商工会と商工会議所の違いは?事業者が受けられるサポートもまとめました。

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商工会と商工会議所の違いを知って、自分に合うものを活用しよう


商工会と商工会議所は、どちらも企業のサポートを目的とした公営の組織です。
似た機関のように思うかもしれませんが、管轄官庁や根拠法のほか、事業内容や規模など様々な違いがあります。

どちらであっても、無担保・保証人なしで融資を受けられる小規模事業者持続化補助金の申請が可能で、福利厚生制度等事業者支援サービスなども用意されています。
サービスなどの内容が違うため、どのようなサポートを希望するのかによって選ぶようにしましょう。

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商工会と商工会議所の違いを知ろう


創業したばかりの企業にとって、商工会や商工会議所といった組織は心強い味方になります。
例えば、資金調達の手段や企業向けに提供されている制度の概要を知るにも、これらの組織が役立ちます。
今まで多くの企業をサポートしてきた経験やノウハウ、その土地の知識はほかのサービスにはないものかもしれません。

事業家や企業にとって頼もしい存在の商工会と商工会議所ですが、その2つの違いを理解しているでしょうか。
どちらも同じもので呼び方が違うものだと混同する人も少なくありません。

以下では、混同しやすい商工会と商工会議所の違いや、それらの組織が持っている役割について紹介します。

表で確認する商工会と商工会議所の違い

商工会と商工会議所の違いを、下記にまとめました。

商工会 商工会議所
根拠法 商工会法 商工会議所法
管轄官庁 経済産業省 中小企業庁 経済産業省 経済産業政策局
地区 主として町村の区域 原則として市の区域
事業 事業の中心は経営改善普及事業 中小企業支援のみならず、国際的な活動を含めた幅広い事業を実施。
小規模事業施策(経営改善普及事業費)は、全事業費の2割程度
意思決定機関 すべての会員で構成される総会(会員数200名以上の場合には、総代会を設置できる) 会員及び特定商工業者から選挙された議員並びに部会などで選任された議員で構成される議員総会
議決権(表決権)
及び選挙権
総会の議決権・選挙権ともに1会員1個 会員は部会において、議員は議員総会においてひとり1個の表決権を保有。
選挙権は会費口数に応じてひとり最高50票
会員に占める小規模事業者の割合 9割を超える 約8割
会員数 約81.2万人(2017.4) 122万人(2021.4)
拠点数 約1,650か所(2017.4) 約510か所(2021.4)

商工会と商工会議所は、それぞれ根拠とする法律が異なり、管轄官庁も違います。
商工会は経済産業省の中小企業庁管轄ですが、商工会議所は同じ経済産業省でも経済産業政策局が管轄です。

また、組織内のルールや事業内容、組織の違う点にも注意が必要です。
以下では、それぞれの組織について紹介します。

商工会とは

商工会は、業種に関係なく地域の事業者が会員となってお互いの事業の発展、地域活性化のための総合的な活動を実施する組織です。
国や地方自治体は経営改善普及事業として小規模企業施策を行っていて、その実施機関として小規模事業者のサポートをする機関でもあります。

商工会には、経済産業大臣が定める資格を保有する経営指導員が常駐し、経営サポートを実施しています。
その内容は経営・人事・税務など多岐にわたり、電話相談や訪問する巡回相談も実施され、秘密厳守のため安心して相談できるでしょう。

商工会の事業内容

商工会は、小規模企業施策実施機関として活動するほか、各種資格試験の実施や研修、セミナーなどの事業を開催しています。
東京にある、「むらからまちから館」は日本全国の特産品約1,000種類に地酒も約200種類を誇るアンテナショップです。
公設地域総合専門館として、注目を浴びています。

商工会では、全国商工会会員福祉共済も提供しています。これは、病気やケガ、ガン、死亡といった補償が受けられる共済です。
商工会会員だけでなく、家族や従業員、従業員の家族まで加入できます。

事業者にとって、保険や退職金、共済の制度をどうするかは重要です。
商工会では、事業者をサポートするために共済のほかにも多様な制度を用意しています。
例えば、個人情報や法人情報漏洩に備える全国商工会情報漏えい保険制度や中小企業PL保険制度といった制度があります。
どういった制度があるのか、どの制度が必要かまずは窓口に問い合わせてみてください。

商工会議所とは

商工会議所は、地域の総合経済団体です。
中小規模事業者のサポートのほかに、地域の諸問題を解決するために、地域経済社会の代弁者として政策提言や要望活動も実施しています。

商工会議所の事業内容

商工会議所の主なミッションは、政策提言・中小企業の活力強化・地域経済の活性化の3つです。
経営支援活動として、補助金や経営に関わる相談受付、政策活動として経営者や企業の声を集めて国や都に提言や要望を挙げる活動を実施しています。
さらに、企業が求める人材育成の確保のために行われる検定試験や、インターンシップも大切な活動です。

各地の商工会議所では、グローバル化に対応したサポート事業も実施しており、2国間経済委員会などを推進してきました。
これから海外事業をスタートする企業向けに、海外の投資環境や貿易取引照会などの情報提供しています。

さらに、全国各地での海外との姉妹都市・姉妹商工会議所交流などにより、地域の国際交流(ローカル・トゥー・ローカル)を行うことも事業内容のひとつです。
2国間や多国間の枠組みで定期的な経済会議を開催して、民間経済人同士の交流活発化事業も推進しています。

どちらに入会する?事業者側から見たそれぞれの違い

商工会と商工会議所は、どちらも非営利の公的団体です。
管轄官庁や根拠法が違っていても、どちらであっても中小企業支援を受けられます。
そのため、どちらに入会すればいいのかわからない事業者もいるかもしれません。

商工会と商工会議所の違いは、その規模や事業内容にあります。
商工会は、町村部にあり地域に根付いた活動をメインに行っています。
一方で、商工会議所は市や特別区にあって比較的事業規模も大きめです。
商工会は、9割以上が小規模事業者や個人事業主という点も特徴で、経営改善普及事業をメインとして実施しています。

商工会議所でも経営改善の事業は行っていますが、全事業の中で占める割合は多くありません。
商工会は、事業内容は国際交流・国際化支援や地域の産業振興、会員交流と多岐にわたっています。

商工会と商工会議所は上下の関係ではなく、まったく別の組織なので事業者が求める内容によって選ぶのがおすすめです。
できるだけ町村地域で交流を深めて活動したい場合には、商工会が適しているでしょう。

一方で、広域での活動や海外進出を視野に入れている場合、セミナーなどに積極的に参加したい場合には商工会議所のほうがニーズに適合すると考えられます。
商工会と商工会議所に自分が何を求めているかを考えてから選ぶようにしてください。

商工会や商工会議所の会員になるメリット・デメリット


商工会や商工会議所は、必ず入会するように決まっているものではありません。入会は事業者の自由です。
これらの組織に入会することでどのようなメリットがあるのか、デメリットはないのかを検討した上で入会しましょう。
商工会や商工会議所に入会するメリットとデメリットをまとめました。

メリット1.経営全般のアドバイスがもらえる

商工会や商工会議所に加入するメリットのひとつが、経営全般のアドバイスが受けられる点です。
商工会と商工会議所では、企業にまつわる総合的な相談を受け付けています。

一般的に企業のアドバイザーといえば、中小企業診断士・弁護士・税理士・社労士などの専門家に依頼します。
しかし、人脈が一切ない状態から自分のニーズに合う専門家を探すのは困難で、紹介状なしで専門家に依頼する場合には、相談料もかかるかもしれません。

商工会や商工会議所では、専門相談も受け付けています。
窓口相談のほか、電話や直接訪問しての巡回相談も実施していることが多いため、都合に合わせて選べます。
専門家に相談すれば、課題や悩みが解決することもあるかもしれません。

エキスパートバンク事業は、事業者の要望に応じてエキスパートを紹介してくれる事業です。
事業者が申し込むと商工会や商工会議所が仲介して、エキスパートを選定し、依頼をしてくれます。
利用できる回数などの制限はあるものの、無料で活用可能です。

例えば、ITの導入や作業能率の向上、機械設備やデザインの見直しをしたいといった場面でも役に立つ事業です。
ISO9000・15000の関係指導や品質管理(TQC)の導入など様々な場面で活用できます。

メリット2.確定申告の相談ができる

創業したての人が多くつまずきやすいのが、経理関連の業務です。
会計や税金の各種控除、青色申告の制度は、知っているかどうかによって納税額が大きく変わる分野です。
資金があれば税理士や経理担当者を雇う方法もありますが、資金面で難しい場合もあります。

商工会や商工会議所では、確定申告や経理にまつわる相談受付や指導を実施しています。
決算や申告の時期には、無料での税務相談や税制改正への対応などを相談可能です。
事業を行っていれば、納税や会計は関わらないわけにはいきません。
商工会や商工会議所であれば、専門家の力を借りながら事業を進められます。

メリット3.人脈作りになる

商工会や商工会議所は、人脈づくりの場としても活用されています。
技術の発展やインターネットの普及によって、自分で調べながら事業を立ち上げることも難しくなくなりました。
しかし、それだけ人同士がつながる機会も少なくなっています。

特に、自分とは違う分野の人や異業種の事業者と関わる機会は、そう多くありません。
商工会のイベントや交流会は、普段出会うことがない人と関わる機会です。
自分の事業以外の人とのつながりを持つことで新しい事業のヒントになる場合もあります。
また、一緒に事業をしてくれるビジネスパートナーを探すためにも重宝する場です。

メリット4.研修やセミナーを受けられる

商工会や商工会議所では、会員限定のサービスとして研修会やセミナーなどを開催しています。
基本的なビジネスマナーやパソコンスキル、創業ノウハウなどの内容は、知っておいて損はありません。
経験豊富で著名な講師を招いたセミナーも、商工会や商工会議所の会員であれば、無料や割引価格で受講できる場合もあります。

商工会や商工会議所で受けられるセミナーは幅広く、若手社員向けのセミナーや営業社員向けのセミナーも多数開催されています。
経営者の勉強だけでなく、社員育成のためにもセミナーを活用してみてください。

メリット5.融資・補助金・助成金などが受けられる

商工会や商工会議所に加入することによって、小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)を利用できます。
「マル経融資」は、小規模事業者や個人事業主が利用しやすい資金調達方法です。
一般的に小規模事業者や個人事業主は、担保や保証人がなかったり、信用力に乏しかったりする場合があり、金融機関の融資を受けにくくなることがあります。
そこで、無担保・無保証かつ低金利で融資を行っているのがマル経融資です。

小規模事業者が活用できる制度には、補助金もあります。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が制度改革への対応のために経営計画を作成して、販路開拓に取り組む時に経費の一部を補助する制度です。
小規模事業者の定義には常時使用する社員の数について制限はありますが、様々な場面で利用可能です。

例えば、企業のプロモーションや労務管理システムの導入などの費用にも利用でき、補助率と補助上限は、補助金の類型によって異なります。
公募で、申請のスケジュールは決まっています。

補助金を希望する時には、ホームページを確認しましょう。
商工会や商工会議所に相談しておくと、申請書類や経営計画の作成をサポートしてくれます。

小規模事業者持続化補助金について詳しくはこちらの記事を>>
小規模事業者持続化補助金(一般型) 第8回の概要が発表!新設された特別枠とは?対象者やスケジュールも解説。

メリット6.福利厚生もある

社会情勢の変化が激しい時代にあって、将来のリスクに不安を感じる事業者も少なくありません。
事業者であっても、退職金や年金制度に加入したいと考える事業者も多くいるでしょう。
商工会や商工会議所では、共済・年金・保険制度を提供しています。

退職金制度や所得補償保険のほか、取引先が倒産した時に借入れを利用できる経営セーフティ共済もあります。
経営セーフティ共済は、連鎖倒産や資金繰りの悪化、経営難を防ぐためにも大切です。
企業のリスクマネジメントや福利厚生の拡充のためにも、制度を活用するようにおすすめします。

デメリット1.費用がかかる

商工会や商工会議所に加入することで、いろいろな特典があります。
その一方で、デメリットがまったくないわけではありません。

まず、デメリットとして挙げられるのが、加入にともなう費用です。
商工会や商工会議所によってかかる費用は違いますが、一般的に入会金と、月会費か年会費がかかります。
大きな費用ではなくても、創業したての企業ではできるだけコストを削減したいと考える事業者もいるはずです。

さらに、セミナーや研修もすべてが無料ではありません。
会員価格として割引ではあるものの、費用がかかるものもあります。
商工会、商工会議所によって会員になる費用は違うので入会する前に確認しておくのがおすすめです。

デメリット2.活動を負担に感じてしまう場合もある

商工会や商工会議所では、イベントやセミナー、交流会が頻繁に行われています。
希望するイベントであれば積極的に参加したいと考える事業者は多いものの、そもそも興味があるイベント自体がない場合もあります。

また、事業や経営が忙しいと活動自体を負担に感じてしまうかもしれません。
商工会や商工会議所に入会する時には、どのようなイベントや交流会があるのかも確認してください。

まとめ

企業経営や事業は、今まで経験がないこと、知らないことがたくさんあります。
知識や経験がある人のサポートは、創業したての段階や資金調達をする場面でも大きく役立つでしょう。
商工会や商工会議所は、今まで様々な企業をサポートしてきた経験が蓄積されています。
商工会や商工会議所に加入することで受けられる特典も多いので、それぞれの事業内容やメリット・デメリットをチェックしてみましょう。

創業手帳の冊子版(無料)は、資金調達や節税など起業後に必要な情報を掲載しています。起業間もない時期のサポートにぜひお役立てください。
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(編集:創業手帳編集部)

資金調達コンサルティング
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