税理士報酬などに必要な「支払調書」って?

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支払調書の書き方と注意点

(2017/11/23更新)

所得額と納税額を明らかにするために作成する「支払調書」。個人事業主や税理士等に業務を依頼した際に発行することが求められます。

ですが、「どのような時に作成や提出する義務があるのか」「源泉徴収票との違いは何か」など、理解が曖昧な部分も多いのではないでしょうか。そこで今回は、支払調書にまつわる実務について解説します。

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法定調書とは

支払調書は、「法定調書」の一種です。法定調書とは、税務署に提出が義務付けられている資料のことで、支払調書や源泉徴収票が該当します。支払うお金の性質によって細かく分類されていて、60種類近くの法定調書が存在します。

法定調書を提出するのは、お金を支払った側、つまり法人や事業主です。法定調書の役割は、脱税を防ぎ、適切に課税を行うこと。お金を支払った際にその事実を届けることで、税務署はお金の動きを把握し、脱税を防ぐことができます。

支払調書とは

法定調書の1つ「支払調書」とは、1月1日~12月31日までの報酬額や、源泉徴収税額を証明する書類です。

法人や個人事業主は、税理士・弁護士・デザイナー等決められた職種の人に対して報酬を支払った場合には、所得税分を源泉徴収して支払う必要があります。支払う報酬は、源泉徴収分が差し引かれた額になります。支払調書があることで、個人事業主等の確定申告の際に、「必要な所得税額を納めている」ということが証明されます。

支払調書は、税務署に提出する義務はあるものの、報酬を受け取る側への交付義務はありません。つまり、個人事業主や税理士等に作成した支払調書を渡さなくても構いません。ただ、慣例としては、発行してあげるほうが親切です。確定申告期に「支払調書の発行はないのですか」という質問が来ることもなくなります。

支払調書の提出先は、報酬を支払う側の事業所などの所在地を所轄する税務署です。
報酬などの支払確定日が1月1日〜12月31日のものが対象となり、原則翌年の1月31日を提出期限としています。

支払調書と源泉徴収票の違い

支払額と納税額を示す法定調書には、「源泉徴収票」もあります。似た役割を持つ2つの書類ですが、対象と目的に違いがあります。

「源泉徴収票」は、従業員など、主に「雇用主が給与を支払っている労働者」に対して発行します。支払うべき額よりも多く所得税を払っていたら、年末調整を行ってその結果として源泉徴収票を作成します。

この書類は、労働者が確定申告を行う際に添付が必須となる書類です。作成側は、一定の条件を満たした場合に税務署へ提出する義務があります。

一方「支払調書」は、フリーランスや士業などの専門家への支払いなどを行う際に、所得税分を源泉徴収して支払ったことを証明するための書類です。支払いを行った法人や事業主が税務署に提出します。

報酬を支払った個人事業主等に対しての発行は不要です。個人事業主が確定申告を行う際にも、添付は必要ありません。

似ているようで異なる書類ですので、混同しないようにしっかり理解しておきましょう。
参考:平成29年版「給与所得の源泉徴収票」エクセル・e-Taxでの書き方・作成方法

支払調書を発行するのは「源泉徴収義務者」

支払調書を発行する義務があるのは、「源泉徴収義務者」である事業者です。法人の場合は、全て源泉徴収義務者なので、支払調書の作成は必須です。

しかし、個人事業主は、従業員を雇わずに一人で事業を行っている場合、源泉徴収義務者に当たりません。アルバイトや青色専従者などの従業員がいる個人事業主は、外注費を支払う場合に支払調書を作る必要があります。

ただ、源泉徴収義務者であっても、支払調書の発行が必要でない場合があります。

支払調書を発行するのはどんなとき?

源泉徴収義務者が支払調書を作成するのは、以下に該当する報酬を支払ったときです。

  • 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金で、1年間の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
  • 馬主に支払う競馬の賞金で、1回の支払賞金額が75万円を超えた場合は、その年すべての支払金額
  • プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金で、1年間の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
  • 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等で、1年間の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬で、1年間の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

上記に当てはまらない場合は、支払調書を税務署に提出する必要はありません。

支払調書の書き方と注意点


支払調書を作成する際には、税務署から送付される「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」を参考に作成します。国税庁のHPでも閲覧することができます。
参考:平成29年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引

支払調書に記載すべき項目は、以下の7点です。注意点と合わせて解説します。

①支払いを受けるもの:報酬を支払った相手の情報を書きます。住所・氏名または名称・マイナンバーを記載します。屋号のみの記載はNGです。また、相手方に支払調書を交付する場合は、マイナンバーを記載したものの交付はできないので、注意しましょう。

②区分:支払った報酬や料金のカテゴリを、分かるように記載します。例えば、「税理士報酬」「弁護士報酬」「原稿料」「さし絵料」「翻訳料」などです。

③細目:支払った報酬や料金の詳細を記載します。国税庁の手引によると、以下の区分で記載することとされています。

  • 印税…書籍名
  • 原稿料、さし絵料…支払回数
  • 放送謝金、映画・演劇の俳優等の出演料…出演した映画、演劇の題名等
  • 弁護士等の報酬、料金… 関与した事件名等
  • 広告宣伝のための賞金…賞金の名称等
  • 教授・指導料 ·…講義名等

④支払金額:1月~12月の間に支払の確定したものを記載します。この際、支払金額は消費税を含めた金額を記載します。また、12月31日の時点で未払いの金額も、支払金額として計上します。未払いがある場合は、支払調書の上段に未払額を内書きしておきましょう。

⑤源泉徴収税額:1月~12月の間に源泉徴収すべき所得税・復興特別所得税の合計額を記載します。支払金額と同じく、未払いがあるため税金を徴収できていない場合も、その合計を計上し、未払額を内書きしておきましょう。

⑥(摘要):特段の理由がある時に記載が必要な項目です(診療報酬の内、家族診療がある場合、災害で税金の徴収猶予を受けた場合、等)。一般的な場合は、記載の必要はありません。

⑦支払者:支払調書を作る法人・事業主の情報を記載します。住所・氏名または名称・マイナンバーを記載します。相手方に支払調書を交付する場合は、マイナンバーを記載したものの交付はできないので、注意しましょう。

実務を行う上で特に注意したいのは、

  • 支払額の合計は、12月時点での未払い分まで含めて計上する
  • 報酬を支払った相手に交付する場合は、マイナンバーを記載しない

という2点です。作業する際に迷いがちな点でもあるので、あらかじめ頭に入れておきましょう。

まとめ

今回は、法定調書の一種である「支払調書」について、源泉徴収票との違いや、発酵に関する注意点を解説していきました。

記載する項目も少ない書類なので、注意すべきは金額の計算の部分のみ。「1月~12月の支払額と源泉徴収額を、未払い分まで含めて計上する」という点を理解しておけば、難しいことはありません。

支払調書の意味や役割、作成上の注意点を理解し、スムーズに実務を進めましょう。

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(執筆:創業手帳編集部)

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