経理の達人が教える!領収書と小口現金の取扱い方法

創業手帳

経理初心者でもわかる!経費精算、領収書管理、小口現金管理

(2020/07/08更新)

起業すると、小口現金や領収書の管理をどうしたらいいのだろうか、という疑問にぶつかることがあります。会社の経費を立て替える場合はどうしたらいいのだろうか。帳簿と現金が合わない場合はどうしたらいいのだろうか。最初はわからないことだらけです。

そんな経理初心者の起業家のために、最低限やらなければならない現金の管理方法を、お金と事務のプロであるベテラン経理と税理士が教えます。初心者でもこなせるよう、やさしい方法です。

企業経営において、お金の管理は基本中の基本です。創業期は、自分で経理をやらなくてはならない場合が多いでしょう。「冊子版創業手帳(無料)」では、経理業務を簡単にしてくれる会計ソフトの導入や、財務状況から戦略を考える方法など、お金に関するノウハウを詳しく解説しています。

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領収書やレシートの取扱いポイント

飲食を伴う接待や打ち合わせ、文房具など細かな備品の購入など、業務で必要な出金は毎日のようにあります。そのたびに領収書やレシートが発行されますが、数が多くなると管理が大変です。忙しさに気を取られて、つい保管が乱雑になってしまうこともあるでしょう。経理担当者は領収書の保管をどのように行うか、はじめにきちんと決めておきましょう。
経理上、しっかりと管理しなくてはいけないものは次のようなものです。

  • レシート
  • 領収書
  • 仮払申請書
  • 経費精算書
  • 現金出納帳または会計ソフト
  • 現金
  • 通帳
  • 銀行印

領収書のここに気をつけて!

現金で何かを購入した場合は原則として領収書をもらいましょう。

その際、会社名と但し書き(取引内容)を記載してもらうのを忘れないようにします。
但し書きは文房具など大まかでかまいませんが、目安はその領収証で仕訳ができる程度です。

例えば「品代」では内容が全くわかりません。「文房具」とあれば事務用品費と仕訳することができます。

経費はレシートではだめなの?

経費精算はレシートでもできます。

しかし、レシートを領収書代わりに使うには条件があります。それは領収書として必要となる項目を満たしていることです。必要なのは以下の5点です。

  • 請求書発行者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 対価の額
  • 請求書受領者の氏名または名称

これさえ満たしていれば通常の領収書と同様に扱うことが可能です。

以前のレシートは、金額が記載されているだけのものが多かったので、レシートでは認められないという場合がありました。しかし、最近は宛名欄があるものもあり、先の5点の条件を満たしたレシートがほとんどです。ですが、上記条件を満たしていないレシートでは領収書代わりにはならないため、きちんと確認しましょう。

また、宛名欄が白紙だったり「上様」と書いてあったりする領収書や、ただし書きに「お品代」と書いた領収書も、領収書として必要な項目を満たしているとは言えず、税務調査で疑念を持たれる可能性があります。

レシートや領収書が発行されない場合は?

領収書やレシートが発行されない場合は、代わりの書類で対応しましょう。

クレジット決済の場合は、利用伝票の控えやクレジットカード会社が発行する請求明細書、銀行振込みの場合は振込明細書などです。

代引きで購入した場合は、納品書とお金を支払ったときに運送会社から交付される受領書で領収書の代わりになります。

慶弔費や自動販売機などの支出であれば、出金伝票支払証明書を作成しましょう。

出金伝票や支払証明書は、どこにいくらの支払いを行ったのかを自分で記載する書類です。

最低でも、作成者日付支払内容金額支払先の5項目は記載します。

小口現金の取扱いポイント

会社の経理では、経費精算や会社で購入した物品の支払いなど、日々の現金の出入りを小口現金として管理する必要があります。

ここからは小口現金の取扱いのポイントを解説します。

立替払いの流れ

日常的におこるのが、立替払いです。のちの経費精算で支払った分が戻ってきますので、レシートや領収書はなくさないように個人できちんと保管しましょう。
経理事務の流れは次のようになります。

  • 従業員が経費を立替えて支払う
  • 従業員は領収書または経費精算書の承認を上司に受ける
  • 領収書または経費精算書に基づき精算する
  • 経理で仕訳処理

仮払いの流れ

出張費など少し大きな金額を必要とするときには、仮払いをします。

  • 従業員が仮払い申請書を作成し、上司の承認を受ける
  • 仮払い申請書に基づき従業員に現金を渡す
  • 仕訳処理(仮払金勘定は従業員ごとに補助科目を設ける)
  • 仮払いの過不足の精算(計算間違いがないか確認する)
  • 仕訳処理(仮払金勘定から旅費交通費や交際費などの勘定科目へ振替える)

仮払いの支払いは、一定額以上の基準を設けて、必ず仮払申請書をもらいましょう。

海外や長期間の出張など多額になる場合は仕方ありませんが、あまり少額なものまで仮払申請の対象にすると、申請するほうも受け付けるほうも手間がかかります。

一定の金額以上のものだけ受け付けるように最初に基準を設けましょう。

現金精算時に注意することは?

現金を精算する際はその根拠となる、領収書、レシート、経費精算書、仮払い申請書などの書類を、必ずその場で確認して受け取りましょう。

現金を先に渡すと、従業員が書類の提出を忘れてしまった場合、回収に手間取ることが多いからです。

また、但し書きで商品名やサービス内容が記載されてはいても、内容が漠然としている領収書は、担当者に内容を確認して、誤りや不正防止に努めましょう。

さらに、お店によってはポイントが付与される場合があります。

ポイントを充当して購入した場合(ポイント分が値引きの扱い)には、実際の現金支払い額で処理します。

ポイント充当前と充当後の金額表示が近い場合が多く、見間違いやすいので気をつけましょう。

参考:国税庁ホームページ

手元の現金は金種表を作成して管理

現金の出入りがあったらこまめに(その日のうちに)現金出納帳や会計ソフトに記録します。

現金を実際に数える時は、金種表を作成しましょう。金種表とは、1万円札〇枚、5千円札〇枚、のようにお金の種類ごとに小計を記入し管理するものです。作成は現金の出入りが落ち着いた夕方頃に行うのがいいでしょう。

毎日数えるのが理想的ですが、現金の出入りが少ない場合には、2~3日に1度など頻度を低くしてもいいでしょう。小売業や飲食業などでレジを利用している場合は、レジに保管する現金の金額をあらかじめ決めておき、閉店後にそれを超える金額(=その日の売上金額)を、預金口座へ預け入れる方法もあります。

金種票と残高が合わない場合には当日中に原因を追求!

金種票と現金出納帳や会計ソフトの残高が一致しない原因として、金種の数え間違いや、仕訳の二重計上、領収書の見落とし(ポイント分差し引き忘れ、消費税など)、などがあります。

原因は当日中に追求し、どうしても原因不明の場合は、現金過不足という勘定科目を使って現金出納帳・会計ソフトの残高を金種票(実際ある残高)に一致させます。

通帳と銀行印はできる限り別保管!

通帳はのかかるところに保管しましょう。記載がいっぱいになり繰越しされた通帳も保存期間は保管しなければなりません。

また、通帳と銀行印が同時に盗まれると引き出されてしまう可能性があるため、銀行印は通帳とは別の場所に保管しましょう。

可能であれば、横領などの牽制のために、通帳の保管者と銀行印の保管者は別の従業員にするとよいでしょう。

まとめ

経理というのは略称で、元になっている言葉は経営管理です。経理という言葉のイメージよりも大きな範囲の仕事であることがイメージできます。

今回は経理の補助的な部分を説明しましたが、経理という業務は、交通費や売上など、発生する経費を集約し、決算書など経営状態を示す資料となります。

正確に業務を行うことが健全な会社経営に直結するといっても過言ではないでしょう。

創業期は特にキャッシュフローが大事です。黒字であっても手元にキャッシュがなければ、倒産してしまう可能性があるからです。「冊子版創業手帳」では、経理から得られる情報を基に、資金繰り表を作成する方法や、その読み方、キャッシュを健全にするポイントなどを詳しく解説しています。

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(監修者 : 税理士法人ハガックス 代表 税理士・中小企業診断士 芳賀 保則
(編集: 創業手帳編集部)

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