起業家に伝えたいFacebook広告の魅力 効果的なマーケティング活用術

広報手帳

(2019/07/17更新)

創業期では、「なるべく予算を抑え、効率よくPRをしたい」という視点でWeb広告の利用を検討する創業者も多いでしょう。Web広告には複数の種類がありますが、中でも創業期におすすめしたいのがFacebook広告。Facebook広告は、セグメント配信(特定の条件で絞り込んだ顧客にコンテンツを配信すること)によってユーザーを非常に細かくターゲティング(どの顧客層にPRをするか)でき、費用対効果の高さが特徴です。今回は起業家が知っておきたいFacebook広告の概要や強み、利用する上での注意点について解説します。

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Facebook広告とは

電通の海外本社が世界59カ国・地域から収集したデータによると、テレビ、新聞などの媒体別に分けた広告費の中で、Web広告は1位となっています。また、広告費の伸び率でも他の媒体が1ケタまたはマイナス成長となっているのに対して、Web広告は2ケタの伸び率を示しています。このように、Web広告の影響力が圧倒的に大きくなっている現代において、効果的に使って競争優位を確保・維持して、事業拡大・経営安定を目指すためには欠かせない広告手段です

Facebook広告は、たくさんの種類があるWeb広告の中の1つで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のFacebook上に表示される広告のことです。SNSには、FacebookのほかにLine、Twitter、Instagram、Youtubeなどがありますね。

各SNSにはそれぞれ広告が表示されますが、その中でもFacebook広告は、起業家にとって経営を少しでも早く軌道に乗せることが重要な創業期において、自社のビジネス(商品・サービス・会社名など)について費用対効果の高い告知を行うことができます。まずどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

Facebook広告の魅力・メリット

1.他のSNSに比べてビジネス領域の拡散力が高め

Facebookは、原則として実名登録して利用するサービスであることから、プライベートの友人・共通の趣味だけでなく、ビジネス関係者ともつながりを持つユーザーが多いという性質があります。また、直接の友人や仕事関係者との情報だけでなく、その人たちの友人・仕事の関係者の情報も流れてくるため、情報の拡散力と信頼度が高い傾向にあります。

LINE、Twitter、Instagramなど、主にプライベートの友人・共通の趣味を持った人など、ビジネス上のつながりが比較的薄い使い方をしているユーザーの割合が多い他のSNSに比べて、Facebookを使った広告はビジネスの拡大に繋げやすいといえるでしょう。

2.圧倒的なユーザー数

Facebookは、世界で最も多くの人に利用されているSNSです。そのユーザー規模は2位のYouTubeの約19億人を上回る約23億人と言われています。日本だけに限定するとLINEやTwitterのほうが利用者の割合は高いですが、世界的に見たFacebookの圧倒的な利用者数の多さは無視できない要素です。

3.広告をしたいターゲットユーザーを高精度に選別して配信できる

Facebook広告は、性別、年代、学歴・職歴、趣味・嗜好(しこう)、地域、ユーザーの行動履歴など細かな条件を設定することで高精度にユーザーを選別でき、広告を訴求したいターゲットユーザーに的確に届けることができます。

Facebook広告ではユーザーを選別する項目が多く、そこから得られる選別の精度が他のWeb広告よりも群を抜いて高いからです。精度の高さにある背景として、Facebookは原則実名登録でないと利用できない点、また世界最多の利用者層から得られるユーザーの行動データを蓄積し、AI(人工知能)などを利用して解析していることなどがあげられます。

4.ユーザー商品を知ってから購買に至るまで、段階ごとに効果的な広告を打ち出せる

マーケティングでは、ユーザーが商品やサービスを知ってから購買に至るまでのプロセスを理解して、段階ごとに適切なマーケティングを行うことが重要です。一般的には、ユーザーは購買まで、以下の4段階の心理体験を辿ると言われています。

  • 第1段階 商品・サービスを知る(認知)
  • 第2段階 関心を持つ(興味・関心)
  • 第3段階 欲しいと感じて調べる(比較・検討)
  • 第4段階 購買する(購入・申し込み)

Facebook広告はこれらの段階・目的に応じた広告の出し方を、細かく設定することができます

5.多種多様な広告スタイル・フォーマットが用意されている

Facebook広告は、12種類スタイル・フォーマットから自社に最も合う広告をカスタマイズして選べます。各広告の特徴を以下の表にまとめてみました。

特徴
リンク広告 「購入ボタン」や「詳しくはこちらへボタン」など遷移先のリンクをクリックしてもらうことで、自社のWebサイトへ誘導できる。
画像(写真)広告 画像(写真)付きの広告を投稿する。テキスト中心の広告よりも注目度、認知度、信頼度を高められる点が特徴。
カルーセル広告 1つの投稿に5枚までのリンク付き画像(写真)や動画を並べて表示できる。複数の商品を見せることはもちろん、1つの商品について複数の見せ方をすることもできるので、使い方次第で広告の訴求力を高められる。
動画広告 動画を用いた広告。テキストや画像だけでは、分かりやすくて的確に伝えることが困難な商品やサービスで効果を発揮する。
スライドショー広告 画像(写真)を連続して次々に表示して行う広告。動画よりも制作費がかからず、制作も早いという特徴がある。通信データ量も抑えることができるので、ネットワーク環境の不安定さに左右されにくい点も強み。
キャンバス広告 ユーザーが広告をクリックすると、さらに詳細な内容を表示する広告。訴求したい情報を盛り込んだページを簡易的に作成できるので、誘導先のWebサイトを一から制作する場合に比べて費用と工数を削減できる。表示する形も、テキスト・画像(写真)・動画など自由に選べます。
ダイナミック広告 過去にユーザーが自社サイトを訪問した際に閲覧したページなど、Facebookが持つ多数のユーザーデータをもとに、一人ひとりのユーザーに適した商品やサービスを自動的に選んで表示してくれる
コレクション広告 商品やサービスを動画や画像(写真)でメインのビジュアルとして表示し、その下に関連する画像(写真)を4枚並べられる。メインのビジュアルを魅力的に制作して、ユーザーを引きつけることで、関連商品への興味を高める効果が期待できる。
リード獲得広告 ユーザーが簡単な操作で資料請求や会員登録などすることができる広告。入力フォームにFacebookに登録された情報が自動で入力されるなど、手間がかからずに簡単に入力できるようになっているため、自社に興味を持つユーザーの情報(氏名、電話番号、メールアドレスなど)蓄積に繋げやすい。
近隣エリア広告 スマホなどの位置情報から、店舗の近くにいるユーザーに対して表示できる広告。店舗の住所、電話番号、営業時間、Webサイト、店舗までの道順や移動時間が分かり、効率よく店舗への誘導に繋げやすい。
クーポン利用広告 割引などの特典が付いたクーポンを表示して、売上や知名度をあげられる広告。クーポンの期限が迫ればターゲットユーザーに自動で再表示される機能もあり、集客率を高めやすい。
モバイルアプリ(アプリインストール)広告 スマートフォンアプリのインストールにつなげる広告。広告から「App Store」「Google Play」「Kindle Fireストア」などへユーザーを直接移行できるため、ユーザーのアプリインストールに誘導しやすい。また、広告はアプリをインストールしていないユーザーにしか表示されないので新規のユーザーを効率良く獲得できます。

6.費用を抑えた効率的な広告が可能

Facebook広告では、1日の予算の上限額を決めると、上限額以上の費用が発生すれば広告は自動停止し、それ以上の費用は発生しません。翌日になると自動的に同じ条件で広告が表示されます。同様に掲載期間全体で支払う費用の上限額も決められます

また、広告費の課金方法にはインプレッション数(広告が表示された回数)が規定回数に達した段階で課金されるCPM配信と、広告がクリックされた時のみに課金されるCPC配信の2種類があります。選択した課金方法の条件が満たされたときにだけ費用が発生する仕組みです。

このように、予算に合わせて細かく戦略を立てやすいというメリットがあります。

潜在顧客から顕在顧客へ誘導しやすい

これまで見てきたように、Facebook広告は顧客のステージに合わせて自社商品やサービスの最新情報、あるいは役に立つ情報を継続して発信し続けることができるので、顧客との関係を維持しやいです。これにより、潜在顧客(商品やサービスを利用する見込みがある顧客)から顕在顧客(商品やサービスを既に利用している顧客)に変化するタイミングで自社の商品やサービスの購買へつなげやすくなっています。

デメリット・注意すべき点

顧客に対して細かなマーケティング戦略を練ることができるFacebook広告ですが、もちろんデメリットもあります。運用前に、注意しておきたいポイントも見ておきましょう。

1.Facebook関連サービスのユーザー以外に対する集客を行えない

Facebook広告は、原則的に、Facebookや同社が提供しているInstagramなど、Facebookに紐付いたサービスを利用している顧客にしか広告を打つことができません。提供する商品やサービスが、Facebook利用者の属性と大きく異なる層の場合は、効果が薄まる可能性があります。

2.細かな広告運用の改善が求められることも

広告の仕様変更や新機能の追加が多く、より効率的、効果的な広告運用をしていくには、その都度変更にあわせていく必要があります。また、詳細にユーザーのターゲッティングができるがゆえに、商品やサービスによっては広告の効果としてターゲッティングが適切かどうかの検証・改善をするためのPDCAサイクル(生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していくこと)を速いスピードで回していく戦略を取る必要がある場合もあります。

3.企業関連の情報の優先度は低い

Facebookは、基本的に利用者の友人や親族などの身近な人物の投稿が上位に表示されやすいアルゴリズム(手順)が採用されており、ビジネス関連の投稿の表示は優先度が低くなっていることも知っておきましょう。

まとめ

Facebook広告は、費用面での導入のハードルが低く、事業内容などにあわせて細かく予算やターゲティング戦略を組むことができます。また、広告を打つ前に費用対効果を見積もれるなど、広告媒体として強力なメリットを多数兼ね備えていることから、まずは先行投資として少額の広告から試してみることも可能です。
事業の種類や拡大にあわせてカスタマイズしていくのが良いでしょう。Facebook広告の効果をしっかりと把握した上で、自身の事業にとって最大効果を発揮する活用法を探してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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