法人が銀行融資を受ける方法は?必要書類や審査に通るためのポイント

創業手帳

法人の銀行融資について種類や手順を紹介。事業資金の融資を正しく理解しよう


企業経営において必須なのが資金融資です。融資を行っている金融機関は複数あり、それぞれに特徴がありますが、その中で今回は銀行融資について紹介します。

銀行融資の種類や融資を受けるまでの手順、審査に通るためのポイントを解説していきます。
融資を検討している経営者や起業予定の方は、ぜひ参考にしてください。

創業手帳では、別冊版「はじめての融資ガイド」をリリース。このガイドブックでは、銀行融資以外の融資がメインの話にはなりますが、創業期こそ融資が絶好の狙い目であり、その理由や、融資の種類、審査のポイントなどを解説しています。無料でお配りしておりますので、本記事とあわせて、是非ご活用ください。


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銀行融資とは


一口に銀行融資といっても複数の種類があり、特徴も様々です。
まずは、銀行融資の種類や金利をはじめとする銀行融資の基本を紹介します。

事業には資金が必要

事業を運営するにあたっては、多額の資金が不可欠です。例えば、初期段階での店舗家賃や設備費用などの準備費がかかります。
そうした事業資金を、個人事業主や法人の代表へ銀行が融資することが銀行融資です。

融資を受ける際には、事業計画書の提出が必要です。事業の内容や収益見込みを計画書にまとめて提出し、審査に通ると融資を受けられます。
なお、融資と似た言葉でローンや借入れなどがありますが、これらに事業計画書の提出は必要ありません。

銀行融資の種類

銀行融資にはいくつかのタイプがあります。
主な6種類について、概要と審査期間、借入金上限額を解説します。

信用保証協会の保証付き融資

  • 審査期間:1カ月~1カ月半
  • 借入金上限額:2億8,000万円

銀行から融資を受ける際、信用保証協会が連帯保証人となってくれる制度です。もしも、返済が困難になった場合は、信用保証協会が代わって支払いを行ってくれます。
利用にあたって、企業側は信用保証協会へ信用保証料を支払い、利用基準を満たしていることが条件です。

銀行は社歴が浅い企業などに対しては、融資を行うにあたり慎重になります。
こうした場合、信用保証協会が保証人となることで信頼度が増し、融資を受けやすくなることがメリットです。

信用保証協会について、詳しくはこちらの記事を>>
信用保証協会ってどんな機関? ”起業家視点”で仕組みを解説!

プロパー融資

  • 審査期間:2~3週間
  • 借入金上限額:原則なし

プロパー融資は、銀行から直接企業へ融資することです。

信用保証協会を介した融資とは異なり、企業が仮に返済できなくなった場合は銀行が損失すべてを被ることになります。
そのため、銀行側は融資する際に、厳しい審査を行う点が特徴です。
借入金の上限はありませんが、経営状況や社歴などを考慮し、融資の有無と金額・利子といった内容が慎重に判断されます。

不動産担保融資

  • 審査期間:1週間~1カ月
  • 借入金上限額:数億円まで可

土地や建物などの不動産を担保に入れ、銀行から融資を受けるものが不動産担保融資です。審査にあたっては、返済能力だけでなく、不動産の価値も判断基準となります。

借入金額は、少額から数億円までと幅広く設定されています。一度に借入れができる金額が大きいことも不動産担保融資の特徴です。

売掛債権担保融資

  • 審査期間:1週間~1カ月
  • 借入金上限額:100万~2億円程度

企業が保有する売掛債権を担保とし、銀行から融資を受ける手法です。
信用保証協会や不動産などの担保に頼らず資金調達ができる方法であり、企業が保有する在庫や売掛金などを裏付けとして融資が行われます。
借入金額は取引先によって異なり、少額の場合から億単位まで幅があります。

売掛債権担保融資では、一般的に取引先への通知と承諾が必須です。取引先によっては契約書の段階で禁止している企業もあるため、事前の確認が求められます。

カードローン

  • 審査期間:即日~1週間
  • 借入金上限額:数百万~2,000万円程度

ATMから借入れと返済ができる融資方法です。
保証人・担保なしで基本的に即日から簡単に利用できますが、金利は高く設定されており、長期的に多額の資金を借り入れたい場合には向いていません。

また、基本的には保証人を付けずに利用できますが、数千万円単位の取引きでは信用保証協会の利用が必要となるパターンもあります。

ビジネスローン

  • 審査期間:即日~1週間
  • 借入金上限額:数百万~1,000万円程度

カードローンと同じく、保証人・担保なしで借入れができます。金利は高く設定されているものの、即日または3日程度で借入れができるスピード感が特徴です。

金額は高くても1,000万程度で、カードローンに比べて少額となっています。そのため、短期間で少額の融資を受けたい場合に適しています。

銀行融資の金利はどのように決定されるのか

銀行融資における金利相場は、約2~3%とされています。金利は企業によって異なり、融資期間・調達方法・事業規模などの要素から決定するのが一般的です。

例えば、融資期間が長くなるとそれに比例して金利も高くなります。
返済までの期間が長いと、トラブルが起きて返済が滞るリスクも上がるため、金利が高く設定されます。
また、調達方法によっても違いがあり、カードローンやビジネスローンに比べて信用保証協会の融資は金利が安い傾向です。

こうした様々なリスクと要素から金利は定められています。

銀行から融資を受ける方法


それでは、実際に銀行から融資を受ける際にはどのような手順を踏むのでしょうか。
融資の流れと必要書類について見ていきます。

融資を受ける流れ

融資を受けるためには、事前相談や書類提出を経て審査を行い、審査に通ることで最終的に融資が決定します。各段階におけるポイントを解説します。

事前相談~書類準備

申し込み前に、相談窓口で事前相談を行ってください。銀行ごとに融資に関して必要な書類や銀行側が求められている情報は異なります。
事前相談を行うことで、その銀行が融資をする際に何に重点を置いているのか、必要な資料や情報は何かを知ることが可能です。

事前相談で得た内容をもとに、書類を準備します。
銀行は提出された書類から返済能力を確認し融資を決定するため、リスクがなく、信頼できる企業であるとアピールすることが大切です。

書類提出~審査

必要書類とともに融資申込書を提出し、正式な申し込みとなります。

申し込まれた案件について、一般的には複数名で審査が行われ、審査の間に追加の資料提出を依頼されることもあります。
事前相談をして漏れのないつもりでいても、追加の情報提供を求められる可能性もあるため、その場合は迅速な対応を心がけてください。

契約

審査に通過すると契約の段階へ移行します。
契約に関しては、「金銭消費貸借契約書」など複数の契約書が必要です。契約書に不備がなければ契約の締結となり、銀行から融資を受けられます。

資金調達後は、審査時に定められた返済条件をもとに融資額を返済します。

必要書類

銀行ごとに必要な書類は異なりますが、一般的に求められる書類は以下の通りです。

1.決算書(損益計算書・貸借対照表)
2.試算表
3.資金使途明細
4.受注明細(売上見込み)
5.事業計画書
6.資金繰り表
7.登記簿謄本
8.印鑑証明書
9.納税証明書
10.銀行取引明細書
11.確定申告書

1~4は企業の経営状態や事業計画を示すために特に重要な書類です。事前相談の段階で最新のものを用意しておくとスムーズに進むでしょう。
すぐに取り寄せられない書類もあるため、余裕を持って準備してください。

提出書類をもとに融資が決定するため、融資担当者とコミュニケーションをとる中で、求めている情報を確認し、事業状況を正しく伝えることが必要です。

審査に通るためのポイント


銀行は貸し倒れのリスクを避けなければならないため、審査は簡単ではありません。審査に通るためのポイントは主に2点です。

事業・財務状況の健全性をアピールする

事業・財務状況の健全性は、銀行側が強く求める要素です。銀行としては、融資をした後に経営状況が悪化し、返済が滞ることは避けたい事案です。
そのため、健全性をアピールし、信頼できる会社だと認識してもらうことが、審査の通過につながります。

審査では、売上総利益・預金・在庫・売掛金・純資産などの項目がチェックされるため、漏れのないように資料を作ってください。
また、損益計算書や貸借対照表に不備があると、ビジネス内容が魅力的でも審査は通りにくくなります。
収益がマイナスの場合、融資が難しいと判断される可能性が高まりますが、資料の内容に問題があることも不利に働きます。

事業と財務状況が健全で成長性があり、返済できる企業力があることをアピールすることで、審査に通りやすくなるでしょう。

経営計画を作成し返済の見通しを示す

創業前やスタートアップ企業などでは、アピールできる実績に乏しい場合があります。そのため、事業計画書を作成し、収益見込みと返済の見通しを伝えることが有効です。

まず、経営計画書には融資額の使用用途を記載します。何に対していくら必要といった内容を明確に提示することで、銀行側も納得感を持って判断できます。

その上で、返済の見通しが立っていると示すことが重要です。審査の際には、無理のない計画であるか、返済が現実的であるかを確認されます。
事業計画書や資金繰り表を作成すれば、収益予定と返済見込みを客観的に説明することにつながります。

銀行以外の融資方法


最後に、銀行以外の融資方法について紹介します。条件や金利に違いがあるため、参考にしてください。

日本政策金融公庫

財務省が管轄する政府系の金融機関です。
政府として新しいビジネスを始める企業をバックアップしており、創業期にある企業や中小企業などへ積極的に支援を行っています。

銀行と比較すると、金利が安く担保や保証人は不要で、審査が通りやすい点がメリットです。
ただし、銀行と同じように審査があるため、事業計画書を提出し、返済見込みがあることを説明できれば融資を受けられます。

申し込みから融資が始まるまでの期間は約3週間です。書類提出から審査終了までは10日程度、融資額が振り込まれるまではさらに10日程度かかります。

日本政策金融公庫について、詳しくはこちらの記事を>>
【日本政策金融公庫とは?民間金融機関との違い・サービス内容を徹底解説!

ファクタリング

ファクタリングとは、保有する売掛債権を売却し、資金調達をする方法です。一般的な融資とは異なり、借入れにはなりません。
売掛債権を持っていれば資金調達ができるため、赤字など経営上の問題を抱えている企業であっても利用可能です。

また、先に説明した売掛債権担保融資は、売掛債権を担保にするため金融機関で担保価値の審査が必要となります。
それに対し、ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらう仕組みのため、資金調達までの時間がスムーズで即日~1週間程度で完了します。

ファクタリングについて、詳しくはこちらの記事を>>
有力な現金調達方法のひとつファクタリングとは?

地方自治体の融資制度

自治体によっては、中小企業をバックアップするための融資をしています。
企業の経営状態安定や新規創業などを目的とし、地方自治体と金融機関がともに行っている融資制度です。

一般的には銀行融資と比較し、金利が低く設定されている点が特徴です。
ただし、自治体によって制度が異なるため、まずは法人のある地域で行われている融資制度を確認するようおすすめします。

ビジネスローン

ビジネスローンには複数の種類があり、銀行だけでなく、クレジットカード会社や消費者金融、信販会社など様々な会社が提供しています。

ビジネスローンは、担保なし・保証人なしで利用できるため、銀行融資に比べて融資を簡単に受けられる点が特徴です。
また、来店せずに資金調達ができるため、すぐに資金を得たい場合に適しています。

しかし、金利が高く設定されている点には注意が必要です。融資額の上限も銀行融資に比べて低いため、高額を長期的に借りる場合には適していません。

まとめ

銀行融資というと、銀行から直接融資を受けるプロパー融資をイメージしがちですが、信用保証協会を利用した方法など複数のタイプがあります。
それぞれ審査期間や借入金の上限額が異なるため、目的や希望融資額で選択してください。

また、融資には複数の書類が必要で、すぐに用意できるものばかりではありません。
漏れのないよう書類を準備し、事業の健全性と返済の見通しを示すことが、融資の審査通過につながります。

創業手帳の冊子版(無料)は、資金調達や節税など起業後に必要な情報を掲載しています。起業間もない時期のサポートにぜひお役立てください。


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(編集:創業手帳編集部)

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