公庫や銀行から融資を断られたらどうする?断られる理由と対策方法を解説

資金調達手帳

融資を断られた理由や対策方法を知り、資金調達を成功させよう


自己資金ゼロではリスクが高いため、事業をスムーズに行うためにも融資を受けて資金を調達しておきたいと考える方も多いのではないでしょうか。
そのような時に融資を断られてしまった場合、これから先どうすれば良いのかと思い悩んでしまうかもしれません。

そこで今回は、融資を断られた際にやるべきことを4つのステップに分けてご紹介します。
融資を断られた方をはじめ、これから申込みを考えている方はぜひ参考にしてください。

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融資を断られた時にやるべき4つのステップ


融資を申し込んだにもかかわらず断られた場合にすべきことは、断られた理由を把握すること、問題点の解消・改善をすることです。
その上で再度融資を申し込むか、あるいは違う資金調達方法を検討するかのいずれかを選びます。この4つのステップについて詳しく解説します。

1.融資を断られた理由を把握する


まずはなぜ融資を断られたのか、理由を把握する必要があります。断られた理由によっては再び申し込める可能性もあるからです。
理由がわからなければ改善すべき点もわからず、同じ結果になるのは目に見えています。

次の審査で通るためにも、断られた時は必ず公庫や金融機関から審査に落ちた理由を聞き出してください。
例え申し込まないとしても、断られた理由を知ることはほかの資金調達方法を検討する際にも役立ちます。

ただし、落ちた理由を担当者に尋ねても、曖昧に返答されることが多いようです。詳しい理由を教えてもらえない時は、金融庁の監督指針について触れてください。
金融庁の定めた「中小・地域金融機関向けの総合的な指針」では、融資を断る場合、可能な範囲で断る理由を説明しなければならないとされています。

以下では、断られた理由が判明した場合の対処法をご紹介します。

1.事業者の信用情報に傷がある

信用情報に傷がついていると金融機関から返済能力がないとみなされ、融資を断られる場合があります。
信用情報とは、個人のクレジットカードやローンに関する利用記録のことです。

ローンや奨学金の返済に滞ったり、クレジットカードが強制解約されたり、自己破産や債務整理をした過去がある場合、信用情報に傷がつくため融資を申し込む際に不利になります。
信用情報は内容によって、5~10年間は記録が残ります。

2.未払いの税金や公共料金などがある

税金の未納がある場合、支払い能力に懸念があるとみなされ、審査に落ちることが高くなります。
特に日本政策金融金庫は政府が出資している公的機関になるため、税金の未納や滞納がある場合、融資を受けられることはまずありません。

また、電気・ガス・水道といった公共料金の支払いに未納や遅れが生じている場合も、信用を失う原因となります。
融資を受けたいのであれば、支払うべきお金はしっかり支払うことが大切です。

3.過去に返済をリスケジュールしている

返済のリスケジュールとは、資金繰りが厳しくなった際に、銀行などの金融機関に交渉し、返済に関する条件を変更や緩和してもらうことです。
融資を申し込んだ先で返済をリスケジュールした過去がある場合、財務状況に問題があるのではと判断され、融資が断られやすくなります。

再度融資を申し込みたいのであれば、現在リスケジュールしている借入れを完済する必要があります。

4.自己資金が不足している

自己資金が少ないと、融資を断られることがあります。自己資金とは自分で貯めたお金のことで、どれだけあるかによって資金管理能力が判断されます。

特に創業融資では借りられる金額は、自己資金の2~3倍が目安です。
自己資金があると見せようと、一時的に家族や知人、カードローンから借りることを思いつくかもしれませんが、すぐに見破られることが多いため避けてください。

どうしても自己資金が足りない場合は、会社の将来性がどれだけあるのか、営業能力や見込客がいることをアピールする必要があります。

5.曖昧な創業計画書になっている

創業計画の内容が曖昧な場合、信憑性がないとして融資を断られることがあります。
創業計画書では事業を始めるにあたり、事業内容や資金調達の方法、今後の見通しなどをまとめることが必要です。

売上げの根拠が曖昧だったり、事業内容から具体的なイメージができなかったりするなど、創業計画書のでき栄えに不安が残る場合、審査に落ちることが高くなります。
創業計画書を作成する際は、金融機関の担当者が納得できるような根拠を示すことが大切です。

6.決算書の数字が良くない

決算書の数字も融資の可否を判断する際の重要な項目です。数字が悪ければ悪いほど、返済能力が低いとみなされるため、融資に落ちやすくなります。

決算書では、売上げに対する借入れの割合や赤字の有無、債務超過していないかなどを売上げ・利益・借入金・固定資産・純資産の項目から総合的に判断します。
決算書の数字が悪い場合は、事業計画書や資金繰り表を用意し、黒字となる見込みが立っているのかを示さなくてはなりません。

7.面接でうまくアピールできなかった

融資を申し込んだ際の面接でうまくアピールできず、担当者を納得させられなかった場合に融資を断られることがあります。
面接では自己資金と創業計画書の内容を確認されるだけでなく、言葉遣い・態度・熱意などから、信頼できる人物なのかチェックされています。

面接で信用できないと判断されないためにも、想定される質問に対し備えておくことが大切です。
言葉遣いや態度に気をつけながら、自分の言葉で説明できるように練習しておくことをおすすめします。

2.融資を断られた原因がわかったら改善・問題解消に取り組む


融資に断られた理由を把握できたなら、次にすべきことは原因を取り除くことです。
再度融資を申し込むにしろ、違う方法で資金調達するにしろ、断られた原因を改善・解消できるよう取り組むことが大切です。

信用情報に傷がある場合

信用情報に傷がついている場合、金融機関から返済能力がないとみなされる恐れがあります。
信用情報に傷がつく理由は多々ありますが、登録された情報が残る期間は5~10年間です。

融資に再チャレンジしたいのであれば、信用情報から傷が消えるまで待つ、あるいは金融機関になぜ傷がついたのかという理由を説明する2つの方法があります。

近いうちに登録期間が終わるのであれば待つのも良いかもしれません。しかし、登録期間が終わるまでまだまだ時間がかかる場合、申し込む際に自ら伝えるのもひとつの手です。
やむを得ない事情であったと判断されれば、融資に通る可能性があります。

ただし、金融機関は必ずしもすべての情報を把握しているとは限りません。調査しないこともあるため、その場合は伝えることで印象が悪くなる恐れもあります。

税金や公共料金などを滞納している場合

支払うべき税金や公共料金などを滞納している場合、融資を断られることがあります。
これは、支払わなければいけないものを滞納するようでは信用できないという理由もありますが、万が一倒産した場合に資金回収ができない恐れもあるからです。

会社が倒産した場合、融資金よりも税金などの債権の回収が優先されます。そのため、融資する金融機関にとっては、融資金を回収できないリスクが大きいと判断されます。

税金や公共料金の滞納がある場合は、未納分を払い終えてから申し込むことが重要です。
ただし、現在はなくても、過去に滞納や遅延があったことを理由に断られることもあります。

借入れの返済が遅れている場合

借入金をリスケジュールしていたり、返済に遅れが生じていたりする場合、新たに融資が通る確率は極めて低くなります。
リスケジュールとは、返済期限を延ばしたり、返済額を一定期間減額したりと返済条件を緩和してもらうことです。

リスケジュールや支払いが遅れた場合、資金繰りに問題があると判断されます。融資を依頼したいのであれば、すでにある借入金を返済する必要があります。

ただし、例え返済が完了したとしても、過去にリスケジュールや支払遅延を起こしたことによる心証の悪さは否めません。
再度申し込むにしても、しばらく時間を空けたほうが無難です。

自己資金が不足している場合

自己資金の不足は、融資を断られる理由になります。一時的に家族や知人、カードローンから借りてもすぐに見破られ、自己資金として認められません。

自己資金として認められるのは、現金預金・退職金・株式・投資信託・有価証券・保険などの解約返戻金などです。
親族からの贈与金は、金融機関によっては自己資金として認められています。自己資金に含めることができるどうかは、事前に確認しておくと安心です。

それでも不足する場合は、自己資金不要で申し込める制度を活用するのもひとつの方法です。
条件に該当すれば利用できるため、自己資金が足りない場合は検討してみてください。

創業計画書や決算書に問題がある場合

創業計画書や決算書に問題がある場合は、担当者を納得させられるように書き直す必要があります。
具体的に書かれているか、実現可能な内容なのかという点はもちろんですが、わかりやすい言葉で書かれているかもとても重要です。

例えば、売上げの予測を記載する場合、ただ金額だけでは根拠が不明で信憑性に欠けると判断されます。
なぜその数値を導き出したのか、市場調査や取引先や見込客など、具体的かつ客観的なデータを示すことが大切です。

また、融資を受けるには創業計画書や決算書の内容をわかりやすく伝える必要があります。長々書いたからといって、熱意や言いたいことが伝わるとは限りません。

むしろ事業者に求められるのは、要点をまとめわかりやすく伝える能力です。
担当者に具体的なイメージが伝わるよう、わかりやすい言葉で端的に書くことを心がけてください。

面接に問題がある場合

創業融資を受ける場合、自己資金と創業計画書の中身のみで判断されるケースがほとんどです。この創業計画書について、しっかりと説明する機会が面接の場です。

面接は約30~40分が一般的で、質問の内容は主に新事業に関する項目が大半を占めます。場合によっては答えにくいものや意地悪な質問をされることがあるかもしれません。
事前に質問を想定し、的確に答えられるよう回答を準備しておくことが大切です。

また、言葉遣いや態度に問題があったり、説明時に創業に対する動機づけや熱意が感じられなかったりする場合も失敗につながる確率が高いので、注意してください。

3.再度融資を申し込む


断られた理由を把握し、問題点を改善・解消できたのなら、再度融資を申し込むのもひとつの方法です。公庫なら最低6カ月待てば再チャレンジが可能です。
しかし、時には変更したほうが良いケースもあるので、以下で詳しく解説します。

融資先を変更したほうが良いケース

これまで取引きの実績がある金融機関ならば、利用し続けたい気持ちもあるかもしれません。しかし、断られた理由によっては、融資先を変更したほうが良いでしょう。
以下に該当する場合は、新たに融資の申込先を探すことをおすすめします。

  • 税金・保険料・公共料金を滞納している
  • 借入金の返済に遅れが生じている
  • 書類内容に虚偽がある
  • 信用情報に傷がある
  • 前回の融資からの期間が短い

金融機関は、融資を断った理由を記録しています。
マイナスイメージの強いものは、例え問題が改善・解消されたとしても心証が悪いため、今後も融資に通る確率は低いといえます。

変更する場合は銀行の特徴を理解して選ぶ

融資は金融機関によって、審査基準が異なる上に得意不得意もあります。融資の申込先を変更する場合は各金融機関の特徴を理解することが大切です。
以下では、それぞれの特徴をまとめました。

・銀行
審査は厳しいものの、金利が低く、会社の社会的信用度も高まります。

・信用金庫
地域が限定されますが、金利が低いため地域密着型の事業を考えている方に向いています。

・日本政策金融公庫
審査期間が長く、提出書類も多いのが特徴です。しかし、政府系金融機関ということもあり金利は低く、自己資金がなくても利用できる制度があります。

・制度融資
行政が斡旋する制度です。比較的審査が通りやすいものの審査期間は長く、保証料が発生します。

・商工会議所
商工会議所への参加と経営指導を受ける必要がありますが、条件に該当すれば低い金利で利用できます。

4.融資以外の資金調達方法も検討してみる


融資が受けられない場合は、ほかの方法で資金を調達することを検討してみてください。
例えば、家族や親戚から援助を受けられる場合には、贈与を受けるのも良いかもしれません。

贈与契約書を作成すれば、贈与契約の証明が可能です。年間110万円を超える場合は、贈与税が課されるため注意が必要です。
ほかにも、インターネット上で不特定多数の人から資金を募るクラウドファンディングや、共同経営者から資金援助などしてもらいサポートを受ける方法があります。

国や地方自治体の行っている助成金や補助金も探してみてください。
自分で自己資金を貯める以外にも資金調達をすることは可能であり、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

まとめ

融資を断られた時、まずは断られた理由を把握し、その上で問題点を解消・改善できるよう取り組むことが大切です。
問題点を解決できたのであれば、再度融資を申し込むと良いでしょう。
しかし、再び申し込んだとしても審査に通るのが難しいようであれば、違う資金調達の方法を検討してみてください。
ただし、融資とほかの資金調達方法のどちらを選ぶにしても、事前に返済計画をしっかり立てることが大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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