Zアカデミア・伊藤羊一学長が確信した「圧倒的な成長をする人」が共通して続けていることとは?

創業手帳

伊藤羊一氏×創業手帳 大久保幸世「1行書くだけ日記やろうぜ!決起集会」イベント報告

Zアカデミア・伊藤羊一学長が確信した「圧倒的な成長をする人」が共通して続けていることとは?
ー圧倒的に成長する人が、必ずやっていることがある。

Zホールディングス株式会社の次世代リーダー教育責任者や武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長を務める伊藤羊一氏は、数多くのリーダー人材育成に携わる中で確信したことがあるそうです。

それは毎日の「ふり返り」をすること。

『1行書くだけ日記』を2021年1月に出版した伊藤氏をゲストに、創業手帳代表の大久保との対談イベントを実施しました。

当イベントはオンラインで100名以上の方が参加。多くの反響をいただきました。

経営者が日々確実に成長するために、一行日記を毎日続けられる具体的なやり方をご紹介します。

伊藤 羊一

伊藤 羊一(いとう よういち)
Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長/ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長(予定)/株式会社ウェイウェイ 代表取締役/グロービス経営大学院 客員教授
東京大学経済学部卒、1990年日本興業銀行入行、企業金融、債券流動化、企業再生支援などに従事。2003年プラスに転じ、ジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、マーケティング、事業再編・再生などを担当後、執行役員マーケティング本部長、ヴァイスプレジデントを歴任、経営と新規事業開発に携わる。2015年4月ヤフーに転じ、現在Zアカデミア学長、Yahoo!アカデミア学長としてZホールディングス、ヤフーの次世代リーダー開発を行う。またウェイウェイ代表、グロービス経営大学院客員教授としてリーダー開発を行う。若い世代のアントレプレナーシップ醸成のために2021年4月より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)学部を開設、学部長に就任予定。
代表作『1分で話せ』は50万部を超えるベストセラーに。その他『0秒で動け』『1行書くだけ日記』『ブレイクセルフ』など。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

なぜ毎日の「ふり返り」が圧倒的な成長につながるのか

数多くのリーダー候補を見てきた伊藤氏は、成長する人とそうでない人に「能力」の差はあまりないと言います。成長する人が共通してやっているのは「ふり返り」をすること。ふり返りが成長につながるメカニズムを「アクション-スキル-マインド」の枠組みで説明します。

大久保:2021年1月に出された『1行書くだけ日記』について教えてください。

伊藤:「日記を書きましょう」と聞こえるタイトルですが、一番伝えたいのは「毎日ふり返りをしよう」ということです。

その背景を説明するために自己紹介をさせてください。私はヤフー株式会社のリーダー育成機関学長や、グロービス経営大学院の客員教授として長年人材育成に携わってきました。

数多くのリーダー候補を見る中で、圧倒的に成長する人が共通してやっていることに気づいたのです。それが「ふり返り」です。

そのような、私も実践している毎日の成長を実現する「ふり返り」の方法論をまとめたのがこの本『1行書くだけ日記』です。

ふり返りが成長につながるメカニズム

大久保:なぜ「ふり返り」が成長につながるのでしょうか。

伊藤:知識やスキルは覚えただけでは不十分で、活用できなければ役に立ちません。そして、知識やスキルを「活かせる」ようにするのが「ふり返り」なのです。

「アクション・スキル・マインド」の枠組みで説明しましょう。

氷山のような三角形を思い浮かべて下さい。この三角形の一番上をアクション、その下がスキル、一番下の土台をマインドとします。

マインドの土台がしっかりしていないと、海面が波打つような大変な時には、氷山が倒れてしまいます。

例えば、今日のこのセミナーに参加するのも「アクション」です。しかし、参加しただけでは何もならなりません。アクションをして得たものをスキルやマインドに落とし込み強化するために「ふり返り」が必要なのです。

ヤフー株式会社のチーフストラテジーオフィサーで、脳神経科学の博士号を持つ安宅和人さんも「気づきの回数が人の成長を決める」と言っていました。

アクション・スキル・マインドはどうつながっていくか

大久保:なるほど。『創業手帳』の読者には起業したばかりの経営者が多いのですが、スタート地点は同じでも、大きく成長する経営者とそうでない人がいるのは、そういうところに違いがあるかもしれませんね。

スキル・マインドはまたアクションにつながっていくのですか。

伊藤:そうです。そのためには、まずその日に最も印象に残ったことをひとつ選び、それを以下の3つの視点で掘り下げます。

  • 自分にとってどんな意味がある?
  • そうか!
  • やってみよう!

例えば「今日セミナーに参加したが、案外よかった」とします。

それが自分にとってどんな意味があるか、自問自答します。
「同じ場で様々な人の意見が聞けることが有意義であった。」

そして「そうか!」、つまり、自分にとっての気づきを言葉にします。
「他人の話を聞くことは大事だ。」

最後にそれをすぐにできるアクションに落とし込みます。
「今度自分でも勉強会を主催してみよう。」

あとは実際にアクションするだけです。どうですか?簡単ですよね。

落ちこぼれ社員から挽回するため、必死で編み出したのが「ふり返り」

今やZアカデミア学長や、50万部のベストセラー『1分で話せ』の著者として活躍する伊藤氏ですが、意外にも20代は落ちこぼれ会社員で、5年ほどまともに働けなかったそうです。その遅れを取り戻すため必死に編み出したのが「毎日ふり返る」方法だといいます。

大久保:どのようにして「ふり返り」に行き着いたのですか。

伊藤:色々なところで話していますが、私は落ちこぼれ銀行マンで、うつで26歳の時に会社行けなくなってから4〜5年ほど、まともに仕事ができませんでした。人と同じことをしていたらその遅れは到底取り戻せません。

追いつくためにどうすればいいか、一生懸命考えた結果、ひとつの経験でいくつもの学びを得ればいいのだとの結論に至りました。それで、行動するごとに振り返り、気づきをすぐ行動に反映するというサイクルを、毎日回すようにしたのです。

「1行書くだけ日記」具体的なやり方

誰でも毎日続けられ、着実に成長につながる「1行日記」ですが、具体的にどう書けばいいのでしょうか。伊藤氏が実際にどのようにふり返りをしているかもうかがいます。

大久保:これから「1行書くだけ日記」を始める人に、どのようにふり返りをすればいいか、具体的なやり方を教えてください。

伊藤:まずは先ほどの4項目を毎日書きます。

  • その日一番印象に残ったこと
  • 自分にとってどんな意味がある?(So what?)
  • そうか!(Aha!)
  • やってみよう!(Action)

これは最も重要なことなので、『1行書くだけ日記』の表紙にも書いてあります。

大事なのは成長のための気づきなので、慣れたら気づきを1行にまとめても構いません。

ただし、書いて終わりでは不十分です。「ふり返り」をして気づきを得なければ、マインドの強化につながらないからです。

マインドの強化に欠かせない、定期的なふり返りのコツ

大久保:ふり返りのコツはありますか。

伊藤タイミングを決めて定期的に見返すことです。例えば、毎日の1行日記を「プチ気づき」、1週間ごとの「中気づき」、2カ月や半年といった期間での「大気づき」というように、視点を変えて気づきを導き出します。年の初めには前の1年をふり返り、次の1年の計を立てます。

ふり返りは己を知り、未来の自分をつくることです。海図と羅針盤のようなもので、進む方向を決めておけば、自分が進みたい方向に進んでいるか確認できます。そうすることで眼の前の仕事と長期的なキャリアが繋がってきます。

大久保:「1行書くだけ」というのは十分ハードルが低くて続けやすいとは思いますが、それでも三日坊主にならないための続けるためのコツはありますか。

伊藤ふり返り自体を楽しむこと、自分のことを好きになることです。日本人は「反省」のようなネガティブなふり返りをしがちですが、それでは続ける気がなくなります。あくまで明るく前向きに、自分の成長に必要なことだけ考えるようにしましょう。そうすれば、自分のことを慈しめるようになります。

伊藤氏の実践方法とは

大久保:伊藤さんはどのように実践しているのですか。

伊藤:私は毎晩、日記を書き、散歩をして、瞑想することを日課としています。心と体は連動しているので、歩いたり、心を落ち着けたり、お風呂に入ったりすることで、前向きにふり返ることができます。

大久保:ツールはデジタルがいいですか、紙がいいですか。

伊藤人それぞれ好みでいいと思います。紙がいい人は手帳などがいいでしょうし、私の場合は色々なところで手軽に入力でき、写真も入れやすい「Day One」というライフログのアプリを使ってます。

参加者とのQ&A

最後は参加者との質疑応答が行われました。より具体的な実践方法について、活発な質問が飛んでいました。

参加者1:「1行日記」を書くときに気をつけるポイントはなんですか。

伊藤後でふり返れるように書くことです。「セミナーに行った」だけでなく、「伊藤羊一氏の1行日記のセミナーに行った」とした方が後でふり返れます。「今日はプレゼンがうまくいった」としても、なぜ上手くいったか理由まで考えないと再現性がなくなってしまいます。

参加者2人と一緒に振り返るのはどうですか。

伊藤:とても効果的です。対話を通じて良い問いが出れば自分への理解が深まり、新しい発見もあります。4人くらい集まってじっくりやるのもおすすめです。

一方、深くふり返るには、ひとりでやる方がいいでしょう。どちらか片方ではなく、内省と対話、両方やるのが効果的です。

大久保:最後に今日参加された皆さんにメッセージをお願いします。

伊藤:今日の朝食や昨日の晩ごはんに何をたべたか聞かれて、パッと思い出せますか。思い出すのに少し時間がかかったり、忘れてしまっていたりすることもあると思います。それくらい人は忘れる生き物です。そう考えると恐ろしくないですか。だから記録するのです。

ふり返ってみると色々なことがつながっていると感じる時があります。スティーブ・ジョブズの言う「Connecting the dots(過去の様々な点を振り返ることで、意味のあるストーリーが見えてくる。)」です。

創業手帳をご利用の経営者の皆さまも、ぜひ1行日記で毎日のふり返りをはじめてみて下さい。日々成長し続ければ、やがて圧倒的な成長となります。

また、3月20日に『1分で話せ2【超実践編】』が発売されました。即座に考えがまとまり、相手に伝わる技術について書きました。こちらもお手に取って頂けると嬉しいです。

大久保:今日は貴重なお話をありがとうございました。


『1行書くだけ日記』伊藤羊一 SBクリエイティブ
今までの経験とこれからの未来を結び付けながら、自分の軸や将来、今やるべきことを考えられる「1行日記」のすすめ。


『1分で話せ2(超実践編)』伊藤羊一 SBクリエイティブ
50万部売れた『1分で話せ』の続編。「誰でも、簡単に、人が聞いてくれる」話し方、資料、書き方などを紹介しています。

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