ベンチャー起業家のための弁護士選びの8つのポイント

創業手帳

ベンチャー企業にとって「いい弁護士」の選び方とは?

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インターネットやイベント、人脈等を通じて探せば、弁護士を探すこと自体は可能であることは紹介した。

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では、見つけた弁護士の中からどの弁護士を選ぶのがベストなのだろうか?見つけた弁護士が「いい弁護士」であるかわからない。単発で案件を依頼するだけだなく、顧問弁護士として顧問契約を結ぶことになれば、弁護士選びはより慎重になるのではないだろうか?

そこで、今回は「いい弁護士」選びのポイントをまとめてみた。
 

「いい弁護士」選びは「いい美容師」選びと同じだ

ベンチャー企業にとっての「いい弁護士」とはどのような弁護士だろうか?ベンチャー企業にとっていい弁護士を探すプロセスを、誰でも経験のあるであろう「いい美容師」を選ぶという視点から考えてみる。

美容師を選ぶ時、まず、当然の前提として、変な髪型に髪を切られないように、普通程度に髪の毛を切る技術・経験があることは期待しているだろう。これは、いわゆる美容師としての基本的な専門スキルである。

もっとも、それ以外にどのような点を重視するかは人によって異なる。

  • 会話・雰囲気を楽しめるかを重視する人
  • 急に髪を切りたいと思った時でもすぐに切ってもらえるということを大事にする人
  • 有名なカリスマ美容師という人に切ってもらいたいという人
  • 髪型にこだわりがなく、とにかく安いということを重視する人



あたり前かもしれないが、「いい美容師」というのは人によって異なるのである。

そして、特に「会話・雰囲気を楽しめるかを重視」するつもりはなくとも、実際に長く通い続けることになる美容院には、あなたとフィーリングが合う美容師が居るのではないだろうか?「対面」のサービス業(顧客と美容師が同じ方向を向いているので物理的には「対面」ではないのだが。。。)はコミュニケーションがキモになってくる。

弁護士選びも基本的には美容師選びと同じである。難しく考える必要はない。基本的な専門能力をチェックして問題がなければ、あなたの会社が重視するポイントと個人的なフィーリングを評価して選べばよい。

弁護士選びの基本の考え方
  • 基本的な専門スキルを身につけているのが前提
  • 会社によって異なる重視するポイントを評価する
  • 弁護士個人とのフィーリングが重要


「いい弁護士」を選ぶために重要なポイント

1. 弁護士選び以前:何をしてもらいたいか?を整理する

多くのベンチャー企業にとって、最低限の法律知識・経験があることは当然期待しているだろう。一方で、前述したように、それ以外にどのような点を重視するかというのは、会社によって異なってくるのが当然である。

あなたの会社が、具体的にIPOを目指す段階にあるベンチャー企業なのであれば、IPOに関する法的業務に精通している弁護士を探す必要があるし、海外との取引を考えているのであれば、海外取引に関する法的業務に精通している弁護士に依頼する必要がある。

もし、企業としての箔をつけたいということであれば、カリスマ美容師ならぬカリスマ弁護士や、弁護士が100人以上所属しているような大規模な法律事務所に依頼するのも1つのステータスとしてありうるかもしれない。

このように、企業の目的によって弁護士に何をしてもらいたいか?は異なる。したがって、企業によって当然「いい弁護士」も異なってくるのだ。

弁護士選びに入る前に、起業家やベンチャー経営者自身が、弁護士に「何をしてもらいたいのか?」をハッキリとさせておくことが第一である。

2.話しやすさ・相談しやすさを重視

一般的に、弁護士に相談するような事柄は、そもそも相談するのに気乗りしない(後回しにしがちな)事柄であることが多い。そのため、話しやすい、相談しやすいというのは弁護士選びの際の大事なポイントである。

ちょっとした問題があった時に、すぐに電話をかけて相談しようと思えるような弁護士が望ましいだろう。

逆に言うと、能力的に申し分なくても、なんとなく話しづらいな~と感じる弁護士は避けるべきである。

3.レスポンスの早さを重視する

あなたの会社が、急成長を目指すベンチャー企業なのであれば、スピードが命だ。これは弁護士とのやり取りにも当てはまる。法務関連の問い合わせをしたときにレスポンスの早い弁護士を選ぶとよい。

 

ベンチャー起業家のための弁護士選びの8つのポイント

「いい弁護士」を選ぶためにそれほど気にしなくてもよいポイント

弁護士に依頼したことがない人からすると気になるような点であっても、そこまで重視すべきでないと思われるポイントもある。それらを挙げていこう。

4. 裁判に「勝てる」弁護士は選べない

とにかく「腕のいい」「勝てる」弁護士を探したいという企業も多いだろうが、腕がいい・悪いというのを弁護士以外の人が判断するのは困難である。

例えば、交通事故の例で言うと、被害者側を代理する場合、加害者側を代理する場合というように、事件・裁判にはそもそも存在する事実を踏まえ、勝つ方向に傾いている案件・負ける方向に傾いている案件というものがあり、結果だけ見ても、弁護士の腕がいいかの判断は出来ない。

ある裁判官から、個人的な実感としてであるが、裁判所に持ち込まれる紛争のうち、弁護士の腕によって結論が変わりうる事件はおおよそ20%ほどではないかというような話を聞いたことがある。

そもそも、裁判をすることが決まっているならともかく、「勝つ or 負ける」を争う裁判が依頼する業務の中でどれくらい発生するのか?を依頼前に根本的に検討してみるのがよいだろう。

5.所属する法律事務所の人数は重要ではない

美容師の場合と同様、法律事務所を選ぶことと個人としての弁護士を選ぶことは一致しない(所属弁護士が1人の法律事務所を除く)。

弁護士が複数いれば、弁護士ごとに違いはある。特に、所属弁護士の人数が多い法律事務所に依頼する場合、自分が頼みたかった弁護士と、実際に業務に対応する弁護士が異なるというのは往々にしてありうるので注意が必要である。

また、大型のM&Aのように多人数が必要となる業務を除き、ベンチャー企業に関する一般的な法務であれば、1人か2人、多くても3人程度の弁護士で対応可能な量の業務しかないのが通常だろう。

依頼する法律事務所よりも、実際に仕事を担当する弁護士個人の方が大事であり、逆に言うと、もし個人を指定して選べないのであれば、法律事務所のブランドはあまりこだわってもしょうがないのだ。

もちろんあなたの会社がブランド戦略として、有名事務所の有名弁護士と顧問契約を結んで認知度の向上を図っていくといった場合は、この事務所選びのポイントにはこだわるべきだろう。

6.法律事務所の物理的な近さは重要ではない

あなたのオフィスと法律事務所の物理的距離はそれほど重要ではない。

何かあったらすぐに直接会って相談したいというような人にとっては、重視するポイントになるかもしれない。しかし、実際に仕事を依頼してみると、電話・Eメール等でのやりとりが多く、大事なポイントではなかったということが多い。

顔を合わせる頻度は高い方がもちろん良いが、現在はインターネット環境さえあれば電話会議を行うことができるスカイプなどのツールもたくさん登場し、起業直後の創業期のベンチャー企業でも気軽で安価に利用できる(ほとんのツールが無料である)。このようなツールを利用すれば、資金的に余裕のないであろうベンチャー企業であっても、顔を合わせての打ち合わせを行うことのハードルは下がる。

7.弁護士の経験年数は参考程度

弁護士経験が1、2年しかない弁護士であれば流石に物足りなさを覚えるだろう。では、弁護士歴50年というようなベテラン弁護士が良いかというと、一概にはそうは言えない。

最先端テクノロジーや新しいトレンドを取り入れたビジネスモデルで創業した起業家も多いだろう。ベテラン弁護士が、そのような起業家が相談したいような最新のトピックに詳しいとは限らない。年齢を考えるとむしろ最新トピックに疎い可能性も高い。

3年程度経験を積めば、1人で法律事務所を構えて仕事も出来る業界だ。経験年数は、参考程度に考えるのがよいだろう。

8.低価格はそれ相応のサービスだと心得る

ベンチャー企業にとって、顧問料などの料金は安いに越したことはないが、弁護士業もサービス業であり、それなりの仕事を依頼するのであれば、相応の料金となるのが当然である。

弁護士業も、低価格を実現するには理由がある。その理由がハッキリしないのであれば、価格の安さにつられて安易に契約を結ぶのは避けたい。

逆に、高すぎると思った時は、それに見合うだけの仕事の成果を出してもらっているか考えて価格交渉すればよい。

まとめ

結局のところ、実際に会って依頼をしてみないと、本当に「いい弁護士」かどうかはわからない。

一度、ある特定の弁護士に依頼したからといって、別の弁護士に依頼してはいけないということもないので、今回紹介したポイントを参考にしながら、候補となる弁護士(事務所)をいくつかピックアップし、自社にとって「いい弁護士」を選ぶために、依頼する弁護士を変えたりしながら比較してみるとよいだろう。

とはいえ、特定の弁護士に、自社のことをよく知ってもらい、継続的に依頼する方が望ましいのは間違いない。美容師を変える場合よりは、慎重に判断してもらいたい。

(監修:田中尚幸 弁護士)
(創業手帳編集部)

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