マーケティングの最新トレンド解説!2021年の傾向は
コロナの環境変化に順応したマーケティング手法の普及・進化がトレンドに
マーケティングにはその時々のトレンドがあります。2021年は、新型コロナによる環境変化によって広がったマーケティング手法のさらなる普及や進化がトレンドの中心となると見込まれています。
今回の記事では2021年のトレンドとなる6つのマーケティングの手法について紹介します。今後のマーケティング手法を検討する上での参考にしてください。
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この記事の目次
マーケティングにも流行がある
マーケティングの手法には時代に応じた流行が存在します。消費者の行動の傾向や注目するコンテンツなどは年々変化するため、集客効果の高いマーケティング手法もその時々によって異なります。
例えば2000年頃には、インターネットの一般化に伴い、オンライン広告などを活用したデジタル・マーケティングがトレンドとなりました。
新聞・テレビなど、従来型のマスメディアと比較して、消費者が能動的に情報を取捨選択できるようになったため、より消費者のアクセスを集めるべく、Webコンテンツが工夫されるようになったのです。
また、2010年以降には、Twitterを始めとしたSNSによるマーケティングがトレンドに。SNSの特徴である消費者との双方向のコミュニケーションや、消費者による自発的な拡散効果がマーケティングに積極的に活用されるようになりました。
このように、マーケティングにはその時々によってトレンドが存在します。では、 最近のマーケティングのトレンドについて解説していきます。
最近のマーケティングトレンド
足元のマーケティングトレンドを考える上で無視できないのが、2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスを背景とした環境変化による影響です。
世の中の多くの人々は新型コロナの感染抑制のために、ソーシャルディスタンスにより対面での人との交流や大勢の人が集まる場所への訪問などを敬遠するようになりました。
一方で、Zoom、WebEx、Teamsをはじめとしたオンラインサービスの急速な普及と、オンラインを活用した双方向コミュニケーションを積極的に活用するようになったのです。
マーケティングにおいても、対面での営業活動やイベント集客といった従来の手法での集客がしづらくなりました。イベントについては政府から自粛を要請される場合もあり、企画すること自体が高いリスクを伴うマーケティング手法になっています。
また、新型コロナの普及以前はあくまで対面営業の代替手段に過ぎなかったオンラインによる営業が、主力のマーケティング手法としてトレンド化したのも見逃せません。
オンラインコミュニケーションサービスの多くが大勢への同時発信にも対応していることから、オンラインイベントなどの新たな手法も急速に普及しました。
2020年は新型コロナによる環境変化を背景にマーケティングのトレンドが大きく変化した年でした。2021年は、これら2020年に普及した新たなマーケティング手法の一層の普及・進化が進む年であると見込まれています。
2021年マーケティングトレンド
続いては、2021年のマーケティングトレンドを解説していきます。いずれも今後高い集客効果が見込める手法のため、今後のマーケティングに活かされていくいくと考えられます。
コロナ関連のコンテンツは2021年もトレンドに
コロナの完全な収束の見通しが立ちにくい中、消費者を取り巻く環境変化を踏まえたコンテンツの工夫が引き続き重要になります。
新型コロナによる環境変化のなかでは、消費者は従来よりも以下のような特徴を持つコンテンツにより高い興味を持ち、また魅力を感じるようになりました。
- 衛生さ・清潔さを感じられること
- 直接人との接触せずに他人とのコミュニケーションを持てること
- コミュニティの中で物事を「シェア」し合えること
新型コロナにより消費者は衛生面にとても敏感になりました。そのため、衛生さ・清潔さを感じるコンテンツに対して強い安心感を抱くようになっているのです。
また、新型コロナの感染リスクの抑制のために、対面での直接的なコミュニケーションが敬遠される時代に。そのため消費者は「対面せずにコミュニケーションを取る方法」を求めています。
このニーズを見たすコンテンツに、消費者は高い魅力を感じるようになったのです。
さらに、消費者はモノや情報をシェアし、またそれによってコミュニティにおける一体感を得ることを求めています。
2020年に初めてコロナの感染拡大が報じられた頃には、トイレットペーパー、消毒薬、一時はカップラーメンなど多様な物品の欠品・買い占めなどを経験しました。
まだその時の記憶が鮮明に残っている消費者は、情報やモノを柔軟にシェアし合える環境を好むようになっているのです。
また、他人とシェアし合うことによって、ソーシャルディスタンスによって隔たりを感じるようになった孤独感を緩和し、コミュニティににおける一体感を得られることに対しても安心感を覚えるようになりました。
今後広告をはじめとした情報発信をする際には、以上のようなコロナによって変化した消費者の志向を踏まえて、コンテンツの内容やキャッチフレーズなどを工夫することをおすすめします。
会話型マーケティングで親近感を醸成
直接会ってコミュニケーションをとることを控える風潮が広がる一方で、オンライン通話ツールの普及により、家にいながらにして他人と顔を見て会話することはむしろ容易になりました。
また、消費者は直接でのコミュニケーションの機会が減った分、オンラインでの会話を通じた人とのつながりを積極的に持つようになっています。
このような状況の中、オンライン通話を活用した会話型のマーケティングが、積極的に取り入れられるようになっています。
以前は手軽さを背景に、「気軽な消費者とのコミュニケーション手段」としてLINEチャットやSNSのダイレクト・メッセージなどが活用されてきました。
現在は、もっと踏み込んだ内容でもオンライン通話を通じてプレゼンテーションをするようになっています。このような変化は企業のマーケティングにとってチャンスです。是非、オンライン通話を活用した積極的なマーケティングの実施をおすすめします。
バーチャルイベントによる大量集客マーケティングが一般化
オンライン通話機能などを活用したバーチャルイベントの実施が進められたことは、2020年のマーケティングにおける大きなトレンド変化でしたが、このバーチャルイベントは今後はより一般化できると想定されます。
バーチャルイベントは、感染リスクを抑制できるということ以外にも、主催企業や消費者それぞれに次のようなメリットがあります。
【主催企業】
- 一般的に金銭的なコストが安い
- 会場設営・当日の運営などによる人的な負担が少ない
- キャパシティの制約が少なく、コンテンツの工夫次第で大量集客が可能
【消費者】
- 会場に行く手間が削減できる
- 録画・録音などが用意されているケースでは、自分の都合に合わせて参加できる
- 自室などコンテンツに集中できる場所で参加できる
2020年にバーチャルイベントが相次いで実施されたことにより、企業・参加者とも以上のようなメリットを実感するようになりました。
今後は、主催企業のバーチャルイベントをおこなうためのノウハウの蓄積や、マーケティングやイベント代行などを中心にバーチャルイベント開催をサポートするサービスの普及なども想定されます。
メリットの大きさを背景に、バーチャルイベントは2021年の一時的なトレンドにとどまらず、新型コロナが収束したのちも主要なマーケティングにおける集客手段の一つとして、発展していくでしょう。
動画コンテンツの活用は一段と普及
2020年には、すでに多くの企業が動画コンテンツによるマーケティングを重要な手法の一つと位置付けていました。
それでも改めて注目すべきであるほど、2021年は動画コンテンツによるマーケティングが加速すると見込まれています。そこには大きく3つの要素があります。
まず、動画コンテンツが対面型・会話型のマーケティングの機能の一部を代替可能であることです。商品のプレゼンや不動産の物件紹介のように、従来であれば対面で営業されていたものが、予め企業が撮影した動画コンテンツによる代替が進んでいます。
オンラインイベントでは、従来型の終客イベントであればライブでおこなわれていたであろうプレゼンテーションの一部を動画に置き換える動きも見られます。
二つ目は、コロナより一足早く注目されていたYouTubeなどの動画配信サービスとの連携がより一層積極化したことです。動画配信サービスでの動画発信が、対面営業などの代わりとして高い集客効果を持つようになっています。
そして最後に、以上の状況を背景にビジネスチャンスを見出し、動画作成サポートなどをおこなう企業・サービスが増え、質の高い動画コンテンツが容易に作成可能になったことです。
動画作成に知見のない企業でも、専門企業の知見を活用して質の高い動画が作成できるようになりました。また最近では素人でも簡単に動画編集などができるアプリなどが多数出てきています。
以上のような環境が動画によるマーケティングの普及を一層加速するでしょう。
この流れに乗り遅れることなく動画発信を積極化することが重要です。一方で、ここまで普及すると競合する動画コンテンツも多くなると想定されます。充分な集客効果を得るべく、より一層動画コンテンツを工夫することが重要になってくるでしょう。
マーケティングツールとしてのSNSは取捨選択の時代へ
2010年代のマーケティングトレンドの中心の一つであったSNSは、今後も重要なマーケティング手法と位置付けられるでしょう。
ただし、SNSの普及については一巡し、今後は各企業が自社のマーケティングに適したSNSを取捨選択の上、特に効果の高いSNSに焦点を絞ってマーケティングが進められるようになると想定されます。
具体的には、以下のような評価軸をもとに、各企業が自社の「主力SNS」を絞り込んでいくと考えられます。
- SNSのユーザー層と自社のターゲットの親和性
- 「そのSNSでなければリーチできない」消費者層の規模
- SNS以外のデジタル・マーケティングとの連携
(例えばLINEはSNSの一種でありながら、様々なLINEサービスと連携させたオンライン広告も発信できる、など) - 発信したコンテンツの特性(画像中心、短文、長文、など)
SNSマーケティングの運用には相応の専門性が必要とされ、またコストもかかります。そのため、いたずらに様々なSNSで発信するのは効率的なマーケティングとはいえません。
自社の得意とするSNSの気づいた企業から、SNSの取捨選択を進めていくことが、今後のSNSマーケティングのトレンドとなると考えられます。
海外のマーケティングトレンドはSDGsの活用
最後は、海外での顧客開拓を推進する企業にとっては特に重要なSDGsのトピックです。
日本でも環境貢献・社会貢献などを意味するESGと相まって、持続的に社会が発展していくための貢献を示す「SDGs」の概念は普及しつつあります。
一方で、海外においてはこのSDGsに対する意識は日本よりも圧倒的に高く、多くの企業が自社のビジネスによる社会貢献を全面に出してマーケティングをおこなっています。
SDGsは、2010年代の後半頃から海外では注目度が高まっていました。また新型コロナの流行も、疾病予防や衛生レベルの向上、ワクチン普及などがSDGsに資するとして、一段とSDGsが重視されるきっかけになりました。
SDGsでは社会の持続的発展に役立つ17にカテゴリズされたゴールを打ち出しているものです。各企業はこの17のカテゴリのうち、自社のどのビジネス・取り組みがどの貢献につながるかを明確にし、広告などで積極的に発信しています。
SDGsの取り組みが低い企業とは一切取引をしない、というスタンスの海外の消費者・企業も少なからずいます。海外顧客の開拓を目指す場合には、SDGsへの貢献を示すコンテンツの発信がとりわけ重要になるのです。
まとめ
新型コロナの収束が見通せない中で、引き続き消費者の意識は新型コロナに対する対策や環境変化に向くと想定されます。
環境の大きな変化の中で新たなマーケティング手法が生み出されましたが、各企業のマーケティングに対する研究により、それらの有用性や工夫の仕方が明らかになってきているのです。
こうしたノウハウの蓄積により、2021年は新型コロナを踏まえたマーケティング手法の一層の普及や進化がおこると考えられます。
今回はその中でもトレンドの中心となる6つのマーケティング手法について紹介しました。ぜひ、今後のマーケティングを進める上での参考としてください。