アプリ開発を外注する際の依頼方法|依頼先の選び方や注意点
アプリ開発の依頼前に全体の流れ・方法やポイントを整理しよう!
DX化の流れに伴い、企業は古い体質やシステムの見直し・事業の改革を求められています。
そんな中「アプリ開発」はDX推進時代において、企業の成長に欠かせない1つの要素となりつつあります。
しかし、起業当初やアプリ開発を行ったことがないという企業の場合には、アプリ開発を依頼する方法や注意点が分からないでしょう。
そこで本記事では、アプリ開発を外注する際の依頼方法や外注先の選び方・注意点などを解説します。
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この記事の目次
一般的なアプリ開発の依頼先
DX化の流れに伴い、さまざまな企業でエンジニア人材を雇用したアプリ開発の内製化が進められています。
とくにこの動きは大企業において顕著ですが、内製化が難しい企業はアプリ開発を外注する必要があるでしょう。
一般的にアプリ開発を外注する場合には、下記2つの依頼先から状況に合わせて選択します。
- アプリ開発会社・開発ベンダー
- フリーランサー
アプリ開発はどちらに依頼することも可能ですが、特徴が異なるためケースによって最適な選択が異なります。
下記にてそれぞれの特徴をみていきましょう。
アプリ開発会社・開発ベンダー
1つ目の選択肢として、アプリの開発会社・開発ベンダーが挙げられます。
アプリ開発会社・開発ベンダーのメリットデメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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アプリ開発会社は社内人材も多く、大規模な開発にも対応できる力があります。
しかし、開発費用が高い点はデメリットと言わざるを得ないでしょう。
また、リリース後の運用保守・緊急時の対応について、会社ごとにばらつきがある点には注意が必要です。
ただ、デザインから開発まで・緊急時も対応可能など、費用に対するクオリティ面では安定感があります。
フリーランス
2つ目の選択肢としてフリーランスに依頼するという選択肢があります。
アプリ開発をフリーランスに依頼した場合のメリットデメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
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フリーランスは個人で開発を行うため、企業に比べ開発費用が安価に済む場合が多いです。
ただ、技術レベルは個人によってばらつきがあるため、スキルによって価格は大きく変動します。
また、個人開発のためリソースが少なく、遅延リスクが高くなることや運用保守の体制がないことがデメリットとして存在します。
しかし、企業に比べ土日祝日などでも対応している方が多いため、緊急時の柔軟性は高いと言えるでしょう。
このように開発会社とフリーランスではさまざまな違いがあるため、アプリの規模感や求めるスキルなど、状況によってどちらに依頼するか決定しましょう。
アプリ開発の依頼方法・流れ【5ステップ】
アプリ開発の依頼は、下記の流れで進めていきます。
- アプリ開発の要求定義・予算の決定
- 依頼先の決定・見積もり依頼
- アプリ設計作業
- アプリ開発作業
- アプリのテスト・リリース
アプリ開発を依頼する際は、依頼側も全体像を把握している必要があります。
それぞれのステップで行うことを詳しくみていきましょう。
ステップ1:アプリ開発の要求定義・予算の決定
アプリ開発を依頼する際には、社内での要求定義や予算を決定するところから始めましょう。
要求定義とはアプリの企画書で、依頼側がどんなアプリにしたいかをまとめ依頼先に渡すものです。
アプリの開発においては、依頼側と開発側の認識を合わせることが最も重要になるため、社内で下記の項目を整理してまとめましょう。
- アプリ開発の目的
- どんなアプリを作りたいのか
- 必要な機能
- アプリのターゲット層
- デザイン など
これらはアプリ開発の完成度に大きく影響する項目のため、できるだけ詳細にまとめることが大切です。
たとえばデザインにおいて、メインカラーにしたい色はあるのか、企業ロゴは使用するのかなど。
また、おおよその開発期間や予算についても、どのくらいになるのか事前に見積もっておくといいでしょう。
ステップ2:依頼先の決定・見積もり依頼
続いて、作成した要求定義をもとに依頼先を決定しましょう。
要求定義にて依頼側でイメージを固めることができていれば、開発会社に頼むべきかフリーランスに頼むべきかは容易に判断できるでしょう。
どちらかを決定した後は、スキルや予算などの条件をもとに候補を調べたうえで、見積もり依頼を行います。
候補を調べる際には、開発したいアプリと同系統の実績がある企業を選定するといいでしょう。
また見積もりの際には、可能であれば打ち合わせの時間などを設けてもらい、相手方とコミュニケーションを取ることがおすすめです。
見積もりの段階でどれだけ誠実に対応してくれるのかなど、信頼できる会社であるのかを見極めましょう。
見積もりが出揃ったら、期間や費用面を比較し依頼先を決定します。
この際、安価な費用に惑わされず、対応してくれる範囲などをしっかりと確認しましょう。
ステップ3:アプリの設計作業
依頼先が決定したら、要求定義をもとに制作会社と打ち合わせを行い、アプリの設計作業に移行しましょう。
アプリの設計作業においては開発側が下記2つの作業を行います。
- 要件定義
- システム設計
開発者側が作成するアプリの企画書
アプリ全体のプログラム設計
要件定義までは依頼側も協力して行う必要があるため、開発会社がイメージしやすいように事前資料などを作成しておくとスムーズです。
要件定義で認識のずれが生じてしまうと後からの修正が難しいので、この時点で綿密な擦り合わせを行いましょう。
要件定義が完了したら、それをもとに開発側がシステム設計を行います。
ステップ4:アプリの開発作業
ここからアプリの開発作業に入っていきます。
開発作業では要件定義やシステム設計をもとに、外観から作成が進められます。
開発会社にもよりますが、デザイン制作→プログラミングという流れで行われることがほとんどです。
開発作業に後戻りが生じないよう開発側とコミュニケーションを取り、細かくチェックを行うといいでしょう。
特に大規模なアプリ開発になる場合には、機能1つ1つに対して確認を行うなど、依頼側の協力体制も重要です。
ステップ5:アプリのテスト・リリース
アプリ開発が終了したら、アプリが正常に動作するかテストを行います。
依頼側の確認も必要になるため、希望した通りの内容になっているか、動作に問題はないか確認しましょう。
テストで問題がなければ、アプリをリリースしてアプリ開発は完了となります。
アプリ開発の依頼先の探し方
アプリ開発は一般的に、開発会社かフリーランスに依頼することが多いです。
依頼先を探す際には、下記3つの中から方法を選択しましょう。
- インターネットでアプリ開発会社を検索
- クラウドソーシングサービスを活用
- 知人・取引先からの紹介
それぞれの探し方について解説します。
インターネットでアプリ開発会社を検索
最も一般的な方法として、インターネットでの検索を利用する方法が挙げられます。
Googleなどの検索エンジンを用いて「アプリ開発 依頼 おすすめ」などと検索すると、さまざまな企業がヒットするでしょう。
また、どんなアプリを開発したいのかが明確な場合には、キーワードを含めることでその領域に特化した企業を見つけることも可能です。
この方法は企業を探す際におすすめですが、フリーランスを探したい場合には下記の方法を利用しましょう。
クラウドソーシングサービスを活用
フリーランスメインで依頼先を探す場合には、クラウドソーシングサービスの利用がおすすめです。
クラウドソーシングサービスでは、企業だけでなく多数のフリーランスが自分のスキルを出品しています。
そのため、プロフィールや募集内容をもとに希望に合うフリーランスを探すことが可能です。
代表的なクラウドソーシングサービスをいくつか紹介します。
- クラウドワークス
- ランサーズ
- ココナラ
- Craudia
これらのサービスでは「こんなアプリを作って欲しい」という形で、募集をかけることも可能です。
条件を細かく記載することで、希望レベルの募集を募ることができるため、積極的に利用するといいでしょう。
知人・取引先からの紹介
最後におすすめな方法は、知人や取引先からの紹介です。
一から自社で依頼先を探すよりも、確実で安心できる方法と言えます。
ただ「あの人に紹介してもらったから大丈夫」というのは危険ですので、しっかりと見積もりを取り、内容を確認しましょう。
アプリ開発の依頼先を選ぶポイント
続いて、アプリ開発の依頼先を選ぶ際のポイントを紹介します。
- 受注・開発実績
- 依頼内容に対する技術
- 料金体系の明瞭さ
- 運用・保守体制
- その他重要なポイント
下記を参考にして、依頼先選びで後悔しないようにしましょう!
受注・開発実績
アプリ開発の依頼先を選ぶ際には、受注・開発実績を必ず確認しましょう。
アプリ開発を専門に行っている会社であれば、今までの制作実績などを自社のホームページに載せていることがほとんどです。
ひとくちにアプリ開発といっても、作成したいアプリによって規模や内容が異なります。
また、飲食店向けのアプリ開発を専門にしている企業もあれば、会計などを専門にしている企業もいます。
そのため、依頼したい内容について過去の実績がある会社を選ぶことが大切です。
実績の数が多い会社を選ぶことで、安心してアプリ開発を依頼できるでしょう。
依頼内容に対する技術
依頼先が持っているアプリ開発の技術(スキル)を確認することも重要です。
アプリ開発は、実装したい機能・内容によって必要なスキルが異なります。
また、会社によって得意としている技術も異なるため、依頼内容に合わせて依頼先の技術が十分であるか確認する必要があります。
依頼したい内容に似ている過去実績があれば、それを実現する技術をその会社が保有していることが確認できます。
そのため、実績と同様に候補となる会社のホームページを確認しましょう。
料金体系の明瞭さ
アプリ開発を外注する場合には、自社で制作するよりもコストがかかります。
そのため、依頼する会社の料金体系を必ず確認しましょう。
見る人に対してわかりやすく提示しているか、追加料金はどうなっているのかを確認することが大切です。
会社によっては、後から「この対応には追加料金がかかります」と言ってくる会社もあります。
案件が進行してしまっている場合には、トラブルの原因となってしまうので、必ず事前に確認しましょう。
また、可能であれば相談する時間を設けてもらい、アプリ開発の総額や追加料金の有無を直接確認することがおすすめです。
運用・保守体制
アプリ開発は開発して終わりではなく、リリース後の運用・保守も大切です。
バグが発生した場合の対応など、社内にエンジニアがいない場合には運用・保守までカバーしてくれるところに依頼するといいでしょう。
ただ、フリーランスは1人で行っているため、運用・保守体制が整えられていない場合が多いです。
そのため、運用・保守までを任せたい場合には、開発会社や開発ベンダーに依頼するといいでしょう。
その他重要なポイント
上記4点は特に重要ですが、下記であげる点についても確認することがおすすめです。
- セキュリティ面
- バージョンアップへの対応
- カスタマーサービス
- カスタマイズの可否
- 外部ツールとの連携
セキュリティ面については、顧客の個人情報などを使う場合には特に重要になるでしょう。
また、ITに知見がそこまでない企業であれば、カスタマーサービスの体制も確認しておくことがおすすめです。
逆に、ITに強くさまざまな機能を実装したいという場合には、カスタマイズができるか、外部ツールとの連携ができるかも確認するといいでしょう。
アプリ開発を依頼する際の注意点
アプリ開発を依頼する際には、下記の4点に注意しましょう。
- アプリ開発の要求定義を明確に伝える
- 契約書は詳細に内容を決定する
- 事前にコミュニケーション日程を設定する
- 運用開始後のサポート内容を確認する
注意点を理解することで、トラブルや後戻りを事前に防ぐことが可能です。
それぞれの注意点について詳しくみていきましょう。
アプリ開発の要求定義を明確に伝える
アプリ開発では、依頼先に対して要求定義を明確に伝えることが大切です。
依頼する側が大まかなイメージしか固めずに外注してしまうと、出来上がった際に全然違うものができてしまう可能性があります。
アプリ開発企業がいくらプロとはいえ、こちらの思っていることをすべて引き出し、100%の理想を実現してくれるわけではありません。
「外注するから」といって安心せず、どんなアプリを作りたいのか詳細に要求定義を行いましょう。
その要求定義をもとに依頼することで、イメージ通りのアプリが実現できる可能性が高まります。
契約書は詳細に内容を決定する
依頼先と取り交わす契約書では、詳細に内容を決定して記載しましょう。
契約書に記載すべき内容は下記のとおりです。
- 開発期間
- 開発費用
- 開発内容・スコープ
- 保証・責任
- 運用・保守(アップデートなど)
- 著作権や知的財産権について
- 追加対応について など
契約書にて項目を細かく定義しておくことで、責任の所在を明らかにでき、トラブルを防止できる可能性が高まります。
契約書を作成する際には、効力が発揮されるように法律のプロに相談しながら行うことがおすすめです。
事前にコミュニケーション日程を設定する
アプリ開発をスタートする前に、どのくらいの頻度でコミュニケーションを行うのか、依頼先と取り決めをしておきましょう。
アプリ開発では依頼先にすべて任せるのではなく、コミュニケーションを取りながら共に作り上げていくことが大切です。
定期的に会議などを行うことで、方向性を擦り合わせたり、現時点で相違点がないか確認できたりします。
また、完成してからの修正は時間がかかるため、作業の後戻りを無くすことも可能です。
依頼側が主導して、安心できるコミュニケーション日程を設定しましょう。
運用開始後のサポート内容を確認する
アプリ開発ではリリース後の運用保守も大切ですので、サポート内容も確認しましょう。
たとえば、モバイルアプリであれば定期的にアップデートが必要になります。
iOSなどの大幅なバージョンアップがあると、アップデートを行わないとアプリ自体が使えなくなる場合もあるからです。
そういった状況に対するサポートはどこまで充実しているのかなど、運用開始後のサポートについても必ず確認しましょう。
ポイントを押さえてアプリ開発を依頼しよう
アプリ開発の内製化は、現在のDX推進時代において重要な課題となっています。
しかし、すべての企業において内製化することは難しいため、そのような場合にはアプリ開発を外部に依頼しましょう。
依頼の際には、依頼する側が詳細に内容を固めて伝えることがとても大切です。
また、理想のアプリを開発できるように、流れや注意点なども理解したうえで依頼しましょう!
(編集:創業手帳編集部)