Lecto 小山裕|「督促回収テック」で業務を効率化!テクノロジーを使って督促のあり方を変える

創業手帳

今の時代に必要とされる督促業務をテクノロジーの力で効率化する


金融サービスが多く立ち上がる今の時代に必要とされているのが、督促・回収業務です。Lectoでは、「督促回収テック」で業務の効率化を提案しています。これまでの「督促」のあり方を変えるLecto代表の小山氏に話を聞きました。起業家への貴重なアドバイスにも注目です。

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小山 裕(こやま ゆたか)
Lecto株式会社 代表取締役社長
2009年三越伊勢丹グループへ入社、クレジットカード事業に従事後2012年に独立。決済に関する保証事業会社を立ち上げる。その後KDDIグループの事業会社への参画を経て2017年にGardia株式会社を創業し、代表取締役に就任。飲食店や宿泊施設等におけるドタキャン(ノーショー)に対する保証事業や、後払い事業を軸として展開。2019年に伊藤忠商事グループへM&A。2020年Gardiaの経営を退き、新会社「Lecto」を設立。決済領域で12年の経験をもとに、2021年1月、金融業界で数十年進化が見られない「督促・回収業務」のDXを実現するLecto株式会社を起業。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

自分の人生を自分でコントロールする

大久保:今の事業を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

小山:昨年の1月から今のLectoをスタートしていますが、前職は2017年に創業した会社の代表です。2020年末まで代表を務めていました。退任後すぐにLectoを立ち上げたのが、ざっくりとした経緯です。

大久保:最初に音楽領域でも起業していると伺いました。その時の話も聞かせてください。

小山:20代の時に音楽領域で起業しています。当時は就職をすることに抵抗を感じていました。自分の個性を犠牲にして、会社の価値観を押し付けられるのが就職のイメージだったんです。自分のアイデアとか想像力を思いきりぶつけたいと思いましたし、自分の人生は自分でコントロールするものだとも思いました。自分が主役として人生を歩んでいきたいと思い、起業する選択をしたのです。好きな領域でしたし、アーティストを尊敬していたので、音楽領域で起業することにしました。

大久保:その後企業に就職したのは、ビジネスを学ぶためですか。

小山:そうですね。世の中を知るべきだし、自分も成長する必要があると思ったからです。また、会社を畳まなければならないというネガティブな状態になっていたのも事実でした。全く異なる職種で学ぼうと決め、上場企業に就職しました。特にクレジットカード事業に配属されたことで、稟議や決裁といった組織での実務を学べましたね。

大久保:さらに2012年には決済に関する保証会社を立ち上げているのですよね。

小山:代表ではなく、創業役員の1人という形での起業です。その後正社員として再度就職し、下準備を経て前職に当たる会社を立ち上げました。

大久保:前の会社はどのような事業をされていたのですか。

小山: 保証と決済の事業です。保証の領域では、飲食店の無断キャンセルを保証する事業を、決済領域では後払い決済の事業をしていました。成長していましたが、M&Aをして大手グループ会社の傘下に入ることになったんです。

大久保:M&Aの意思決定をしてみてどうでしたか?

小山:M&Aはしたくなかったので、非常に重い意思決定でした。事業自体はうまくいっていましたが、私が資本政策を失敗したのです。当時の大株主の意向を飲まなくてはいけない状況になってしまいました。もちろん最終的に決断したのは私ですが、まだ成長できると思っていましたね。もっと会社が大きくなってから、M&AなりIPOを狙うなり挑戦したかったです。

大久保:事業が金融ということで、手元のキャッシュが必要だったのも理由かもしれませんね。

小山:おっしゃる通りです。決済事業は先に事業者に立て替えるので、膨大なキャッシュフローが必要になってきます。当時は30億円くらいのボリュームを毎月回していくような規模感でした。手元のキャッシュだけだと難しいです。買収された大手グループ会社のように、内部留保のある会社に支えてもらう必要がありました。合理的な意思決定だったと思っています。

今では100%子会社ですが、文化も考え方もすべて変わってしまったので以前の会社とは別の会社になってしまったようです。リスクも取れなくなるので、成長が難しくなります。M&Aを検討するときは、その会社が全て変わる可能性も考えておく必要がありますね。

「督促回収テック」で業務を効率化

大久保:その後、満を持して今のLectoを立ち上げたわけですね。その経緯も教えてください。

小山:Lectoでは債権管理、督促・回収を自動効率化する事業をしています。「督促回収テック」というプロダクトです。カード会社の支払いや、後払い代金の支払いの滞納や未納をテクノロジーで効率的に回収するものです。

督促・回収では、基本的に支払いが遅れるとカード会社から一斉に電話がかかってきますよね。ずっと変わらないやり方です。テクノロジーを使って、効率的に行う必要があると考えました。そこに単純に目を付けた形です。

また、前の会社が後払い決済事業をしていたときに、回収の大変さを感じていたのです。当時あったら嬉しかったな、と思うものを今の事業で開発しているのもありますね。

大久保:督促・回収はかなり大変ですから、テクノロジーを使って効率化できたら嬉しいですよね。

小山:時代背景的に新しい金融サービスがどんどん立ち上がっていますが、そうするとどこかで回収するビジネスが必要になるものです。絶対に勝機があると思っていました。

また、私たちのように督促・回収に特化し事業をしている会社はまだないと認識しています。先行者として走り続ける確信はありますね。

大久保:「督促回収テック」の仕組みをもう少しくわしく教えてください。

小山:流れとして、まず集客したり与信をしたりして、サービスが提供されます。その工程のあと、債権管理や督促・回収、未回収のものを償却するなど4つの工程があります。「督促回収テック」は、この債権管理以降の4つの工程をプロダクト1つで解決するサービスです。督促も自動ですし、人が電話しなくてもオートコールがいくような仕様になっています。

資本政策と持株数が鍵を握る


大久保:これまでに事業を何回立ち上げたのですか。

小山:4社ですが、最初から自分が社長として創業したのはLectoと前の会社ですね。

大久保:4回の起業を経験されたということで、起業の注意点を良く知っていると思います。ぜひ教えてください。

小山重複しますが、資本政策を間違えてはいけません。1人の起業家である以上は、自分自身で株式のマジョリティ(議決権の過半以上)をきちんと持つ必要があります。

起業家のようにゼロから自分の事業を作りたい人は、持ち分とかキャピタルゲインよりも事業に楽しく邁進できることをまず求めてしまいがちですが、自社のガバナンスを自分でコントロールできなければそれもかなわぬ夢となってしまいます。

仲間で創業する場合にも気を付ける必要があります。例えば3人で起業する場合、30%ずつ株を持ち合うと良く聞きますが、それもおすすめしません。危ないですね。事業のメインの人が圧倒的な割合を持つのがおすすめです。株を持つことで、代表者も覚悟できます。

大久保:株が分散していると、事業が上手くいっているときに利益の分け方にも困りますよね。

小山:はい。そこで大事なのが契約です。相手を信頼しているとか信頼していないではなく、リアリストに振り切って書面にしておく必要がありますね。過去に私もそれで失敗しています。

大久保:日本では、契約書の話をすると気まずくなってしまいますよね。

小山:契約は絶対にやってください。あとは残念ですが、今は信用できる人でも時間の流れとともに変わってしまうこともあります。口約束では意味がないですね。

債務者の個性に合わせた督促を


大久保:督促のコツはなんですか?

小山:督促・回収には、個人のユーザー向けと法人向けの2つがあります。私たちのプロダクトが個人向けに開発したものなので個人の話にはなりますが、債務者の個性に合わせて督促を出し分けるのが重要です。

例えばカード代金が引き落とされなかった場合、一斉にカード会社が遅れた人に電話をするのが今の督促のあり方です。そのやり方は効率的ではありません。遅れている人の中には本当にお金がない人もいれば、反対に不正利用で元々踏み倒すつもりだった人もいます。一方 、支払いを忘れていたとか、コンビニ伝票を失くしてしまったというケースもあり得ます。 払わない理由はさまざまですね。

私たちは、その債務者の個性に応じた方法とタイミングで督促を出し分けるということをプロダクトで自動実行しています。電話をかけても出ない場合がありますし、もし支払いを忘れているだけの人ならSMSでリマインドを送ってあげれば済む話です。コンビニ伝票を失くした場合、電話よりもSMSに QR コードを付けて送ってあげればいいのです。

債務者の個性にきちんと着目して、督促の仕方を変える必要があると思っています。こういった督促のやり方は、今のところ大手を含めてほとんど行っていません。発想がないんですよね。

心削られる督促の負担を減らす


大久保:督促の仕事というのはストレスが大きいですから、自動化すれば負担がだいぶ減りますね。

小山:督促・回収はイメージがあまり良くないですよね。そこで私たちが、人の心を削らなくても良いプロダクトを開発して、債権を持っている会社の負担を減らします。それによってコストも避けられますね。督促の方法を債務者の個性で分けることで、回収率も上がります。そういったメリットを提供するのが私たちのプロダクトです。

また、ユーザー側にとっても督促は心を削られるところがありますが、「督促回収テック」を使えばユーザー側の負担も減らせます。会社と個人、両面に対するメリットが提供できる立場ですね。そこが私たちの大きな価値だと思っています。

大久保:督促の一定のパターンは決まっているんですよね。

小山:パターンが決まっていて、例えば全く支払わない人に対しては設定すれば1日おきに連絡がいきます。一方で悪意のないユーザーに対しては、しつこくしても気を悪くさせてしまうので、一週間おきに連絡をするといった設定ができますね。

大久保:自動音声の電話がいくのですか?

小山:機械がやります。電話もそうですし、SMS やメールも機械がやりますから、人員をかけなくて大丈夫なのもメリットですね。1番を押すとこういった音声が流れるとか、モードを選べたりしますよ 。少し遅れている人の中には、話すのが気まずいという人もいますがその心配もなくなりますね。

また、本当に支払えない人に対しては逆に手厚く電話をして、支払いのための解決策を一緒に考えるアプローチが重要だと思っています。一斉に電話をすると、本当に電話が必要な人のケアができない場合があります。自動化することで、きちんと対応ができるようにもなるんです。

大久保:やりがいのありそうな仕事ですね。

小山:督促は典型的なカード会社とか消費者金融だけではなく、サブスクリプション(定期購入)の利用料金や、保険料金の滞納、電気や水道料金の未納といったさまざまなところで必要とされています。実際にさまざまな業種でどんどん導入を始めてもらっている状況です。

最高の職種である起業家にはビジョンの明確さと巻き込み力が求められる

大久保:最後に起業家へのメッセージをお願いします。

小山:起業をする場合、オペレーションや実務ができないといけないと思いがちですが、それは違います。社長というのは実務ができる、できないは関係ありません。まずは自分なりに目指したい世界や自分なりのビジョン、覚悟を明確にする方が圧倒的に大事です。

またそのうえで、社員になるような仲間や投資家を巻き込む力が社長には必要ですね。仲間についても自分より能力が高い人をどれだけ引き込めるかというところが勝負です。

ですから起業家としてやっていくのであれば、本当にそういった適正があるのか見極める必要があります。仮にないのであれば、そういった適正を持てるように日々自分を高めるべきですね。

例えばIT企業だったら、プログラミングスキルを磨きたいとか、オペレーションの達人になろうとか、そういったことに目を向けてはいけません。社長には社長にしかできない仕事、社長にしか見えない世界があるんです。そこに向けたビジョンや覚悟を伝える言葉を磨くといいですね。

起業家は苦しいことも辛いことも沢山ある大変な職業です。ですが、起業家ほど精神的に自由でいられる職業は他になく、やりがいや自己実現という意味でも最高の職業だと思います。ぜひ多くの方々に起業という選択肢を持ってほしいし、臆せずにどんどんチャレンジしてほしいと願っています。

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(取材協力: Lecto株式会社 代表取締役社長 小山 裕
(編集: 創業手帳編集部)

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