ブロードマインド 伊藤清|トータルコンサルティングで顧客を導くフィナンシャルパートナー!金融・保険業界の改革者が語る成功手法
金融・保険業界の課題を解決!一人ひとりのお客様のベストプランを提供する組織を実現
社会・経済の発展に応じて金融商品やサービスチャネルは多様化し、顧客が自分自身で最適な商品を選ぶことが難しい時代に突入しています。
こうした状況下に改革をもたらす「フィナンシャルパートナー」として注目を集めているのがブロードマインドです。
単なる商品比較・提供にとどまるのではなく、お客様と金融知識を分け合いながら思い描く夢に伴走し、一人ひとりが望むライフプランの実現に向けたコンサルティングサービスを展開しています。
今回は代表取締役社長を務める伊藤さんの起業までの経緯や、業界初の改革手法について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。
ブロードマインド株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、日本電気にソフトウェアエンジニアとして就職。その後、スポーツインストラクターを経てソニー生命に転職。最年少で同社のエグゼクティブライフプランナーとなり、成績優秀エージェントの世界指標である「MDRT」にも登録され、2007年には終身会員に。2002年1月に複数社の保険を扱う代理店としてブロードマインドを創設。現在では保険の他に株や投資信託、住宅ローン、不動産など幅広い分野の取扱いができる体制を構築し、ワンストップで金融商品を提供している。2021年3月に東証グロース(旧・マザーズ)市場へ上場を果たす。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
直接人と関わる仕事を。縁あってソニー生命へ転職し、人生が大きく変化
大久保:まずはご経歴についてお聞かせ願えますか。
伊藤:大学卒業後、新卒で日本電気に入社しソフトウェアエンジニアとして働き始めたのですが、人と接することが大好きだったので「直接人と関わる仕事がしたい」という想いが強くなりました。
もともと幼少期から野球などのスポーツを続けていて、スキー・スキューバ・水泳はインストラクターの資格も保有していたんですね。そこで「スポーツ関連のスキルを活かせないだろうか?」と考えました。
ちょうどそんなときに、日本初のフィットネスクラブ事業を展開していた日新製糖に巡り合ったんです。同社ではスポーツインストラクターや、スポーツツアーの企画立案などを担当しました。
およそ8年ほどキャリアを積んだ後、縁があってソニー生命への転職を決意しました。
大久保:ソニー生命との出会いが伊藤さんの人生を大きく変え、結果として起業にもつながったわけですね。
伊藤:はい。ソニー生命時代には年収1億円を達成するほど高い実績を重ね、成績優秀エージェントの世界指標である「MDRT」にも登録されました。起業後の2007年には終身会員にもなっています。
年収1億円達成!起業家にも役立つ、大成功したスーパー営業マンの営業5か条
大久保:伊藤さんがスーパー営業マンとして大成功された理由についてお聞かせください。
伊藤:色々とあるのですが、起業家の方々にも役立つのではないかなと思うポイントは5つです。
まず1つ目ですが、保険外交員の仕事は「嫌われたくないモード」が強い人には向いていません。顧客に対して、時には「あなたはここが課題で、こういうふうにしていかないといけませんよ」と明確に指摘する必要があるからです。
嫌われたくない人たちは、たとえばお客様から「保険料が高いから無理」と言われた瞬間、「そうですよね」で終わってしまうんですね。
そうではなくて、「ちょっと待ってください。この保険料をしっかり払うことで、老後まで見据えたあなたのライフプランはこうなります」というように「あなたのためにはこうすべきなんだ」と真剣に伝えることができる人が本物の優れた営業です。
大久保:確かに腕がいい医師や弁護士も、大切なことはズバッと言いますよね。次に2つ目をお教えください。
伊藤:2つ目は、難しい内容でもすべてわかりやすく伝えることです。
たとえば保険の場合、解約した際に戻ってくるお金のことを専門用語で「解約返戻金」や「CV」といいます。でも、お客様にそのままご説明しても伝わりませんよね。
そこで「解約されたときに戻ってくるお金は150万円です」とお話しするんです。貯蓄型であれば、「この商品にご加入いただければ、あなたが将来60歳になったときに2,000万円の資産が貯まっていますよ」といった伝え方をします。
ちょっとした専門用語を、いかにわかりやすく伝えるか?はものすごくこだわっていましたね。
大久保:ついつい専門用語を使ってしまいがちなところを、誰にでも理解しやすい表現を選ぶのは大切なことですよね。続いて3つ目以降もお願いします。
伊藤:3つ目は、顧客から「この人を応援してあげたい」と思ってもらえる人間になることです。
私の場合、「自分はなぜこの業界に入り、この会社で働いているのか?」という世界観をしっかりと語るようにしてきました。そして良い仕事をして、少しずつファンを作っていったんです。
最終的に、およそ50名のお客様が毎年約2名ずつ紹介してくださる仕組みができたことで、見込み客獲得の不安がなくなりました。
4つ目は、スピード感を大切に顧客対応をすることです。
お客様から質問をされたとき、即答ができない内容は「調べて来週までに返答しますね」と言ってしまう営業マンが多いですよね。私はその日に、なるべくその場で調べて即レスしていました。
その結果として信頼を得て、3つ目でお話しした紹介営業にもつながりましたね。
最後の5つ目は、周辺領域までよく学んでおくことです。
私はいつも保険商品だけではなく、金融全般や税務に関しても勉強していました。そうすることでトータルコンサルティングができますので、お客様には安心していただけて自然と信頼度も上がったんですね。
たとえば「毎月3万円貯めましょう」とお薦めした際に、すぐに捻出できない顧客がいたとします。そんなときでも周辺領域まで熟知していれば、「じゃあ住宅ローンを見てみましょうか。この金利は高いですね。こちらのA銀行で借り換えすれば、金利がこれくらい下がりますので、毎月の支払い負担が約3万円減ります。これなら貯蓄額を捻出することができますよ」といったきめ細やかなアドバイスができるわけです。
こんなふうにより具体的なトータルコンサルティングを続けてきましたので、お客様にご満足いただくことができました。
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年収1億円のスーパー営業マンの営業5か条
- 嫌われることを恐れずに、プロとしてズバッと指摘する
- 専門用語の使用を避け、わかりやすい言葉で伝える
- 「応援してあげたい」と紹介営業につながるような人間になる
- 顧客に対して、常にスピード感を意識しながら対応する
- 周辺領域の専門知識まで身につけてコンサルティングする
お客様のベストプランを提供したい。トータルコンサルティングを目的に起業
大久保:ソニー生命で成功されていたところから起業を決めた理由についてお聞かせください。
伊藤:あらゆる保険会社や投資信託などの商品を取り扱い、そのお客様にとってベストプランを提供できる会社を起こしたいという想いが芽生えたからです。
ソニー生命ではまず顧客の話を伺い、課題を認識してからライフプランを作成し、最後に解決策として「弊社の保険商品はこういうところが優れている」と提案に入るのが基本方針でした。
入社後、この営業手法に感銘を受けたんですね。「多くの人のプラスになれる」と思うことができて、「ひとりでも多くの人に伝えたい」というモチベーションになりました。
ただ、仕事を続けていくと他社商品にも触れる機会が増えますので、「この保障内容ならこちらの商品のほうが優れている」なども客観的にわかってくるんですね。
ちょうどヤマダ電機やヨドバシカメラといった家電量販店が地位を確立し、あらゆるメーカーから自分の生活に合った製品が選べて顧客満足度が高まった時期と重なりました。その影響もあり、「保険会社の商品も同じようなことができたらいいな」との理想を思い描くようになったんです。
この理念をもとに、2002年1月にブロードマインドを設立しました。
大久保:「お客様のベストのために」という志が素晴らしいですね。御社は業態を超えてさまざまな金融商品を取り扱う代理店のパイオニアではないでしょうか?
伊藤:はい。それまでは顧客に対して総合的なアドバイスができる人間もいませんでしたし、現在でも「保険商品は保険会社、株などは証券会社」という、いわゆる縦割りで分かれています。
弊社では当初から一貫して、お客様にとってベストなライフプランのために「ここは保険商品で、この部分は投資信託でカバーしよう」といった感じで、総合的にアドバイスするコンサルティング事業を展開してきました。
そのために必要な認可をすべて取得しましたので非常に大変でしたが、おかげさまで順調に業績を伸ばしています。
業界初!提携ビジネスモデルと、給料制の採用を導入して業界の課題を解決
大久保:御社が大きく業績を伸ばした理由のひとつが「提携ビジネスモデル」を確立されたことと伺っています。詳しくお聞かせください。
伊藤:弊社が展開している「提携ビジネスモデル」は、提携企業の会員様に対してコンサルティングサービスを提供する業界初の事業です。
きっかけは、通販会社のセシールへの提案でした。当時は保険金不払い問題などが世間を賑わせていた頃で、多くの会員を抱える同社の会員様の間でも「私の保険は大丈夫だろうか?」などの心配の声があがっていたんですね。
そこで「御社の会員様向けのコンサルサービスを始めませんか?」とご提案しました。すると「まずは10件程度のテストワークを」とのご快諾をいただき、私も直接コンサルティングさせていただくことになったんです。
その結果、会員の皆様にものすごく喜ばれて、セシール・弊社双方の業績も上がりました。
それからセシールが日本初の提携契約を締結してくださり、ご継続いただいています。同社の契約を皮切りに、クレジットカード会社や官公庁など提携先が広がっていきました。
各企業にコンサル相談が入ると弊社に送客される仕組みが確立できたことで、弊社を支える大きな事業として成長しています。
大久保:非常に画期的なビジネスですね。御社では報酬面でも改革を行い、社員の皆さんは給料制で働いてらっしゃると伺っています。
伊藤:金融業界ではフルコミッションの歩合制が一般的ですが、弊社では設立時から給料制で採用してきました。この理念を貫く理由は、ソニー生命時代に「退職者の多さをなんとかできないだろうか?」との課題意識を持ったことが大きく影響しています。
当時の私の同期は98名いたのですが、5年後には5名程度しか残らなかったほど、保険業界はシビアな世界です。自ら市場や顧客を開拓する必要があるため、限られた能力がある人間じゃないと続けていくのが難しいんですね。
でも、これではあまりにももったいないなと。本当は実力があるのに、見込み客が作れなくて辞めざるを得ない人材も多いからです。
そこで「コンサルティングに集中できる環境を作ればいいのではないか?」と考えました。
「各営業が市場や顧客を開拓するのではなく、会社側でマーケティングを行い、見込み客を作ればいい。環境を整え、能力を発揮できる場を提供するべきだ」との着想から、フルコミッションではなく給料制の採用を決めたんです。
まずは未経験者の中途採用を行い、2011年から新卒採用を始めています。
大久保:業界初の試みとして多方面から驚かれたそうですね。
伊藤:はい。「見込み客は自分で作るもの」という風潮がありましたので、未経験者に対して教育を行って一人前の営業に育て上げるというスタイルは衝撃だったようです。
弊社では、入社当時は右も左もわからなかった営業が、わずか2、3年でMDRT会員になる良質な教育ノウハウを確立させました。おかげさまで弊社の全営業のうち、74%がMDRT会員です。
このノウハウも非常に高い評価を受けていまして、教育コンテンツの提供依頼もいただくようになりました。新たな事業の柱として計画しています。
起業後に長続きする秘訣は「こうしたい」という信念が原動力であること
大久保:最後に、起業家に向けてのメッセージをいただけますか。
伊藤:起業を考えている方には2つのタイプがいると思っています。
ひとつは「儲かりたい」を動機にする方、もうひとつは「世の中を良くしたい」といったなんらかの課題意識が原動力になっている方です。
私は「より良いコンサルティングサービスを提供したい」「日本人の金融リテラシーを上げたい」などの想いから起業したので後者でして、その理念を実現するためにあらゆる仕組みづくりを行ったり、新卒採用をするなど創意工夫を繰り返してきました。
こうした経験を経て実感しているのは、確かに儲けも大切ではありますが、やはり信念があって起業したほうが長続きするということです。
ぜひ「自分はこうしたいんだ」という強い想いをもとに、前向きにがんばっていただきたいと願っています。
大久保の感想
創業手帳冊子版は毎月アップデートしており、起業家や経営者の方に今知っておいてほしい最新の情報をお届けしています。無料でお取り寄せ可能となっています。
(取材協力:
ブロードマインド株式会社 代表取締役社長 伊藤清)
(編集: 創業手帳編集部)
1つ目は、面白いと感じたのが歩合制・コミッションでソニー生命で1億円の報酬を稼いでいた伊藤清社長が、会社としては全く逆の固定給・新卒主義の会社を作ったこと。それによって属人的な営業から安定した仕組みになり、大手との提携が容易になったのも同社の成長の要因になった。
自分の経験をそのまま持ってくるのではなく、経験を活かしながら一段モデルチェンジして進化させる柔軟性は他の起業家にも取り入れられるだろう。
2つ目は、営業の5か条(嫌われることを恐れない、分かりやすく、紹介、スピード、専門知識)は営業、起業、資金調達など色々な場面で活用できると思います。起業家やマネージャーは自分だけではなく、社員や部下の指導や育成にも使えそうですね。自分も使ってみよう。皆さんも参考にしてね。
この記事を読んだ読者の方で、賛同する方、違う意見の方もいるかもしれない。記事のシェアとともにtwitterやfacebookでコメントしてくれたら、極力、コメントを返しますので意見を寄せて欲しい。
では、また。