「マインドフルネス」がストレス社会をサバイブし、生産性を高めるために必要な理由とは

創業手帳

自らと従業員のメンタルヘルスを保つために、レジリエンスや集中力、生産性を高めてくれるマインドフルネスを取り入れよう

アメリカでは有名企業や学校でも取り入れられている「マインドフルネス」。聞いたことはあるけれど、具体的にどのように生活に取り入れればいいのか分からないという方も多いかもしれません。

コロナ禍で自殺や鬱が増えているという報道もある中、注目を集めているのがメンタルヘルス。健康的に働き利益を出すためには、心の健康にも留意する必要があります。

そこで、アメリカでマインドフルネスの魅力に目覚め、その魅力を日本に広めたいと起業したA_little_changeの小林友香氏に、メンタルヘルスを保つために有効なマインドフルネスの効果や、取り入れるべき具体的な方法についてお聞きしました。

小林友香

小林 友香(こばやし ゆか)
A_little_change代表取締役
福岡県生まれ。10歳から18歳までアメリカ・カリフォルニア州で過ごす。大学から日本に戻り、コミュニケーション関係の仕事に携わる。2015年に再度渡米し、スポーツ心理の修士を取得。
またアメリカにて、マインドフルネス メディテーションを勉強。学校、病院、企業などあらゆる場面で活用可能な知識を習得。2018年に8月に帰国し、A_little_changeを設立。
2019年4月より、大阪体育大学の博士課程在籍。マインドフルネス、セルフコンパッションとアスリートについて研究。アスリートなどを始め、企業やビジネスパーソンなどさまざまなクライアントに対し、メディテーション、メンタルトレーニングの実績多数。

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なぜ今マインドフルネスなのか?

2020年は新型コロナの猛威に世界中が振り回された年でした。もし自分や親族がかかってしまったらという不安や恐怖はもちろん、行動を大きく制限されたり、会いたい人にもなかなか会えないというように行動様式が一変する中で、世界中の人々のメンタルへの悪影響が心配されています。

そんな中、メンタルヘルスを保つために注目されているのがマインドフルネス。ワシントンポストによると、今回のコロナの影響で3月下旬の週のマインドフルネスや瞑想に関するアプリのダウンロード件数は、1月2月の週平均を25%も上回ったそうです。

ストレスがたまりやすい状況である今だからこそ、マインドフルネスの力を借りてメンタルを健康に保ち、レジリエンス(人が困難や逆境の中にあっても、心が折れることなく柔軟に対処できる力)や生産性をアップさせましょう。

グーグルもアップルもマインドフルネス

グーグルは「サーチ・インサイド・ユアセルフ」というマインドフルネスと瞑想を中心としたリーダーシップ研修を行い、スティーブ・ジョブスは禅やマインドフルネスの瞑想を実践。アメリカの学校でも、マインドフルネスについての取り組みが広がっているようです。日本でも楽天やメルカリなどの企業がマインドフルネスを取り入れています。

マインドフルネスの瞑想法は、仏教の瞑想法を取り入れて産まれたものですが、宗教色は一切ないため、誰でも気軽に挑戦することができます。また、さまざまな医学者や脳科学者たちがマインドフルネスに関する研究をし、うつ、不安、ストレスの減少に効果があるという結果を発表していることも、マインドフルネスを世に広めるきっかけとなりました。

マインドフルネスとは、今の状態に意識を向けていること

皆さんは「ぼーっとしながらポテトチップスを食べていたはずだけど、気がついたらもう無かった」というような経験はありませんか。または「通勤中に考え事をしていたら、いつの間にか会社に着いていた」のような経験はどうでしょうか。

今挙げたことは「マインドフルネス」の正反対にある状態のことです。深く考えずに行動をしていて、自分が実際に取り組んでいること以外の何かを考えながら過ごしている状態。これはいわゆる「自動操縦(オートパイロット)」状態と呼ばれ、人間は1日の約47%はこのような状態で過ごしていると言われています。
(引用:Wandering mind not a happy mind

つまり、裏を返せば「マインドフルネス」とは、過去でも未来でもない、今の自分の身体や心、またそれを取り巻く周囲の状態に100%意識を向けていることです。

例)
  • お皿洗いをしながら水の温度やお皿の感触に意識を向ける
  • 香りや温度、テクスチャーに意識を向けながらコーヒーをゆっくりと飲む
  • 気温を感じ、どんな音が聞こえてくるか耳をすませながら外を歩いてみる

こんなことも、立派なマインドフルネスなのです。

人間とは過去を憂い、未来を心配しがちな生き物ですが、リスクを回避するためにネガティブな発想になるよりも、意識して現在を生きよう、という考え方がマインドフルネスと言えるでしょう。

マインドフルネスを手軽に実践するなら「呼吸」を意識

マインドフルネスと瞑想は混同されがちですが、マインドフルネスは考え方のことで、瞑想はそれを実現するための手段のひとつです。

マインドフルネスな状態になるための瞑想のやり方

寝ることや食事をすることは少々の間ならできなくても死にませんが、呼吸は数分間止めるだけで死に至る、人間にとって必要不可欠なものです。その呼吸に意識を向け、コントロールすることで副交感神経を刺激し、瞑想に入りやすい状態にします。

おすすめの呼吸法は、1,2,3,4,5と鼻から吸い、6,7と止めて、口から8,9,10,11,12,13と長めに吐き出す方法

簡単なようで慣れていないと難しいので、最初は吸うほうか吐く方どちらかに意識を集中して行うといいでしょう。

瞑想中にいろんな考えが入ってきてしまうことはよくあることですが、雑念が入ってきたな、と感じたら意識を戻すようにしましょう。その繰り返しが、集中する思考回路を脳に作ってくれます。

1日のうち、10分から15分程度でもこのような時間を取れればいいですね。それも難しいという人は、例えば朝のコーヒーを飲む前に5回このような呼吸をする、または寝る前にこの呼吸をしながら眠りにつく、というところから始めてみてはいかがでしょうか。この方法で眠ると、眠りが深くなると好評なんですよ。

わたしがお気に入りの方法は、お話しした呼吸をしながら五感にひとつずつ意識を向ける方法です。目で見えるもの、耳で聞こえるもの、どんな匂いがするかなど、ご自分で例えば1分ずつというように、時間を区切ってやってみてください。

初心者にはガイデッド・メディテーションがおすすめ

ガイデッド・メディテーションとは、ガイドをしてもらいながら瞑想をするという方法です。音声で呼吸を数えてもらったり、いろいろな指示を受けることで瞑想に入りやすくなり、初心者におすすめです。

私が勉強をしたアメリカではガイデッド・メディテーションが受けられる施設があり、かなり一般的でしたが、日本ではいくつかスタジオがあるだけで、まだそこまで普及していないようですね。

脳や心臓からは微弱な電波が流れていて、同じ場所でガイドを行うことで、瞑想する人とガイドする人が共鳴し、瞑想により入りやすくなるという効果が期待できるので、それができるとベストです。もちろん弊社でも対応しています。

ただ、それが難しい場合はアプリやyoutubeなどを利用するのもいいでしょう。「瞑想」「メディテーション」「マインドフルネス」と検索すると、さまざまな動画が見られますよ。

ストレスとマインドフルネス

私たちはとても忙しい時代を生きています。スマートフォンや最新家電は確かにいろいろなことを可能にしてくれましたが、その反面いつでも情報が舞い込み、常に友人や仕事先からの連絡にさらされ、知らず知らずのうちにマルチタスクになってしまいます。

そのような忙しい生活を過ごしている現代の人々は、脳が疲れたままで集中できず、意識しないうちにストレスを溜めがちなのです。

ストレスはなぜ悪い?

「fight or flight response」という言葉があります。直訳すれば「戦うか逃げるか反応」なのですが、これは動物の恐怖への反応を表していて、差し迫った危機的な状況において動物がどんな行動を取るかということです。

例えばあなたが森の中でハイキングをしていて、熊に会ったらどうしますか? そういった危機的状況のとき、動物の身体は戦闘モードになり、心拍や血圧が上昇、息が浅くなります。

通常では発揮できないような力が発揮できるのと引き換えに、緊急時には不要な内臓などへの血流が低下します。つまり生き残るために必要な機能を優先するために、不要な器官は二の次になるということですね。

ストレスにさらされると、人間の体は戦闘モードに入ったのと同じ反応を示します。つまり、ストレス状況下にあると、このような体の状態が長い間続くということになります。熊と違って、ストレスはすぐに目の前から消えてくれないので厄介です。

セルフコンパッションで自分に対する思いやりや力を引き出す

そんなときに試してほしいのがマインドフルネスのメディテーションなのですが、ここではさらに一歩進んで「セルフコンパッション」という考え方を紹介したいと思います。マインドフルネスよりもレジリエンスやウェルビーングを高めるといわれています。

セルフコンパッションとは、元々は仏教の思想から出てきた概念で、今では心理学の分野においてよく研究されているメンタルケアの考え・手法です。マインドフルネスよりも具体的な考え方や手段があるので、今困っている時に取り入れやすいものになります。

compassionとは「思いやり、同情、慈悲」という意味。つまりセルフ(=自己)コンパッションとは、「自分が大事にする人のように、自分を思いやること」と言えます。
セルフコンパッションを高めるためには、いろいろな方法があります。例えば、嫉妬という感情について考えてみましょう。

  • 「どうして自分はそういう感情を持つのだろう?」と考えてみる
  • →裏にある「もっと愛されたい」「もっと認められたい」などの感情に気づく。その感情を否定せず、人はみな同じように考えるもの、当然のものだと受け止める。

  • 「自分の大事な友人が自分に相談を持ちかけてきたらどう答えるか」と考えてみる
  •   →「嫉妬なんて人間だったら誰もがするもの。してしまうのは仕方ない」という風に意識を切り替えられるようにアドバイスをしてあげる。友達にアドバイスするように、自分のネガティブな側面も受け止めてあげる。

セルフコンパッションが高い人は、抑うつ症状、不安、ストレス反応が低く、安定した精神状態を保てるといいます。落ち込みそうになったときは、ぜひ自分の大事な友人をいたわるような気持ちで、自分に向き合ってみてください。

メンタルヘルスは向上した? 編集部員がマインドフルネスを試してみた

創業手帳の編集部員が、マインドフルネスを試してみました。小林氏によると「結果を感じるには4週間から8週間が理想的」とのことですが、スケジュールの都合上、2週間経過した時点でご報告させていただきます。

〇月〇日 小林氏のセルフコンパッション講座を受講。ガイドに従い、その通りの呼吸をしたところで猛烈に眠くなる。そのまま寝てしまいそうな気持ちよさ。

〇月〇日 子どもにもいいと聞いたので、寝る前に「1,2,3,4…」と数えながら子どもと一緒にマインドフルネスの呼吸をして寝る。いつもより深く眠れたようで、早朝4時にぱちっと目が覚めてしまった。気分も爽快。

〇月〇日 いつもなら考え事をしながら、たまにスマホを見ながら歩いているが、冷たい空気やイチョウの葉に意識を向けながら外を歩くと、小さな幸福感が湧いてきて穏やかな気持ちに。今に集中するという大切さが分かった気がした。

〇月〇日 youtubeで「meditation」と検索してみる。たくさんの動画!自分ひとりで瞑想するのは初心者としては心細いので、こういった動画はありがたい。

〇月〇日 キャンプへ。寒くて眠れず、マインドフルネスの呼吸をしたら眠れるか、と試してみたけれどやはり眠れなかった。集中が足りなかったのかもしれない。寝袋にもぐりこんで、なんとか就寝。

〇月〇日 なかなかメディテーションが習慣化しないので、仕事が終わったら一杯の温かい飲み物を飲む前に呼吸を5回行い、味や温度、匂いを味わいながら飲むことにした。仕事から日常への切り替えにもなり、とてもよい。

まだなかなかひとりで思うように瞑想状態に入ることは難しいですが、考え方だけでもだいぶ日常の感じ方が変わった気がします。五感を使い、今の瞬間に集中することの気持ちよさ、贅沢さを味わえただけでも、マインドフルネスという概念に出会えてよかったなと感じました。

ふとした時間に幸福感を味わえたり、未来に対する不安に過度に思いを巡らせないようにすることで、メンタルヘルスも向上しました。

仕事とプライベートの境い目をつけることが難しい創業期や、日々プレッシャーと向き合う経営者の方々にもぜひおすすめしたい考え方です。

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(取材協力: A_little_change 小林 友香氏
(編集: 創業手帳編集部)

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