【令和6年分最新】年末調整のやり方が簡単にわかる!定額減税もおまかせ
経営者も従業員もわかりやすい「年末調整のやり方・書き方」入門ガイド
●年末調整の最新変更点を解説:令和6年(2024年)度からの「定額減税」の詳細と注意点。
●経営者・経理担当者向けの年末調整の手順:具体的な年末調整の流れと重要書類の確認方法。
●従業員向け書類の書き方:従業員が提出する必要な書類の内容と記入方法を解説。
●源泉徴収と年末調整の関係:所得税計算における源泉徴収と年末調整の役割とは。
●対象者の確認:年末調整が必要な人と、個人事業主などの例外について。
●会計ツールと専門家活用の提案:手続きの負担を軽減する会計ソフトや税理士活用のメリットも紹介。
事務処理の中でも、経営者泣かせなのが「年末調整」です。従業員にとっても慣れない書類の提出を求められ、抵抗を覚えやすいイベントと言えるでしょう。
今回は、起業家や経理担当者が知っておきたい年末調整のやり方をわかりやすく解説します。従業員向けに年末調整書類の書き方も説明するので、参考にしてください。
年末調整を正しく行うことは、会社側にとっては信頼性の向上のほか、従業員との関係性を維持する上で重要です。従業員側も払いすぎた税金を取り戻す機会になるので、適切なやり方をマスターしましょう。
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この記事の目次
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【令和6年(2024年)度】年末調整のやり方の変更点とは?
年末調整は、税制の改正により変更点がある場合があります。
2024年(令和6年)度分については、定額減税の実施による「年調減税額」の計算が主な変更点です。
年調減税額とは
2024年度の年末調整時点における定額減税の額を「年調減税額」といいます。当年度分の所得税は、定額減税額を控除した上で算出しなくてはなりません。
年調減税額は納税者本人分が3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円で、双方の合計額が控除されます。配偶者1人を扶養している場合、本人分と合わせて6万円が年調減税額です。
基礎控除や保険料控除など、各控除を引いたあとに年調減税額も控除します。人によっては住宅借入金等特別控除も差し引いたあととなるので、計算漏れに気をつけましょう。
年調減税額の注意点
国税庁が提供する様式で年末調整を行なっている場合、注意が必要です。「令和6年分給与所得に対する源泉徴収簿」は年調減税額の計算に対応していません。
以下の書類であれば年調減税額の計算に対応しています。
- 令和6年分年末調整計算表
- 年末調整計算シート(令和6年用)
- 令和7年分給与所得に対する源泉徴収簿 ※裏面右側に計算表を掲載
計算表や計算シートで年調減税額を正しく算出するか、新たに作られた来年度分の源泉徴収簿には裏面に計算表が載っているので、参考にしましょう。
令和6年分の源泉徴収簿をそのまま使う場合、余白部分などを用いて年調減税額を計算してください。
年末調整のやり方の前に!基本をおさらい
年末調整とは、源泉徴収による所得税の計算のずれを調整し、正しい納税額を導き出す作業です。
所得税はその年の1月1日から12月31日までの所得に課されますが、源泉徴収では毎月の給与から少しずつ天引きしています。当年度が確定していない段階で、概算で前もって徴収している状態です。
そのため、実際の納税額とはずれが生じます。このずれを年末調整で整え、多すぎる分は納税者に還付し、少なければ追加で徴収するのも年末調整の大事な役目なのです。
基本的には、源泉所得税は毎月納付しなければならないのですが、特例として半年に1回にできる場合があります。冊子版の創業手帳では、この特例の承認に関する手続きについてわかりやすく解説しています。
源泉徴収と年末調整の関係
源泉徴収とは、会社が従業員分の所得税を計算し、給与から天引きすることで納税するシステムです。
会社勤めの人まで全て確定申告してしまうと、税務署が対応しきれずパンクしてしまいます。また個々人から徴税するとなると、脱税や納税忘れへの対策も生じ、現実的に処理しきれません。
源泉徴収は、スムーズな納税と税金管理のために必要不可欠な仕組みと言えます。
【参考】起業家なら知らないとまずい「源泉徴収」|税務の基礎知識を学ぼう
年末調整の対象者
年末調整の対象となるのは、会社で源泉徴収されている人です。会社に雇用されている人なら、一般的に源泉徴収の対象となります。
年末調整は所得税の納付と調整のために実施されますが、所得がある人全員が対象となるわけではありません。個人事業主のように個人で確定申告する場合、源泉徴収は行なっていないので年末調整は生じないのです。
会社員は通常であれば年末調整の対象となり、時期に差し掛かると会社から年末調整用の書類が配布されます。
【経営者・経理・総務担当者向け】年末調整のやり方
まずは経営者側における年末調整のやり方を解説します。会計ツールを使うか、ない場合は国税庁が提供する「年末調整計算表」を活用してください。
ここでは年末調整計算表の書き方とあわせて、年末調整のやり方を見ていきましょう。
1.社員から各種書類の提出&所得控除額を確認する ~11月下旬
年末調整を行うには、従業員の所得計算が必要になります。そこで重要なのが、各社員の「所得控除」のデータです。
所得控除のデータを集めるために、社員に「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」「扶養控除等(異動)申告書」および「保険料控除申告書」の3枚の申告書を提出してもらいます。
各控除の情報に基づいて、年末調整計算表の各欄を埋めていくのが基本です。
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書
基礎控除等を記す令和6年度分の申告書ですが、定額減税の処理が加わるため様式が少し変わっています。
ただ、基本は前年度分と同じく「基礎控除」「配偶者控除」「所得金額調整控除」の3つの欄を確認すれば構いません。社員から本書類の提出があったら、各欄の計算金額が正しいかを見てください。
申告書の内容に基づき、年調計算表の基礎控除額⑲、配偶者(特別)控除額⑰の欄に各金額を記入しましょう。必要に応じて、計算表右側にある配偶者の合計所得金額の欄も埋めます。
また、給与の総額を出したあとに所得金額調整控除額を計算し、⑩の欄に0〜150,000円の間で記載してください。
【参考】(外部リンク)令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書のフォーマット|国税庁
【参考】(外部リンク)令和6年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書の記載例|国税庁
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 -扶(まるふ)-
扶養控除等(異動)申告書は、右上部にプリントされた記号から、通称「まるふ」と呼ばれます。
配偶者や扶養者の有無を確認し、扶養控除を受けるために必要な書類です。配偶者や子供がいなくても、控除が適用されるか否かの確認は必須であるため、全社員に提出してもらいます。
社員に配る扶養控除申告書は、当年分と翌年分です。当年分は前年の年末調整時に記入済みのもので、「家族が扶養から外れた」など、途中で扶養家族に変更があれば修正してもらいます。
書類の内容と「令和6年分の扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額の早見表」とを照らし合わせ、年末調整計算表を作成しましょう。
【参考】(外部リンク)令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のフォーマット|国税庁
【参考】(外部リンク)令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のフォーマット|国税庁
【参考】(外部リンク)令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例|国税庁
【参考】(外部リンク)令和7年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例|国税庁
給与所得者の保険料控除申告書 -保・配特 (まるほ)-
続いて、「保険料控除申告書」について説明します。保険料控除申告書は、書類の右上部にプリントされた記号から、通称「まるほ」と呼ばれます。
保険料控除申告書は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除に必要な書類です。
社員に書いてもらう際は、各保険料の控除証明書も添付してもらいます。保険未加入の場合でも、名前だけ書いて提出してもらえば回収漏れや記載ミスの予防に役立つでしょう。
回収後は計算に誤りがないかをチェックし、各社員の年末調整計算表に保険料ごとの控除額を記入してください。
【参考】(外部リンク)令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書のフォーマット|国税庁
【参考】(外部リンク)令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書の記入例|国税庁
2.年調年税額を計算する ~12月上旬
従業員から3枚の書類(基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書、扶養控除等申告書、保険料控除申告書)を回収し、年末調整計算表の各欄への記載を進めて年調年税額を計算します。
所得に対する源泉徴収額を記録した「給与所得に関する源泉徴収簿」も活用してください。各月の給与および源泉徴収税額を確認し、両者の各総額を求めておきます。
従業員によっては、3枚とは別に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の提出があるかもしれません。特定の条件下で住宅ローンを組んだ場合に適用される控除で、書類は従業員自身が所有することになっています。会社側は、書類の提出があれば合わせて計算してください。
集計した情報から、以下の計算手順で年税額を求めましょう。
- 給与所得控除後の給与等の金額 ー 所得控除額の合計額 = 課税給与所得金額
- 課税給与所得金額と速算表を照合し、算出所得税額を求める
- 算出所得税額 ー 住宅借入金等特別控除額 = 年調所得税額 ※
- 年調所得税額 ー 年調減税額 = 年調減税額控除後の年調所得税額
- 年調減税額控除後の年調所得税額 × 102.1% = 年調年税額
※:3の計算は住宅ローン控除を受ける人のみに適用します。
令和6年分における年税額のポイントは、1人あたり3万円の年調減税額がある点です。本人分以外に配偶者や扶養親族の分も含めるため、抜かりなく計算しましょう。
3.過不足納税額の計算と精算をする ~12月給料日
「年調年税額」と「源泉徴収により天引きした税額」の差額を計算すると、納税額の過不足が出ます。過不足は12月または1月の給与支給時に還付するか、天引きして調整しましょう。
50,000円 - (5,000円 × 12カ月) = ▲10,000円
この場合は10,000円を従業員に還付します。年調年税額よりも天引きした税額が少なければ納税額が不足しているため、追加で徴収してください。
年末調整をした月分の「所得税徴収高計算書(納付書)」に記載し、徴収税額を納付します。毎月(納期の特例を受けている場合は半年に1回)、源泉所得税の納付で使っている納付書に、年末調整の過不足分を追記するイメージです。
源泉徴収税の計算が終わったら「源泉徴収票」も作成します。
4.翌年1月末までに各種法定調書を提出する ~1月下旬
税額の調整を終えホッとするのもつかの間、年末調整に関する書類作成・提出は1月まで続きます。
年末調整が終わったら、原則1月末までに、法定調書とよばれる「源泉徴収票」や「支払調書」を税務署に提出します。
さらに、従業員が居住している市区町村へは「給与支払報告書」を提出します。
年末調整は準備すべき書類が膨大にあり、計算工程も複雑です。会計ソフトを使えば、年末調整はもちろん毎月の給与計算も楽になります。冊子版の創業手帳では、会計ソフトの種類や、選び方、おすすめのソフトを網羅済みです。お得に導入できるキャンペーン・コードも発行しているので、ぜひチェックしてみてください。
【従業員向け】年末調整のやり方
従業員が把握しておくべき年末調整のやり方を解説します。従業員側は3種類の書類を自分で書いて提出しなくてはならないので、それぞれの見方や書き方を理解しておきましょう。
「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」の書き方
令和2年分から加わったマル基・配・所は、3つの控除申告書が1枚にまとめてあるので複雑に感じられます。
しかし、単身者や共働きの場合は配偶者控除の部分は空欄になりますし、所得金額調整控除は年収850万円を超える人が対象なので、実際のところ、多くの人が基礎控除の部分のみの記入になるでしょう。
基本的な専門用語と控除の種類、自分が書くべき記入欄を理解すれば、スムーズに書けるようになります。
「◆給与所得者の基礎控除申告書◆」の部分
まずは「給与所得者の基礎控除申告書」の部分です。
「収入金額」は1月から12月までの給与と賞与をあわせた給与収入(社会保険等を引かれる前の総支給額)を記入します。見積額なので、おおよそで構いません。
「所得金額」は申告書裏面の「給与所得の計算欄」の表に「収入金額」を当てはめて計算した結果の金額です。
さらに「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の表から合計所得金額の見積額を計算し、「控除額の計算」で当てはまる所得金額区分にチェックを入れます。「区分Ⅰ」のところは「判定」の枠の(A)~(D)に当てはまればそれを記入し、所得金額が1,805万円超の場合は記入不要です。
所得金額の区分に当てはまる48万円、32万円、16万円のいずれかを太枠「基礎控除の額」に記入します。所得1,805万円以下であれば「本人定額減税対象」の欄にもチェックを入れましょう。
【参考】(外部リンク)国税庁「令和6年分年末調整のしかた」p.16
一見複雑ですが、基礎控除については所得金額が2,400万円を超えなければ控除額に影響はないため、大多数の給与収入のみの人は基礎控除48万円に該当すると考えていいでしょう。
「◆給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書(同一生計配偶者に係る申告)◆」の部分
配偶者控除申告書は、配偶者がいない場合は記入する必要はありません。配偶者がいる場合、適用条件は以下になります。
- 申告者自身の年間所得が1,000万円以下
- 配偶者の年間所得が48万円以下、または133万円以下
配偶者の所得が48万円以下なら配偶者控除、48万円超133万円以下なら配偶者特別控除が適用されます。
夫婦相互に配偶者控除を受けることはできません。共働きの場合、夫婦どちらか一方のみ配偶者控除、または配偶者特別控除を申告します。
氏名や生年月日などの必要な項目を埋め、「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」に移ります。基礎控除申告書と同じく、申告書裏面の表から配偶者の所得金額を求めましょう。
太枠のなかに合計所得金額を入れたら「判定」の金額区分に当てはまる①~④のいずれかを区分Ⅱに記入します。
次に、区分Ⅰおよび基礎控除の額と、区分Ⅱおよび配偶者の合計所得金額を「控除額の計算」の表と照合しましょう。縦の区分が①か②に当てはまれば配偶者控除、③か④なら配偶者特別控除です。控除額は横の区分ABCから該当額を転記します。
「◆所得金額調整控除申告書◆」の部分
「所得金額調整控除申告書」の欄は、年収見積額が850万円以下の人は記入する必要がありません。
共働きで夫婦ともに850万円超の年収がある場合、要件に該当すれば個々に所得金額調整控除を申告できます。
4つの「要件」のうち、当てはまるものにチェックを入れます。2つ以上の要件が該当する場合は1つだけで構いません。
チェックを入れた欄に応じて、右側の「扶養親族等」と「特別障害者」の欄を埋めてください。
「扶養控除等(異動)申告書」の書き方
扶養控除等(異動)申告書は申告者が扶養する親族の情報を記入します。「A源泉控除対象配偶者」~「D他の所得者が控除を受ける扶養親族等」に分かれており、扶養者との関係性や年齢などで記載欄が変わるので注意しましょう。
扶養する親族に該当する人がいなければ、自身の情報以外は記入しなくて構いません。以下で各欄の詳細を説明します。
「A源泉控除対象配偶者」の部分
源泉控除対象配偶者とは、以下のどちらにも当てはまる配偶者です。当てはまっていれば、氏名などの必要な情報を記載します。
- 申告者の所得の見積額が900万円以下=基礎控除申告書で判定した区分ⅠがA
- 配偶者の所得の見積額が95万円以下=配偶者控除等申告書で判定した区分Ⅱが①~③
「B控除対象扶養親族(16歳以上)」の部分
扶養親族とは、申告者が扶養している子供や親で、所得見積額が48万円以下の人です。
控除対象扶養親族の項には「同居老親等」「その他」「特定扶養親族」の選択肢、および「非居住者である親族」の欄があるので、個人ごとに当てはまる項目を埋めます。
このうち「同居老親等」「特定扶養親族」に該当すれば、下記のように控除額が優遇されます。
区分 | 対象となる扶養親族 | 控除額 |
---|---|---|
控除対象扶養親族 | 当年12月31日時点で16歳以上の者(国外居住親族の場合は別途要件あり) | 38万円 |
特定扶養親族 | 当年12月31日時点で19歳以上23歳未満の者 | 63万円 |
同居老親等以外の者 | 給与所得者の父母・祖父母などで、同居していない者 | 48万円 |
同居老親等 | 給与所得者の父母・祖父母などで、同居している者 | 58万円 |
同居していない場合は「住所又は居所」に住所を記入しましょう。
「異動月日及び事由」には、扶養親族の数が増減した理由と日付を記入する欄です。婚姻・出生・死亡・就職などがあげられますが、日付や理由が書きにくい場合は空欄でも大丈夫です。
「C障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の部分
「障害者」「寡婦」「ひとり親」「勤労学生」と記されたチェックボックスがあるのでそれぞれ見ていきます。
「障害者」
申告者本人、配偶者、扶養親族に障害者がいる場合は該当する箇所にチェックを入れます。「同一生計配偶者」は所得の見積額が48万円以下の人、「扶養親族」は16歳未満も対象です。
「寡婦」
夫と離婚後再婚しておらず扶養親族がいる人、夫と死別した人、夫の生死がわからない一定の人が寡婦控除の対象です。所得が500万円以下(収入では677万7,778円以下)という条件も満たす必要があります。
「ひとり親」
ひとり親とは、事実上婚姻関係にある人がおらず、生計を一にする子がいる年間所得500万円以下の人が対象になります。事実婚の場合、または住民票に「未届」の記載があるひとり親は対象外です。
「勤労学生」
大学、高等学校、専修学校、職業訓練校等の生徒であり、給与収入等(事業所得、雑所得等含む)を得ている人が対象です。所得の見積額が75万円以下(うち給与収入以外が10万円以下)、給与所得のみの場合は 130万円以下に限られます。
「障害者又は勤労学生の内容」
自身や扶養親族が「障害者」か「勤労学生」に当てはまったら、内容を記載します。該当者の氏名や該当する事実について書きましょう。
障害者を例にすると、障害者手帳の種類、障害の等級、手帳の交付日などです。
「D他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の部分
Dの欄には、共働きなど同一生計内に複数の給与所得者がいる場合に、誰が誰を扶養親族として申告するかというケースで使います。
例えば長男を夫の扶養親族とし、次男を妻の扶養親族として申告する場合に、夫の申告書のD欄に次男を記入します。
夫と妻の両方で長男を扶養親族に入れるなど、同じ人を二重に扶養親族とすることはできません。扶養元を統一している場合は空欄にします。
「住民税に関する事項」の部分
住民税の控除に関する記入欄です。2種類の記入欄ごとに書き方を見ていきましょう。
「16歳未満の扶養親族」
16歳未満の子供がいる場合に、子供の名前や生年月日を1人ずつ書きます。記載欄で足りなければ、申告書を2枚以上もらって書いてください。
対象となる子供が外国に住んでいる場合は「控除対象外国外扶養親族」に◯を入れますが、期間内に必要書類の提出も求められる可能性があります。
「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」
退職金を受け取った配偶者や扶養親族がいる場合、この欄に記載する必要があります。配偶者は退職所得以外の合計所得見積額が133万円以下の人が対象です。
「保険料控除申告書」の書き方
保険料控除申告書は「生命保険」「地震保険」「社会保険」「小規模企業共等済掛金」の4種類に分かれています。一般的なサラリーマンが記入するのは「生命保険」と「地震保険」がほとんどです。
「社会保険」は扶養親族の国民健康や国民年金の保険料を支払っている場合、中途入社でそれ以前は国民年金保険料と国民健康保険料を支払っていた場合などが当てはまります。
「小規模企業共済等」は自営業者や小規模企業の経営者の退職金制度となる小規模企業共済に掛金を支払っている人やiDeCo(個人型確定拠出年金)などに加入している人が対象となる記入欄です。
各保険の控除証明書は申告書に添付して提出します。
「生命保険料控除」の部分
保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書をもとに、年間の保険料を計算します。記入欄に案内があるとおり、新保険料は計算式Ⅰ、旧保険料は計算式Ⅱに当てはめてください。
新・旧の違いは送られてくる生命保険料控除証明書に記載されています。
計算式Ⅰでは年間の保険料が8万円超であれば控除額は一律4万円、計算式Ⅱでは保険料10万円超で控除額は一律5万円です。年間の保険料が8万円、10万円となる保険があれば、それを1つ記入すれば最大額の控除が適用されます。
複数の保険があって計算が大変であれば、金額の高いものから記入しましょう。多くの場合、各保険会社のホームページに計算補助ツールが用意されているので、そちらも活用してください。
「地震保険料控除」の部分
書き方の流れは「生命保険料控除」と同じです。「地震保険又は旧長期損害保険料の区分」は、2006年以前に契約したものであれば「旧長期」、2007年以降の契約であれば「地震」にマルをつけます。
「社会保険料控除」の部分
給与から天引きされている自分の社会保険以外に、自身や扶養親族の国民健康保険や国民年金保険料を支払った場合に適用される控除です。
大学生の子供(20歳以上)の国民年金保険料を支払った場合や、中途入社でその年の入社以前に国民健康保険料を支払っていた場合などが当てはまります。
社会保険料控除は計算式等を用いる必要はなく、保険料合計金額がそのまま控除額となります。
国民年金保険料、国民年金の掛金についてのみ証明書の添付が必要です。それ以外の保険料、掛金については証明書の添付は必要ありません。
「小規模企業共済等掛金控除」の部分
小規模企業共済は、主に中小規模の企業の経営者や役員、個人事業主が退職金を積み立てる制度です。確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)の掛金も控除対象となるので、支払っている場合は記入しましょう。
掛金が給与から天引きされている場合、記載しなくて構いません。
小規模企業共済や国民年金基金連合会から届く証明書をもとに記入します。社会保険料控除と同じく、控除額は掛金と同額です。
まとめ・年末調整のやり方や書類の書き方を身につけておこう
年末調整について、経営者側、従業員側の双方から見ていきました。
年末調整は従業員の確定申告を会社が代わりにやっているようなものなので、正確な知識とテクニックが必要となります。間違いがあれば従業員に迷惑をかけるだけでなく、税務署からの指導が入るなど大変な事態になりかねません。
年末調整の基本的な仕組みやルール、やり方の流れを押さえ、実務については税理士などの専門家への委託も検討しましょう。
税理士との顧問契約は、創業期においてはハードルが高いかもしれません。しかし税理士は、会計などの実務面でのサポートだけでなく、経営戦略のアドバイスも行なってくれます。冊子版の創業手帳では、税理士との二人三脚で経営を拡大した起業家のインタビュー記事を掲載していますので、参考にしてみてください。
また、冊子の請求時にWeb版の創業手帳の無料会員登録が行えます。会員向けに無料で専門家を紹介していますので、こちらもご活用ください。
創業手帳では、確定申告対応の「確定申告ガイド」を作成しました。確定申告の全体の流れとチェックすべき公的サイト、気を付けたい点をまとめたガイドブックとなっています。副業版確定申告もあわせてご活用ください。
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(創業手帳編集部)
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