【最新】飲食店が実施すべき感染対策は?大手や世間の動向も踏まえて

飲食開業手帳

業種別ガイドラインが廃止され、アフターコロナの感染対策は各事業者に委ねられます!適切な方法のご検討を


2023年5月8日の5類移行に伴い、飲食店の感染対策は、各事業者や業界の判断に委ねられることになりました。国から求められることがなくなったため、飲食業界では大手飲食チェーンを中心に大幅な感染対策の緩和が進んでいます。

この記事では、アフターコロナに飲食店が実施すべき最新の感染対策について解説します。以下を参考に、自社に合った感染対策の方法を検討してみましょう。

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飲食店の感染対策は原則として任意に


2023年5月8日で、国が定める新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針および業種別ガイドラインは全て廃止になりました。同感染症の位置付けが、同日より5類感染症に変更されることに伴う決定です。

今後、政府が飲食店を含む事業者に、一律で何らかの感染対策を求めることはなくなります。そのため、これまで求められてきたマスク着用や換気、パーティションの設置なども、今後は任意です。各事業者は、必要性や経済的・社会的合理性に基づき、感染対策を取捨選択できます。

<【参考】基本的感染対策に関する変更方針(ポイント)>

旧来(5月7日以前) 現在(5月8日以降)
新型コロナの感染対策の考え方 ・法律に基づき行政が様々な要請・関与をしていく仕組み ・個人の選択を尊重し、国民の皆様の自主的な取組をベースとしたもの
政府の対応と根拠 ・新型インフル特措法に基づく基本的対処方針による求め
※「三つの密」の回避、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等
・(基本的対処方針は廃止)
・感染症法に基づく情報提供
※専門家の提言等も踏まえ、個人や事業者の判断に
資するような情報の提供
事業者に関する取組 ・事業者による業種別ガイドラインの作成
・政府による「業種別ガイドラインの見直しのためのポイント」の提示・周知
・(業種別ガイドラインは廃止)
※業界が必要と判断して今後の対策に関する独自の
手引き等を作成することは妨げない
・事業者の判断、自主的な取組

出典:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の基本的な感染対策の考え方について」

飲食店が対策しなくてもよくなった感染対策の例

新型コロナの5類移行に伴い、飲食店の感染対策は原則として任意になりました。そのため、基本的対処方針やガイドライン等で推奨された以下のような感染対策を、今後はしなくても問題ありません

対策しなくてもよくなった感染対策の例

・マスクの着用
・手洗い等の手指衛生
・換気
・「三つの密」の回避
・入場時の検温
・入口での消毒液の設置
・アクリル板、ビニールシートなどパーティション(仕切り)の設置
・認証ステッカーの交付申請(第三者による感染対策認証制度)

アフターコロナに飲食店が実施すべき感染対策の考え方


国の基本的対処方針やガイドラインが廃止されたことで、感染対策は各飲食店に委ねられることになりました。以下では、アフターコロナに飲食店が実施する感染対策の方針について考えます。

費用対効果の高い対策を選ぶのがおすすめ

アフターコロナの感染対策は、各飲食店の判断で自主的に行うものです。そのため、費用対効果を検討し、無理なく実施できてなおかつメリットも大きい感染対策を実施するのが良いでしょう。

反対に、行政から求められていた対策で、コストや手間などの観点から実施が大変だったものについてはやめるのも有意義です。持続可能性も考慮しつつ、お店に合ったちょうど良い感染対策を選びましょう。

なお、地域の他事業者や大手チェーンの感染対策を参考にし、似たような内容にするのもおすすめです。大手チェーンの感染対策については次項でいくつか事例を取り上げます。

考慮に当たっての観点

・ウイルスの感染経路等を踏まえた期待される対策の有効性
※飛沫感染対策か、エアロゾル感染対策か、接触感染対策かなど
・実施の手間・コスト等を踏まえた費用対効果
・人付き合い・コミュニケーションとの兼ね合い
・他の感染対策との重複・代替可能性 など

出典:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の基本的な感染対策の考え方について」

不要になったパーティション等の処分について

国のガイドラインに基づいて設置した感染症対策の備品等についても、各事業者や業界の判断で取り扱いを決められます。パーティションや検温器、二酸化炭素濃度測定器などは、顧客や従業員の意向も踏まえ、不要なら処分すると良いでしょう。

ちなみに3R(リデュース・リユース・リサイクル)やプラスチックの資源循環の観点から、環境省は下記の処分を推奨しています。パーティション等の処分方法を決めるうえで参考にしてみてください。

処分の指針(環境省推奨)

①リユース品として売却する等により有効活用すること(リユース)
②有効活用することができない場合には、再資源化を実施することができるものについては、再資源化を実施すること(リサイクル)
③再資源化することができない場合には、熱回収を行うことができるものについては、可能な限り効率性の高い熱回収を行うこと(熱回収)
 また、再資源化及び熱回収の促進に資するように適切に分別※すること
 ※パーティションの例
  あらかじめ、パーティションの素材(アクリル(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)等)毎に分ける、パーティションと異なる素材の部品(金属製のスタンド等)を取り外す、汚れ・異物(接着剤、テープ等)除去することが望ましい。
④上記が実施できない場合には、適正に処分を行うこと(適正処分)

出典:環境省公式サイト「不要になった新型コロナウイルス感染症対策の備品等(パーティション等)について」

補助金等で取得した備品の取り扱いに注意

​​パーティション等の備品を、補助金を活用して取得した場合には注意が必要です。補助金で取得した財産には、処分に一定の制限がかけられます

具体的には、50万円未満の財産は5年間の保管が義務付けられたり、50万円以上の財産は事務局の許可が必要だったりします。詳しくは利用した補助金の交付要綱などをご確認ください。要綱を見てもわからない場合は、管轄の行政庁に問い合わせましょう。

アフターコロナの感染対策に関する飲食業界の動向


アフターコロナの感染対策を考えるうえで、大手飲食チェーンの動向や社会全体の傾向は参考になります。以下の内容を、感染対策を検討する際の材料にしてみてください。

大手飲食チェーンで脱マスク&備品撤去が進む

コロナの5類移行に伴い、大手飲食チェーンでは感染対策の大幅な緩和が進んでいます。例えば、マクドナルドやスターバックスをはじめ、多くの企業が従業員のマスク着用を任意としました

またアクリル板などのパーティションは、一部のカウンター席などを除き、撤去するのが主流となっています。消毒用アルコールや検温については継続する動きも見られるものの、完全に廃止する事業者もあります。

<大手飲食チェーンの感染対策(5類移行後)>

従業員のマスク着用 従業員の任意に
・マクドナルド
・スターバックス
・サイゼリヤ
・すかいらーく(ガスト/バーミヤン)
・ゼンショー(はま寿司/すき家/ココス)

着用推奨を継続
・大阪王将
・牛角
・吉野家
・くら寿司
パーティション(アクリル板等) 設置を終了、順次撤去
・マクドナルド
・スターバックス
・サイゼリヤ
・すかいらーく(ガスト/バーミヤン)
・ゼンショー(はま寿司/すき家/ココス)
・大阪王将

設置を継続
・寿司チェーンのカウンター席(はま寿司、くら寿司など)
消毒用アルコール 入口のアルコール・検温を廃止
・すかいらーく

設置を継続
・スターバックス

※2023年6月6日時点の情報

個人レベルではまだまだマスク着用派が主流

政府がマスク着用を個人の判断とし、飲食業界でも脱マスクが進む中、個人ではマスクをつける人がまだまだ多いようです。公的な統計ではなくあくまで民間の調査ですが、複数の結果が脱マスクが進んでいないことを示唆しています

マスク着用に関する民間企業の調査結果

・静岡新聞:マスクの着脱について「できれば外したい」は30%にとどまる(2023年5月2〜7日)
・テレビ朝日:AI分析によるマスク着用率は新宿が60%、原宿が63%、巣鴨が76%(2023年5月7日)
・LINEリサーチ:外出時(屋内)でマスクを「いつも着けている」「だいたい着けている」の合計が70.6%(2023年5月9日)
・日刊スポーツ:マスク着用について「場面を問わず着用する」「場面によって着用する」が82%(2023年5月15日)
・大分合同新聞:JP別府駅でマスクの着用状況を定点観測した結果、移行後のマスク平均19.6%(2023年5月23日)


上記の結果を見ると、国民の7、8割にはまだマスク着用の意識が強いことがうかがえます。そのため、マスク着用を任意とした飲食チェーンでも、実際にはマスクをして業務に臨む従業員が多いのかもしれません。

また一部では「飲食店の従業員にはマスクをしてほしい」というニーズがあることも想定されます。よって、従業員に引き続きマスク着用を推奨することも、妥当な経営判断だと言えるでしょう。

まとめ

アフターコロナにおける飲食店の感染対策は、各事業者の任意です。大手飲食チェーンの動向を踏まえると、マスク着脱を従業員の判断とし、パーティションや検温器などを撤去するのが王道といえます。

しかし、個人レベルでは外出時にマスクを着用するのがまだまだ主流なので、脱マスクには慎重な判断が必要です。以上を参考に、これからの感染対策について今一度検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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