アイティオール 鹿島 雄介|日本全国どこにいても受電も架電もできるクラウドサービス「ナイセンクラウド」で電話業務を効率化

創業手帳

3度の倒産の危機を乗り越え「ナイセンクラウド」の提供を開始!ピンチをチャンスに変えるコツとは?


「比較.com」など多種多様なITベンチャー企業を経験し、2007年にアイティオールを創業。「ナイセンクラウド」で電話業務の効率化・コスト削減に挑戦しているのが鹿島さんです。

変化のスピードが激しいIT業界で幾度となくピンチに見舞われるも、柔軟に対応しチャンスを掴み取って来ました。複数のITベンチャー企業での経営経験や、「ナイセンクラウド」で電話業務に変革を起こす挑戦について、創業手帳代表の大久保が聞きました。

鹿島 雄介(かしま ゆうすけ)
アイティオール株式会社 代表取締役
東京理科大学中退、京都コンピュータ学院卒業。2001年に株式会社ゆびとまに入社し、同窓会支援サイトの運営に従事。その後、比較.com株式会社、ネットエイジア株式会社と続けて創業メンバーとして参画。2007年アイティオール株式会社を単独創業し、日本全国どこにいても受電も架電もできるクラウドサービス「ナイセンクラウド」の提供を開始。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

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現在は上場企業となっている「比較.com」を経て「アイティオール」を起業

大久保:学生時代から起業までの流れを教えてください。

鹿島:私は学生の頃、実家の家業の手伝いをしながらコンピュータの専門学校に通っていたのですが、そこでITへの興味が深まり、東京で同窓会支援サイトの「ゆびとま」に入社したんです。同時期に大学にも通ってましたが、ゆびとまに投資をしていたベンチャーキャピタルの担当者と一緒に「比較.com」を立ち上げました。

大久保:「比較.com」はどのような収益モデルでしたか?

鹿島:当時は何をして良いかわからず、まずはバナーを販売し、広告を取ることから始めました。アフィリエイトなどの認知度が低い時代でしたが、「ゆびとま」にいた先輩がアフィリエイトサービスを提供する「A8.net」に転職をしていて、アフィリエイトのことを知りました。

「比較.com」のプロバイダやマイラインの比較などのページにアフィリエイト広告を設置しまして、アフィリエイトへの期待値は低かったですが、意外にも効果が出て驚きましたね。そこから売り上げが立つようになりました。

大久保:小さい会社の立ち上げ方のコツなどがあれば教えてください。

鹿島:ノリと勢いだと思います。私は今までに4つの会社の立ち上げに参画しました。「比較.com」を退職し、「ゆびとま」時代の上司に誘われ会社に入社した直後に「ネットエイジア」という新しい会社を作り、次は自分でやるしかないと思い、事業内容は何も決まっていないまま「アイティオール」を作りました。

私は何でもやってみようというタイプで、「アイティオール」を創業するまでは色々な方々に誘っていただいて起業や新規事業をやってきました。なので次は自分1人で起業してみたいと思い、他の会社からのお誘いをお断りして、「アイティオール」を起業しました。

「時代の変化」に合わせて「会社の形」も変える必要がある

大久保:今まで起業した会社で気をつけたことや共通していた点はありますか?

鹿島柔軟性が大切だと思います。何かうまくいかないことがあった時に、次はこうしようというアイディアが次々に出てくる状態が大事だと思います。

今までに創業した企業の共通点は、創業当時と今やっていることが全く違うことです。状況を見極め、切り替えていくことが大切ですね。

大久保:アイティオールでは、初めから経営はうまくいっていたのでしょうか?

鹿島:初めは大変でしたし、過去に3回倒産の危機がありましたが、その都度事業を変えながら何とか乗り越えてきました。

アイティオール創業当初にやりたいと思っていた事業はメディアをたくさん立ち上げることでしたが、2ヶ月やってもうまくいかなくて。

そこでメディア運営ではなく、受託事業に舵を切りました。受託事業に切り替えてからは、今まで関わった仲間やお客様から発注していただけて売り上げがグンと伸びました。

3度の倒産の危機を乗り越えて「ナイセンクラウド」の提供を開始

大久保:会社の危機が3度あったとお話しされていましたが、どのようなタイミングでしたか?

鹿島うまくいかなかった1年目と、2011年に発生した東日本震災の時、クラウドソーシングの波が来た時ですね。

1年目はメディア運営がうまくいかず、受託に移行しようとしていた年が大赤字、さらに2年目は税金の支払いが大変でした。

2度目の危機は、売り上げが徐々に上がっていき、受託も伸びてきた頃に震災があり、また売り上げが落ち込んだ時ですね。

震災の余波が落ち着き、また少しずつ売り上げが伸びていた時に、クラウドソーシングサイトが流行り、受託の仕事が一気に減りました。

この3度の危機は、今思い出してもとても大変でしたね。

受託開発の事業が好調な時期に、全国どこにいても内線のようにスマホで電話に出て、取り次ぎができる「ナイセンクラウド」というサービスの提供を開始しました。

「ナイセンクラウド」リリース直後にクラウドソーシングが流行り始めて、受託の仕事が激減したので、思い切って「ナイセンクラウド」事業に大きく舵を切りました。

うまくいっている時こそ次の戦略を考える

大久保:現在注力している事業は何ですか?

鹿島:現在リソースの8割は「ナイセンクラウド」に注力していまして、残りの1〜2割がイラストやメディア運営です。受託事業に関しては、今は既存のお客様を中心に対応しています。

大久保:アイティオールさんは、一般的でないサービスを出されたり様々なことにチャレンジされている印象があります。

鹿島:面白そうなことは何でもやってみようと思っています。その時に流行っているものなど様々なものからインスピレーションを受け、新しいサービスを考えることもあります。

「比較.com」の社長が1つの事業だけをやっていたら、うまくいかなかった時に倒産してしまうと言っていました。当時「比較.com」の中には20個程度のサービスがあり、それぞれにうまくいく時とうまくいかない時がありました。

私もその考えに賛同しており、今は「ナイセンクラウド」が主力ですが、次の事業を常に考えています。たくさんのサービスを作り、うまくいくものを伸ばしていこうと言うのがアイティオールの考えです。

スマホからでも内線のように電話を取り次げる「ナイセンクラウド」

大久保:「ナイセンクラウド」ができたきっかけを教えてください。

鹿島「ナイセンクラウド」のサービスを始めたきっかけは、社内での電話の取次ぎやかけ直しに手間を感じたことです。

以前、アイティオールの事務所は東京と仙台にありました。私が仙台オフィスに出張した時に、お客様から東京オフィスに電話があると、こちらからかけ直すか、仙台にかけ直してもらっていました。

これは解決すべき課題と感じて、様々な場所にいても電話を受けられ、内線のように電話を取次ぐシステムがほしいと考えました。

初めは社内のために運用していたシステムでしたが、社外向けにも提供したいと思い「ナイセンクラウド」としてサービス化しました。

大久保:どのようなサービスか詳しくご説明いただけますか?

鹿島「ナイセンクラウド」は会社の電話を外でも内線化できるサービスです。

本社、自宅、外出先のスマホなど様々な場所で着信を受けられます。従業員が完全リモートで働く会社や他拠点を持つ会社でも拠点間で内線の取次に大変便利なサービスです。発信する時は海外にいたとしても日本の市外局番で日本のクライアントに電話をかけられます。

大久保:「ナイセンクラウド」はどのように成長してきましたか?

鹿島サービスを開始して10年目の現在で「ナイセンクラウド」は約4,000社にご利用いただいていますが、初めの2年で契約できたのはたったの1社だけでした。

今までの電話サービスは「価格」にばかり着目されており、電話サービスを入れると「便利になる」と考える企業は今までは多くありませんでした。NTTさんが「ナイセンクラウド」と同じようなサービスを始めたことで、「電話が便利になる」と気づいた企業からの問い合わせが一気に増えました

法改正によりサービス停止の危機!ピンチをチャンスに変えるマインドとは?

大久保:市外局番を携帯電話で利用するには規制があったと思うのですが。

鹿島:3年前に総務省の法改正がありました。

アイティオールは店舗を浜松町に持っており、その店舗を活用することで市外局番をクラウドで利用できる許可を取りました。これまで通り継続して利用できます。

一部の大手企業が提供する「ナイセンクラウド」に近いサービスでは、今契約している電話番号が使えなくなることもありますが、「ナイセンクラウド」では今契約している電話番号をそのまま使えます。

大久保:事業が法整備などの外的要因でピンチになる場合でも、乗り越える手段や可能性があるんですね。

鹿島ピンチはチャンスに変えられる可能性があります。法改正があった時に「ナイセンクラウド」事業は続けられないかもしれないと思いましたが、何とか乗り切ることができました。その後、コロナ禍に入りテレワークが進んだことで、問い合わせが増えました。

ピンチもいつ訪れるかわかりませんが、チャンスもいつ訪れるかわかりません。法改正のピンチも大手企業は撤退する中、アイティオールでは事業を続けるために様々な問題を解決しました。その結果、大手企業のサービスを利用していたお客様が「ナイセンクラウド」に切り替えていただくこともあり、徐々に事業を広げることができました。

「ナイセンクラウド」の今後の展開


大久保:今後についてお聞かせください。

鹿島:今は東京に店舗を持つことで市外局番を利用できています。

全国に拠点を持ち、全国で電話番号を提供できるようにしたいと思っています。インターネットの時代ですが、ここにはリアルの面白さがあると思います。

大久保:最後に起業家の方々へメッセージをお願いします。

鹿島起業は「ノリ」と「勢い」、そして「諦めないこと」が大切です。

アイティオールも倒産の危機が何度かありましたが、諦めなかったからこそ生き残っています。

「ナイセンクラウド」を利用していただいている約4000社のお客様のうち、創業したばかりで従業員が1〜2名の会社が約半数を占めています。小さな会社にこそ便利なサービスなのでぜひ利用してください。

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(取材協力: アイティーオール株式会社 代表取締役 鹿島 雄介
(編集: 創業手帳編集部)

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