業務提携契約書作成のポイント
業務提携契約書を作る際に必要な考え方
(2015/12/10更新)
自社の事業活動を拡大するために企業間で業務上の協力関係を築くための契約として優明なのが「業務提携契約書」です。「餅は餅屋」という言葉にあるように、ノウハウや実績のある会社に業務の一部をお願いするというのも有効な手段といえます。今回は業務提携契約の中でも一般的な、生産提携契約(OEM契約)、技術提携契約、販売提携契約について下請法との関係なども踏まえながら説明していきます。
業務提携契約とは?
業務提携契約とは、自社の事業活動を拡大するために企業間で業務上の協力関係を築くための契約です。
今日では、多くの企業が業務活動を行っており、自社にとって不得意な事業活動を自社内で技術開発したり、ノウハウを得るために時間を費やしたりするのではなく、他社に不得意な事業活動を手伝ってもらって行う方が、有益であることがおおくあります。
企業は自社の活動を全てを必ずしも自社内で行う必要はありませんし、自社の事業を達成するにあたり、不得意な事業活動は他社の力を借りたほうが効率的に達成できます。
他社の力を借りるための契約が業務提携契約と言えます。
もっとも、業務提携のあり方は各企業によって異なり、提携を依頼する内容によっても形式は大きく変わってきます。
今回は業務提携契約の中でも一般的な、生産提携契約(OEM契約)、技術提携契約、販売提携契約について扱います。
各契約の詳細については各契約の解説をご覧ください。
業務提携契約書を作成しないと、どうなる?
業務提携契約は、企業間が協力して事業を行う契約になりますから、自社の秘密情報を相手の企業が知ることになります。
そのため、業務提携契約書を作成して、知り得た秘密情報の取り扱いについて取り決めを行う必要があります。
さらに、協力して開発した技術をどのように帰属させるかを取り決めなければ、自社の秘密情報を得た他社が情報を濫用して事業活動を行ったり、共同技術の独占を図られる恐れがあります。
このような事態を避けるために、契約書面を作成し、業務提携をどこからどの範囲であるかを取り決め、発生する権利義務を両者で定める必要があります。
業務提携契約書を作成するにあたっての注意
業務提携契約は、雛形としての一例とは言えるものの、雛形通りの契約を結ぶ企業はないと考えられます。
企業と企業の間を取り巻く利益関係は、テンプレートで表現できるような単純なものではないからです。
雛形を利用して業務提携契約を締結するにあたっても、自社の利益と相手方の利益の適切な妥協点を探りながら各契約条項の改変を適宜行う必要があります。
適切な妥協点を決める上で、企業を取り巻く契約について適用される法律を反映できるよう、法律の専門家へ助言を求めることも重要です。
業務提携契約を締結する場合に注意すべき法律
業務提携契約を締結するにあたって最も注意すべき法律として、下請法が挙げられます。
下請法の適用を受ける業務提携契約を締結する場合は、親事業者に当たる当事者が、契約条項の設定について慎重に行う必要があります。
下請法は、取引内容が物品の製造、修理委託である場合かプログラムの作成等とする場合で、親事業者が資本金3億円を超える場合か資本金3億円以下の事業者を下請として業務提携契約を締結する場合に下請法の適用を受けます。
また、資本金が1000万円を超え、3億円以下の親事業者が、資本金1000万円以下の事業者を下請として契約する場合も、下請法の適用を受けます。
上記以外にも、情報成果物(CM、ポスター、デザイン等)の作成や、役務提供をする場合で、資本金が5000万円を超える親事業者が資本金5000万円以下の事業者を下請にする場合か資本金が1000万円を超え、5000万円以下の親事業者が、資本金1000万円以下の事業者を下請として契約する場合も下請法の適用を受けます。
下請法の適用を受ける事業提携契約を締結する場合は、契約条項の適正について、法律専門家の助言を求めるのがよりよいでしょう。
(監修:徳川綜合法務事務所 行政書士 石川裕也)
(編集:創業手帳編集部)
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