ガソリン補助金の延長はいつまで?ガソリン代節約のための6つの方法も解説

創業手帳


「ガソリン補助金の延長はいつまで?」「ガソリン代を少しでも節約したい!」と気になっていませんか?

今回は、2023年10月時点の補助金制度の内容と、ガソリン高騰の原因を解説します。
ガソリンを節約できる6つの方法についてもお伝えするので、ガソリン価格の高騰で経営に影響が出ている方はぜひ参考にしてみてください。

ガソリン補助金は直接経営者のみなさまには関係する補助金ではないのですが、経営者や起業家のみなさまによく活用されている補助金・助成金をまとめた「補助金ガイド」を創業手帳では無料で配布しています。よく使われる補助金・助成金に厳選して解説。補助金や助成金とは何?と知識がない方からもお読みいただけるものとなっております。是非あわせてご活用ください。


補助金ガイド

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ガソリン補助金の延長はいつまで?


まずはガソリン補助金制度の内容と、延長期限について解説していきます。

ガソリン補助金とは

ガソリン補助金とは、ガソリンがある一定の値段を越えた場合、政府が越えた分を減額、または全額補助してくれる制度です。
個人や法人に直接現金として支給されるわけではありませんが、間接的に減額されるため、面倒な手続きがいらないというメリットがあります。

この政策は、2022年1月から実施され、当初は1リットルあたり5円の補助という形態をとっていました。時期的なものとして2023年9月で終了される予定でしたが、仮に9月末で補助金制度が終了した場合、ガソリン価格の実費額が190円代まで上昇するのではないかという懸念が発生することに。

新たな原油高騰を見据え、2023年9月7日より内容が変更され延長となったのが、今回の新しいガソリン補助金です。

新制度の内容としては、以前の1リットルあたりに決められた値の減額とは違い、9月中は、ガソリンの値段が168円~185円の場合、越えた分を30%補助。185円以上の場合は、越えた分を政府が全額補助するものとなっています。
更に10月~12月中は、185円以上の場合全額補助という点は変わりませんが、168円~185円の場合は、60%補助される仕組みに。

決められた額ではない分複雑にはなりましたが、日によって変動する原油価格に沿った政策となりました。

ガソリン補助金は2024年3月末まで延長の可能性も

今年の2023年12月末で期限切れとされていたガソリンの補助金制度は、来年の2024年3月末までの延長を検討するという方針が政府より発表されました。

現時点では、補助金の延長時期は確定ではありません。
さらに言えば、政策の内容が変わらないと断定することも難しいです。
現に、2022年1月から始まったガソリン補助金は、徐々に減額していた時期もあるうえに、今回2023年9月に内容が変更されました。

今後もガソリン価格と一緒に補助金制度の動向をチェックしていきましょう。

ガソリン価格の変動


ガソリン価格は一時185円まで上昇するも、一旦は落ち着きをみせていました。
しかし、2023年8月より急激に価格が上昇しています。いったいどこまでガソリン価格は上昇してしまうのでしょうか。

今後の動きを予想することはとても難しいため、対策をとるためにも、過去の推移を確認しましょう。

価格の推移

ガソリン価格は、地域によっても10円以上の差が開くことがあるため、全国平均の推移を参照しています。
ガソリンは、レギュラーガソリンとし、全国平均の推移を1年前の2022年10月~2023年10月まで、以下に表にしてまとめました。

価格の基準日 レギュラーガソリン価格(¥/リットル)
2022年10月3日 169.1円
2022年11月7日 168.1円
2022年12月5日 168.1円
2023年1月10日 168.2円
2023年2月6日 167.6円
2023年3月6日 167.4円
2023年4月3日 168.1円
2023年5月8日 167.8円
2023年6月5日 168.7円
2023年7月3日 172.5円
2023年8月7日 180.3円
2023年9月4日 186.5円
2023年10月10日 176.9円

※参照:経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)の調査結果一覧

ガソリン補助金が実施された2022年1月から170円前後を保ってきていましたが、2023年8月より急激に上昇し、2023年10月10日現在も176.9円と落ち着いてきたものの、決して安くはない価格推移となっています。

価格高騰の主な4つの原因

それではなぜ、ガソリンの価格は下がらないのでしょうか。
それには大きく4つの原因がありました。

原因①サウジアラビアによる原油減産の延長

原因の1つに、サウジアラビアの原油減産があります。減産とは、計画的に産出を抑えることです。

サウジアラビアは、石油(※1)生産量世界2位(※2)を誇る原油産出国。国の財政を維持するためにも、石油の価値を上げ、価格が下がらないように自主的な減産を続けています。
そのため、需要と供給の均衡が崩れ、価格の上昇が続いていることが原因です。

※1…原油、シェールオイル、油砂など
※2…上位10か国:アメリカ、サウジアラビア、ロシア、カナダ、イラク、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、イラン、イラン、ブラジル、クウェート

原因②ウクライナ侵攻

2つ目の原因に、ロシアによるウクライナ侵攻があげられます。

ロシアは、先ほどのサウジアラビアに次ぐ石油生産量世界3位です。
ロシアの場合減産ではなく、ウクライナ情勢により、世界的にロシアへの経済的締め付けを行っているため、ロシアからの供給が制限されるのではないかという懸念が強まっていることにより価格が上昇する事態になりました。

また、石油産出国は「原油の高騰はウクライナ情勢の不安から大量に買い込む人が多いため、価格上昇は一時的なものである」として、減産を続けているという点も原因と言えます

原因③円安

3つ目の原因は、円安です。円安は輸入に関して非常に不利となります。

昨年2022年9月、1ドル=145円という急激な下落に政府が為替介入を実施しました。しかし、2023年10月に一時為替介入をした昨年度よりも大きい150円まで下落するなど、不安の声があがっています。

このまま円安が続けば、輸入に頼り切っている原油は、価格が安定することは難しいでしょう。

原因④補助金の縮小

ガソリン補助金制度は、2022年1月当初は補助上限額を5円/リットルとし、2022年4月には35円/リットルに増額してから、毎月2円ずつ補助金の額を縮小してきました。

2023年6月には9月末終了に向けて、更に補助金額を大きく縮小していましたが、7月に急激にガソリンの価格が再上昇。ガソリンの実質負担が大きくなりました。

新しい制度が実施されることとなり、柔軟に対応できる形態とはなりましたが、再度補助金額が縮小し、実質負担額が上昇することも十分に考えられます。

ガソリン価格高騰による企業への影響


ガソリン価格高騰により、1番の打撃を受けたのは運送業者です。
トラックで使用される軽油は、ここ3年で30円/1リットルも上昇しており、月に13万リットルを消費している運送会社によると、月390万円ほど燃料の負担が増額したとのこと。コロナ渦の動きで受注が増加しているにも関わらず、燃料負担も増加しているため、利益が減少する事態になっています。

しかし、打撃を受けたのは運送業者だけではありません。
漁をするために船を用いる水産業では、燃料代だけで、3年前と比べて1.5倍に増額したとのことでした。
漁獲量が見込めないと赤字となってしまうため、出航を見送る漁業者も増えています。

また、燃料の高騰はクリーニング店にも影響を与えました。
ドライクリーニング溶剤や乾燥、プレス機、スチームアイロン、プラスチックハンガー、ナイロン袋などに石油を使用しているからです。
1か月あたりの燃料代の負担が、去年より約160万円増額したクリーニング店も。

その他にも、高齢者の入浴介助や暖房、送迎するために自動車を使用する介護施設、宅配サービス、幼稚園や保育園の送迎バスなど、さまざまな業種に影響が出ている状況です。

企業だけでなく、東京の家庭でもガソリンの負担が年間4300円ほど増加するという見通しもあるため、寒い地域での暖房の燃料費の負担は、さらに厳しいものになるでしょう。

ガソリン代を節約するための6つの方法


石油生産国の減産や、円安はしばらく続くと考えられます。しかし、ガソリン補助金は、いつまでも続くとは限りません。
情勢が落ち着くのを待つだけではなく、家庭や企業で少しでもガソリン代を節約しましょう。
ここでは、節約方法を6つご紹介します。

方法①エンジンオイルの交換

エンジンオイルの劣化や減少すると、エンジン内部の機能がうまく働かなくなり、燃費の悪化に繋がります。
定期的な点検やメンテナンスは車の寿命も伸ばしますので、こまめにエンジンオイルの汚れや量をチェックしましょう。

方法②タイヤ空気圧の点検

タイヤの空気圧も、燃費に影響するので注意が必要です。
タイヤの空気圧が少ない状態で走行すると、エンジンに負荷がかかり、燃費が悪くなります。
定期的な空気圧の確認は、パンクによる事故防止にもなりますので、ガソリンを入れる際についでに確認してもらうと良いでしょう。

方法③アクセルを一定に維持する

急発進、急加速、急ブレーキなどの荒い運転は、燃費が悪くなります。
回転数を上げないように、滑らかな運転を心がけましょう。

方法④無駄なアイドリングをしない

アイドリング時も、燃料は消費されています。
自動車が10分アイドリングで消費するガソリンは、0.14Lとされており、1時間弱アイドリングをやめることで、約1リットルのガソリンが節約できますよ。

ただし、エンジンをかける際にも燃料を大きく消費します。短い時間でのエンジンのオンオフはかえって燃料を消費する可能性があるためご注意ください。

また、バッテリー機能が劣化している場合は、アイドリング時に消費する燃料が増加するため、バッテリーの劣化も確認すると良いでしょう。

方法⑤エアコンの使用をできるだけ控える

エアコンを使用すると、約12%燃費が悪くなると環境省より発表されています。
つまり、運転で10リットル使用する場合、エアコン使用時は燃料が約12リットル必要になるということです。

車内が高温の場合は、一旦ドアを開け閉めして社内の空気を入れ替えてからエアコンを使用する、外気ではなく車内で循環させるなど、なるべく効率的にエアコンを使用しましょう。

方法⑥不要な荷物を載せない

車体重量が増えると、その分エンジンの回転数が上がり、燃料は多く消費されます。
長い距離を走行する際に、特に影響がありますので、遠出する際は注意が必要です。
不要な荷物を載せていないか、今1度確認してみましょう。

ガソリン補助金3つの問題点


ここまで、ガソリン補助金や、ガソリンが高騰している原因、節約方法などを解説してきました。
しかし、そんなガソリン補助金ですがいつまでも続くとは限りません。その理由としては、ガソリン補助金を実施するには、大きな問題があるからです。

その3つの問題点を解説していきます。

問題点①財政の負担が増える

ガソリン補助金が実施された、2022年1月から2023年10月期間、すでに3兆円超の国費が投じられています。その国費は、税金や国債発行によるものですので、結局は国民負担です。
補助金は、根本的な解決とはならず、その場しのぎとしての効果しかないでしょう。
近い未来、その負担を請求されることもあるかもしれません。

問題点②市場価格を歪める

市場価格は、需要と供給でなりたっており、通常は価格が高くなると需要が減ります。
しかし、補助金が出ることで価格変動が希薄となり、市場のメカニズムが働かなくなる可能性も。
補助金があることで、実際に価格が高騰していても、消費者には価格変動が見えないため、需要が減らない状況が続き、需要と供給の均衡が崩れることになります。
そのため、さらに補助金の額が増え続け、財政の負担が大きくなってしまうのです。

問題点③脱炭素社会実現の政策方針と矛盾

近年、世界中で脱炭素社会を目指す取り組みが行われるようになりました。しかし、補助金の延長で、本来価格の高騰で減るはずの需要が変わらないため、燃料消費の増加を招いているという見方もあります。

政府は50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げていますが、22年度のガソリンの国内販売量は7年ぶりに増加しました。

コロナ渦により、運送の需要が伸びたことも原因の1つと言えますが、脱炭素社会の実現の妨げや財政難を引き起こしかねないガソリン補助金は、層を絞り、期限を明確にすべきだという声もあります。

まとめ


ガソリン補助金は、2024年3月末までの延長が検討されています。
しかし、今後いつまで円安や石油の価格高騰が続くのかは見通しがついていません。
延長は喜ばしいことですが、財政難による政策の見直しなどもありえます。

いずれ来る補助金の終了に備えて、ガソリンを少しでも節約する方法を実践したり、石油価格の動きを見て給油のタイミングを見極めたりと、小さな取り組みから初めていくことが大切です。今後のガソリン補助金の動きに注目していきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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