リブ・コンサルティング 関厳|“100年後の世界を良くする会社”を増やす!業界初のベンチャー特化型コンサルティングの成功を大企業に転換。その要因に迫る

創業手帳
※このインタビュー内容は2023年01月に行われた取材時点のものです。

コンサルティング業界の革命児が語る、新領域への挑戦を成功させた手法


企業が抱えるさまざまな問題を解決し、事業成長を推進するのがコンサルティングファームです。各社それぞれで得意領域を極めながら、クライアントの未来をリードしています。

約95%のコンサル会社が大手企業向けにビジネス展開する業界において、業界初となるベンチャー・スタートアップ・中堅企業に特化したビジネスモデルで成功を収めたのがリブ・コンサルティングです。

近年では事業開発領域において、ベンチャー・スタートアップで培ったコンサルティングノウハウを大企業に転換する動きを加速。「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」をミッションに掲げ、戦略・組織・オペレーションの領域すべてをカバーしながら、成果にこだわったコンサルティングサービスをベンチャーから大手まで幅広く提供しています。

今回は代表取締役を務める関さんの起業までの経緯や、新たな領域への挑戦を成功させたプロセスと手法について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

関 厳(せき いわお)
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役
東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。住宅・不動産、自動車、電機メーカー、卸売など幅広い業界のコンサルティング業務に従事した後、ボードメンバーとしてコンサルティング部門を統括。2012年「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念としてリブ・コンサルティングを設立。現在は当社代表に加えて株式会社Impact Venture Capitalの代表パートナーも務める。コンサルティング活動以外にも執筆・講演活動も行っており一部著書は国外のアジア諸国でも発刊されている。代表的な執筆書籍として「経営戦略としての紹介営業」「東大生はなぜ会社で使えないのか?」等がある。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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大手コンサル会社から独立!日本の未来を見据えベンチャー・中堅企業をサポート

大久保:まずはご経歴についてお聞かせ願えますか。

:東京大学教育学部を卒業後、新卒で大手の経営コンサルティング会社に入社しました。

10年勤務したのですが、そのうち7年間はコンサルタントやマネージャー、部門長を務め、その後3年間はグループ内コンサル部門の役員として実績をあげています。

大久保:大学をご卒業されてから、コンサル業界で高いスキルを身につけながらキャリアを積んでこられたんですね。そこから起業を決意された理由についてお教えください。

:前職では幅広い業界の大手企業を担当し、コンサルティング業務に従事していました。ただ、本来コンサルタントを必要としているのは、大手よりもベンチャーや中堅企業だと考えていたんです。

ところがコンサルティング業界のおよそ95%が大手向けで、当時はスタートアップやベンチャー、中堅企業をサポートするコンサル会社が存在しませんでした。規模が大きな企業以外では「コンサルを依頼する」という概念すらほとんどなかった時代です。

それでも、これからの日本を支えるのは新しいビジネスに挑戦するベンチャーや、特定業界に強みをもつオンリーワンの中堅企業だろうと。

そんな確信に近い強い想いを抱いていましたので、ベンチャーや中堅企業に特化したコンサルティングファームとして2012年7月、リブ・コンサルティングを設立しました。

ベンチャー・中堅企業の意識改革!新領域で事業を軌道に乗せたプロセスと成功戦略

大久保:新領域の開拓に挑戦された御社の事業が軌道に乗るまでに苦心した点や、ぐっと伸びたきっかけなどがあればお教えください。

:やはり起業当時はベンチャーも中堅企業も「外部コンサルタントに依頼する」という習慣がありませんでしたので、初期クライアントの獲得には苦戦しました。

そこでまずは知り合いなどに声掛けをしたり紹介いただき、少しずつ顧客を増やしたんです。2年くらいかけて着実に実績をあげていきました。

と同時に、クライアントから「コンサルをお願いしたら事業が伸びた」といった声を聞かせていただき、発信していきました。「リブ・コンサルティングが良い」ではなく、「ベンチャーや中堅企業もコンサルタントを入れたほうが良い」というキャンペーンを打つ必要があったからです。

こうした戦略が成功し、起業3年目あたりから「伸びている会社にリブが関わっている」との評判が広まり、大きく流れが変わってきましたね。

大久保:計画的に段階を踏んでいったんですね。関さんは前職で大手企業をご担当されていましたが、ベンチャーや中堅企業向けのコンサルを展開するにあたってギャップなどはなかったでしょうか?

:大手とベンチャー・中堅では、最適な手法が異なりました。この点を踏まえて「どうやってプロダクトマーケットフィットさせていくか?」を確立するのが大変でしたね。

結果として、当初2年間はベンチャー・中堅企業向けにアジャストするための助走を兼ねる期間となりました。

手法の違いを具体的に申し上げると、まず大手企業は分厚い報告書が必須「理屈としてどういう点が大事なのか?論理的に正しいか?」を重視しています。なぜなら社内のエビデンスとして重要だからです。

一方、ベンチャーや中堅企業には長文の報告書は必要ありません。カウンターパートが代表取締役や事業責任者になりますので、こちら側の説明責任を問われることが少ないんですね。

その代わり、「結果に対してきちんとポイントをついているか?」「そのポイントをどうやって実行フェーズに落とし込むか?」が非常に大事です。スピード感と、成果へのよりダイレクトなアプローチが求められます。

大久保:いわゆる「作法」が大きく異なるんですね。

:はい。この違いを加味し、メソッドを構築しながら事業を軌道に乗せていきました。

認知拡大に斬新なアプローチ!ヴィッセル神戸のイニエスタ起用とタクシー広告配信

大久保:コンサルティング業界初のベンチャー・中堅企業向けのコンサル会社としてスタートされたわけですが、起業後2年ほどは「確実に認知を広める期間」として腹をくくっていたと伺っています。

:はい。業界内で新たな領域の開拓となりましたので、すぐに日の目を浴びるとは思っていませんでした。必要なプロセスと捉えていましたので、苦労だと感じることもありませんでしたね。

大久保:ブランディングの一貫として、2019年7月1日よりヴィッセル神戸所属のアンドレス・イニエスタ選手がCEO(チーフ・エバンジェリスティック・オフィサー)に就任されました。このプロモーションでさらに御社の認知度が上がったのではないでしょうか?

:非常に大きな効果がありましたね。

認知拡大のプロモーション施策には、大きく分けると「質を重視」「認知を重視」の2つの方向性がありますが、弊社の場合は前者一択でした。コンサル業界の特性や事業内容を考えると、誤解されてしまうような覚えられ方を避ける必要があったからです。

イニエスタ選手は世界屈指のゲームメーカーであると同時に、礼節を尊び思いやりにあふれた模範的な性格の持ち主。そしてなにより知的で賢明な方です。

こうした要素が弊社の目指す「挑戦者として業界を変えるマインドを持つこと」「周囲から尊敬される企業であること」、それから「コンサルタントとしてチームの頭脳であるべき」と考えるビジョンとシンクロしました。

大久保:イニエスタ選手の実績やパーソナリティが、御社のイメージとぴったり合ったんですね。東京無線タクシー内の動画広告も非常に斬新でした。

:当時のコンサル業界では、イニエスタ選手のようなタレント起用やタクシー広告の実施など、すべてめずらしい試みだったんですね。プロモーション手段も含めて、初のアプローチとなりました。

弊社は業界初となる新しい取り組みを続けている会社ですので、そうした側面がきちんと伝わることを重視していたんです。おかげさまで狙い通りに成功しましたね。

ベンチャーや中堅企業こそコンサルティング会社を活用!見逃せない3つのメリット

大久保:ベンチャーや中堅企業がコンサルティング会社を活用するメリットについてお教えください。

:あらゆるメリットがあるのですが、大きな特長は3つです。

まず1つ目は、経営コンサルタントという職種は業界全体や各企業の特性や取り組みを熟知していること。

どの企業でも、実は「自社のことはよく知っていても、業界全体や他社を理解していない」という方がほとんどです。

たとえば自動車部品メーカーであれば、自社の製造工程には詳しいのですが、「自動車部品業界で成長している企業の取り組み」「海外で成功している手法」といったことを知らないんですね。

「俺はこの業界一筋20年だからなんでも知っているよ」とお話しいただくものの、実際は業界ではなく自社の事業全般に精通しているだけというケースが多いんです。この部分で大きなズレが発生してしまうんですね。

コンサルは業界全体はもちろん、各社のことも熟知しています。あらゆる知見、そしてベストプラクティスを持っているからこそ、多くの事業を成功に導くことができるんです。

大久保:確かに「知っているようで知らなかった」というのは多いですよね。続いて2つ目についてもお聞かせください。

:2つ目は、客観的な視点で各企業の強みを分析し、ビジネスチャンスを作り出せることです。

新たな産業革命や時代の流れが起こった際に、「うちでは古くからこういう事業を展開しているから、その変革に対応するのは難しいだろう」と判断してしまう経営者が少なくありません。「うちの技術は大したことはない」と思われている方々もいらっしゃいます。

ところが外部のコンサルの視点で見ると、「近年推進されているデジタルエコノミーにおいて、御社のその技術がこんなふうに使えますよ」といったアドバイスができたり、伴走しながら新規事業支援が可能なんですね。

新しい時代の波が来たときに、「この状況下でどんなビジネスが成功する確率が高いか?」を冷静に判断できるのはコンサルタントの大きな価値だと思っています。部外者でないと気づきにくいビジネスチャンスなんですよ。

大久保:横断的にあらゆる業界や職種を分析している外部コンサルだからこそ、見極めが的確なんですね。最後の3つ目についてもお願いいたします。

:3つ目は、人手が足りない事業企画や経営企画部門を補完する形で知的アウトソーシングができることです。

現在多くの企業で人手不足に陥っており、とりわけ事業計画書を作成できる優秀な人材が不足しています。

事業企画や経営企画は、社内でもレベルの高い社員でなければ務まりません。ところが今はどの会社も余裕がなく、能力が高い人材は主力事業部門に配置せざるを得ないため、慢性的に人手が足りていないんですね。

この部分をコンサルで補うことができます。ぜひ積極的にご活用いただきたいですね。

クライアントの未来をリードするコンサルタントを輩出!充実した人材育成制度

大久保:御社は業績が伸びる人事制度・組織構築支援でクライアントを成功へと導いているからこそ、社内の仕組みづくりにも長けているという印象があります。人材育成に悩んでいる起業家へ、参考として社内の育成制度やベストパフォーマンスを発揮させる取り組みについてお教えください。

:人材育成については、まず徹底して環境構築に時間とお金を投資しています。弊社の人材育成制度の主な特長は3つです。

1つ目は、「LiB University」という社内大学を設置していること。

eラーニングのカリキュラムなのですが、10分程度のコンテンツを約400本用意しています。資料や議事録の作成方法、戦略の検討手法といった基本的なことまで含めて、すべてビジネスにおいて必要とされる要素を高いレベルで身につけることができるんです。

社員だけがアクセスできる環境を構築し、各自興味があったり自分に足りていない内容を都合のいい時間に学習することができます。

すべての動画の最後にテストがありますので、きちんと習得できたか確認することもできるんですね。ここまで充実したラーニングカリキュラムを揃えているのは弊社ならではです。

大久保:学習がしやすく、かつ密度の濃い素晴らしいコンテンツですね。続いて、2つ目以降もお願いいたします。

:2つ目は、オンラインだけでなく実践での学習コンテンツも豊富なことです。

そのなかには、ディスカッションしながら全員で学べるグループワークもあります。いずれも成長を促し、優秀なコンサルタントとして活躍するための教育メソッドを確立しているんですね。

最後の3つ目は、普段の業務において「どういう評価をされているか?」をこまめにフィードバックしていることです。

「あなたのプレゼンテーションはこういうところが上手だけれど、この部分はもっと鍛えないといけないよ」というように強みと弱みを一人ひとりが把握できます。

「なんとなくいいね」ではなく、「ここがいいね。でもここは改善が必要だね」という具体的なポイントを日常業務のなかで理解することができるんです。そのため飛躍的に伸びる社員が多いですね。

大久保:非常に充実した育成制度を用意されているんですね。採用面の工夫についてもお聞かせいただけますか。

:やはり「学習コンテンツを吸収できる能力があるか?」とともに「吸収しようという意欲があるか?」は非常に重要ですので、面接で見極めています。

見極め方も細かく設定しているのですが、一例として「最近3ヶ月以内に読んだ本や見たニュース、参加した講演など、なんでも構いませんので1つあげてください。そして学んだことについても具体的に3つほど聞かせてください」といったように、常に「明確な回答が返ってくるかどうか?」を基準に確認しているんですね。

確実に成長を促す育成環境を用意すると同時に、その環境を活用しながら学ぶ能力と意欲があるか?についての見極めをひたすら突き詰めています。

独自モデルのコンサルティングファームが目指す、今後の展望とさらなる飛躍

大久保:今後の展望についてお教えください。

:弊社では「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」をミッションに掲げ、設立以来、ベンチャーや中堅企業が現在、そして未来の世界にプラスの価値をもたらす会社に発展するためのサポートを行ってきました。

今後も戦略・組織・オペレーションの領域すべてをカバーし、成果にこだわったコンサルティングによりクライアントの未来をリードしていきます。

また、弊社にとって大きな変化が2点あります。

まず1つ目は、大手企業の事業開発領域での支援を行うようになったことです。

世界的にビジネススピードが加速していますので、これまでのように綿密に戦略を練ってから実行に移していると遅延が生じてしまいます。そのため大手企業の事業開発領域では、ベンチャー・スタートアップのような動きが求められるようになってきました。実際に弊社の売上比率も大手の割合が非常に高まってきています。

2つ目は、新型コロナウイルスにより一時的にストップしていた海外展開の強化を計画していることです。

弊社は独自モデルのコンサルティングファームとして国内市場の地位を確立しましたので、海外でも同様に成功したいんですね。と同時に、海外市場の基盤を築くことでクライアントの海外展開の橋渡しも視野に入れています。

この両軸を突き詰め、さらなる飛躍を遂げていきたいです。

大久保:最後に、起業家に向けてのメッセージをいただけますか。

:起業家の皆さんは、自分の信じる領域で起業されていると思います。

だからこそ、どんな困難に見舞われても、すべて前向きに「良い機会だ」と捉えながら全身全霊で取り組み続けることが重要なんですね。

私も起業家ですので、ぜひ同じ仲間としてビジネスのアップデートをお手伝いさせていただけたらうれしいです。一緒により良い未来を作っていけることを願っています。

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(取材協力: 株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役 関 厳
(編集: 創業手帳編集部)



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