LiBが実践する創業期の「人材採用」と「組織創り」のコツ

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【LiB松本氏インタビュー】2度の起業、上場経験から導きだした、創業期に気をつけたい人材採用と組織創り

(2016/05/19更新)

日本初、キャリア女性に特化した転職サービス「LiBzCAREER」を展開するLiB。前職のトレンダーズを上場に導いた後、キャリアを積んだ優秀な女性たちがより働きやすい社会に創るために2014年LiBを設立した代表の松本氏。起業・営業トップ成績・上場など数々の実績ある経験から導き出した、会社の核となる”優秀な人材”を採用するためのポイントとは? 更には、女性が働きやすい環境づくりや成長期に待ち受ける落とし穴にハマらない組織づくりの心得を伺った。

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松本 洋介(まつもと・ようすけ)
明治大学卒業後、2003年に株式会社リクルートに入社。タウンワーク・ホットペッパーの営業部門では、全国営業MVP受賞等の好成績を収めた後、新規事業開発部門の「エルーカ」の創刊に携わる。2007年4月、「東証マザーズ上場」をミッションに、トレンダーズへ入社。最高執行責任者、取締役就任、営業取締役を歴任し、2012年10月東証マザーズへの上場を実現。2014年3月の退社時には、入社当時の売上を約10倍に増収。2014年4月、キャリア女性がより活躍できる社会の実現を目指し、株式会社LiBを創業し現在に至る。

国の矛盾を解決し、ジェンダーフェアな社会へ。「LiB」創業の軌跡。

ーLiB起業に至った経緯をお聞かせください。

松本:昔から「責任と自由」という言葉が好きで、早く自律をしたいと思っていました。

大学時代には、親に頼らず、様々なアルバイトをしながら生活費を自分で支払っていましたね。

子供の頃から自営業として自律していた両親を見ていたので、知らぬ間に「自由と責任はセット」という考えが刷り込まれていたんです。

自分で生活費を工面することが一番精神衛生状態もよく、心が自由でした。

そんな中、沢山のアルバイト経験を通して、「雇われる立場では本当の自由は得られない」と実感し、在学中にデーターベースマーケティングの会社を立ち上げました。

幸いにも仲間の協力もあり事業は順調に成長しましたが、事業展開をすればするほど壁にぶち当たり、無力さを感じたことも多々あります。

また、単なるお金稼ぎで始めた会社も、徐々に目線が変わり、事業を通して「社会を変えたい」と思い始めました。

しかし、当時は社会に貢献するような会社をつくる方法が分からず、それらを学ぶために就職を決め、リクルートに入りました。

4年勤務した後、当時まだ小規模であったトレンダーズにCOOとして転職し、「東証マザーズ上場」のミッションを預かりました。

営業取締役の際に、東証マザーズへの上場を達成させ、その2年後にLiBを立ち上げました。

ー社会に貢献する会社をつくる中でも、なぜ「キャリア女性の転職支援」といった事業を立ち上げられたのでしょうか?

松本:少子化問題で労働人口や税収が減るのが確定している現代、女性が安心して出産や子育てをしながらいかに働きやすい環境を作れるか、は国を挙げてのテーマです。

現在は待機児童も多く、働き続けたいのに子供を預けることができず働くことを諦める女性や、運良く保育園や幼稚園に預けられても、希望通りの時間で働くことのできない女性たちがたくさんいます。

それって国が挙げているテーマと大きく矛盾しませんか?

大学までジェンダーの差はなく、公平な競争の中で勝負してきたはずが、ある日突然性別を突きつけられ「あなたは女性だからここまでです」「あなたは男性だからこのままいきますよ」という世界になってしまう。

結果、管理職のほとんどは男性が占める社会が存在するわけです。私が勤めていたリクルートもトレンダーズも女性が活躍する会社で、「実力があるのに活躍できない…」と悩んでいる女性たちをたくさん見てきて、女性がより働きやすい社会・環境を自分で作ろうと思ったのが起業のきっかけでした。

ー現在、LiBではどのようなサービスを行っているのですか?

松本:LiBでは、日本初のキャリア女性に特化した会員制転職マッチングプラットフォーム「LiBz CAREER」の運営と、キャリアアドバイザーがユーザーと直接会ってマッチする職種や企業をご案内する「LiBz PARTNERS」の2つの事業を展開しています。

キャリア女性というのも、過去の到達年収が400万以上のキャリア層をメインターゲットとしています。

結婚・妊娠・出産・家庭事情等の様々なライフイベントに関わらず、優秀な女性がやりがいを持って働き続けられるような社会の実現を目指してサポートをしています。

また、女性に活躍して欲しいと願う企業人事や、ヘッドハンター、転職エージェントたちが有能な女性を積極的にスカウトすることもできます。

ニーズとしては、女性が足りないから増やしたいというよりは、男女関係なく優秀な人材が欲しいという企業さんが多いですね。

社格に繋がる!?創業期における人材採用の3つのポイント

ーどの会社も優秀な人材を獲得できずにリソース不足で悩んでいる声をよく聞きますね。創業期では特に条件が悪い中で優秀な人材を確保するのは大変かと思いますが、創業時における人材採用のコツはありますか?

松本:会社を拡大させる必要がなく楽しくやりたいという起業もありますので、何が正解というのはありませんが、会社を拡大したい場合、優秀な人材を採用するには3つのコツがあります。

まず1つ目に、“高さで勝負せずに「横=立ち位置」で勝負する”ことです。

高さとは例えば給与の高さや待遇の高さ社格の高さなど、いわゆる受験で言う偏差値みたいなモノです。

ここで戦うとベンチャーは大手に勝てません。

一方で立ち位置とは、会社が何を叶える場なのかという“場”の定義をし、価値観やビジョンで採用するということです。

何に挑戦する場なのか、何のために集まるのか、何のために時間を投資するのかを軸にアピールしていきます。

LiBの場合、子育て中の女性でも社会貢献ができる、お決まりの就業規則ではないオンリーワンの働きやすい環境を皆で作り上げるという軸が立ち位置にあたりますね。

ビジネスモデルだけではアピールが弱く、優秀な人材は来ないと思います。

社長はきちんとしたストーリーを描き、「言葉の武器」を持つということが大切です。

2つ目は、できる限り、“身の丈に合わない採用をする”のがポイントです。

言い換えれば「自社に入りたい人を雇うのではなく、我々が欲しいと思う人を雇う」という事です。

優秀な人をよくない条件で雇うのは難しいことですが、それを成立させるには、会社の価値観やビジョンに乗ってもらうというのが全てですね。

3つ目は、“徹底的に人に会う”ことです。

創業期の社長の仕事は、人に会って色々な話を聞く、描く夢の実現に良いと思うことを吸収し、自分の会社でどう実現できるのかを考えるといった攻めの仕事です。

待っていても人は来ないですから、自分から積極的にアプローチしていくのが良いと思います。

創業期にいい人が集まっているという会社は、大体この3つが全て高いレベルでできているのです。

逆に言えば、できていない会社は、社長が頑張って人に会っていないか、良い人材を確保するために口説いていないからです。もしくは、優秀な人材を採ろうという意識が低く、近しい仲間や後輩に声をかけてしまうケースが多いですね。

「最初のメンバーが会社の社格を作る」といっても過言ではないので、上記の3つは重要なポイントです。

最初に良い仲間が集まれば、人が人を呼ぶ良いスパイラルが生まれます。

もちろん、最初は社長が背中を見せる必要がありますが、社長1人では限界があるため、いかに全員で仲間探しができるかが大切です。

ーなるほど。まずは、価値観やビジョンをしっかり固めて、ポイントを押さえながら優秀な人材を巻き込んでいきたいですね。

制度だけでは救われない「女性が働きやすい組織作り」

ー創業期から「女性が働きやすい職場環境・組織」をつくるポイントはありますか?

松本:“どういう会社にするのか”を社長が決意し、言葉にし、行動することが大切です。

女性社員が働きやすく活躍できる環境にしたいという思いがあれば、社長自らが意思表示をし、工夫するんです。

最初が勝負ですね。後からジェンダーフェアな会社に変えるのは相当手間が掛かります。

まず、皆がフェアに仕事に向き合い、責任を果たせるグランドを整備してあげるのが社長の仕事です。

LiBの場合、創業当初から「性別・年齢・諸々の家族構成などに関係なく皆がフェアに働ける会社を作ろう」と決めていたので、職場の環境は細かいところまで配慮してきました。特にトイレは気をつけましたね。

ー「ベンチャーにおけるトイレ問題」というのはよく耳にしますね。

松本:そうですね。

創業期によく見られる、コスト削減のためにマンションの一室でスタートするというような発想にはならなかったですね。

例えば、トイレがオフィスの中にあると女性は恥ずかしいじゃないですか。

そのため、オフィスの部屋の外にあって尚且つ男女別である物件を徹底的に探しました。その方がお互いに快適に過ごせます。

また、理想は最初から女性社員がメンバーにいることです。早い段階で女性に入ってもらい、女性ならではの視点や考え方を反映すれば、快適な環境を整えるにも近道ですね。

ー実際に、LiBの社内環境を整えるために設けている制度はありますでしょうか?

松本:多種多様な働き方をまずは自社から実現するために、経営者やフリーランサーも正社員として雇用する”複業”制度である「メンバーシップオプション」と、仕事での成長・活躍と、家庭での育児の両立を応援する「ファミリーシップオプション」という二つの制度があります。

それ以外でも事情や悩みはそれぞれ違うため、仕事の責任を果たすために新しい働き方や環境・配慮が必要であれば、全て臨機応変に対応しようと考えています。

LiBの社員には、子どものお迎えのために4時半に帰る時短勤務の人、旦那さんの転勤によりリモートで働く人もいます。時には、会議に子どもが参加することもあります。

それぞれの働き方に合わせてオーダーメイドで対応しています。

例えば、時短勤務は本人だけの調整以外にも、周りが時短勤務の社員に合わせて時間を調整する必要がありますし、その人が帰宅した後の突発的な問題は仲間が対応しなければなりませんよね。

プロとしての責任を果たして活躍することを前提として、それ以上にその人の挑戦を成功させるために皆でどうしていくのかといった「皆の挑戦」に置き換え直さなければ絶対にうまくいかないと思います。

今はフルタイムで働けるとしても、両親の介護が必要になったり、子どもができたり、自分や家族に何かあった時に、辞める選択肢しかない会社なのか、乗り越えられる会社なのかは気になりませんか?

誰でも、時間と場所の制約が訪れる可能性があり、目の前にいる時短が必要な人だけの問題ではなく、全員の転ばぬ先の杖を作っているのです。

だからこそ、みんなで挑戦するんだという話をしています。

LiBが上手く回っているのは、こういった働いている社員の協力体制があり、かつ挑戦する本人たちが努力をしているからです。

その努力を私は応援していますし、一丸となって一緒に挑戦しているという姿勢がママさん問題の解決に繋がり、女性が働きやすく活躍できる組織作りのポイントだと思います。

「違和感を見逃すな!」成長期に待つ落とし穴にハマらない、組織マネジメントの心得

ー現在、成長期を迎えているLiBですが、創業期から成長期になる事で実感されていることはありますか?

僕たち自身はまだまだ創業期だと思っています。まだ創業して2年ですからね。

でも同じ創業期でも土台を創っていたタイミングと現在とでは中身も変わってきています。

具体的には会社作り・組織作りの基礎設計は出来つつあるので、これからは売上をいっきに伸ばしにいく創業期における成長フェーズとなります。

このタイミングで大事なことはプロジェクトが組織になることだと思います。例えば、「みんなでゴミを拾って渋谷をきれいにしよう!」というプロジェクトがあるとして、最初は、集まった人数でゴミを集めるという、やることを決めて頑張るだけで難しく考える必要はありません。

しかし、やり続けることでそのゴミ拾いが認められ、東京23区をしかも年間を通してやるという話になるとそう簡単には行きません。

工程スケジュールを決め、人の配置等を考えなければいけません。

人数が多いと組織の階層も必要になりますね。

「期間のあるプロジェクト」と「永続的な組織」では、問題も気を付けるところも違います。

企業の大半の問題は、コミュニケーションの不具合、意思決定、目線の違いなどですね。

問題の中でも、社内のコミュニケーションでは、人が辞めていく、全体のモチベーションが下がっている、言った事が伝わらないといった違和感がでてきます。

5人程度の会社では絶対に感じません。つまり、「成長フェーズ」だからこそ出てくる問題なのです。

対処の仕方や考え方を転換し、「今までの問題とは別物だ。」と認識できるかどうかが鍵になります。

ーその変化に気づかずに事業をしていると、問題への対処が後手に回ったり、そもそも問題を問題と捉えにくかったりするかと思いますが、客観的に問題に気付くための方法はありますか?

松本:パターンを勉強し、その「シグナル」を知ることができると最も得策といえますね。

例えば、クレームが増えた時に、「お客さんからのクレーム」と捉えるか成長フェーズに出てくる「問題のシグナル」だと認識できるかどうかが大切です。

クレームには、10の不満が後ろにあると考えて、今一度社員の意識を見直したり、お客さんとの接点を見直したり、無意識の勘違いが始まっているのではないかと疑って対処するのです。

また、創業期は燃えていたメンバーが最近つまらなそうだとか、やりがいを感じる熱量ではないと思った時は「シグナル」なのです。

全て無自覚で、勘違いしようと思ってしている訳でもなく、やりがいをなくそうと思ってなくしている訳ではないのです。

そこには必ず理由があります。違和感は放置せず「シグナル」だと受け取って、先手を打つのが社長の仕事なのです。

私も常にその意識を持っています。

他にも、外部メンターをつけるのも良いと思います。

組織が拡大するほど、従来のやり方に慣れて今まで見えていた部分や因果関係も見え辛くなるため、外部の目も使って落とし穴にハマらないよう注意しましょう。

ー最後に、創業する人へ向けてのメッセージをお願いします。

松本:創業するにあたり、私はどこを目指すのかという事がすごく大切だと思っています。

本音で言うと社長だけ儲ける会社を作るのはすごく簡単なのですが、どうせ創業するのであるなら、多くの人を幸せにする会社を作ったほうがいいですし、社員はもちろん、そのサービスを使った方達や、社会を変える活動だという目線でやっていけるといいですね。

2人でやる会社もあっていいでしょうし、社長がいなくなったら無くなってしまう会社もあっていいと思います。

たくさんの苦労もありますが、お互いの目標とする形を目指して、知識を増やしてお互いに頑張りましょう。

(取材協力:株式会社LiB/松本 洋介(まつもと ようすけ)
(編集:創業手帳編集部)

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