D2Cは新たなビジネスモデル!仕組みから導入方法、成功事例まで徹底解説!
D2Cはこれからのビジネスに重要なキーワード。D2Cについて詳しく解説します。
近年、ECサイトでの商品販売システムも浸透してきた中、新たなビジネスモデルとしてD2Cが注目されています。
D2Cブランドを起ち上げ、ビジネス展開を行うことは、商品の価値を上げることや顧客満足度の向上にもつなげることが可能です。
今回は、ビジネスモデルとしてのD2Cについて、仕組みや導入方法、成功事例について解説します。
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この記事の目次
D2Cとはどのようなビジネスモデルか
こちらでは、D2Cについての基本を説明します。
D2Cの概要
D2Cとは、メーカー・企業が製品・商品を販売するとき、途中に卸売り店や小売り店を介さずに直接顧客に販売する仕組みを指します。
D2Cは、英語でDirect to Consumerを略したものであり、顧客にダイレクトに製品・商品が渡ることを示しています。
販路において、卸売り店や小売り店を経由しないことから、企業は製品・商品の開発から販売までワンストップで行い、販売方法は主にECサイトの利用です。
この仕組みにより、企業は顧客のリアルな反応や意見を取り入れることが可能で、その生の声を今後に生かすことができます。
D2Cが注目されている背景
・ECサイトの普及
近年では、ネットを通じた通販の窓口としてECサイトの存在が不可欠です。商品の販売におけるECサイトの規模は、年を追うごとに拡大傾向にあります。
2015年におけるECサイトの市場規模は1兆円強ほどであったものの、2019年の調べでは2兆円を越えています。
この金額は、2011年頃に比べて2倍ほどの伸びであり、この10年程度でECサイトが普及した背景には、以下のような変化が考えられます。
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- スマートフォンの浸透
- インターネット環境導入の気軽さ
- SNSの波及
特に、スマートフォンの浸透はECサイト普及に大きな功績を上げており、ECサイト市場ではスマートフォンを介した利用は全体の実に4割ほどを記録しています。
・顧客と企業間のコミュニケーションが活発になった
近年は、SNSをはじめとしてアンケートなどのマーケティング戦略により、顧客と企業のコミュニケーションを活発に取る動きが出ています。
これにより、企画段階での精査や製品・商品へのダイレクトな反映ができ、開発やリニューアルに反映させられます。
さらに、プロジェクトの起ち上げにクラウドファンディングを利用する流れも普及し、プロジェクトの内容に関する反響や支持者の取込みに成功している例も多いです。
D2Cの特徴4つ
下記では、ビジネスモデルとしてのD2Cの特徴を4つ挙げていきます。
1.顧客とダイレクトにつながる
従来では、顧客は企業および製品・商品のイメージや目的が掴みづらく、企業は顧客のニーズを把握しづらい面がありました。
D2Cのシステムを導入すれば、企業と顧客がダイレクトにつながり、双方の風通しがよくなることで、直の声をやりとりすることが可能です。
これにより、顧客は企業の意図や理念を知って支持者・リピーターになってくれる確率が上がり、企業は顧客の忌憚ない声をもとに製品・商品作りに取組めます。
2.顧客に商品価値を与える
同業の企業間において、競合する動きは激しさを増し、いかにして顧客に選んでもらえるかについては、どの企業においても最重要課題です。
製品・商品を直接アピールし、他社にはない付加価値を与えることで差別化すれば、顧客がその価値を認めてファンになってくれることが狙えます。
そして、固定のファンを増やせば長期的に購入してもらうことができ、顧客満足度も長い期間において保つことが可能です。
3.インターネットに多く触れる若者を顧客とする
現時点で20代~30代は、幼少よりインターネットに触れてきて日常に染み込んでいる世代です。
D2Cを実現するECサイトは、社会に出て自分で自由に商品の購入ができるようになり、その入口としてECサイトを選んでいることがほとんどです。
また、ECサイトを通じた企業とのコミュニケーションも抵抗なく受け入れられるため、D2Cにおいては20代~30代をターゲットとすることが多くなっています。
4.中間マージン削減による低価格化
前述のように、D2Cでは卸売り店や小売り店を通さずにワンストップで販路を確保するため、中間マージンが発生しません。
つまり、余計な手数料を支払うことなく、コストを大幅に削減することが実現します。
その結果、製品や商品価格にマージン分を上乗せすることなく販売でき、価格を抑えられることから顧客にも受け入れられやすいでしょう。
既存のビジネスモデルと何が違うか
従来は製造から販売まで複数の企業を介する
前述で説明しているとおり、従来の販売方法では、企業から顧客にわたるまでの間に卸売り店や小売り店を通すのが通常でした。
この形態では、中間マージンで商品価格の高騰を余儀なくされるだけではなく、市場価格に合わせた結果、企業の利益が削られてしまう欠点もあります。
これは、D2Cと似た言葉であるB2C(Business to Customer)の形態に該当し、実際は企業から顧客の流れではなく、企業から企業、そして顧客への流れであるといえます。
D2Cでは商品製造から販売までワンストップ
D2Cのシステムは、製品・商品の開発から製造・販売までを行う企業が、自社のECサイトからワンストップで顧客に販売することができるものです。
そのため、顧客は企業について直接コンタクトを取り、さらに安価での購入ができる利点があります。
そして、企業は中間マージンの削減や顧客の購入行動の把握が実現します。
ECと区別される点
ここで、D2CとECの明確な違いについて説明します。
ECは、英語でElectronic commerceの略であり、電子媒体を利用した売買を指します。
この場合、ECサイトでの販売は卸売り店や小売り店を通している可能性もありますが、一方で企業と顧客を直接つなげるものでもあります。
D2Cは、ECサイトを利用して電子媒体=インターネットを通じて製品・商品を販売するケースが多く、ECはD2Cの手段のひとつと取ることが可能です。
そして、顧客にとってECは便利な購入方法としての価値があるのに対し、D2Cは企業や製品・商品に価値を見出せる貴重な方法といえます。
D2Cビジネスのパターン
D2Cビジネスにおいては、下記のようないくつかのパターンがあります。
販売する商品などについて
D2Cで取り扱う商品は、以下の2つです。
形のある商品
販売する製品・商品については、まずは形のあるものが多く存在します。これは、実際に顧客が物として手に取ることができ、実際にその物を利用して消費行動を取ります。
形のないサービスなど
例えば、何らかの技術を提供したり、配信やダウンロードで顧客にコンテンツを届けたり、形が存在しないサービスも販売の対象です。
商品などの販売方法について
上記2つを販売する方法として、2つを挙げることができます。
個別に販売する
これは、従来と同様で1つの製品・商品・サービスに対して個別に販売し、売上げを回収する方法です。
サブスクリプションを利用する
近年、サブスクリプションの形態で商品を販売する企業が増加しています。
サブスクリプションは、月々決まった金額を支払うことで、企業が提供する製品・商品・サービスを利用できる仕組みです。
例えば音楽や動画配信、食品などで多く採用されており、月額を支払えば利用し放題になる、毎月何らかの商品が送付されるといったサービスを受けられます。
また、毎月金額を支払うことで、顧客に繰り返し利用してもらえる確率も高いです。
商品などと販売方法を組合わせる
上記2つの商品と販売方法を組合わせると、D2Cにはパターンが4つ存在することがわかります。
これらをいかに組み合わせるかで、商品に対する付加価値を付けるか、リピーターを確保するかの方針を決めることにつながります。
D2C導入のメリット・デメリット
D2Cの導入においては、メリットとデメリットがそれぞれに存在します。
メリット4つ
1.顧客とのつながりを大切にできる
企業は、販売する製品・商品への思いを顧客に届けたいでしょう。また顧客は、企業の思いを知ることで製品・商品への価値や愛着を持つことができます。
こうした企業と顧客のつながりは、双方の信頼関係を築くこととなり、より強固な関係性をもって長期的な取引きをすることが可能です。
2.マーケティングにかかる情報を収集しやすい
ECサイトを通して製品・商品を販売する場合、サイトへのアクセス状況や商品の売行き、支払い方法に加え、顧客の年齢層の情報を手に入れることができます。
これにより、ターゲットとする層がどのような商品に関心を持ち、実際に購入する商品は何かといったデータを収集し、マーケティングに役立てられます。
3.コストダウンができる
前述で説明した中間マージンの削減に加えて、卸売り店や小売り店間での受注・発注の手間も削減できることから、金銭的・人員的に大幅なコストダウンが実現します。
さらに、ECサイトを自社で運営することにより、ネットショッピングモールに支払う手数料も省くことができ、売上げから大きな利益を得ることにもつながります。
4.商品価値を上げることができる
企業と顧客が直接つながることにより、顧客にとっては企業のブランドイメージをより身近に感じられます。
ブランドイメージが向上すれば、そこから発売される商品はおのずと価値のあるものとして認識されるでしょう。
また、顧客が企業のブランドイメージに共感できれば、ファンとなって長く製品・商品を購入してくれるリピーターやファンになってくれることも期待できます。
デメリット2つ
1.導入システムの整備に費用がかかる
D2Cを導入するためには、窓口となるECサイトの制作や、企業から直接顧客に商品を届ける物流システムの大幅な整備が必要です。
システムの整備は、金額的・人員的に多くのコストをつぎ込まなければならない可能性があるため、導入の際にはコストと利益のバランスを長期的に検討すべきです。
2.マーケティング・ブランディング戦略は自社で立てる
ネットショッピングモールでは、顧客が興味を持っているジャンルの商品を検索したり、おすすめに表示されたりといったシステムで、商品を見つけてもらいやすくなっています。
しかし、自社のECサイトでは顧客にたどり着いてもらうことが難しいため、集客のためにマーケティングやブランディング戦略を具体的に立てる必要があります。
D2Cを成功させるためのポイント
こちらでは、D2C導入の際に押さえたいポイントを解説します。
ビジネスモデルに合った商品で展開する
D2Cを導入するなら、このシステムがより有効に作用する商品の販売方法をとりましょう。
特に、顧客とのコミュニケーションやコストダウンのメリットを享受するには、顧客にリピーターになってもらい、継続的に購入してもらうことが求められます。
例えば、食品や化粧品のように一定期間で消費されるもの、また音楽や動画コンテンツのように継続的に視聴したいと思えるサービスが挙げられます。
競合商品と比較し独自の価値を付ける
顧客の購買意欲を上げるためには、競合商品とは異なる独自の付加価値を付けて差別化することが必要です。
競合他社と同様の商品を販売する場合、より優れた機能やパッケージデザインに加え、顧客とのコミュニケーションで企業のブランドイメージを向上させることも大切です。
顧客の動線を可視化して検討する
D2Cの導入にあたって、ECサイトを活用することで、顧客がサイト上でどのような動きをしているかを可視化することができます。
その動線で、カートに入れたままにしている商品や実際に購入した商品、またサイトから離れるタイミングのように、分析できるデータは活用した上で検討することが重要です。
顧客目線に立って購入体験を想定する
顧客がECサイトにアクセスして商品を選ぶところから、実際に購入して利用した感想を持つまでの購入体験は、顧客目線でないと想定できないものです。
商品の販売では、顧客体験によって満足度を得ることが重要であるため、顧客目線に立って購入体験を実際にシミュレーションすると良いでしょう。
迅速にトライ&エラーを重ねて磨き上げる
製品や商品の開発・製造だけではなく、ECサイトの仕組みの構築や販売経路など、D2Cでは検討すべき点が多くあります。
その中で、実践して問題点が見つかれば取り急ぎ改善し、再挑戦するサイクルを迅速にして重ねることで、サービスを磨き上げることにつながります。
D2C起ち上げの手順について
こちらからは、D2Cの導入について大まかな流れを説明します。
製造ラインの確保
製品や商品を高品質な状態で素早く販売するために、高い技術を持つ工場や製造ラインをいち早く確保します。
自社で構築するのもよいですし、コストを下げたいのであれば既存の工場と提携する方法もあります。
協力してくれるパートナーを見つける
D2Cのシステムを盛り上げるためには、自社の力だけでは足りないこともあります。
そのため、製造・販売・物流といった販路について、それぞれに協力してくれるパートナー企業を見つけるようにします。
各分野に強い企業は、パートナーになれば知識やノウハウを提供してくれる心強い存在です。
マーケティングの徹底
D2Cを導入するためには、売れる製品・商品を開発しなければ成立しません。そのため、マーケティングには注力し、ターゲット層にニーズがある商品を企画します。
この場合、競合他社の売上データや市場の動きを観察することも必要です。
ブランドの方向性を確定させる
企業イメージを顧客に浸透させイメージアップを図ることができるのが、D2Cのメリットのひとつです。
そこを存分に生かすために、ブランドの方向性を明確にし、強く訴求できるポイントを決めることをおすすめします。
顧客は、インターネットの口コミなどで商品の情報を集め、ブランドの価値を見出して購入に移る動きが多いため、ブランド力の訴求は重要な部分です。
顧客ニーズに合った商品の製造
当たり前のことですが、顧客は品質が高く安価な商品を求めています。いくら ブランドイメージを上げても、顧客ニーズに合わない商品を作っては意味がありません。
そこで、販売前に試作品を何度も作成し、ターゲットとする顧客が必要とするものか、訴求するブランドイメージに合っているかを精査します。
顧客獲得の施策を立てる
前述のように、自社のECサイトにたどり着いてもらうためには、具体的な戦略が必要です。
より的確なターゲット層の顧客を獲得するためには、SNSや動画配信サイトの積極的な利用、また各種サイトでの有効な広告表示のような方法があります。
物流ラインを確保する
商品を顧客のもとに届ける物流ラインは、しっかりした基盤がないと構築することが不可能です。少しでもずれがあると、トラブルが発生することは想像に難くありません。
そのため、物流ラインの構築には、この分野に長けた企業をパートナーに迎え、協力を仰ぎながら確実に商品を運べるルートを確保しましょう。
D2C成功事例(国内)
以下では、実際にD2Cを導入して成功した企業の事例を紹介します。
男性コスメブランドの独自の販促方法
近年、注目されるようになった男性向けのコスメブランドでは、SNSを活用してシンプルで質の高いブランドイメージを確立させました。
その結果、一般の顧客による拡散力も借りて、独自の販促方法を得て人気を伸ばしています。
栄養管理の行き届いたフード宅配サービス
健康志向の人のために、しっかりと栄養管理が整った食事を宅配で提供している企業では、健康的なダイエットのほか、生活に密着したブランディングをアピールしました。
また、食品の提供だけではなく健康のためのライフサポートも行っており、他社にはないフードサービスを提供しています。
老舗鞄メーカーの積極的な参入
創業から50年以上を数える老舗の革製鞄メーカーでは、従来では売れにくくなった商品の販路を拡大するために、D2Cに参入して外部からの協力を得ました。
ECサイトの起ち上げやマーケティングを行うパートナーを外部から招致し、「古く新しい」ビジネスを成功させています。
まとめ
D2Cは、顧客との距離を縮めて商品価値を上げるだけではなく、結果的にコストダウンも期待できるビジネスモデルです。
特に、D2Cを成功させるために必要なものは商品の品質であり、顧客ニーズを捉えた上で高品質なものを提供することが大切です。
ターゲットとする顧客層はどこか、また自社商品のファンになってもらうにはどうすればよいかを考え、商品の企画を立てましょう。
(編集:創業手帳編集部)