企業成長の秘訣が集結 「EY新日本企業成長サミット2019」レポ
「EY新日本企業成長サミット2019」の様子を紹介
(2019/02/27更新)
2月27日に「EY新日本企業成長サミット2019」が開催されました。日本からユニコーン企業を排出し、世界に貢献するエコシステムを構築する、幅広い分野でベンチャーの成長をサポートする、という目標のもと、知見を共有するイベントです。
IPOを目指す企業に向けて役に立つ実践的な情報を扱うテーマの会場、日本でユニコーン企業を作り、メガベンチャーエコシステムを構築するためにどうすればいいかを考える会場に分かれ、各界で活躍する経営者や専門家によるプログラムが繰り広げられました。印象的だったコンテンツの一部を紹介します。
組織づくり、資金調達、海外調達…成長の鍵を様々なスペシャリストに学ぶ
「成長を加速させる0→1000の組織作りの秘訣」
株式会社メルカリ 取締役社長兼COO 小泉文明氏
小泉氏は、最初に企業のミッションを定めるにあたっては、まず「事業のビジョンと価値をなるべく狭め、具体的なキーワードにすることが大事」だと述べました。そこから組織のパフォーマンスを上げるために、企業の中で高いパフォーマンスを実現する人がどうすれば気持ちよく働けるかを重視すること、社員のミッションとバリューへの共感度の高さを実現することで、社員がサービス単体ではなく会社そのものに貢献したいと思える企業文化を醸成できるなど、メルカリで実践している勝つ組織づくりのポイントを共有しました。
「テクノロジーの進化で、最近は社会と人間の関係が非常にフラットになっています。その中で、エンゲージメント(ブランドや価値による結びつき)を横軸で考えないと優秀な人材が出ていってしまうことに気づきました。これからの組織づくりは、ひとりひとりの働きがいやプライドを刺激するかを考える施策を打つことが非常に重要になってくると考えています」。
小泉氏が描いている、今後のさらなる事業拡大を見据えた組織づくりや構想を知ることができる貴重なプログラムでした。
「ベンチャー企業の最近の資金調達の動向とその留意点」
500 Startups Japanマネージング・パートナー 澤山 陽平 氏、株式会社Unicorn Farm代表取締役社長 田所雅之 氏
このプログラムでは、これまで数多くのスタートアップを支援してきたエキスパート2人による、資金調達に的を絞ったパネルディスカッションが行われました。特にスタートアップが調達する上で意識すべき点について、田所氏は「まず資金調達は本職ではないというのが大前提として、調達目標額を敢えて抑えることで、複数のVCとの交渉できる余地を持って進めていくことが大事です」と伝えました。また、最も大事なポイントは「資金調達をしてから資金使途を考えるのではなく、資金使途を考えてから調達をすること」という話も印象的でした。
「資金調達としては、タイミングを集中して行うといいとアドバイスしています。起業家にとって調達は本職ではないので、短期集中で一気に済ませることがポイントです。また、最近はVCの数も増えているので、PRする際にVCも選ばれる側であるという意識を持つといいですね」とは澤山氏。スタートアップ支援の最前線で活躍する二人ならではの資金調達のリアルな視点を垣間見ることができました。
「日本発ベンチャーが世界に羽ばたくために必要なこと」
WHILL株式会社代表取締役兼CEO 杉江 理 氏、Global Mobility Service株式会社代表取締役 社長執行役員/CEO 中島徳至氏
積極的な海外展開を行っている2社の代表による対談。前例のない新しい事業領域・市場規模が限られた事業で、どのように理解を得て資金を調達し、海外へと広げていったか、両者とも、大変苦労した道のりを共有し、今後日本初のベンチャーが世界に打って出るためにどんな点を意識していけばいいかを伝えました。経営で出てくる壁をどう乗り越えるかについて、中島氏は「経営は、逃げずに責任を取る難しさがあります。事業で壁が出てきたとき、これまで支えてくれた人たちのことを思い出して逃げずに乗り越えるという気持ちが非常に大事だと思います」、杉江氏は「企業で考えることは、目の前で起きてる課題を解決する作業、2、3年後を見据えて投資する作業、10年後を見据えるビジョンの3つです。このうち、2、3年語を見据えることができる起業家は少ないと思います。成長の壁は、目の前の課題を解決しながら、2、3年後を見据えて勉強や内部環境も見ながらやっていくのが外しちゃいけないと思います」と答えました。
事業の拡大・成長に直結するコンテンツが盛りだくさんの一日でした。
(編集:創業手帳編集部)