起業家精神とは?ある人の特徴は?会社に必要な理由や人材を鍛える方法もご紹介
起業家精神とは会社と事業の成長に必要な要素
起業家精神は、新規事業を始める際はもちろんですが、企業を全体的に成長させるためにも必要なスキルです。
起業家精神を持っていれば、個人の成長だけではなく、組織やチームの意識も良い方向へ変わっていきます。
今回は、起業家精神の意味や必要性、起業家精神を持つ人の特徴、起業家精神を育てる方法などについて解説していきます。
経営者として自身の会社をより成長させたい方は必見です。
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この記事の目次
起業家精神とは?新規事業を創造するために必要な精神力
起業家精神は、アントレプレナーと呼ばれることがあります。アントレプレナーは、フランス語の「entreprendre(始める)」が語源となっている言葉です。
13世紀頃は、貿易商や売買人といった意味で使われていました。産業革命が起こった18世紀には、新たな産業を生み出す人をアントレプレナーと呼ぶようになりました。
そこから現在は、起業などを興す人を指す言葉として使われています。このことから起業家精神は、新規事業を創造するために必要な力だといえます。
起業家精神が必要とされる時代背景とは
近年はデジタル技術の進化にともない、ビジネス環境も大きく変化しています。
生産性向上やBCP(事業継続計画)の充実などのメリットを享受するため、ビジネスの世界でもDX推進が重要視されるようになってきました。
このような変化の中で、新たな事業を生み出す人材の需要は高まっていて、企業内で先進技術の活用を推進できる人材を求めるケースも増えてきました。
消費者のニーズが多様化し、商品やサービスのライフサイクルが短くなったことも、起業家精神の重要度が高まっている理由のひとつだと考えられます。
そのような状況にうまく対応することがアントレプレナーの役割でもあります。
起業家精神は、起業家だけでなく会社員にも必要とされるように
現代社会は、これまでにないスピードで変革が進んでいます。デジタル化やグローバル化も著しいです。
そのような中で企業が生き残るためには、新しいことにチャレンジしたり、ほかとは違う視点で事業を見つめ直したりしなければいけません。
つまり、会社員も起業家精神を持ち、勤務先の成長に寄与するための努力を怠ってはいけないといえます。
自分で考えて行動し、顧客に対して提案するという主体的な姿勢が重要です。これは、起業家精神にも通じるものがあります。
起業家精神が必要な理由は?
自社を成長させるために起業家精神を持つことは重要だといわれています。続いては、具体的になぜ起業家精神が必要なのか、その理由についてご紹介します。
状況に応じて経営スタイルを改革できるため
日本の企業は、大半が戦後に誕生しています。終身雇用制度や年功序列、新卒一括採用などの日本型経営で高度経済成長期に大きく発展を遂げてきた会社も多くあります。
しかし、高度経済成長期の成功体験から抜け出せないままバブルが崩壊し、情報化や価値観の多様化などに対応できず、苦しい状況に陥っているケースも珍しくありません。
そのような状況を抜け出すためには起業家精神を育み、状況に応じて経営スタイルを改革できるような環境を作ることが重要になります。
新たな技術に対応する事業を創出するため
新しい技術の発達は著しく、顧客のニーズも依然と比べると大きく変わっています。コロナ禍や家族形態の変化により、顧客ニーズはさらなる変化を遂げています。
ニーズの変化や市場の動向に合わせ、企業側は新たなビジネスモデルを構築したり、新製品やサービスを開発したりしなければいけません。
新たな技術やニーズに対応する事業を生み出すといったイノベーションを起こすためには、起業家精神が必要です。
グローバル化に対応するため
グローバル化に対応するためにも、起業家精神は必要です。テクノロジーの発達や新興国の経済発展にともない、世界は急速にグローバル化を遂げています。
日本は国内市場の規模や技術のガラパゴス化や若者の内的指向、グローバル教育の遅れなどにより、グローバル化への対応が遅れているという問題点を指摘されることが多いです。
少子高齢化による人口減少で国内市場の規模も縮小化するといわれているため、世界的な規模まで視野を広げてビジネスに取組む起業家精神は必要だと考えられます。
社内に積極性のある人材を増やすため
企業を成長させるためには、積極的に動ける人材も必要です。経営者自身が起業家精神を持っていれば、それに賛同する同じような考えを持つ人材が集まりやすくなります。
そうすることで、周りを巻き込んで革新的なアイデアを生み出したり、活発な意見交換ができたりするようになるのです。
このことから、周りにポジティブな影響を与えることも、起業家精神が必要な理由のひとつだといえます。
起業家精神を持つ人の特徴
起業家精神を持つ人には、共通する特徴があります。しかし、具体的にどのような共通点があるのかわからない方も多いです。
続いては、起業家精神を持つ人に共通する特徴をいくつかピックアップしてご紹介します。
マネジメント・管理能力に優れている
起業家精神を持つ人は、マネジメントや管理能力に優れています。将来に対する明確なビジョンを持っていて、それに向けたマネジメントをすることが得意です。
商品開発やサービス開発に結び付け、課題解決に向けた新たなソリューションを生み出していきます。
また、管理能力も高いです。自分自身の可能性を最大限発揮するため、常に最高のコンディションを維持できる方法を知っているケースが多いです。
作業効率を高めるためにも、管理能力の高さは重要だといえます。
責任感が強く、目的達成への意欲が強い
責任感が強く、目的達成への意欲が強いことも、起業家精神を持つ人に共通しています。
事業を行う中で失敗はつきものですが、どのようなことがあっても「自分の力で何とかする」という姿勢で取組んでいます。誰かのせいにすることもありません。
また、目標達成に向けて意欲的に取組みます。自身で考えたハードルを着々と飛び越え、次のステップへと進んでいきます。
納得できるまでとことん努力することも、目的達成に向けて意欲の高さが表れている要素です。
協調性がありコミュニケーションスキルが高い
協調性がありコミュニケーションスキルが高い方も、起業家精神を持っているといえます。
企業を成長させるためには経営者の力だけではなく、社員の力も必要になります。そのため、協調性やコミュニケーションスキルは必要不可欠です。
周りの様子を把握しながら新たな仕事を割り振ったり、状況についてその都度共有したりすることで、問題点にも早く気付けます。
また、改善策についても話し合いやすい環境になるので、必然的に企業の成長につながります。
柔軟性があり発想力・企画力が高い
柔軟性があり発想力・企画力が高いことも、起業家精神を持つ方に共通するポイントです。
社会は常に変化しているため、柔軟な対応力が必要となります。そのため、柔軟性を持つことは自社の成長に欠かせません。
また、発想力・企画力が高ければ、独創的な商品やサービスを生み出しやすくなります。
発想力・企画力があると、オリジナリティのあるアイデアを生み出すだけではなく、経営資源を有効活用する方法も見つけやすくなります。
好奇心旺盛で行動力が高い
好奇心旺盛で行動力が高いことも、起業家精神を持つ方に共通しています。ほかの人が見逃がしそうなチャンスを手にすることが起業家として重要な要素になります。
好奇心が旺盛だと、様々なことをリサーチするのでチャンスを見つける機会も多くなるためです。
広い視点で物事を俯瞰(ふかん)し、ニーズの変化を読み取ることが需要のある商品やサービスを生み出すためには重要になります。
ただ気が付くだけではなく、行動に起こすことで、チャンスが巡ってきやすくなります。
ポジティブ思考でリスクを恐れない
起業家精神を持つ方は、ポジティブ思考でリスクを恐れない傾向もあります。ポジティブな気持ちとして挙げられるのが、幸福や喜び、希望、愛、感謝などです。
起業家精神を持つ方は、これらの気持ちを絶やすことなく、常に前向きに取組んでいます。
何事も前向きに考えるため、リスクを恐れることもありません。難しい状況に陥ったとしても、前向きに考えて解決の糸口を探っていきます。
起業家精神を養う・育てる方法
起業家精神を育てることで、経営者としてのレベルも高まります。そのため、どうやって起業家精神を養えるのか気になる方もいるでしょう。
そこで続いては、起業家精神を養う・育てる方法について解説していきます。
明確な目標やビジネスプランを立てる
明確な目標やビジネスプランを立てることは、起業家精神を育てる上で重要な意味を持ちます。
起業する際の目標は「身近な人が抱える問題を解決したい」「社会的な問題を解決したい」など様々です。
いずれにしてもより良いものを生み出すことが目標になり、それはアントレプレナーの精神的な支えにもなります。
目標をさらに具体化するビジネスプランまで考えられれば、アントレプレナーへの第一歩だといえます。
成功体験を積み重ねて自信をつける
起業家精神を育むためには、成功体験をいくつも積み重ね、自信をつけることも大切です。
日本だと、成功体験を身に付けるチャンスはなかなかありません。
しかし、アメリカやヨーロッパではアントレプレナー教育に力を入れ、子どもの頃から成功体験を積み重ねる喜びを実感できるような環境が整いつつあります。
生まれ持った気質ももちろん関係していますが、成功体験を積み重ね、自信をつければ、起業家精神も自然と育まれていきます。
起業家精神がある人と働いたり、話を聞く
起業家精神がある人と働いたり、話を聞いたりすることも効果的な方法です。私たちは共に行動する方や見聞きしたことに影響を受けます。
そのため、起業家精神を持つ方と一緒にビジネスをしたり、講演会などで話を聞いたりすることも役立ちます。
ビジネススクールで創業時のマーケティングや営業、スタートアップのマネジメントについて学ぶことも効果的です。
起業家精神が高い方がそばにいると、自分もその環境に飛び込まなければいけない状況になるケースもあります。
起業家精神がある人材を活かす方法
起業家精神を持つ人材を活かす方法を知らなければ、芽を摘み取ってしまうことになりかねません。そうなることを防ぐための方法も知っておきましょう。
最後に、起業家精神がある人材を活かす方法について解説していきます。
失敗を恐れずチャレンジできる環境を作る
失敗を恐れることなくチャレンジできる環境を作れば、新しいアイデアも出やすくなります。
成果に関わらず新しいことを歓迎できる風土があれば、リスクをとっても成長したいという意欲が高まります。
失敗してしまったとしても、そこから得られる教訓を社内で共有できれば問題ありません。
「失敗は成功の母」といわれているので、そこから得られる学びは非常に大きいです。
失敗を活かすことで、組織全体のレベルアップにもつながります。
新しい発見の場を設けて創造的思考を育てる
アントレプレナーには、これまでの考え方を超越した創造的な思考が必要になります。
新たな市場のニーズを予測し、それに応えられるような商品やサービスを開発する能力も必要です。
そのような力を育てていくには、新しい発見ができる場を設けるのがおすすめです。
社内でブレインストーミングセッションを定期的に行ったり、最新トレンドをこまめにチェックできるような環境作りをしたりすると、創造的思考を育てられます。
市場調査やマーケティング知識をつけて視野を広げる
市場調査やマーケティング知識をつけて視野を広げることも、起業家精神を育てるために効果的な方法として挙げられます。
市場調査を行ったり、マーケティングの知識をつけたりすることは、ビジネスを成功させるために必要不可欠です。
市場にあるチャンスを見極めたり、リスクを最小限に抑えたりする必要があるからです。
統計学や市場調査の基本的な方法論について理解を深めることで、市場調査やマーケティング知識は身に付けられます。
事業を始められる制度を導入する
カーブアウトオプション制度や社内ベンチャー制度など、事業を始められる制度を導入するのもおすすめです。
カーブアウトオプション制度は事業リーダーやメンバーが申請することでその事業を子会社化できる制度、社内ベンチャー制度は企業に所属しながら独立したベンチャー企業として新規事業を運営できる制度です。
このような制度を自社に導入すると、起業家精神を育てやすくなります。
また、アントレプレナーシップ研修を行うという方法もあります。これは、起業家精神を育てるための研修です。
まとめ・起業家精神を育み、自立した精神力を鍛えよう
起業家精神は、新規事業を始める時だけではなく、企業を全体的に成長させるためにも必要なスキルです。
このスキルが身に付いていると、変化を続ける現代社会においてニーズに合わせたビジネスを生み出しやすくなります。
需要のある商品やサービスを生み出せれば、企業としても成長しやすくなるので一石二鳥です。
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(編集:創業手帳編集部)