起業するなら資本金はいくら必要?資本金によって 税金が違う?!資本金の目的と決め方

資金調達手帳

起業に必要な資本金の妥当な金額~内部要素と外部要素で決まる資本金の目的と必要性~

起業するために必要な資本金は

(2020/08/03更新)

起業準備には事業計画の立案やオフィスの契約など、さまざまなものがありますが、その中に「資本金の準備」があります。
2006年の会社法改正により起業する際の最低資本金制度が廃止されたことで、起業のハードルが大きく下がり、1円でも会社が興せるようになりました。しかし「1円で起業できる」ことと、「資本金をいくら用意すべきか」は違う問題です。
資本金は開業後しばらくの事業を支える重要な資金であり、その後の事業発展に欠かせない資金でもあります。
起業準備の段階で資本金の重要性を理解し必要な額を用意できるよう、資本金の必要性と用意すべき金額について具体的に見ていきます。

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資本金とは?重要な3つの目的

会社設立時に必要となる資本金ですが、そもそも資本金とは何なのか、資本金の目的と必要性を見ていきます。

資本金とは、会社が事業を行うための出資金

資本金とは会社設立の際に、出資者から得た出資金をすべて合計したものです。起業家自身が出資者になることも他の出資者を募ることも可能で、出資者は会社の株主となります。

資本金は返済義務のない資金でなければならないため、融資は資本金に算入することはできません。
例)起業家の出資金 100万円 + 株主の出資合計 400万円 = 資本金 500万円

資本金の目的

資本金には大きく分けて3つの目的があります。

1 営業開始前の開業資金

会社設立後、事業や営業開始前に発生する諸費用に備えるための資金。営業開始前に発生するオフィス入居時の保証料・内装工事費・備品購入費用などがあります。

2 営業開始後しばらくの運転資金

事業が軌道にのるまでの間、事業を円滑に進めるために活用する資金。事業開始後しばらくは売上の回収がなかったり、あっても安定しなかったりします。その間の商品仕入れ代や、オフィス賃料、人件費などに活用します。

3 もしもの時に備えて確保しておく資金

使う予定はなく、もしもの時に備えて確保しておく資金。いわゆる内部留保で、会社の体力となるものです。
内部留保には自社のイメージにつながる資本金が含まれていることも念頭に入れておきましょう。資本金が大きいと取引先や株主、債権者に安心感を与えるだけでなく、融資を受ける際の融資額も変わってきます。

資本金は1円でも設立可能ですが、資本金がないと、会社の運営が困難になることは目に見えています。3つの資金の必要性を理解し、バランスを考えながら資本金を用意することが重要です。

資本金の実態~「資本金500万円以下」の会社が最も多い~

巨額なイメージの資本金ですが、実はそうでもありません。「我が国の中小企業の実態」によると、平成19年において、資本金1億円以上の会社割合はわずか1%程度にすぎません。

資本金の割合
・200万円以上~500万円未満 43.72%
・500万円以上~1000万円未満 11.56%
・1000万円以上~2000万円未満 31.08%

(出典:我が国の中小企業の実態|中小企業庁)

資本金の具体的内訳は、最多が「200万円以上~500万円未満(43.7%)」、次いで「1000万円以上~2000万円未満(31%)」となっています。
資本金1000万円未満の会社が過半数で、かつ、最多が500万円未満であることがわかります。

自社に合った資本金の決め方

自社に合った資本金の決め方
業種や事業形態・事業規模によって変わる資本金。
業種によっては資本金の下限額が決まっていることがあるので注意が必要です。
では、自社に合う資本金はどのようにして求めればいいのでしょうか。
資本金の3つの目的(内部要素)と信頼性(外部要素)に応じた必要な金額の割り出し方を見てきます。

1 営業開始前の開業資金(内部要素)

これは、事業計画を練る段階である程度見積もることができるので過不足のないように用意します。確実に必要となる費用なので、モレや抜けがないようにすることが大事です。

2 事業・営業開始後しばらくの運転資金(内部要素)

事業が軌道に乗るまでの「収入がない」「入金が遅れる」などを想定して、一定の事業資金を用意します。
従来は「3ヶ月から半年分の運転資金」とされていましたが、自然災害の多発やコロナ禍などの影響を受ける近年の経済状況を踏まえると、半年分は用意したほうが安心です。

例)毎月の費用15万円 → 運転資金90万円程度  
  毎月の費用30万円 → 運転資金180万円程度

具体的には、人件費や家賃などのランニングコストと呼ばれる固定費と、広告費や消耗品などの変動費に分けて、自社に合った具体的な金額を算出するようにします。

3 もしもの時に備えて確保しておく資金(外部要素)

特に使途のない内部留保で、不測の事態への対応や危機的状況の打破に必要となります。実際に中小企業庁の「中小企業白書・小規模企業白書(2020年版)」によると、コロナ禍におけるテレワーク導入率は、資本金の大きい会社の方が高くなってます。内部留保が豊富であれば想定外の事態が生じたときに、取れる手段の幅が広がり、危機的状況の回避につながります。

具体的金額がわかりにくい内部留保は、一般的な資本金額の中央値500万円程度を参考にして算出することも可能です。ただし、事業規模が大きい場合は当てはまらないので、算出方法の一つの参考として捉えてください。

・内部留保=500万円-(開業資金+運転資金)

一般的な資本金がそのまま自社に適した資本金とは限りませんが、内部留保を上乗せすることで資本金が一般水準に達すれば、取引先や顧客に安心感を与えます。

企業のイメージや信頼性に繋がる資本金。資本金の額は融資額にも影響を与えます。設立から間もない会社の融資額は一般的に、資本金の2倍程度が上限とされます。融資を受ける際には資本金の額が審査に含まれることを念頭に置いて資本金を準備しましょう。

例)資本金500万円の場合、融資額は1000万円となり、総資本(事業資金)は1500万円となる。
  自己資本比率は 500万円/1500万円×100で、33.3%となる。

総資本(融資や余剰利益、資本金を含む)に対して純資産(返済不要な元手)がどのくらいあるかを示す自己資本比率は、高いほど信頼も高く安定した企業とみなされます。

我が国の中小企業の実態|中小企業庁(PDF)による自己資本比率をみると、資本金が大きい企業ほど自己資本比率が高く、中小企業の43.72%を占める資本金200万~500万の企業の自己資本比率は11.4%程度であることがわかります。

資本金ごとの自己資金比率の割合

資本金 自己資本比率
1000万円未満 11.4%
1000万円~1億円未満 29.6%
1億円~10億円未満 32.9%
10億円以上 40.8%

(出典:我が国の中小企業の実態|中小企業庁(PDF))

上場企業では資本金を含む決算書類の開示が義務づけられていますが、中小企業では原則として公開義務はありません。しかし、株主や債権者、取引先などから開示を求められる場合があるので、その際は事業を円滑に進めるためにも開示できるようにしておきましょう。

許認可が必要な業種とその金額

業種によっては許認可のために資本金の下限額が決まっているので注意が必要です。
 
・職業紹介事業 資本金500万円
・労働者派遣事業 資本金2,000万円

起業前にご自身の業種に資本金要件がないか確認しておきましょう。

資本金の金額に応じて税金が違う

資本金の金額に応じて税金が違う
資本金を決める際は、その金額によって税法上受けられるメリットが変わることも念頭に入れておきましょう。

資本金1000万円未満のメリット
・最大2年間消費税の免税を受けることができる
・法人住民税の均等割についても最低額となる

資本金1000万円前後で迷っている場合は、あえて1000万円未満に抑えることで節税効果が得られます。
法人住民税は7万円前後から18万円前後で、自治体によって多少異なりますが、資本金1000万円未満であれば最低額の7万円前後となります。また、法人住民税は赤字であっても必ず支払う義務があるので念頭に入れておきましょう。

注:例外的に消費税納税免除の適用を受けられない場合があるので国税庁リンクを参照ください。
No.6501 納税義務の免除|国税庁

会社のイメージや経営状況を左右する資本金

資本金には様々な目的が含まれており、事業内容に応じて目的ごとに準備する資本金額が変わり、必要性も多岐にわたることがお分かりいただけたでしょうか。
中小企業の資本金は「200万円~500万円未満」が最多です。信用力を確保するためにも、一般的な水準を目指すようにしましょう。

開業資金や当面の運転資金などは、事業内容に応じてより具体的に算出する必要があります。
また、内部留保をできるだけ多く確保できれば、起業後の不安定な時期や不測の事態に対応できるようになるだけでなく、起業の信頼性が上がります。

内部要素や外部要素を含めて事業計画に沿った資本金を準備し、取引先の信頼獲得や融資優遇につなげましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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