東京に進出して上場ではなく「大阪から上場を目指す」エコシステム「Booming!」とは?

創業手帳

「商売の街」から始まるイノベーション

booming

(2018/04/13更新)

昔から「商売の街」として有名な大阪。現在でも幅広い分野の産業が集積しており、ビジネスが盛んな街です。ですが一方で、有望な起業準備者や芽が出てきたベンチャー企業が東京に進出し、本社を移転してしまうことが多い、という課題を抱えています。

このような状況を改善するために大阪府は、大阪から上場を目指す会社を増やすプロジェクト「Booming!」を立ち上げました。
上場が射程圏内の企業もプログラムに参加している本プロジェクトは、2020年までに「支援先から3社以上のIPO(新規株式上場企業)を輩出」、「支援先のうち半数以上が売上高10倍を達成」を目指すという野心的なもので、メンバーやメンター(指導者・助言者)には大阪出身の著名な起業家が名を連ねています。今回の取り組みについて、大阪府担当者の是洞(これとう) 公紀さんと、受託団体である一般社団法人EO大阪理事である 薮本 直樹氏に、お話を伺いました。

ベンチャー企業が大阪でも成功できる環境を作りたい

ー「Booming!」はどのような経緯で発足したのですか?

是洞:大阪が経済成長を続けていくためには、イノベーション創出の原動力であり、新たなビジネス、雇用を生み出すベンチャー企業が成長し、大阪を担う企業に育っていただくことが必要です。

開業数は全国平均を上回っており、順調に伸びていますが、一方で、大阪を本拠に成功し上場に至った起業家が近年は少なく、ベンチャー企業が成長加速するための仕組みが十分に整っていないことを課題と認識していました。そこで、成功起業家の輩出とその起業家が次世代を支援する仕組み(ベンチャーエコシステム)を大阪に定着させ、ベンチャー企業が大阪に本拠をおいても成功できることを認識していただくため、このプロジェクトを発足しました。

ー起業家にとっての最大のメリットはどの点にありますか?

是洞実際に上場経験のある起業家と一対一で相談できる時間を持てることです。期間中は毎月メンタリングを受けることができます。守秘義務もある環境で、誰にも相談できないことや人に話すことがはばかれる内容まで共有していただくことができます。

ーメンターにはどういう方がいらっしゃいますか?

是洞:事業モデルはさまざまですが、起業家としての経験値はとても大きい方ばかりです。共通しているのは上場経験者という点と、大阪に深いつながりをお持ちだということです。例えば、メンターの一人である株式会社ウィルグループの代表取締役会長 兼 CEO 池田 良介 氏は、人材事業で東証一部上場を経験されていますが、グローバルへの事業展開やITでの新規事業開発にも挑戦されている方です。

ー起業家にとって、大阪の魅力は何でしょうか?

是洞:東京に次ぐ第二の都市として、取引先企業や大学等が多いことです。東京と比べ採用コストやオフィス賃借料等の固定費が安いことも魅力ですね。
さらに、東京に比べてベンチャー企業の数はまだ少なく、活躍できればマスコミや支援機関の目に留まりやすい地域でもあります。

ー2020年までに、「支援先から3社以上のIPO(新規株式上場企業)を輩出」、「支援先のうち半数以上が売上高10倍の達成を目指す」ということですが、現在の手応えはいかがでしょうか?

是洞:現時点で、支援先の4社が上場準備に入ったと聞いています。本事業の支援をきっかけに大阪に本拠を移した企業もこれまでに4社あります。
また、1期生21社のうち、売上増加企業は16社で平均増加率は47.5%、売上増2倍以上の企業が10社あり、順調に推移していると思います。

ーエコシステムという言葉を掲げていますが、この言葉にはどのような意味を込めていますか?

是洞:元々は「自然界の生態系のように循環の中で効率的に収益を上げる構造」を指す言葉ですが、本事業においては、「創業した企業を上場させた経験のある起業家が、その経験や人脈を活かして後輩起業家を指導助言し、場合によっては投資も行うことで効果的かつ持続的に支援する環境」という意味を込めています。

ー大阪府と大阪市では、どのように役割分担を分けていますか?

是洞:大阪市は、「イノベーション・エコシステム」の構築を目指し、グランフロント大阪内にイノベーション創出拠点である「大阪イノベーションハブ(OIH)」を設置しています。起業家や研究者、大企業、ベンチャーキャピタル(VC)などをつなぐ場として、様々な取組みをされています。

同拠点の取り組みのひとつとして、「OIHシードアクセラレーションプログラム(OSAP)」を実施し、主にシード期の企業を対象にしたアクセラレーションが行われています。

一方、大阪府では、既に事業の基礎を確立した段階で上場をめざす企業を対象に、先ほどご説明した「Booming!」を実施し、アクセラレーションプログラムにおいては、支援対象先のステージで両者の役割分担を行っている状況です。

もちろん、大阪府と大阪市ではコミュニケーションを密にとっており、イベントを共同で開催するなど大阪のベンチャー企業成長の機運をさらに盛り上げるよう連携して取組んでおります。

ー起業家がビジネスをする環境において、一番重要なものはなんでしょうか?

是洞情報を得るための仕組みや、起業家同士や支援機関とのコミュニティだと思います。

起業した直後は、知名度や売上がまだまだ不十分だと思います。人脈や情報を得るためにも、経験値を共有し成長速度を速めるためにも、他の起業家や支援機関等とのつながりが必要と思われます。

修了式での様子

ー起業家にメッセージをお願いします。

是洞:大阪は「民」の力が強い土地柄で、古くより自由闊達な発想から新しいビジネスを生んできました。
さらに大阪は国内有数のマーケットをもち、企業や大学が集結していることから、事業を拡大するチャンスがあります。

現在、大阪府は、「副首都・大阪」の実現を目指し、世界で存在感を発揮する東西二極の一極として、日本の未来を支え、けん引する成長エンジンの役割を果たすべく、取組みを進めています。
そのエンジンの一翼を担うのが、ベンチャー企業の皆さまです。大阪府では、支援機関の方々とともに、ベンチャー企業を応援し、その成長を支える環境づくりを進めていきます。ともに大阪を盛り上げ、大阪の未来を作り上げましょう。

一般社団法人EO大阪理事 薮本直樹氏のコメント

最後に、「Booming!」を受託する一般社団法人EO大阪理事で株式会社サムシングファン 代表取締役 薮本 直樹氏のコメントをご紹介します。

薮本 直樹
1976年大阪生まれ。
司会・ナレーターなどの仕事に携わる中、映像メディアに出会い、その可能性に魅せられ03年に代表取締役として株式会社サムシングファンを設立。
経営的視点からの動画活用を早くから提案し、「顧客創造」「人材育成」に繋がる「企画」「映像制作」を数多く手がける。その他、ITビジネスに携わる経営者・ビジネスパーソンが集う「IT飲み会」を主催。 同会は、東京、札幌、福岡、岡山、金沢、神戸、京都、山梨等全国規模の広がりを見せるなど、ネットワーク構築にも秀でた能力を発揮している。
盛和塾大阪塾生、大阪ニューセンチュリーライオンズクラブメンバー。
立命館大学経営学部客員教授として「企業・組織における映像の有効活用に関する研究」をテーマに大学との共同研究をおこなっている。
2015年デジタルハリウッド大阪校 ネット動画クリエイター専攻 特別講師。
ー本プロジェクトへの意気込みをお願いします。

薮本:弊社自身が大阪から日本、世界を変えようとしています。
世界を変える起業家が次々と誕生するプロジェクトになるよう全力を尽くします。

ー起業家が成功する上で大切な事とはなんですか?

薮本:信頼と尊敬をもって人と繋がることだと考えています。

ー大阪の起業家の特徴は?

薮本:負けず嫌いで、変わったやつが多いですがまっすぐでおもろい人が多いです。

ー起業家にメッセージを一言お願いします。

薮本:大阪から世界へ羽ばたく起業家とBooming!で出会いたいと思っています。応募待ってます!

(取材協力:Booming!/株式会社サムシングファン 薮本 直樹
(編集:創業手帳編集部)

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