経営計画書を日々の業務に活用していくためにはどうしたら良いか教えます!【飯島氏連載その6】

創業手帳

スパッと解決・経営改善のプロ、飯島彰仁氏に聞く、社長のための経営計画作り・超入門


多くの起業家は、日々の業務に追われて時間がありません。営業をしたり、PRをしたりと忙しく活動をしていると、あっという間に時は過ぎ、今年度も経営計画書を作ることができなかったと反省している方もいるのではないでしょうか。また、経営計画書を作成したものの、あまり目を通さずに終わってしまったという方もいらっしゃるでしょう。これまでのシリーズでは、主にどのように経営計画書を作成するかについて紹介してきましたが、活用方法についてはあまり触れていませんでした。

今回は、実際に経営計画書をどのような場面で使用しているのか、古田土経営の飯島代表取締役に解説いただきます。作成後の発表会、通常業務内での活用方法など、具体的なケースをご紹介します。

飯島彰仁(いいじまあきひと)株式会社古田土経営 代表取締役社長
2005年に古田土会計公認会計士・税理士事務所(現 税理士法人古田土会計)に入所。現在は、同法人含むグループ企業の株式会社古田土経営 代表取締役社長。経営計画を主力商品とする古田土会計グループにおいて、営業活動することなく年間100~150社の新規開拓をするスキームを作り上げ、現在2,300社超の中小企業を指導する。経営計画書の作成については毎年400社以上を指導しており、作成した会社の黒字割合85.8%を実現している。(日本企業の黒字率 34.2% 国税庁H29年より)また、同ノウハウを同業者である会計事務所にも提供する会計事務社経営支援塾を運営。同業者に対する経営計画作成支援実績330事務所は日本No.1を誇る。

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活用例1:経営計画書の発表会


経営計画書は、作成したら社員に向けて「発表」することが重要です。周知することで「書いたことを実現する」という強い意志が生まれます。絵に描いた餅ではなく、実現していくという実感が湧いてくるのです。

同時に、社長が思い描いていることを、社員に伝える機会になります。一般的には、社員が社長の考えや計画を目にすることはあっても、本人から直接聞く機会は多くないでしょう。社員にとっては、経営ビジョンを知る絶好の機会となり、帰属意識の向上や業務へのモチベーションとなるでしょう。また、経営計画書の発表会を通じて、企業理念の浸透も期待できます。

私たちが経営計画書の作成支援をする際、必ず発表会の実施を推奨しています。そして、可能であれば、経営計画書に基づき社員代表に目標の宣誓をしてもらうようにしています。こうすることで、社員にとっても計画書の内容が「自分ごと」として理解できるのです。

発表会の段取りは、事前に考えておくと良いでしょう。会社によって違いはあると思いますが、できるだけ社員が参加しやすいスケジュールを設定し、できれば会場を社外に確保すると良いでしょう。イベント名も、「キックオフ」など、社員が参加したいと思うような名前にすると良いかもしれません。なお、発表会には取引先や金融機関の担当者を招待することをお勧めしています。経営計画の実現にはこうした関係者の協力が不可欠なので、発表会を通じて会社の本気度を伝えることができます。

活用例2:月次決算で達成度のチェック


発表会の実施から時間が経ってしまうと、日々の業務に追われて、どうしても内容を忘れてしまいます。経営計画書は、どんな内容であったのか、定期的に目を通すことが大切でしょう。そのきっかけとして、月次決算を行うと良いと思います。月次決算を行うことで計画の予算と実績がどのようになっているか把握することができます。チェックの際にギャップがあれば、計画の数値が大きすぎるのか、実施している施策がよくないのかなどの課題が見えてくるでしょう。

ただし、数字の上がり下がりに一喜一憂する必要はありません。目標が達成できないのであれば、無理な目標値だったと考えて、目標値を直せば良いのです。月次でのチェックは時間を確保するのが大変かもしれませんが、早期に課題を把握するのには、重要な機会となります。

現在は、コロナの影響を受けてこれまで以上に会社を取り巻く環境が変化しています。また、先行きの不透明さが増しつつある中、課題に迅速に対応することの重要性も増しています。動きをリアルタイムでチェックするためには、やはり月次での決算が最もわかりやすいでしょう。そんなに細かに対応するリソースがないという方もいるかもしれませんが、こうした状況下では、少し優先順位を上げて取り組んでほしいと思います。

活用例3:月次検討会の実施

月次決算が、社長にとっての達成度チェックであるように、月次検討会は、チームや個人の実績を確認する機会です。月次検討会を実施すると、会社全体で、個人の実績を共有することができます。個人だけでチェックしている場合は、発展性があまりありません。社員同士が互いにチェックすることで刺激となり、実績が上がっていきます。ただし、個人攻撃にならないように気を付けなければなりません。どうしたら全体が最適な方法で実績を上げられるか、チームとしての意識を高めることが大切です。社員が目標に向かって頑張れるように励まし合うと良いでしょう。

月次検討会では、社員ひとりが自分の目標と実績を全員の前で発表します。そして、他の人の発表結果を自分の経営計画書に書き込みます。こうすることで、検討会に全員が集中して参加することができ、自分以外の業務にも関心を持つことにもつながります。

月次検討会は、社員が参加しやすいように、スケジュールをしっかり段取ることが重要です。例えば、第1月曜日に月次検討会を実施し、実績を記入します。毎月10日までに前月データに基づき、月次試算表を用意し全社員に配布。第3月曜日に読み合わせて確認するなどのスケジュールが考えられます。毎月検討会を重ねるたびに、年間の目標を達成できるかどうかも見えてきます。

活用例4:日々の会議や打ち合わせでの振り返り


経営計画書は、決算に関連する時期だけでなく、会社のあらゆる場面で活用ができます。例えば、役員会や幹部会、営業会議などでも活用することができます。このような会議では、施策の決定や停止など含めて必ず「意思決定」が行われます。しかし、この意思決定は簡単なことでありません。当然、部長、課長、担当レベルであっても、決めるためには、何か拠り所となるものが必要だと思います。

そういう時にこそ、経営計画書に立ち返るのです。経営計画書は、会社の理念やそれに基づく年間計画が記されています。迷った時は照らし合わせてみることで、自分の判断と会社の方向が合致しているかどうかを確認することができ、適切な決断を導くことになるでしょう。日常的な会議で、感覚的に「こうした方がいい」という主観的な判断ではなく、経営計画書のような、社内の共通言語で客観的に判断していくことが望ましいのですね。このように小さなことの積み重ねではありますが、経営計画書に立ち返るということが、会社や社員を成長させることにつながるのです。

計画と実績の差があって当然。計画書がビジネスを発展させる!

実際に、経営計画書を日々の打ち合わせや会議などでも参照していると、実績とのギャップが見られる場合があります。しかし、こうした実績とのギャップがあるのが当たり前なのです。ギャップがあるからこそ、どうしたら良いのか次の一手を考えるようになります。次の施策を考えることが社長の役割であり、力量が問われるところでもあります。経営計画書を日頃から活用していれば、こうした「ギャップ」にいち早く気がついて軌道修正ができます。計画どおりにいっていない時は、チャンスだと思って別の施策を検討してみてください。

起業家の中には、思い描いた未来とは違うという課題に直面している方もいるかもしれません。しかし、そういう時こそチャンスなのです。まずは経営計画書を作成して、現実とどのようなギャップがあるのかを可視化することが、良いアイディアへの第一歩です。ぜひ、経営計画書の作成にチャレンジしてご自身のビジネスを発展させてください!

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(取材協力: 株式会社古田土経営代表取締役社長 飯島彰仁
(編集: 創業手帳編集部)

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