インフルエンサーの経費はどう処理する?知らないと損する経費計上のポイントまとめ

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インフルエンサー活動における経費計上はラインが難しい


インフルエンサーは、最近生まれた仕事のひとつです。
インフルエンサーとして仕事をして報酬を得ている人のなかには、税金面での扱いや経費計上の方法を知らない人も少なくありません。

インフルエンサーの経費計上は、事業に関係あるかどうかをポイントとして判断します。収入と経費を明確にして、利益を把握するようにしてください。

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インフルエンサー活動で経費になるもの


インフルエンサーは、YouTubeやInstagramのようなSNSを通じてトレンド情報の発信やPRをおこない、影響を与える人を指す言葉です。
ブロガーやYouTuberといったメディアごとに呼び分けられるケースもありますが、世間に影響力を持つ人のことを総じてインフルエンサーと呼びます。

インフルエンサーは、行政のプロモーションや大企業の広告に起用されることもあり、ビジネスとしても注目されています。
インフルエンサーとして収益を得るようになると、気になるのが税金です。ここでは、インフルエンサーの活動で経費になるものをまとめました。

交通費

同じインフルエンサーでも媒体や作風、キャラクターなど種類も様々です。
事業やビジネスのために支払った費用である経費もインフルエンサーごとに種類が違います。
基本的には、インフルエンサーとしての事業に関係があるかどうかで経費計上できるかどうかが決まります

例えば、撮影するために移動した時の交通費やプロモーションのための旅費や宿泊代は経費として認められます。
しかし、プライベートでの電車代や旅費は経費計上できません。
交通費は、仕事が忙しいとつい計上し忘れたり、後で見た時に何の仕事での経費だったのかわからなくなったりする可能性が高い経費です。
仕事のスケジュールとともに交通費を管理して、税務調査で指摘された時に何の仕事の経費なのか説明できるようにしてください。

機材費用

インフルエンサーの多くが、カメラや三脚といった撮影機材を用意します。本格的なものを用意すれば、それだけ費用も大きくなります。
インフルエンサーの撮影機材は、機材費用として経費計上可能です。
カメラ以外に動画や画像の編集ソフト、編集機器のように写真や動画を撮影するための支出は経費計上できます。

また、撮影に用いた道具も基本的には経費となります。例えば、料理動画や実験動画のために用意した材料なども経費計上が可能です。
どのコンテンツでどのような費用が発生したのか、後からでもわかるようにまとめておくと便利です。

衣装代

ファッション系のインフルエンサーであれば、衣装代が高くなることもあるでしょう。ただし、すべての服が経費になるわけではありません。
あくまで衣装として着用している洋服代が、経費として計上できます。

毎回同じ衣装で登場するケースや、役割に応じたコスチュームを身につけているような場合は経費として認められます。
このような洋服はプライベートで着用することはないため、仕事に直接関係する経費として計上してください。

洋服だけでなく、映像には様々なものが映ります。基本的には、撮影以外のプライベートでも使用するかどうかを基準に、経費計上の可否を決めるようにします。

書籍、教材費

インフルエンサーの仕事が注目されるようになり、インフルエンサーになるための指南本や運用のハウツー本も増えました。
このようなインフルエンサーになるための書籍代や教材費も事業に関連していれば経費として認められます。

また、成功するためのビジネス関連本や経営の知識本なども経費です。
近年は、本だけでなくオンラインセミナーや動画教材でも知識が共有されています。本と同じように事業と関連するかどうかで経費計上するか判断してください。

広告宣伝費

インフルエンサーは、プロモーションや販売促進をおこなう仕事です。
しかし、インフルエンサーが自分という商品をアピールするために広告宣伝をするケースもあります。
例えば、SNS広告の運用費や広告の出稿、フォロワーの購入などがあります。これらの費用は広告宣伝費として経費として計上可能です。

打ち合わせの飲食代

インフルエンサーとして誰かとミーティングをしたり、企業と打ち合わせをしたりする時には、食事やカフェの代金が発生することがあるかもしれません。
打ち合わせに関わる飲食代やカフェ代も、経費として計上可能です。計上する時の科目は、会議費や接待交際費などが使われています。

ただし、飲食代金は領収書が混同しやすいため注意が必要です。
どのコンテンツのための誰との打ち合わせなのかがわかるように、その都度領収書にメモしたり、内容を別途記録したり間違いがないようにしてください。

外注費

インフルエンサーとして忙しくなったり事業規模が大きくなったりした時には、ほかの人の手を借りるケースもあるでしょう。
撮影のために外部フォトグラファーに依頼したり、映像制作を専門の会社、動画クリエイターに依頼したりするようなケースです。

これらのお金を払って外注する場合には、外注費として経費計上ができます。
さらに、企画の立案や衣装の作成なども外部にお願いしていれば外注費として計上可能です。

家賃や光熱費、通信費

コンテンツの作成のためにスタジオや部屋を借りている場合には、家賃や水道光熱費を経費として計上できます。
ここで問題となるのが、部屋の一部を撮影スペースにするなど、自宅を動画の撮影場所にしているケースです。
この場合は事業との関連はありますが、プライベートでも使用しているため、すべての家賃や水道光熱費を経費にはできません。

支払った家賃や水道光熱費は、事業に関連する分だけを分けて経費として計上します。具体的には、面積や使用時間を基準として家事按分をおこないます。
撮影ブースの面積を測って、総面積の何割を使用しているか計算してその分の家賃を計算する方法や、一日で何時間仕事として使っているかを調べてその分を経費とする方法です。
家事按分する時には、何を基準として経費計上する額を計算しているのか説明できるようにしてください。

家事按分について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

関連記事
家事按分とは?個人事業主が覚えておきたい按分の意味や計算方法、税法上の扱いを解説

インフルエンサーが経費として計上できないもの


インフルエンサーの経費は、経費計上可否の境界があいまいなため、悩んでしまうことがあるでしょう。
コンテンツの内容や作成に関係があると証明ができないものは、経費として計上できません

具体的には、以下のようなものものです。

  • 旅行がメインの目的でついでに撮影した場合の旅行代金
  • カフェで編集作業をした時の食事代
  • コンテンツで登場しない商品の代金や飲食費用

もしもカフェで打ち合わせや編集作業をした場合、コーヒー代などは経費計上できるものの、食事代は認められないのが一般的です。
ある程度の飲食代までは場所を借りるための費用として認められますが、最低限にとどめなければいけません。

美容にかかる費用も同じように判断してください。
美容品、メイクアイテムなどの費用は、投稿で紹介するものなどしか経費にはできません。
普段使うような美容品やファッションアイテムは計上しないようにします。

家事按分したとしても、プライベートとの切り分けが難しく経費として認められないことがあるので厳密に判断してください。

インフルエンサー活動に確定申告は必要?


会社員として働く立場であれば、確定申告をした経験がない人も多くいるかもしれません。
確定申告は、所得税額を確定するためのものです。
インフルエンサーのような個人事業主は会社員のように給与から税金が差し引かれないため、確定申告で税額を申告しなければいけません。

ここでは本業としてインフルエンサーをしている人と、副業としてインフルエンサーをしている人に分けて確定申告の扱いを紹介します。

本業のインフルエンサーの場合

インフルエンサーを本業としている人であれば給与所得もなく個人事業主となるため、所得は事業所得として税額が計算されます。
事業所得の場合には、収入から経費を差し引いて残った所得金額が年間で48万円以上の場合には確定申告が必要です。

また、個人事業主は確定申告の方法を青色申告と白色申告から選ぶことになります。青色申告であれば、後述する赤字の損益通算や特別控除のように優遇が受けられます。
記帳は複雑になりますが、会計ソフトを利用する方法もあるため、青色申告がおすすめです。

副業のインフルエンサーの場合

インフルエンサーとしての仕事以外に、本業やアルバイトといった給与所得がある場合には、インフルエンサーの収入は雑所得として扱うのが一般的です。

雑所得の場合には、収入から所得を差し引いて残る所得額が20万円を超える場合には確定申告が義務付けられます。
ただし、副業のインフルエンサーであってもフリーランスなど収入が事業所得の場合には、インフルエンサーとしての収入が20万円以下であってもあわせて確定申告で計上します。

赤字のインフルエンサーの場合

インフルエンサーとして活動していても、支出のほうが多い、つまり赤字のケースもあります。
赤字で所得がないから確定申告も不要であると考えるかもしれません。しかし、青色申告であれば赤字が出た時に3年間は赤字を繰り越せます。

初年度が赤字で翌年黒字といった場合であれば、確定申告をしておくことで翌年の黒字と通算できるのです。
赤字であっても正確に計算して、翌年以降の確定申告に備えるようにしてください。

インフルエンサーが確定申告をする時の方法・注意点


職業としてのインフルエンサーは、まだなじみがなくどのように確定申告すればいいのかわからない部分もあるはずです。
ここでは、インフルエンサーが確定申告をする時の方法や覚えておきたいポイントをまとめました。

インフルエンサーは事業所得か雑所得で確定申告する

インフルエンサーの所得は、基本的には事業所得か雑所得で確定申告をします。
本業としてインフルエンサーをしているのであれば事業所得として申告し、給与所得があるのであれば雑所得として給与所得と雑所得を合算して確定申告が必要です。

また、本業としてインフルエンサー業をおこなう傍らアルバイトで給与を受け取っている場合には、アルバイトの給与所得とインフルエンサーとしての事業所得を合算して確定申告をします。

事業所得と雑所得のどちらに該当するかどうかは、社会通念上事業と判断できるかどうかで決まります。
事業所得であれば、青色申告の税制優遇が利用できるメリットがあるので、事業の規模や所得に応じて判断してください。

副業インフルエンサーで会社バレしたくない場合は?

副業としてインフルエンサーをしている人の中には、会社には秘密にしているケースもあるかもしれません。
実際には確定申告で副業がわかることはなく、住民税額の変化で副業がバレてしまうことがあります。

会社員の住民税は給与所得から差し引きされ、住民税が確定したあとに自治体から会社宛てに住民税額の通達が行なわれます。

もしもインフルエンサーとして収入がある場合、多くの住民税額が課されるかもしれません。
会社で受け取る給与とのつじつまが合わなくなり、副業がわかってしまうでしょう。

しかし、確定申告の際に「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」という項目にチェックしておくことで防げます。
インフルエンサーとしての収入が加算された住民税のお知らせを、自分で受け取って支払えるようになります。

インフルエンサーが確定申告しないとどうなる?

確定申告と聞くと、どうしても面倒なイメージが付きまといます。
インフルエンサーが、収入があるのに確定申告をしなかった場合、税務署からの指摘を受けることになります。
「無申告加算税」や「延滞税」を加算した額を支払うことになるかもしれません。

所得があったことを誰にも言わなければ確定申告をしなくてもバレないと考えるのは間違いです。
インフルエンサーが収入を申告していなくても、インフルエンサーに報酬を支払った側は支払調書を税務署に提出するので、ごまかすことはできません。
税務署から連絡を受けて、嘘やごまかしがバレれば、重加算税の支払いが求められることもあるので、期日までに確定申告をおこなってください。

インフルエンサーも経費や税金管理はしっかりしておこう

インフルエンサーは、まだなじみが薄い職業であり、税金面での扱いもわかりにくい部分があります。
基本の考え方として、事業との関連性があるかないかを軸に経費に計上できるかを判断しましょう。
経費や税金管理は、ビジネスの基本なので間違いがないように確実に実施してください。




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(編集:創業手帳編集部)

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