M&Aの注意点とは。失敗しないためにも買い手、売り手のリスクをきちんと把握しよう

事業承継手帳

M&A実行後の企業経営を見据えながらスムーズに案件を進めるためのポイント


M&Aの準備や交渉や実行においては、複雑な多くのプロセスに対応していかなければいけません。

適切に対応しなかったために、M&Aの案件が不調に終わる場合もあります。また、M&Aを完了させることを意識しすぎて自社の将来にとってベストではないM&Aを実行するリスクもあります。

この記事では企業や事業の買い手・売り手双方の立場で、M&Aにおけるリスクや注意点を紹介します。企業戦略の一つとしてM&Aの実施を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

そもそも「M&Aなんて関係ない」とお考えの方もいるかと思います。実はM&Aは事業の成長を加速化させるための手段として非常に有効的であり、それは大企業にとってだけでなく中小企業にとっても使える策なのです。また「起業しよう」とお考えの方にとっても、M&Aで起業のスタートをするのはメリットが多くあります。そこでもっとM&Aについて知っていただきたく創業手帳は「中小企業のための『M&Aガイド』」をリリース!無料進呈中ですので、是非こちらもあわせてお読みください。


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M&Aの様々なリスク


複雑なプロセスが連続し、また企業経営に大きな影響を及ぼしうるM&Aには様々なリスクが存在します。次から紹介するリスクによりM&Aが成約に至らないばかりか、企業経営に悪影響をおよぼす可能性もあります。

なお、M&Aのリスクは「買い手・売り手に共通するリスク」「買い手のリスク」「売り手のリスク」の3つに分類できます。M&Aのリスクについて充分に認識したうえで、M&Aの是非を改めて検討してください。

買い手・売り手共通のリスク

M&Aにおいては買い手・売り手が共に留意しなければならないリスクが複数あります。次に紹介するリスクに対処することが、スムーズな案件進行や自社にとってベストなM&A実行につながるのです。

M&Aの目的が不明確なまま実行してしまう

M&Aは企業の将来を左右する重要なアクションなので、企業の将来にプラスになるように進めなければなりません。しかし、現実にはM&Aを行う目的やゴールが不明確なまま、案件を進めてしまうケースもみられます。

その結果、費用対効果の薄い取引となり、企業成長につながらない、むしろ企業経営を圧迫する要因となるリスクもあります。まずは、なぜM&Aを検討しているのか、M&Aを行った結果としてどのような企業の姿を目指しているのかを明確にしたうえで、M&A実行の是非を検討してください。

また、仮にM&Aを進めるとなった場合には、買い手・売り手の経営権の関係や組織の形態、既存の組織や従業員のあり方など、検討ポイントは多岐にわたります。M&A実行後の企業経営の在り方をふまえて、適切なスキームで進めていくことが大切です。

情報漏洩を引き起こす

M&Aは案件がオープンになるまで「M&Aの交渉を進めている」こと自体が機微情報の一つとなります。また、M&Aの交渉をする中では、相手企業の様々な情報を知り、また自社の情報を共有することに。その中で情報漏洩が発生するリスクに対して、万全な対策が欠かせません。

情報漏洩を引き起こすと、相手企業に迷惑が掛かり、さらにM&Aの案件中止に至る可能性が高くなります。もし相手企業に損害を与える漏洩だった場合には賠償問題に発展するおそれもあります。また、自社の情報を漏洩させた場合、それがビジネスに損害を与えて、将来の成長機会の逸失や企業の衰退に繋がるリスクもあるでしょう。

社員やステークホルダーの反発を招く

企業を経営しているとさまざまな利害関係者が存在します。特に重要なステークホルダーがM&Aに反発すると、将来の企業経営に影響をおよぼすリスクがあります。

まず疎かにしてはいけないのが社員です。社員の反発がM&Aを失敗に追い込んだり、M&A実行後の企業成長の阻害要因になるケースは少なくありません。M&Aについて社員にオープンにできるタイミングが訪れたら、丁寧な説明で理解を得ることが肝心です。

M&Aに際しては、企業成長のために一部社員の待遇変更やリストラなど、個々人にとっては不利益となるようなアクションが必要な場合もあります。こうした場合は一定の反発を受けるのは避けられませんが、不利益を受ける社員に対する充分なケアと交渉が欠かせません。

また、取引先など社外のステークホルダーからの反発にも注意が必要です。売買を行う相手の信頼の低さや、目的の見えないM&A実行などが取引先との信頼関係を悪化させるリスクもあります。

自社とM&Aの相手企業の事業環境および関係性に関する的確な理解や、案件がオープンになったあとのステークホルダーへの丁寧な説明が肝心です。M&A実行の検討や、売買相手の選定などにおいては、重要なステークホルダーへの影響を充分に留意しましょう。

ノウハウ不足のまま無理に進めてしまう

M&Aにおいて金融、企業経営に加え買収相手、自社のマーケット環境への理解など多岐にわたる分野の深い専門性が求められます。相手と自社に知識の差があると、自社にとって不利な形で取引を進められる可能性もあるのです。

多くの企業にとってM&Aは「本業」ではないため、M&Aにおける専門性は必ずしも高くないといえます。そのため、アドバイザーを活用して、専門的な部分については助言やサポートを得ながら案件を進めていくのが定石です。

買い手が留意すべきリスク

M&Aには買い手固有のリスクも存在します。売り手の企業や事業の理解不足や、不適切な価格設定、買収後の対応不備などが企業経営の悪化につながる恐れがあります。

売り手の企業についての理解不足

買収する企業については、候補先を選定する段階で充分に理解を深めておく必要があります。

そもそも相手企業への理解がなければ、自社の目的に沿った企業を買収することなどできませんし、のちのちのデュー・デリジェンス(買収をおこなう際の買収企業の監査や価値評価)や買収価格交渉を適切に進めるのも難しくなります。

売り手企業への理解不足が買収価格を見誤るなどしてM&Aの進捗自体を阻害する恐れがあります。買収した事業と既存ビジネスとのシナジーが発揮できず、かえって経営を圧迫するリスクにも留意が必要です。

買収価格設定の失敗

買収価格の適切な設定はM&Aの成否をわける重要な要件です。特に買い手企業にとって、買収価格の支払いは多大なコストとなります。

M&Aでは、将来の成長を見込んで、現時点で計上される純資産より割高な価格で買収されるケースが少なくありません。

その場合には、上乗せ価格部分が「のれん」として計上され、バランスシートの拡大や財務バランスの悪化にもつながります。買収価格が割高になれば、財務に対するインパクトも大きくなり、将来の企業経営に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

買収後の組織統合の失敗

買い手にとってM&Aは契約を締結してからがある種のスタートです、契約上自社に取り込んだ企業や事業を、自社に存在した既存の機能と組織的にうまく統合していかなければなりません。

元々は全く別の組織だったため、部署の機能が重複していたり、業務プロセスが異なっていてうまく進めなかったりと様々な弊害が想定されます。こうした弊害を放置していると、もともと思い描いていたシナジーが発揮されず、経営効率の悪化などを引き起こす恐れもあります。

売り手が留意すべきリスク

続いては売り手にとって留意すべきM&Aのリスクです。交渉期間中の業績悪化や割安な価格での売却、売却に伴う企業の弱体化などが主なリスクとして考えられます。

売却期間中の業績悪化リスク

買い手が売り手企業の資産価値を算出するうえで、そのビジネスから期待できる収益性は重要な判断材料の一つとなります。そのため業績悪化が生じれば企業価値の算定に影響が出る恐れもあり、買収価格の引き下げやM&A交渉の決裂などに至る可能性もあります。

大前提として業績の予測が立たないタイミングや、一過性の要因で業績が上振れたタイミングなどではM&Aを控えるか、せめて交渉過程で買い手に正確に状況を伝えるよう配慮しなければなりません。

事業の不確実性についてどこまで伝達すれば良いのか、自社のみで判断するのは容易ではないので、アドバイザーやコンサルなどの助言を得ながら、適切な情報共有や案件実行を進めましょう。

相手への尊重を怠る、逆に言いなりになる

M&Aは本質的には買い手、売り手の間に上下関係を生じさせるべきではなく、対等な交渉のもと進める必要があります。ただし、買い手が多大な金銭を支払うという事実を見逃してはいけません。

相手の考えや意見を尊重しながら交渉を進めなければ、買い手は金銭を出すのを嫌がり、交渉が不調に終わるリスクもあります。

一方で「相手がお金を出してくれるのだから」と相手の言いなりになるのも健全な取引関係とはいえません。無理難題な要求や、自社にとってメリットが小さい買収価格に対してはより優位な交渉の実施や、売り手側からのM&A交渉の中止など、毅然とした対応を行うことが大切です。

売却後の経営への対応不備

部分的な事業売却の場合や、子会社などの形で買収されて一定の経営機能が存続する場合は、売却後の企業経営を適切におこない、更なる企業成長を目指す必要があります。売却後の組織や経営に対する対応が不充分では、企業の弱体化を引き起こすこととなるでしょう。

部分的に事業を切り出した場合、その機能が失われたことで事業にマイナスの影響が出る恐れがあります。同じ機能を外注する、別の部署で代行していくなど、失われた機能を補って速やかにマイナスの影響を緩和しなければなりません。

子会社の形で企業経営を継続する場合は、親会社となる買い手企業との関係性や、経営上の裁量の範囲、売り手企業側の従業員の取扱いについて配慮しなければ、組織全体の弱体化をもたらす恐れもあります。

子会社を守りたい子会社組織と効率性や更なる成長を追求する親会社はしばしば方針に齟齬が生まれがちです。子会社としての意向を貫くか、親会社の考えを受け入れて進めるか、慎重で的確な判断が求められます。

M&Aで失敗しないための対策


M&Aにはここまで紹介したような多くのリスクが潜んでいます。M&A交渉が決裂したり、M&Aの実行がかえって経営上マイナスに働いたりする事態を防ぐうえでは、次のポイントについておさえておくのが有効です。

買い手・売り手に共通する対策

M&Aにおいては、買い手・売り手とも考えておくべきことや取り組むべきアクションが存在します。まずは、双方に当てはまる対策についておさえておきましょう。

M&Aにおける目的を明確に

まず、M&Aの目的と、目的を達成するための意向を明確にしておきましょう。例えばM&Aの目的は売り手・買い手で以下のようなものが考えられます。各社の事情を踏まえて目的を整理しておいてください。

買い手の目的の例
  • 事業規模の急速な拡大(同業他社の買収など)
  • 事業の多角化(異業種の買収など)
  • 事業の効率化(取引先や業務プロセスで関わる事業の買収など)
売り手の目的の例
  • 財務状況の改善(赤字事業の売却)
  • 事業投資のための資金調達(資産価値の高い事業の売却)
  • 事業ポートフォリオ整理(方針に合わない事業の売却)
  • 経営再建や支援(全社売却)
  • 事業承継(全社売却)

この次にM&Aにおける意向を整理しますが、そもそもM&Aの目的が明確でなければ、行うべきM&Aのスキームも決まりません。まずはM&Aの目的やゴールを明確にすることがなによりも重要です。

M&Aの意向を整理

続いて、M&Aの意向を整理します。売り手・買い手とも交渉を進めるまえに、自社としてどのような形でM&Aを進めたいか明確にしておいた方が、失敗が少ないでしょう。

M&Aの意向を整理するうえでの主な着眼点は以下の通りです。

売り手企業の存続について
買収後に、企業を消滅させて買い手企業の一組織とするのか、完全子会社化するのか、あるいは連結子会社や関連会社どまりなのか、売り手企業の経営権の残し方によって変わってきます。

例えば、事業承継の場合は消滅・完全子会社を目指すケースが多いですが、事業再生などの場合は、売り手企業の経営者が、ある程度の経営権の維持を求める可能性が想定されます。

売り手企業の経営陣や社員の取扱い
売り手企業の経営者・役員や社員の取扱いも問題となります。完全な事業承継でない限り、売り手企業は経営者や役員の一定の地位を希望するケース、社員についても好待遇の維持を希望する傾向にあります。

買い手企業としては、売り手企業にも一定の配慮を示しつつも、買収事業と既存ビジネスのシナジーと効率性を踏まえつつベストな組織の構築を目指さなければなりません。

取得する株式比率
会社の存続形式は、M&Aの株式比率に影響を与えます。消滅させる場合や完全子会社化する場合には売り手の株式を100%取得する必要があります。

連結子会社なら50%以上を買い付けなければなりません。関連会社どまりの場合は、買い手・売り手それぞれの経営権をどの程度残すかをふまえて、株式の取得率を考えることになります。取得率が高いほど、他の条件が同じであれば買収価格が高くなる要因となりますので、費用対効果を踏まえて的確な比率を検討しなければなりません。

なお、M&Aの方向性については、当初思い描いた意向通りにならない場合もあります。M&Aの目的が実現できる範囲内においては、全ての意向を満たす必要はありません。

譲歩できる意向と、M&A交渉自体を決裂させてでも譲れない条件を的確に整理するために、あらかじめM&Aの目的と、目的を踏まえた意向の整理が重要になります。

専門家の効率的な活用

買い手にしても売り手にしても、自社のみでM&Aを完遂させるのは困難です。一定の費用がかかるとしても、M&Aのマッチングサービスやコンサル、会計士や弁護士などのアドバイスやサポートを活用して、トラブルや失敗を予防すると共に、自社にとってベストなM&Aを実現させましょう。

成長企業や中小企業においては、オンラインベースでのM&Aマッチングサービスを活用するのが有効に。近年は低コストでM&Aの専門家のサポートを受けながら、売買相手の選定や契約締結に向けた交渉や作業を進められます。

重要度の高いM&Aでは、経営コンサルなどのアドバイスを基に、中長期的な成長につながるM&Aスキームを策定する必要があります。また、財務的な対策や法制度面の対応などについては会計士や弁護士などそれぞれの専門家を活用することも欠かせません。

情報管理への対策

情報漏洩への対策は、買い手企業、売り手企業双方にとって非常に重要です。自社だけではなく交渉相手の企業にも迷惑をかけるリスクがあるため、徹底的な情報管理が求められます。

例えば次のような対策が考えられます。M&Aに取り組むからと言って急ごしらえで構築できるものではないので、日頃から情報管理体制を整備しておくことが重要です。

情報管理に関する対策の例
  • 効率的な情報管理を実現するツール導入
  • 情報持ち出しの制限やルールの徹底
  • M&Aの検討や交渉にあたる社員の厳選と固定化や専業化
  • 情報発信プロセスの明確化

買い手企業における対策

続いては買い手企業にとって特に重要な対策について紹介します。

買収企業の厳選

M&Aが完了したのちは、買収企業と共にさらなる成長を追求していくことになります。何よりもまず買収企業の候補を厳選することが何より大切です。

企業のビジョンに合っていて、かつ質の高い組織をもつ企業を選ぶのが理想ですが、完璧な買収先は早々見つからないので、専門家やマッチングサービスなどを活用しながら、可能な限り優良な売り手企業を探すことになります。

デューデリジェンスの適切な実施

デューデリジェンスは、買収先企業が法制度やコンプライアンス、財務面で問題ないことを審査し、さらに企業の価値評価を行って買収価格を検討する作業で、M&Aの成否を分ける非常に重要なアクションとなります。

ここで手抜かりがあると、買収後に問題が発生して企業に損害を与えたり、資産価値を過大評価して割高な価格で購入してしまったりする原因となります。売り手企業の実情や市場環境、関連する法制度への理解も深めながら、慎重な審査が求められます。

デューデリジェンスは、数あるM&Aのプロセスのなかでもとりわけ高い専門性が求められる作業です。自社内で完結させようとせず、専門家と連携しながら進めることが望ましいといえます。

買収条件の精査

買い手にとって買収条件は今後のコストや経営方針を左右する重要なポイントに。M&A後の企業成長を促進するうえでプラスとなる条件での買収に向けて、慎重な交渉が求められます。

次のようなポイントが買収条件において特に重要なポイントとなります。以下のポイントを中心に、自社のM&A目的に沿ったものとなっているかを精査しなければなりません。

  • 株式取得の比率
  • 買収価格
  • 売り手企業の経営陣や社員の処遇
  • 契約時期や引き渡しの時期

PMIを適切に計画・実行する

買い手においてはM&A完了後は、PMI(Post Merger Integration)を進めていくことになります。PMIとはM&Aをおこなった二つの企業を組織として統合して、一つの企業組織として円滑に経営し、さらなる企業成長を実現するために進めていく作業です。元々は別々の企業だったため、例えば次のような点で両社で相違点があります。

  • 企業文化
  • 組織構造や規則、制度
  • 業務プロセス
  • システム

PMIを速やかに、そして的確に行って、当初期待していたシナジーが発揮される体制を構築していかなければいけません。

売り手企業における対策

続いては売り手企業がM&Aを意向通り進めていくための対策について整理します。次の対策をしっかりと行って、M&Aを今後の企業成長に役立てていきましょう。

買収後の企業の将来像の検討

売り手企業でも買収後の将来像を的確に描く必要があります。特に部分的な事業売却の場合は、本体は存続し、事業売却により多額の資金が手に入ります。獲得した資金をどのような事業投資に充てて、企業成長を加速させるのかまで考えておくことが大切です。

子会社化される場合は、どの程度自社の裁量を残すのか、親会社と連携してどのように発展していくのか整理する必要があります。親会社の支援のもと更なる成長を追求する方向性のほか、親会社への吸収に向けて緩やかに組織を縮小させていく方向性も考えられます。

完全子会社化や組織の消滅が見込まれる場合でも、社員の処遇については、過度な不利益が出ないよう配慮する必要があります。現経営者が退いた後の社員のキャリアを守るためにベストな選択を考えていかなければなりません。

デューデリジェンスにおける誠実な回答

売り手企業は、買い手企業によるデューデリジェンスを受ける側の立場となります。ここで買収価格を引き上げるために不当に企業をよく見せるのはトラブルの元となるので、あくまで誠実かつ正直に自社の現状や将来性を共有することが大切です。

経営陣が誠実に対応したつもりでも、本来伝達すべき内容を不用意に失念してしまうリスクもゼロではありません。デューデリジェンスにおいては回答する売り手側も、会計士や弁護士など専門家と相談しながら、法制度・コンプライアンスの視点から望ましい回答内容を整理してください。

自社の意向に沿った条件の実行を徹底

売り手企業にとってもM&Aの条件は非常に重要ですが、M&A実行後の姿によって重要なポイントは異なります。

部分的な事業売却や連結子会社やグループ企業など現経営者に経営権が残るスキームでのM&Aでは売却価格が重要になります。獲得した売却資金が潤沢なほど今後の事業投資や財務改善の選択肢が広がるからです。

一方で、完全子会社や吸収合併など経営権がなくなる場合には、経営者や社員の処遇条件の方が重要になってきます。自社の意向をふまえて望ましい条件となっているかを慎重に精査して、必要に応じて条件改善に向けて交渉をおこないます。

リスクをふまえた的確な対策でM&Aを優位に進めよう


M&Aは金銭面、リソース面で負荷がかかる一方で、企業の将来を左右する重要性の高いプロセスです。また、さまざまなリスクがあり、失敗すると企業の成長を阻害したり、財務を圧迫する原因となりかねません。

売り手・買い手とも今回紹介したようなポイントに留意して、自社のM&A目的を達成するうえでベストな形でM&Aを実行することが大切です。また、自社のみで無理に進めようとせず、M&Aに関するサービスや専門家をうまく活用して、スムーズにM&Aにおける精査や交渉を進めましょう。


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