自宅開業するメリット・デメリットとは?手続きや注意点まで解説

創業手帳

自分の家で好きな仕事ができる!自宅開業できる業種や流れを解説します


自宅開業は自分の家で好きなことができる働き方です。
新型コロナウイルスの蔓延によってテレワークをする方が増え、自宅で仕事をすることのメリットに気がついた方もたくさんいます。
これをきっかけに、在宅起業を考えるようになった方もいるかもしれません。

そこで今回は、家にいながら仕事ができる自宅開業について解説していきます。
自宅開業が可能な業種や開業までの流れなどをご紹介します。自由な働き方を手に入れたいと考えている方は必見です。

自宅開業できる業種はいろいろある


自宅開業ができる業種は幅広いです。
まずは、具体的にどのような業種で自宅開業を実現できるのかピックアップしてご紹介します。

・インターネットショップ
インターネットショップは、インターネット経由で商品を販売するお店です。店舗を用意する必要はありません。
自宅に在庫を保管できるスペースがあればすぐにスタートできる業種です。

・リラクゼーションサロン
整体やアロマテラピー、ボディトリートメントなどの施術を行うリラクゼーションサロンも、自宅開業ができます。
隠れ家的な雰囲気のサロンとして開業するケースも増えています。特に主婦層からの人気が高い業種です。

・各種代行業
家事代行や掃除代行などの代行業は、主に出張サービスを提供します。自宅を事務所として開業させることが可能です。

自宅開業するメリット


自宅開業をすることにより、会社員として働く場合とは異なるメリットが得られます。
自宅開業した場合、具体的にどのようなメリットを感じられるのか解説します。

少ない資金でも開業は可能

開業するために店舗や事務所などを借りようとすると、どうしてもコストがかかってしまいます。
敷金や礼金がかかるので初期費用はかさみがちです。オフィス家具なども用意しなければいけません。

しかし自宅開業の場合は、敷金や礼金はかからないので固定費の大幅な削減が可能です。
応接セットなどは用意しなければいけない場合もあるかもしれませんが、物件を借りるよりもお金がかからないため、少ない資金でも始められます。

開業資金が少ない方でも無理なく始められる方法です。

家賃や光熱費を削減できる

家賃や光熱費を削減できるのも、自宅開業によって得られるメリットとして挙げられます。
店舗や事務所を借りると毎月の家賃が発生します。
立地にもよりますが、固定費が大きな割合を占める可能性もあるので、それがかからないのは大きなメリットです。

また、光熱費も別途で支払う必要がありません。
家賃や光熱費といった固定費を削れれば、その分利益が大きくなります。物件を借りてから固定費を減らすのは難しいですが、初めから自宅開業を選択すれば節約方法で悩まずに済みます。

出社・通勤する必要がなくなる

自宅開業によって出社や通勤の必要もなくなります。
会社まで通勤しなければいけないとなると、朝や夕方の時間にロスが生じます。
勤務先が遠ければ、往復で1時間以上かかってしまう場合もあります。

限られた時間を有効活用するには、勤務時間を短くするのが効果的です。
そのためにも、自宅を職場にできる自宅開業によって享受できるメリットは大きいといえます。
通勤時間が減った分は、自分のための時間にしても良いですし、仕事に充てることも可能です。

ワークライフバランスを重視できる

ワークライフバランスを重視できるようになるのも、自宅開業の大きなメリットです。勤務時間を自分で自由に設定できますし、育児や介護との両立もしやすくなります。

それぞれのライフスタイルに合わせた最適な働き方を実現できるので、自宅開業を目指したいと考える方は増えつつあります。

時間の使い方が会社員と比べると自由なので、自己研鑽に時間を使えるようにもなります。
スキルアップに向けた資格取得なども実現しやすくなるため、メリットは非常に大きいです。

人間関係のストレスを軽減できる

会社員として働いていると、上司や同僚、部下との人間関係がわずらわしいと感じてしまう場面も少なくありません。
人間関係による悩みが原因でストレスを抱えている方もたくさんいます。中には、人間関係のこじれが原因で退職を考えるケースもよくあるのが現状です。

一方、自宅開業であれば人間関係のストレスを軽減できます。頑張り次第で収入もアップします。
自分の限界値がわかっていれば、無理なく安定した収入を得られます。その結果、自分らしくストレスが少ない働き方を実現できるのです。

自宅開業するデメリット


自宅開業をすることで得られるメリットは大きいです。しかしメリットだけではなく、デメリットがあるのも事実です。

続いては、自宅開業のデメリットについてご紹介します。

仕事とプライベートにメリハリがつかない

自宅で仕事をしていると、仕事とプライベートの切り分けが難しくなってしまいます。
そのため、会社員として働く場合と比べるとメリハリがつかなくなってしまう可能性が高いです。
公私混同してしまうケースもあるかもしれません。

仕事中にも関わらずついプライベートを優先してしまったり、自宅という環境だからこその誘惑に負けてしまったりする可能性もないとは言い切れません。

つまり、自己管理能力がある程度高くないと失敗する恐れがあります。

自宅の改修が必要になることがある

間取りにもよりますが、自宅の改修が必要になる場合もあります。
ショップや飲食店などの店舗であれば、改修は必要不可欠です。
サロンや自宅教室の場合も来客があるので、プライバシーを確保したり、イメージアップしたりするための改修が必要になるケースがあります。

改修の必要性は、どのような業種にするかによって変わってきます。そのため、できるだけ早く業種を決めるようにしてください。

店舗への集客が難しい

自宅開業は、オーナーの働きやすさは実現できますが、集客が難しくなってしまうので工夫を凝らさなければいけません。

集客が難しい理由としては、住宅地にあるので目立ちにくい、飛び込みのお客様が来ないといった点が挙げられます。
住所という個人情報がバレることを恐れて広告を出せない場合も、思ったように集客できなくなってしまう可能性があります。

そのため、集客に関してはあらかじめどうするか考えておいてください。集客方法を考えておかないと、経営が立ち行かなくなる可能性が高くなってしまいます。

セキュリティへの不安

オフィスを借りる場合はセキュリティ面も安心です。
しかし、自宅だとオフィスのように万全なセキュリティ体制が整っているわけではありません。
客商売であれば個人情報を扱うことになるので、情報漏洩してしまうリスクも高くなってしまいます。

情報漏洩は大きなトラブルにつながりかねない問題です。
トラブルを引き起こさないためにも大切な書類は金庫に保管したり、使っているパソコンのセキュリティを強化したりするなどの対策は必須となります。

社会的信用を得られにくい

自宅開業は、オフィスや事務所を借りる金銭的な余裕がなさそう、売上げが少ないのではないかなど、ネガティブな印象を持たれる可能性が高いです。
オフィスを借りて独立する場合と比べても、社会的な信用が得られにくいというデメリットも生まれます。

取引き先や金融機関との付き合いが不利になってしまうことも念頭に置いてかなければなりません。
そのような事態を回避して取引き先などと良好な関係を築きたいのであれば、自宅の近くにあるコワーキングスペースなどを契約するのがおすすめです。

自宅開業までの流れ


メリットやデメリットを踏まえた上で、「やはり自分は自宅開業して事業を行いたい」と固い決意を持っている方もいるようです。

続いては、自宅開業までの流れを説明していきます。

1.事業計画を立てる

自宅開業でもオフィスなどを借りた開業でも、行き当たりばったりでは成功することはありません。
どのようなスタイルであっても、事業計画はしっかりと立てなければいけません。

事業計画は、コンセプトやターゲット、収支計画をはっきりさせるためにも重要な役割を担っています。
金融機関から融資を受ける場合は、事業計画書が必要になります。資金調達の成否を決める部分でもあるため入念に考えてください。

2.資格や許認可を取得する

業種にもよりますが、資格や許認可が必要になる場合もあります。
マッサージを行うのであればあん摩マッサージ指圧師、まつ毛エクステの施術を行うのであれば美容師の資格が必要です。
リラクゼーションサロンなどは無資格でもできるケースもあるため、あらかじめ確認しておいてください。

また、飲食店の場合は保健所、リサイクルショップの場合は警察の許可が必要です。
手続きが必要になるので、管轄の保健所や警察署に確認してください。

許認可について、詳しくはこちらの記事を>>
許認可が必要な事業にはどんなものがある? 起業前にチェックしておきたい基礎を解説

3.設備やスペースを整える

資格を取得や許認可を得たら、開業のために設備やスペースを整えていきます。
パソコンやタブレット、レジ、テーブル、商品の在庫など必要なものを用意します。
どのようなメニューを提供するか、価格はどうするかなどもこのタイミングで考えておきます。

来店した方向けのフリーWi-Fiを用意するなら、安全性を考慮することがポイントです。法人向けのWi-Fiルーターやアクセスポイントを用意してください。

4.集客を始める

オープンが決まったら集客を始めましょう。
早めに集客を行うことで、「オープンしたのにお客さんが来ない」といった事態を回避しやすくなります。

開業前の集客は、インターネットを活用するのがおすすめです。

無料ブログの開設やSNS活用などを採用している起業家は多いです。さらにYouTubeで情報発信をするなどの方法もうまく活用してください。
また、Googleマイビジネスへの登録もしておくと、検索結果に表示されやすくなるので試してみてください。

集客方法について、詳しくはこちらの記事を>>
業種別!集客方法最前線

5.管轄の税務署に開業届を提出する

準備が整ったら、管轄の税務署に開業届を提出します。開業届は、個人事業をスタートしてから1カ月以内に税務署に提出する書類です。
提出しないことで罰則を受けることはありませんが、できるだけ提出するようにしてください。

開業届を出す理由は、確定申告で青色申告ができるようになるためです。
青色申告は、最大で65万円の特別控除が受けられたり、繰り越しができたりします。
白色申告よりもメリットが大きいため、開業届は提出しておいてください。

開業届について、詳しくはこちらの記事を>>
開業届を出すタイミングは?個人事業主なら知っておきたい開業届について

自宅開業での注意点


自宅開業をするのであれば、いくつか注意しなければいけないポイントもあります。スムーズに開業するためにも以下の注意点を確認してください。

賃貸の場合は契約条件を確認する

賃貸物件で自宅開業をする場合は、契約条件を必ず確認してください。
居住用で借りている物件で仕事をしてはいけないというわけではありませんが、業種によっては居住用の規範を超えてしまう場合があります。

会社員が仕事を家に持ち帰る場合もあるので、事務作業などをする分には、大きな問題にならない可能性が高いです。

しかし、プライベートサロンやパーソナルジムのように不特定多数が出入りするようなビジネスを考えているのであれば注意が必要です。
居住用だと契約違反になる恐れがあるので、用途に合わせて借りる必要が出てきます。周りの住民からクレームが寄せられる可能性も考えられます。

住宅ローン控除の居住用部分の割合に注意する

自宅の住宅ローンがあり、控除を受けている場合にも注意が必要となります。
住宅ローンの条件には、「床面積の2分の1以上の部分が居住の用であること」という内容が盛り込まれています。
居住用の部分が50%以上でも事業用として使っている部分があれば、居住用部分だけが住宅ローン控除の対象となるので注意してください。

ただし、個人事業主の場合は持ち家の家賃は経費計上できません。
そのため、店舗に改装しているなど明らかに事業用であると認められないのであれば、事業用の使用割合を加味した家賃を計上する必要はないと考えられます。

開業後は毎年確定申告をする

開業したら、毎年確定申告をしなければいけません。
確定申告の義務が生じるのは、事業所得から所得控除を差し引いた時に残額がある場合となっています。

しかし、開業届を出した方は所得に関係なく確定申告をするのが無難なので、毎年確実に行ってください。
青色申告の場合は、赤字が出た時に3年間まで繰り越しができるという仕組みになっています。
そのため、赤字だったとしても確定申告をするメリットが大きいです。
確定申告は、2月16日~3月15日の間に行うのが原則となっているため、忘れないように気をつけてください。

確定申告を忘れると無申告加算税や延滞税、重加算税などが課されるので要注意です。
税金を滞納すると、金額や期間によっては差し押さえの対象になる可能性もあります。

確定申告について、詳しくはこちらの記事を>>
確定申告のやり方は?手続きすべき人の条件や申告方法などについて解説

まとめ

自宅開業は、会社員として働いている時よりもストレスを軽減でき、自分が理想とする働き方ができます。
その他にもメリットが多いので、魅力的だと感じる方は多いです。

しかし、デメリットや注意点もあるので、それらを理解しておかないと後悔してしまう可能性もあります。

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(編集:創業手帳編集部)

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