可能であることから、Web3.0ベースで無限の可能性を秘め、あらゆる展開が予測されます。

・読者へのメッセージをお願いします。

決済手段は、技術の力で進化し続けてきました。
運びやすいように、腐らないように、小分けができるように、そして軽く。
物々交換から、貝殻、石、金属、紙、そしてデジタルへ。

私たちの生活は常に変化の真っただ中にあると考えており、現在、デジタル化は重要な役割を果たしています。
もっと便利で、もっと快適な決済を。

JPYXは、日本発のステーブルコインとして、Web3.0のステージで活用できる決済手段を届けます。
ブロックチェーンの技術で生活・産業を支え、社会の発展に貢献する所存です。

事業者が活用できる決済手段にはさまざまなものがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。「冊子版創業手帳」では、各種決済方法を比較し、メリット・デメリットをわかりやすく表にまとめています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
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