2022年の全国における倒産状況は?倒産回避策も紹介

資金調達手帳

倒産状況を知り、自社の抱えるリスクを考えよう


新型コロナウイルス感染症の拡大やロシア・ウクライナ情勢、物価高と企業を取り巻く環境に楽観はできません。

企業の倒産件数が増加傾向にある中で、企業として社会的価値を生み出し続けるためには、キャッシュフローや資金繰りを早めに見直すことが大切です。
また、万が一のためにセーフティネット共済などの制度も知っておくと良いでしょう。

この記事では、2022年の全国における倒産の状況やその背景、事業再生の手段について紹介します。

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2022年10月までの倒産状況まとめ


この数年で日本だけでなく、世界的にみても生活環境が変容しました。多くの企業が影響を受け、経済的な打撃を受けています。
自社は何とか持ちこたえているものの、これから先は不透明で、同業他社で倒産や廃業があった人もいるかもしれません。
倒産件数は、景気の悪化や改善を図るための指標として使われています。
ここでは、日本の企業の倒産状況がどうなっているかを紹介します。

倒産状況は増加傾向にある

「東京商工リサーチ」では、全国で負債総額1千万円以上の倒産統計を「倒産月報」として月次で発行しています。

調査によると、2022年10月の全国企業倒産は596件で、前年同月比13.5%増でした。
負債総額は869億9,500万円で前年同月比11.6%減です。

2022年上半期(4~9月)の企業倒産件数は3,141件(前年同期比6.9%増)で、10月まででは7カ月連続で前年同期比を上回っています。
特に、上半期は新型コロナウイルス関連倒産が1,121件に上り、その中でも9月は210件と最多でした。

10産業のうち7産業で上昇傾向

2022年上半期の倒産件数を産業ごとにみると、10業種あるうちの7業種で前年同期比を上回っています。
10業種とは、農・林・漁・鉱業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業を指します。

上半期で倒産件数が前年同期を上回らなかったのは、卸売業・小売業・不動産業の3業種だけでした。
倒産件数が増加している産業の中でも特に増加の割合が大きかったのは、農・林・漁・鉱業の42.85%で、次いで運輸業の42.10%です。
燃料高の高止まりなどが原因と考えられ、業種によって置かれた環境がまったく異なります。

半数以上の地方で前年同期比を超える倒産

地方ごとの倒産件数をみると、10月は北陸を除いて8地区で前年同月日を上回っています。
関東の10月における倒産件数は205件で、6カ月連続で前年同月比を上回りました。
2022年に連続して前年同月比より倒産が増加している地方が多く、全国的に企業の環境が悪化していることがわかります。

「新型コロナウイルス」関連倒産の現状

コロナ禍において多くの企業が打撃を受けており、政府はコロナ融資などの追加金融支援を実施しました。
しかし、これらのコロナ対策支援は終わりを見せる一方で、収益力や企業体力が戻らないままコロナ関連融資の返済の始まりを迎える企業も少なくありません。

新型コロナウイルスの感染再拡大が不安視される中で、円高や燃料高など企業に打撃を与える外的要素が重なっています。
新型コロナウイルス感染症によって体力を失った企業が淘汰されていくケースはまだまだ高まると考えられます。

今後の見通しと企業を取り巻くリスク

企業は外的要因の影響を多く受けます。自社は関係ないと考えていては、足をすくわれてしまうかもしれません。
今後の経済環境の見通しや企業を取り巻くリスクについて、項目ごとに紹介します。

新型コロナ感染症の再拡大

新型コロナウイルス感染症の勢いは留まらず、今後も企業は不安定な環境に置かれると予想されています。
自社の従業員が感染したり、濃厚接触が相次いだりした結果として人手不足に陥った例も全国で発生しました。

例えば、JR九州では、2022年夏に乗務員を確保できず一部電車を運休。全国170カ所の郵便局でも窓口業務休止になるなど、多くの企業で人手不足の問題に直面しています。

従業員の離職や採用難を原因とした人手不足から倒産に至るケースも増加しています。
新型コロナウイルス感染症が原因とする顧客減や売上げの減少だけでなく、人手不足倒産にも注意を払わなければいけません。

物価高の価格転嫁

物価高は、消費者の生活はもちろん企業にも大きく影響を与えます。
ガソリンなどの燃料をはじめ、食材や木材などの原材料の価格が高騰したことによる物価高を原因とした倒産も起きています。

昨年から続く小麦や油脂の価格上昇のほか、原油高による運送費や包装資材の値上がり、電気料金の値上げなどでも、コスト増は避けられません。
為替が円安に進んだことも、企業の体力を確実に奪っています。

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化

ロシアによるウクライナ侵攻も、物価高に拍車をかける要因のひとつです。
「帝国データバンク」では、ロシア・ウクライナ情勢によって原材料や商品・サービスなどの仕入れに与える影響について調査を実施しています。

その結果、ロシア・ウクライナ情勢によって仕入れの数量確保にあたり「影響を受けている」と回答した企業は50.8%と半数を超えました。
さらに、原材料や商品の価格高騰の面で「影響を受けている」と回答した企業は66.7%に上ります。
業種でみると、木造建築工事・木材や竹材の卸売・建築工事関連で影響が大きく、また水産食料品製造業でも影響が目立ちます。

ロシア・ウクライナ情勢によって影響を受けた企業に実施している対策について質問したところ、「原材料や商品価格上昇分の販売価格への転嫁」が48.3%でトップでした。
次いで、「代替品への切り替え」が21.3%となっています。

政府も、ロシア・ウクライナ情勢で影響を受けた事業者へ、セーフティネット貸付金の利引下げなどの支援策を打ち出してきました。
しかし、先行き不透明感が強まり、さらなる対策が必要とされています。

倒産を避ける事業再生とは


会社を経営していると、資金難や売上げの減少により、倒産が頭をよぎることもあるかもしれません。
しかし、会社の再建に向けて事業再生が可能であるケースも多くあります。

事業再生とは、業績不振や債務超過に陥った企業の事業を立て直して経営を健全化することをいいます。
破産とは異なり、従業員の雇用を維持したり、取引先への影響が大きくなるのを防げたりする点が事業再生のメリットです。
倒産を考える前に、事業再生が可能かどうかを検討するようおすすめします。

事業再生が可能なケースとは

資金難や債務超過に陥っている企業の中にも、事業価値がある会社は多くあります。
そのまま倒産してしまうことの経済的損失を回避するために、裁判所が関与する民事再生手続きが存在します。

また、裁判所の関与までしなくても、金融機関に協力を求めるだけで債務を圧縮できる場合も少なくありません
事業再生が可能かどうかは、企業の負債や事業の状態によっても異なるため、まずは弁護士などの専門家に相談してみることも有効な手段のひとつです。

事業再生で使われる手法

早期に事業再生を図る時には、金融機関との間で私的整理をする方法が使われます。
しかし、私的整理で対応できない場合には、法的整理を実施します。
それぞれの手続きについて、以下にまとめました。

私的整理

私的整理による再生とは、会社と債権者である金融機関との合意で再生計画案を策定し、承認された計画で事業再生を行うものです。
私的整理では、法的な手続きはなく裁判所も関与しません。厳密な手続きが不要で、柔軟に事業再生を目指すことができる方法です。

また、私的整理であれば公表されることもないので、現状を知られにくい点もメリットといえます。
ただし、私的整理ができるのは、債権者の理解や協力を得られる場合です。

具体的には、金融機関などへの返済期間を延長してもらい、返済額を軽減するリスケジュールや収益性のある事業の全部(もしくは一部)を会社分割や事業譲渡により分社化する「第二分社方式」があります。
この方式では、分社化することで不採算事業や超過債務について特別清算や破産で整理します。
周囲の理解を得ながら会社の現状に応じた方法を選択してください。

法的整理

法的整理による再生は、法に基づいて裁判所が関与して債務の整理を行う方法です。
法的整理は、すべての債権者に対して公平な手続きです。
再建型の法的整理として、民事再生・特定調停・会社更生による手法があります。

中でも、中小企業の資金繰り改善のために使われることが多いのは民事再生です。
民事再生は、破産原因がなくても破産の恐れがあれば申立てが可能です。

申立てが認められて民事再生手続きが開始すると、債権の調査や再建計画の債権者承認が実施されます。
裁判所は再生計画認可を決定してから、遂行状況を確認します。
法的整理は厳格な手続きが求められるため、民事再生のノウハウを持つ弁護士に依頼するのが一般的です。

事業再生について、詳しくはこちらの記事を>>
事業再生の手法や流れを解説!法的再生・私的再生それぞれの詳細も

倒産を避けるために企業ができること


創業してから今まで順調に経営してきた企業であっても、市場や環境の変化が著しい今であればなおさら、倒産してしまうリスクを考えておかなければいけません。
倒産を避けるために企業はどのようなことに注意すればいいのでしょうか。

キャッシュフロー経営を行う

倒産を避けるためには、お金の流れを把握することが重要です。
損益計算書は、発生主義に基づいているため、今のお金の流れを把握しにくい点がデメリットです。
そこで、キャッシュフロー経営にシフトしてお金の流れを明確にします。

キャッシュフローは営業・投資・財務の3つに分けられ、キャッシュフローの増減を合計すると現預金の増減となります。
良いキャッシュフローは、出ていくお金よりも入ってくるお金が多い状態です。

キャッシュフローを改善するためには、入ってくるお金を増やして出ていくお金を抑えることを意識します。
具体的には、売掛債権の早期回収、在庫や資産の圧縮・処分がキャッシュフローの改善に役立つ方法です。
キャッシュフロー経営を意識すれば、利益が出ているのに支払い能力がないといった状態を防止できます。

キャッシュフロー経営について、詳しくはこちらの記事を>>
キャッシュフロー経営とは?メリットやデメリット・進め方

資金調達力を上げる

企業の先行きが不透明な中で、大切なのは自衛の手段として資金調達が可能な状態にしておくことです。
融資などを活用して運転資金を枯渇させないように留意しておくことが大切です。

損益計算書で多くの利益が出ていたとしても、手元にお金がなければ支払いが滞ってしまします。
会社の支払い能力を上げるためにも、資金調達で流動資産を増やすように心がけてください。

資金調達力は、必要な時に必要な資金を調達できる能力といえます。
資金調達力を高めるために、日頃から取引先に対して適宜自社の情報を提供して信頼性を高めておくことが重要です。
さらに、取引きをする金融機関はひとつに限定せず、複数の金融機関と取引きをして、資金調達先の多様化を図っておく必要があります。

経営セーフティ共済を活用する

自社では健全に経営していたとしても、取引先が倒産してその影響を受ける恐れがあります。
不測の事態で倒産危機に瀕した中小企業が、速やかに事業資金を調達できる共済制度が経営セーフティ共済です。

経営セーフティ共済のメリット

経営セーフティ共済では、取引先が倒産した時に掛金の最高10倍、上限8,000万円まで無担保、無保証人で借入れが可能です。
また、支払った掛金は必要経費として損金に計上できます。

取引きからの売掛金が回収困難になれば、すぐに資金の借入れが可能になるので困窮した時にもスピーディーに対応できます。
また、自己都合で解約した時にも、解約手当金を受け取れる点もメリットです。

経営セーフティ共済のデメリット

経営セーフティ共済は、連鎖倒産を防ぐためや不測の資金難から脱却するためにも有効な手段です。
しかし、起業して1年以上事業を行っていないと加入できません。
そのため、1年を経過するまでには経営セーフティ共済利用せずにリスクマネジメントが必要です。
また、解約手当金も12カ月未満だと掛け捨てになってしまう点にも注意が必要です。

経営セーフティ共済について、詳しくはこちらの記事を>>
経営セーフティ共済で節税できる!加入方法から注意点まで徹底解説します

まとめ

新型コロナウイルス感染症や世界情勢による不安など、企業が置かれている環境は決して安定しているとはいえません。
しかし、企業が倒産を考える前に利用できる制度や共済も用意されています。
自社は問題ないと盲信することなく、将来の備えとして今からスタートできることを探しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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