日本の医療は「聖域」のままでいいのか? 「Medical Future Map vol.1」レポ

創業手帳

未来の医療を考えるイベント「Medical Future Map vol.1」の参加レポをお伝えします。

(2018/11/26更新)

2018年11月21日、東京渋谷で未来の医療について考えるトークイベント「Medical Future Map vol.1」が開催されました。日本の医療の課題と、今後の発展のために何をすればいいのか、医療従事者と利用者の垣根を取り払って様々な角度から意見交換することを目的としたイベントで、全6回開催を予定しています。
記念すべき初回は、創業手帳の「創業ストーリーアワード」で大賞に選ばれたシェアメディカルの峯啓真氏、あすかクリニック紀尾井町院長の織田聡氏、元Lenovoの社長で、経営者支援事業を展開する株式会社HIZZLE代表取締役の留目真伸氏が登壇しました。

それぞれの領域から見た医療の課題と未来

イベントのメインテーマは、登壇者それぞれの領域・視点から見た現在の医療の課題と、改善・アップデートの可能性についてでした。

医師・薬剤師・鍼灸師と幅広く医療に従事してきた織田氏は、現状日本では医療に関わる職種間の連携がうまく取れていないこと、一般利用者が適切な医療を選択するための教育やステップが不足していることを課題としてあげました。
日本の医療を「5つ星ホテルかカプセルホテルしかないような状況」と例え、一般利用者が健康トラブルを抱えた時、病院に行く前段階でどんな治療を受ければいいのか気軽に相談できる場所など、中間となるサービスが抜け落ちている現状を改善する余地があると伝えました。

あすかクリニック紀尾井町院長の織田聡氏

医療現場を「コミュニケーション」という視点でイノベートするためのチャットツール「メディライン」を開発した峯氏は、日本の医療の課題を「“医療のかかり方”を教えてくれる場がない」点にあると指摘。本来、医療を利用する人たちには自らに合う処方を選択する権利がありますが、日本の医療はいまだに「専門家にしか理解できない聖域」のような扱いになっており、医療関係者と生活者のコミュニケーションや情報共有が断絶しがちです。医療現場では同じ病気や症状であっても、人によって求める処方や対応が異なることも多々あり、最適な処方を提供するためにはより密なコミュニケーションが求められます。峯氏は、現状利用者の多様なニーズを、医療制度の枠内で定められた処方だけで満たすには限界があり、利用者が自分で適切な医療を「選択」できるように啓蒙の機会を増やす必要があると述べました。

シェアメディカルの峯啓真氏

医療従事者も利用者も、双方向で議論できる空気を作る

これまで経営者として他業種との連携に携わってきた留目さんは「医療はサービスとして語られることが少ないが、サービスとしてみると他の業種に比べて非常に顧客満足度が低い領域」と指摘することに始まり、医療を経営視点、生活者視点での改善することが必要だと述べました。そのためには、将来的に業種を超えて健康に関わるサービス同士がつながり、「多様性がある中でユーザーが医療を選べる環境になればよいのではないか」と話すと、峯氏、織田氏ともに大きく頷いていました。

HIZZLE代表取締役の留目真伸氏

今回のトークイベントは、普段業界以外の場でコミュニケーションを取る機会の少ない医療関係者と、他業種や生活者(参加者)が同じ場に集まって直接議論を交わす場を設けることで、これまで「変えることが難しい聖域」と言われてきた医療業界の在り方を問い直し、新たな改善の可能性を探る試みでした。イベントを主催したEDGEofのコミュニケーションビルダー、柳原暁氏は、初回を終えて

「このイベントは、まずは医療従事者も利用者も一つの場所に集まることで、医療について双方向で議論していいんだ、という空気を作っていくことを主眼にしています。これから先、同じイベントを今度は全国各地で開催したり、次のアクションにつながるヒントを6回開催から得られればいいなと思います」

とコメントしました。今後も「理想的な未来の医療」実現に向けて刺激的な議論が交わされる場になりそうです。

(編集:創業手帳編集部)

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