雛形でチェックする販売提携契約書(販売委託契約書/代理店契約書)作成のポイント

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雛形で学ぶ!販売提携契約書(販売委託契約書/代理店契約書)入門

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(2015/12/15更新)

ビジネスを行う上で交わされるさまざまな契約。今回紹介するのは、「販売提携契約」です。これは、自社製品を開発・販売する企業が、さらに多くの売り場を確保して、より多数の製品の販売を目指す場合結ぶ契約です。販売委託契約や代理店契約、フランチャイズ契約も同じ部類の契約にあたります。今回も、雛形と法律を踏まえて解説していきます。

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販売提携契約とは?

販売提携契約とは、自社製品を開発・販売する企業が、さらに多くの売り場を確保して、より多数の製品の販売を目指す場合結ぶ契約です。

主には自社で直営店を展開するのではなく、すでにある販売店の売り場を利用して、自社製品の販売を行う契約を言います。

この場合、すでにある売り場を利用できるため、迅速に販路を拡大でき、直営店を展開するリスクを抑えることができます。

また、類似している契約に、販売委託契約、代理店契約などがあります。内容や契約の重さなどによって名称が変わりますが、基本的には同じ部類の契約です。

なお、フランチャイズ契約は代理店契約の1つで、同一商標による他店舗展開と考えることができます。(保険など、販売・営業に際して資格が必要な商品もあるため、事前に専門家に確認することをお勧めします。)

委託と提携の違いとは?

詳細を解説します!

※下記リンクから販売提携契約書の雛形をダウンロードしてください。

目的

第1条
本契約は、甲乙が提携関係の下、甲が製造した商品を乙が販売し、右商品販売代金を回収した上で、甲へ報告することを目的とする。

販売提携契約は、甲の製造した製品について、乙が自己の有する売り場において販売することを承諾する契約となります。

そのため、そのような内容の契約を締結するという意思の合致および、乙が販売した製品代金について甲へ報告することについて第1条で定めることが求められます。

業務の範囲

第2条
本契約による提携によって乙が担う販売業務の範囲は、甲が製造した商品の販売と販売代金の回収及びそれらに付随・関連する行為とする。

販売提携契約は、甲が本来行うべき業務内容の一部を乙に委託する内容の契約となりますから、どこまで甲は乙に委託するかについてその範囲を定める必要があります。

本条の場合具体的には、甲の製造した製品の販売及びその販売代金の回収と報告、それに付随する行為になります。
 

販売価格

第3条
乙は販売業務を行うに際しては、甲の指定する販売価格に基づき商品を販売する。

甲は、乙に対して販売を委託する際に、自身の希望する小売価格での販売を求めることができます。

これは、乙が販売した価格がそのまま甲の収益につながるため、安易に乙が販売価格を下げることができないようする必要があるためです。

もっとも、常に一定の価格を維持することが、かえって製品の売り上げを低下させる場合もあるため、販売価格については市場の動向を柔軟に反映させる必要があります。

よって、この販売価格の取り決めについては甲乙の協議によってさらなる項目の追加が望ましいとも言えます。

検品

第4条
乙は、甲より本商品の引渡を受けた後、本商品に数量不足又は直ちに発見できる瑕疵がある場合には、速やかに甲に通知するものとする。

2.乙は前項に従い検品をした結果、数量の不足または瑕疵があった場合には、納入後○日以内に甲に通知するものとし、甲はこれに対し代品納入または修補を行うものとする。

乙は甲から製品を受領した場合、製品について数量不足や瑕疵がないかの確認を行い、問題がある場合はその件についての報告を甲に対して行う必要があります。

乙としては、甲から納入された製品を直接販売するわけですから、その製品に何か問題があった場合、真っ先にクレームを受ける立場にあります。

そのため、乙は慎重に製品についての検査を行い、製品を売り場に出す前段階で、甲に対し報告する必要があります。

本条2項は、甲により納入された製品について問題が発見された場合の規定です。

この場合、甲は合格しなかった製品に代えて、他の製品を納入するか、無償で修理を行う必要があります。

もっとも、乙が納入後○日を経過したにもかかわらず、意図的に、あるいは不注意によってその問題を発見できなかった場合は、その製品について生じた問題は乙自身が負担する必要があります。

商品の取扱い

第5条
乙は、商品については、甲の定める方法によって甲から引渡を受け、また、甲に引渡さなければならない。

2.乙は、甲から引渡を受けた商品については、顧客に販売または甲に引渡すまでは、善良なる管理者の注意をもって保管するものとする。

3.甲は、本契約に定める受託事務の目的以外には、保管中の商品について、第三者に対し、質権等の担保の設定、または貸与等を含む一切の処分をしてはならないものとする。

4.乙は販売業務を第三者に対して再委託してはならない。

1項では、製造品の引き受け方法について定めた規定です。

例えば、本契約によって乙が販売する予定の製品が要冷凍のものである場合や、何らかの特別な引き受け方法を要する場合は、甲の指定に従って乙は製品の受入を行う必要があります。

2項では、乙が甲から納入された製品についての取り扱いの注意について定めています。

乙が甲より納入された製品についてぞんざいに扱うことがないよう、乙の本製品の扱いについて善良な管理者の注意としての義務を設けています。

これは民法400条の具体的現れと言えます。

3項は、乙が本製品を第三者に対する権利義務関係の処理のために用いることができないことを定めた規定です。

甲から乙の元に本製品が納入された時点で、客観的には乙が本製品を所有している状態になります。

そのため、乙がそのような客観的な状態を利用して第三者に対して抱える借金の引き当てとして、本製品に担保を設定したり、本製品を第三者に利用させるような状態が発生したりしないよう定める必要があるため、同項にて、その旨を規定しています。

4項は、乙から第三者への再委託禁止についての規定です。甲は乙の有する売り場の価値および販売能力を評価して、乙との間で販売提携契約を締結しているわけですから、乙の知りえない第三者が介入することを甲は予定していないと思われます。

そのため、このような乙の予定しない第三者が関与することがないよう、乙からの再委託を禁止し、未然に防ぐことを定めています。

販売協力

第6条
甲は、乙の要請があるときは、商品の説明書等本製品の販売促進に必要な資料を無償で乙に対して提供する。

乙は甲からの委託を受けて実際に甲の製品を販売する地位にあるわけですが、販売委託がなされた後は、甲としても何ら責任がなくなるわけではなく、甲の手元に製品を販売促進するにあたっての資料がある場合は、無償で乙に提供する必要があることを定めます。

これにより、乙は委託を受けた製品を販売するにあたって詳細な説明を顧客に対して行うことができるようになります。

市場調査報告

第7条
乙は、本製品の販売活動を通じて知り得た商品の市場、売行傾向、顧客等に関する情報を定期的に甲に対して報告する。

乙は、甲から委託を受けた製品が、市場でどの程度競合商品があるものか、顧客からのニーズがあるものじか等の市場調査を元に、売り場での販売戦略を組み立てることになります。

その過程で乙が入手した市場調査の結果について、定期的に甲に報告する義務があることを定めることによって、甲はさらなる製品の改良につなげるための資料入手につなげることができます。

これは甲にとって有益な条項になりますね。

販売提携手数料

第8条
甲が乙に対して支払う、本契約の受託事務の対価としての、乙の販売手数料は、販売代金の〇〇%を下回らないものとする。

2.その他の手数料に関しては、甲乙が協議の上別途定めるものとする。

8条では、乙が実際に販売した結果受け取ることができる報酬の算定基準について規定したものです。

1項では、乙が本製品を販売することによって得た販売代金のうち○○%が甲から乙への報酬となることを定めています。

この点1項が報酬の最低ラインについてのみ定めているのは、乙の販売成果によって、報酬の算定基準を変動させるインセンティブを付与するためです。

つまり、乙の売り上げが大きいほど、乙が受け取る報酬も販売代金の○○+α%という形で上昇させることにより、乙の販売努力に対して一定の評価がなせる余地を残しています。

もっとも、どのような詳細基準を設けるかは個々の協議によって定められるのがよいでしょう。

販売結果報告

第9条
乙は、毎月〇〇日までに販売した商品の数量及び代金を計算のうえ、翌月〇〇日までに、甲に対して書面で報告する。

乙は、一定期間の間の販売個数と売り上げについて書面で甲に報告することと定め、甲から乙への報酬の算定が容易に行えるよう便宜を図っています。

今回の雛形では、毎月ごとの報告と定めていますが、個別事情を踏まえて期間の設定を変更することも考えられます。

販売代金の送金方法

第10条
乙は、毎月〇〇日までに販売した本製品の販売代金を計算し、これから手数料を控除した残額を甲の指定する銀行口座に振込む方法により支払う。

10条により乙は、第9条で報告を行った後、販売代金から受け取るべき報酬としての手数料を控除した額を、甲指定の口座に振り込むこととなります。

この点の送金方法は振込形式がもっともオーソドックスなため、それに設定していますが、これ以外の送金方法や金銭授受の形式を採用することも考えられます。

また、乙が手数料を控除して販売代金を送金するのではなく、販売代金全額を一度甲へ送金した上で、改めて甲から乙へ手数料を支払うという方式を採用することも考えられます。

秘密保持

第11条
甲および乙は、本契約に関連して知りえた他の当事者の技術上・経営上の一切の秘密を、他の当事者の書面による承諾がない限り、第三者に漏洩または開示してはならない。ただし、以下各号はその限りではない。

①他の当事者から知得する以前にすでに所有していたもの。
②他の当事者から知得する以前にすでに公知のもの。
③他の当事者から知得した後に、自己の責によらない事由により公知とされたもの。
④正当な権限を有する第三者から秘密保持の義務を伴わずに知得したもの。

2.前項の規定は本契約終了後○年間継続する。

販売提携契約を締結することにより、甲乙は企業として強い結びつきを得ることになるため、両者の企業秘密情報を獲得したり、他人に漏洩することが好ましくない情報を得たりすることが考えられます。

この場合、当事者以外の第三者に対しその情報が漏洩しないよう秘密を保持する義務があることを定めています。

もっとも、1項各号の場合は例外として定め、甲乙両者に秘密保持の過度な負担が及ばないよう配慮しています。

この秘密保持義務は、販売提携契約が終了したとしても数年間継続することを定め、情報獲得を目的とした販売提携契約を排除できるよう定めています。

競業避止義務

第12条
乙は、本契約で取り扱う商品と同種、または類似のものを販売しようとするときは、事前に甲の承諾を得ることをとする。

乙が甲から委託を受けた製品を販売する一方で、甲の製品と同様あるいは類似の製品を同じ売り場で販売する場合、必然的に甲の製品への需要は他の類似製品へと分散してしまいます。

そうなると、甲の製品の売り上げが減少することにもつながるため、乙は甲の製品と類似のものを販売することができないよう本条では規定されます。

もっとも、市場に同様の製品が複数存在するにも関わらず、甲の製品のみしか扱えないとなると、乙の売り場は取扱商品の数という点で売り場としての魅力を失い、顧客を遠ざけてしまう可能性があります。

その結果、甲の製品の売り上げが減少するといった事態も生じ得るため、今回はこのような状態を回避するため、乙は甲の承諾を得ることによって、甲の製品と類似した商品を販売することができるよう定めています。

契約解除

第13条
甲または乙は、他の当事者が次の各号の一つに該当したときは、催告なしにただちに、本契約およびこれにもとづく個別契約の全部または一部を解除することができる。

①この契約あるいは仕様確認書の重大事項に違反したとき
②監督官庁より営業取消又は停止等の処分を受けたとき
③銀行取引停止処分を受けたとき
④第三者から強制執行、差押、仮差押、仮処分等保全手続を受けたとき
⑤破産、民事再生、会社更生あるいは特別清算の申立を受けたとき
⑥信用状態悪化等あるいはその他契約の解除につき、相当の事由が認められるとき

この規定は取引の相手方に経営上の不審点がみられる場合、直ちに契約の解除ができる旨を定めています。

相手方が各号に該当するような状況に陥っている場合、販売提携契約を維持していても、報酬が支払われない、あるいは製品が製造されないような状態が生じる可能性があるため、契約当事者としてはそれを回避するために迅速に契約を解除できるようにする必要があります。

有効期間

第14条
本契約の有効期間は、平成○○年○○月○○日より満1年とする。ただし、期間満了の○ヶ月前までに、当事者の一方又は双方より、書面による契約条項の変更又は解約の申入れがなされない場合は、同一の条件にてさらに満1年自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。

2.本契約の有効期間中であっても、甲又は乙は、相手方に対し〇〇ヶ月の予告期間をおいて、本契約を終了することができるものとし、この場合、損害賠償義務は生じないものとする。

販売提携契約は継続性の強い契約ですが、定期的に契約を更新するかどうかの意思確認の機会を設ける必要があります。

そのため、契約の有効期間を1年と定め、満了一定期間前までに何らかの申入れをしない場合は、自動的に更新する旨定めています。

もっとも、何らかの利益状況の変化で契約を終了する必要が生じた時のために、一定期間の予告期間を相手に通知すれば契約を終了することができるとしています。

専属的合意管轄

第15条
甲及び乙は、本契約および本契約に基づく個別契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

専属的合意管轄とは、契約当事者の間で裁判が避けられないような紛争状態が発生した場合に、一体どこの裁判所で裁判をするのかということについての取り決めになります。

日本全国に裁判所がありますが、原則として義務の履行をしなければならない場所から最寄りの裁判所、あるいは、義務を履行しなければならない者の住所から最寄りの裁判所で裁判をすることとなります。

しかし、インターネットが普及した現在、遠隔地間の企業同士の取引も考えられるところ、わざわざ遠く離れた裁判所に足を運ばなくてはならないとなると、大変な労力となります。

そのため、予め紛争が発生した場合はこの裁判所で裁判をしようと取り決めをしておくことで、遠くの裁判所に出向くことがないようにするものです。

規定外事項

第16条
この契約に定めのない事項又はこの契約の条項の解釈に疑義を生じたときは、甲乙協議の上定めるものとする。

契約の最中に、契約書に書かれていない内容についてトラブルが生じた場合、あるいは契約書の条項について、解釈の相違が生まれた場合、甲乙間で協議によって穏便的解決を探る旨定め、トラブルの深化をなるべく防ぐことができるよう定めています。

まとめ

本販売提携契約は、乙の売り場としての有用性を期待して、甲が乙に提携を依頼する契約になります。

そのため、甲は乙の売り場を最大限利用できる契約条項の作成を、乙としては甲の製品を販売することによって得られる知識や経験を更に利用する余地を求めるための契約条項を作成することが求められます。

これらは一方で矛盾関係にもなりうるもので、甲としては乙を自身の製品販売に拘束したいし、乙は甲に拘束されることなく他の製品の取り扱いを増やしていきたいと考えるものですから、両者の要望をできるだけ反映しつつ、互いの納得がいく契約を成立させるにあたっては、十分な協議を行い、互譲を目指した契約成立を検討すべきと言えます。

そしてそのような両者の協議を円滑に進めるにあたっては、業務提携を専門的にこなす法律家の助言を得ながら進行することも重要となることがあります。

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(監修:徳川綜合法務事務所 行政書士 石川裕也
(編集:創業手帳編集部)

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