【4/1より開始】キャリアアップ助成金変更点まとめ
使わなきゃもったいない!キャリアアップ助成金の概要を解説
(2018/04/03更新)
平成30年4月1日より、キャリアアップ助成金の内容が変更になりました。
働き方が多様化する時代の流れに合わせて、毎年内容が変更されている本制度ですが、今回はどのような変更があったのでしょうか?
変更点の概要と、助成金のプロであるシャノアス社会保険労務士法人に、申請する際の注意点を伺いました。
この記事の目次
キャリアアップ助成金とは?
「キャリアアップ助成金」とは、有期契約労働者・短時間労働者・派遣労働者といった、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化・人材育成・処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。
「キャリアアップ助成金」は、助成内容によって7種類に分かれています。コースによって追加される条件はありますが、
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
という上記の条件を満たす事業主が支給対象となります。
昨年の変更点は、下記リンクからご確認ください。
関連記事>2017年4月1日、キャリアアップ助成金の概要が変更!気になる変更点を調べてみました。
「キャリアアップ助成金」今回の変更点は?
今回変更があったのは、もともとあった8つのコースのうち、「正社員化コース」、「人材育成コース」、「賃金規定等共通化コース」、「諸手当制度共通化コース」の4つです。それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.正社員化コースの変更点
1年度1事業所あたりの支給申請上限人数が15人から20人に拡充されました。
さらに、支給要件も2点追加されています。
(1)正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金総額(※)を比較して、5%以上増額していること。
※賞与や諸手当を含む総額。ただし、 諸手当のうち、通勤手当、時間外労働手当(固定残業代を含む。)及び歩合給などは除きます。
(2)有期契約労働者からの転換の場合、転換前に事業主で雇用されていた期間が3年以下であること。
2.人材育成コースの変更点
人材育成コースは、「人材開発支援助成金」に統合されました。
※平成30年3月30日までに訓練計画届の提出がされている場合に限り、引き続き、現在の人材育成コースとして支給申請することができます。
3.賃金規定等共通化コースの変更点
共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額が加算されます。
中小企業であれば1人20,000円、中小企業以外は15,000円です。
4.諸手当制度共通化コースの変更点
共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算されます。
中小企業であれば1人15,000円、中小企業以外は12,000円です。
さらに、同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算されます。
中小企業であれば諸手当の数1つにつき160,000円、中小企業以外は120,000円です。
「キャリアアップ助成金」の詳細は、厚生労働省が発行しているキャリアアップ助成金パンフレットをご覧下さい。
変更点について、専門家にインタビューしました
今回の変更点について、助成金の専門家であるシャノアス社会労務士法人に、お話を伺いました。
シャノアス:正社員化コースの支給要件に「賃金総額が5%以上増額していること」が追加された点です。単に正規転換するだけでなく、キャリアをステップアップさせていく方向性が伺えます。また、有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前の事業主に雇用されていた期間が3年以下に限ることも、注目しているポイントです。
シャノアス:変更前より、労働関連法令を遵守していることが前提として必要になります。
特に、残業代の適正支給、労働・社会保険の適正加入及び雇用契約書の取り交わしについても再点検し、本来行うべき義務を果たしていくことが重要です。
シャノアス:経営者自身で申請を行う場合には、労働関連法令や労務管理の基本的な知識を得て、適切に運用を行わなければいけません。もともと精通している方でなければ、時間的にも精神的にも負担があるかと思います。
外部の専門化にアドバイスを求めた場合には、通常、報酬が発生すると思いますが、より安全に受給ができるように手続きをしてくれます。
シャノアス:4月より新年度を迎えるため、一部の助成金について新設、改廃や要件変更が行われます。知らなかったことで、助成金をもらい損ねることは避けたいものです。
助成金をもらうことだけが目的ではなく、労務管理の整備を行っていく上で、受給可能なものがあると思います。その際は、余すところなく積極的に使っていくという意識で、体制整備を進めていただけたら良いと思います。
まとめ
働き方が多様化する時代の流れに合わせて、毎年内容も変更されているこの制度。人手も欲しいけど、人件費もかけられない創業期の資金として大いに役立つことでしょう。
申請が複雑で、時間がかかるケースもあるため、困ったときは社会保険労務士に相談することもひとつの手です。「キャリアアップ助成金」だけでなく、使える助成金は資金調達のツールとしてしっかり押さえておきましょう。
また、補助金・助成金については、創業手帳が行なっている「創業コンサルティング」でも、無料でアドバイスしています。こちらもぜひご利用ください。
(監修:シャノアス社会保険労務士法人)
(編集:創業手帳編集部)