起業家はストレスが溜まりやすい?原因や解消法を詳しく解説
起業家は会社員よりストレスを感じやすくて「うつ状態」になりやすい
激化する競争社会や管理社会などによって、現代人はストレスを抱え込みやすくなっています。ストレスからうつ状態になってしまうのは、起業家も例外ではありません。
常にアクティブかつポジティブなイメージの強い起業家の中にも、多大なストレスを抱えている人は多くみられます。
起業家は会社員よりもストレスを感じやすいともいわれているので注意が必要です。
そこで今回は、起業家のストレスを抱え込みやすい原因や、おすすめの解消法までご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
起業家のストレスとメンタルヘルスの関係性
起業家は、多忙で休息が取りにくい、事業が軌道に乗らず資金繰りが難航しているなど、ストレスを感じる要因が多数あります。
自分が思っている以上にストレスを抱えており、メンタルヘルスに不調を訴える人は珍しくありません。
米国が2018年に報告した起業家のメンタルヘルスに関する調査によると、回答した起業家の約半数近くは、うつ病・ADHD・不安障害・物質依存・双極性障害のいずれかを経験しているという結果となりました。
この割合は、比較対象の非起業家と比べて30%以上も高い割合です。
メンタル疾患を患った経験がある起業家のうち、特に多い疾患が30%のうつ病で、次に多いのは29%のADHDです。
非起業家と比べてうつ病は2倍、ADHDは6倍も割合が高くなっています。
ほかのメンタル疾患においても、物質依存は3倍、双極性障害は11倍も高く、起業家はストレスからメンタルヘルスの不調を起こしやすいことがわかります。
起業家がストレスを抱える原因とは?
起業家がストレスを抱えてしまう原因は多岐にわたります。主にどのような原因が考えられるのかご紹介します。
仲間や投資家の責任を負っている
起業家は、一緒にビジネスを手掛けてくれる仲間や、立ち上げ・経営に協力している投資家の責任を負っています。
仲間や投資家のために頑張ろうという精神は事業を成長させるための糧となる反面、責任を背負う立場から自己犠牲的になりやすいです。
自分の精神をすり減らしてまで責任を負おうとする結果、膨大なストレスを抱えることになります。
また、仲間と企業する場合、友情が壊れたり、経営体制が崩壊したりすることを恐れて疑問や不満などがいえないというケースも少なくありません。
ストレスが溜まるだけではなく、正しい決断ができないと経営の継続が困難になる可能性があります。
不確実性が高い
どのようなビジネスにも確実なものはなく、環境は目まぐるしく変化していきます。
自分自身でビジネス環境をコントロールできないゆえに臨機応変な対応や、時には変革が必要です。
不確実性が高い環境の中で柔軟に対応していくのは大変なことです。最近では、新型コロナウイルスの世界的流行が不確実な事象といえます。
経済が長期的に滞り、生活や働き方などが劇的に変化するとは、誰も予想できなかったことです。
このような大きな変化があれば、起業家は自分の知恵や経験を活かして、新たな環境に対応していかなければなりません。
対応に膨大な労力がかかり、万が一に失敗したらという不安もあり、結果が出るまで落ち着くことはできないかもしれません。
ほかの起業家との差が可視化されやすい
業績や事業規模によって、ビジネスが成功しているかどうかが判断できます。ほかの起業家と優劣が可視化されやすいので、劣等感を抱いてしまう人は少なくありません。
競合が自分の倍以上の業績を伸ばしている状況であれば、こちらも業績を上げるために努力をする必要があります。
競争心を糧に新たに優れた戦略を考えれば良いのですが、業績を上げることを優先して無茶な戦略になってしまう可能性もあります。
それで失敗すれば、さらに劣等感は強くなるかもしれません。
経営がうまくいかないと仲間や市場など、自分以外のものに責任転嫁してしまうこともあります。また、見栄を張ってしまい、社内の雰囲気を悪くしてしまう場合もあります。
孤独を感じやすい
起業家は一般の社員と比べて孤独を感じやすい傾向にあり、それもストレスの要因になります。
企業のトップとして事業における重大な決定をする立場でありながら、雇用主として、社員とその家族の生活も守らなければなりません。
大きな責任を負う立場であるために、自身の生活やキャリアアップなどを第一に考えて働く社員とは価値観が異なります。
価値観の違いや立場の違いから周りから理解を得られなかったり、友人との付き合い方が変わったりしたことで、孤立してしまうケースは少なくありません。
対等に話や悩みを相談できる相手が少なくなり、孤独を感じやすくなるのです。
生活が不規則で睡眠時間が取りにくい
起業家は労働時間の上限がなく、タイムスケジュールは比較的自由です。しかし、幅広い業務や雑用を手掛けることになるので、多忙になりがちです。
日中は電話対応や取引先との打ち合わせ、トラブルの対応などがあり、夜や土日に溜まったデスクワークを消化するという働き方をしている人もいます。
多忙ゆえに生活が不規則になりやすく、休息や睡眠時間を削ってしまうケースもあります。
休息や睡眠時間が取れないことは精神面だけではなく、肉体的な負担もかかってしまうので注意が必要です。
プライベートとの両立が難しい
上記で述べたとおり、起業家は多忙であるためプライベートとの両立も難しい傾向にあります。
休みの日も仕事に集中しなければならないことが多く、家族や友人の休みと合わず、共に過ごす機会が減ってしまうケースも珍しくありません。
家族のために働いているはずが、家族のことを後回しにしてしまいがちで「何のために起業したんだ」と自分を追い込んでしまう場合もあります。
また、プライベートの時間が減ることで、趣味や仕事以外のことができないというストレスも抱えやすいです。
金銭的な不安を感じやすい
起業後は会社員と違って固定収入ではなくなってしまうので、金銭的な不安を感じてしまう人もいます。
そもそも経営を継続していくためには、利益を出さなければなりません。
利益が出なければ経営に支障が出るだけではなく、生活に必要な収入も得られなくなります。
特に起業したばかりの時には、事業が軌道に乗るまで利益や収入が安定しません。
安定した後も何らかの要因で業績が低下すれば、利益と収入が下がってしまう可能性があります。
安定した収支を得るためには、売上の予測や収支計画表を立てることは大切です。
原価や経費、税金など経営に関わる費用を数字で目に見える形にして、どれだけの利益に期待できるのか予想し、リスクに備えてください。
起業家におすすめのストレス解消法6選
起業家はストレスを抱え込みやすいからこそ、ストレスの発散が重要となってきます。ストレスの解消法は人によって異なり、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
ここで、起業家におすすめしたいストレス解消法を6つご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.マインドフルネス瞑想を実践する
マインドフルネス瞑想とは、今この瞬間に集中できる状態を意図的に作り出すことです。
1970年代からアメリカを中心にマインドフルネスの研究が進み、ストレスや不安を取り除く効果があると実証されています。
緊張やうつ状態の緩和、集中力・記憶力の向上、睡眠の質の向上といった効果に期待できます。
マインドフルネス瞑想のやり方は以下のとおりです。
1.座布団や坐布の上にあぐらをかいて座り、良い姿勢を作る
2.自分の呼吸に意識を向ける
3.何か感情や思考が浮かんでも呼吸に集中する
起業家はいろいろなことを考えがちで、それがストレスの原因となってしまう可能性があります。
マインドフルネス瞑想で一時的に感情や思考を遮断することで、不安やストレスの軽減につながります。
2.経営コンサルタントなどのプロに相談する
経営コンサルタントなどのプロに相談して、悩みや不安を解消するのもストレスの緩和につながります。
経営コンサルタントは、経営に関するあらゆるアドバイスやサポートに対応できるので、対等に相談できる相手が少ない起業家にとっては良き相談相手です。
経営のプロに相談することで、ひとりで悩んでいたことがすぐに解決するかもしれません。
また、個人的な悩みやトラブルで精神的に追い込まれているようであれば、カウンセラーやセラピストなどの専門家への相談がおすすめです。
専門家に相談することで、不安やストレスの根本的な原因や解消方法がわかるかもしれません。
最近はオンラインで利用できるサービスもあるので、つらいと感じたら早めに相談してみてください。
3.経営者のコミュニティに参加し、仲間を作る
経営者のコミュニティに参加するのも良いかもしれません。起業家や経営者は孤独になりやすいからこそ、より多くの仲間の輪を作るべきです。
同じ起業家・経営者であれば、価値観や抱えている悩みも近いことが多く、対等な立場で交流できます。
経営者にしかわからない悩みを打ち明けやすく、経験豊富な経営者からそれを乗り越えるためのアドバイスをもらえる可能性もあります。
また、自分と同じ悩みを持っていることに気付けるので、自然と前向きな気持ちを持てるでしょう。
最近はオンラインで交流会の開催や相談・情報交換ができるサービスが増えています。オンラインなら時間が取りにくい経営者も参加しやすいのでおすすめです。
4.適度に運動する
適度な運動もストレスの解消には効果的です。運動をすると交感神経が優位になる時間が長くなり、ポジティブな気持ちになりやすいといわれています。
軽い運動だけでもセロトニンやエンドルフィンといった精神を安定させるホルモンが分泌されるので、ストレスの緩和につながります。
起業家は、基本的に定年退職がありません。自分ができると思う時まで仕事を続けられます。
長く事業を経営していきたいのであれば、健康や体力にも気を遣わなければなりません。
定期的に運動をすれば、生活習慣病や筋力の低下の防止にもつながるので、心身の健康を維持して元気に働けます。
5.自分なりの気分転換方法を見つける
自分に合った気分転換方法を実践するのもおすすめです。
読書・映画鑑賞・家庭菜園、美味しいものを食べるなど、何でも良いので自分なりにリラックスできることを見つけてみてください。
自分の好きなことに取り組んでいる時間は、仕事のことを忘れられます。そのため、少しの時間でも仕事から離れるように心掛けてみてください。
例えば、音楽鑑賞や甘いお菓子を食べる、コーヒーやお茶を飲むなどの気分転換であれば、仕事中や休憩中にできます。
散歩や軽い運動、瞑想など毎日時間を決めてルーティン化するのも良いかもしれません。
6.働く環境を整える
ストレスを増やさないために、働く環境を見直して整えることも大切です。
例えば、事業に関する相談に乗ってくれる人や価値観・気持ちを理解してくれる人が社内にいれば、経営においてひとりで悩む必要がなくなります。
従業員とコミュニケーションが取れる環境にしたり、経営コンサルタントに相談したりするのがおすすめです。
ほかにも、人に渡せる業務があれば社員を頼るようにしてみてください。
ひとりで多くの仕事を抱えてしまうと労働時間が長期化し、メンタルヘルスに影響が出てしまいます。
信頼できる社員を置き、可能な範囲で自分の仕事を分散して負担を減らしてみてください。
まとめ・起業家は病まないようにストレス解消法を身に付けよう!
起業家は大きな責任を負う立場であり、業務も多忙です。対等に話せる相手が社内に少なく、休息や休暇も取りにくいことから、心身ともにすり減らして働いている人は多くみられます。
そのような状態が続けば心が病んでしまい、経営どころではなくなってしまいます。
経営を続けるためには、心と体の両方を元気に保つことが大切です。
ストレスを改善することは簡単ではありませんが、自分に合ったストレス解消法を見つけ、こまめに発散していくことを心掛けてみてください。
ストレスが減れば気持ちが前向きになり、経営においても最大限のパフォーマンスを発揮できるかもしれません。
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(編集:創業手帳編集部)